『マッドマックス 怒りのデス・ロード』解説|ギターと車とフュリオサ考察〜あらすじ感想評価から続編『マッドマックス フュリオサ』予告まで

スリラー・SF・アクション

こんにちは!映画好き絵描きのタクです。今回、解説・レビューする映画は、『マッドマックス』(1979)シリーズ第4作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』です。監督・脚本は過去3作同様、ジョージ・ミラー。
過去3作では主人公マックスをメル・ギブソンが演じていましたが、4作目の『マッドマックス 怒りのデスロード』のマックスは「ダークナイト ライジング」「インセプション」のトム・ハーディです。




どんな映画かを一言で言うなら、2作目以降変わらずの「アクセル踏み抜き・ディストピアバイオレンスアクション」です。

水が枯渇した荒野を支配する「イモータン・ジョー」と、ジョー配下だった女戦士フュリオサら女性たちの脱出劇に、必然マックスが絡みます。

続編5作目『マッドマックス フュリオサ』公開情報も交えつつ、シリーズ4作目『マッドマックス 怒りのデスロード』をレビューしてみます。(2015公開・アメリカ・オーストラリア合作)



『マッドマックス 怒りのデスロード』予告編







『マッドマックス 怒りのデスロード』スタッフ・キャスト

マックス役にトム・ハーディ。フュリオサ役でシャーリーズ・セロン。悪役イモータン・ジョー役には、『マッドマックス』一作目の暴走族リーダー・トーカッター役で強烈な悪役像を演じ切ったヒュー・キース=バーンが復活配役。
1作目から3作目まで主役だったメル・ギブソンは出ていません。しかしヒュー・キース=バーンの配役復活はメル不在をカヴァーしてあまりある存在感です。



『マッドマックス 怒りのデスロード』解説

『マッドマックス 怒りのデスロード』はこの手のバイオレンスアクションにありがちな「つまらない」という低評価もあります。

一方、公開後SNSで高評価が拡散され、いきなりトップレベルの興行成績となった映画でもあります。
いわゆる観客の素直な反応が一気に作品評価を押し上げた、SNSヒットパターンの映画でもありました。

その結果、第88回アカデミー賞では作品賞、監督賞ほか10部門でノミネートを受け、編集、美術、衣装デザイン、音響編集、録音、メイクアップ&ヘアスタイリングの合計6部門で受賞。

3作目からはなんと30年という間をおいての制作公開です。

ジョージ・ミラー監督自身が30年という時間を使い練り上げた世界観は、結果、近年にないバイオレンスアクションムービーとなっています。



『マッドマックス 怒りのデスロード』あらすじ

あらすじは結末ネタバレを含んでいます。本編を純粋に楽しみたい方はスルーしてくださいね。(以下、Wikipediaより転載〜一部改稿)

核兵器による大量殺戮戦争勃発後、生活環境が汚染され、生存者達は物資と資源を武力で奪い合い、文明社会が壊滅した世界が舞台だ。

砂漠化し荒廃した荒野で、元警官マックスは、過去に救えなかった命の幻覚と幻聴に煩わされる中、生存本能にだけ突き動かされV8インターセプターを駆っていた。

流浪の途上で暴徒らの襲撃に遭いインターセプターを奪われ捕縛され、シタデルという砦に連行されたマックス。
マックスは、環境汚染からの疾病を患う住人に供血利用される。

シタデルでは首領イモータン・ジョーが、潤沢な地下水(アクア・コーラ)と農作物栽培を牛耳ることで独裁を敷いていた。

イモータン・ジョーの部隊を統率するフュリオサ・ジョ・バッサ大隊長は、ジョー一族が受胎出産させることを目的として監禁していた5人の妻=ワイブズ=であるスプレンディド、トースト、ケイパブル、ダグ、フラジールの身柄を秘密裏にタンクローリートラック改造車「ウォー・リグ」に搭乗させ、イモータンジョーの支配から脱出をはかる。

目指すはフュリオサの出生地である「緑の地」だ。

妻たちと、その胎内の我が子を奪われたと知ったジョーは配下の戦闘集団ウォーボーイズを引き連れ、友好関係にある人食い男爵と武器将軍の勢力を援軍に追走を開始する。

マックスはウォーボーイのニュークスの常備用「血液袋」として追尾車両に繋がれフュリオサとワイブス追走の争いに巻き込まれることになる。

追跡劇の最中に砂嵐に遭遇、マックスが繋がれたニュークス運転車両は大破。手足の拘束を解くことができたマックスは、フュリオサ達を制圧する。

一人で「ウォー・リグ」に乗り込むマックスだが、フュリオサ仕様に様々な改造が施されていたため、結局は同乗する事になる。
一方、ジョーの直々の命令で「ウォー・リグ」に乗り込んだものの失敗したウォーボーイ・ニュークスは、ワイブズの一人であるケイパブルに啓蒙されて一行に加わることとなる。

一昼夜をかけて走破した場所でかつての仲間である鉄馬の女たちに出会うことが出来たが、土壌汚染の進行で既に目的の地は失われている事を知り、フュリオサは慟哭する。

それでもなお、ワイブスと鉄馬の女たちと共に、荒廃した地へとあてのない旅に向かおうとするフュリオサに対しマックスは、ジョーさえ除けば生きて行ける可能性の高いシタデルに戻るように諭す。

マックスの提案に同意し、主不在の砦に向かって激走するフュリオサ一行を発見し、ジョーの軍勢は追撃をかける。

犠牲も出る中、3日間に渡る逃走劇と過去の精算に決着をつけるべく、フュリオサは深手を負ったままジョーと直接対峙し、遂にジョーは倒される。

そしてニュークスの捨て身の戦法で渓谷拱門の突破に成功、ジョーの配下達も排除される。

フュリオサは危篤状態に陥ってしまうが、マックスはできうる限りの救命措置を施し、告げることを拒んでいた己の名前を明かす。

一行は砦に凱旋し、ジョーの圧政から解放されたことで、フュリオサは群衆に歓迎される。人々の流れに逆らい、砦から去ろうとするマックスを見つけ、目を合わせたフュリオサは、無言の笑みをもって彼を見送るのだった。




『マッドマックス 怒りのデスロード』考察・感想

『マッドマックス 怒りのデスロード』は「つまらない?」「おもしろい?」

ネット上、いくつかのサイトを見ると、「つまらない」「おもしろい」が2分しているよう思えます。

「つまらない」派の意見は、多分、1.2.3と主役を張ったメル・ギブソンが不在ゆえ、物語に連続性を感じられないことからくる「つまらない」感、そしてぶっちゃけ『マッドマックス2』のカーアクションを基本踏襲…という「前にも観た感」からかと思います。

逃げるタンクローリーが巨大鯨に見えて、追撃する軍団のバイクや車がキャッチャーボートに見えるもの同じですし。

逆に「おもしろい派」は、『マッドマックス2』以降のマッド系カーアクションを、30年たって「そうそう、コレコレ!コレなんだよ!!」と、型として楽しめた結果、、、ではないでしょうか。

僕自身は後者の「型を楽しんだ派」です。

でも内容はどうだった?何かメッセージがあったか?と問われると、「え?内容って…う〜ん、ま、ありきたりかな」となってしまいます。

要は、若き日に観た『マッドマックス』シリーズ独特のバイオレンスアクションと30年ぶりに再会したら、それ以上のバイオレンスアクションだったので、ヨシヨシとなったように思えます。

ということで、この映画『マッドマックス 怒りのデスロード』を楽しめるか、冷めてしまうか=ノレるかどうか=は、紙一重の映画…なのかもしれません。

一言だけ、観終わってはっきりと思ったことがあります。

それはジョージミラー監督への敬意です。

ぼくは監督という仕事をやったことはないですが、監督が一本に費やすエネルギーは、想像できないほど相当なものと思っています。
「ジョージミラー監督、歳も行ってるハズなのに、4本目にしてこのド派手アクションとは、、、どこまでロックなクリエイターなんだ、、、」と敬意脱帽でした。


クレイジーなギターかき鳴らしキャラの魅力

映画には盲目でギターをひたすらかき鳴らすだけのキャラクター、コーマドゥーフ・ウォリアーが登場します。

ステージスピーカーを幾重にも重ねたトラックの前面でワイヤーアクションストラップをつけ、狂ったようにギターをかき鳴らすです。

実はこのキャラは、オクラ入りの可能性があったとシネマトゥデイでは明かされています。

サイトによると、コーマドゥーフ・ウォリアーは「盲目で生まれ鉱山の奥深くで生きていた」などしっかりとした設定がされているんですね。

ドラマの中で放つ強烈な存在感は、きちんとしたキャラの過去バックボーンが設定されているからなんですね。
『マッドマックス 怒りのデスロード』においてコーマドゥーフ・ウォリアーが担わされた役割は、「狂った世界観をより増幅させるアンプ」なのです。


ドラマートラックは鼓童だなあ

劇中、追撃戦では、ステージスピーカー満載トラックの背面には6人(だったかな?もっと多いかもしれんです)のドラマーが斜めに陣取り、ドコドコ♩と太鼓を叩き続けます。

そのシーンは、南北戦争やアメリカの独立戦争の時に最前線に立った軍楽隊ドラマーからヒントを得ているものと思われますが、この映画『マッドマックス 怒りのデスロード』を観た日本人は、西洋ドラムよりもむしろ日本の和太鼓だ!と思った方多いのではないかと思います。少なくともぼくは思いました「鼓童だよな」

マッドマックス2以降のシリーズに、僕がかんじとっている空気があります。それは、西欧人が東洋に感じる謎めいた空気です。

『マッドマックス2』の砦では脇役の一人が日本刀を小道具として使っていたり『マッドマックス3サンダードーム』のバータータウンでは、ある男が能面を掲げます。

謎めいた世界を作り上げるためには、西欧スタンダードをいじくりまわしただけではだけではダメで、西欧人にとってのエキゾチズム=日本トラディショナルスパイスを効かせてたように思えます。


新キャラ・女戦士フュリオサの魅力

イモータンジョーに叛旗を翻す女戦士フュリオサをシャーリーズ・セロンが演じていますが、その存在感は圧倒的でした。マックスを凌いでいるとさえ僕は感じました。

クライマックス近く、傷を負った弱ったフュリオサの弱ったシーンは、絶品。

それまで知性的かつワイルドな強さを全面に出していたフュリオサですが、負傷後のシーンでは一転、非常に人間らしさが現れます。

あたかも、狂った世界の中に放り出された小さな一人の女性…という生々しさで描かれるシーンは『マッドマックス』一作目でマックスの妻が暴走族に蹂躙される非力さから繋がっているように思えました…あ、あくまでぼくの見解です。

ジョージ・ミラー監督は世界観を丁寧に作り込む作家です。

『マッドマックス』一作目で描いた弱者への目線を、本作4作目のクライマックスの弱ったフュリオサにオーバーラップさせたように思えてなりません。

女戦士といえば、『マッドマックス2』でも印象的なキャラの女戦士が登場しますが、劇中の追撃戦で死亡します。

「本当は彼女は死なせたくなかったんだよな」というジョージ・ミラー監督の独り言がフュリオサ像に結びついたと考えたくなってしまいます。(これもあくまで僕の推測です)



車のこと〜加速するぶっ飛びデザイン

マッドマックスシリーズの楽しみ方はいろいろあります。

やっぱり「車、そしてバイクのツギハギデザインのぶっ飛んだデザイン」にニヤニヤする=これも正しい楽しみ方の一つでしょう。

よくもまあこんな独創的なデザインを作り出したもんだ、、、という車たちが、次々に爆破炎上横転大破していく様は、『マッドマックス』シリーズをおいて他に多分、ないです。

絵描きとして一台一台ストップモーションをかけてスケッチしたくなるほどオリジナリティのカタマリです。(あ…あくまでつぎはぎオリジナリティ、です)
と思っておりましたら、ありましたよ、ちゃんとカーデザインをまとめたサイトが!
GIZMOD0さんに発見しましたので、リンクを貼っておきます
https://www.gizmodo.jp/2017/03/mad-max-behicle-john-platt.html



トム・ハーディ=マックスの賛否

マッドマックスシリーズ過去三部作の主演がメル・ギブソンだったことから一転、『マッドマックス 怒りのデスロード』ではマックスをトム・ハーディが演じています。

当然そこには賛否の声がありますね。

ぼくは『マッドマックス 怒りのデスロード』は過去三部作の流れからは別モノ=リブート作品と捉えて観ましたので、全然ノープロブレムでした。

むしろ極端なまで寡黙なトム・マックスが良かったです。

後半、女戦士フュリオサと女性バイカーたちがシタデルを目指すあたりからポツポツと口を開き始めます。

その口数の少なさが、逆にクライマックスでフュリオサを助けるシーンで発するセリフ(コレまた最低限のワード数)に生きてきます。

『マッドマックス 怒りのデスロード』リブートマックスに高得点!でした。



『マッドマックス 怒りのデスロード』僕の評価は?

細かいとこ突きたくなるシーンはいくつもありましたが、それを越えるバイオレンスシーンの迫力にラストまで楽しめました。
三度ほど観ていますが、評価は変わらずです。『マッドマックス 怒りのデスロード』僕の評価は78点でした。





『マッドマックス怒りのデスロード』配信は?

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クランクインビデオ レンタル 初回14日間無料
Lemino 見放題配信 31日間無料 
NETFLIX 見放題配信 無料期間なし
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片腕女戦士フュリオサの過去を描く続編が公開

マックスと同じほど主役的なフュリオサでしたが、2024年5月からマッドマックスシリーズの続編『マッドマックス フュリオサ』が公開されます。

『マッドマックス フュリオサ』予告編




マッドマックス続編…とかくと誤解を招きますね。『マッドマックス フュリオサ』は『マッドマックス 怒りのデスロード』のフリオサ過去譚となり、主役はフュリオサです。いわば、外伝・前日譚です。
ジョージミラー監督は、『マッドマックス 怒りのデスロード』の脚本を書くにあたって、フュリオサの人間像=過去を綿密に作り上げていました。その骨格があって『マッドマックス フュリオサ』の制作となったようです。

『マッドマックス フュリオサ』二行あらすじです

舞台は世界崩壊から45年後。
「緑の地」からさらわれた若きフュリオサは、ディメンタス将軍輩下軍団にさらわれる。
ディメンタス軍団が対立するのは、イモータン・ジョーの率いる城塞都市シタデルだった…。

監督:ジョージ・ミラー

出演:アニャ・テイラー=ジョイ、クリス・ヘムズワース






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