『カサンドラクロス』徹底解説|ネタバレあらすじ・感想評価レビュー

アドベンチャー

『カサンドラ・クロス』ネタバレあらすじ・感想評価

こんにちは!映画好き絵描きのタクです。今回のレビュー作は、1976年に公開された『カサンドラ・クロス(原題:The Cassandra Crossing)』です。

国際テロに、列車という密閉空間で感染症パニックが発生が掛け合わさった、サスペンス映画です。

舞台と時代は、冷戦下のヨーロッパ。国家の権力と感染拡大の恐怖がクロスするストーリーで結構ヒットしたと記憶しています。

ぼく自身、当時中学生でしたが、スクリーンで観て、圧倒された記憶があります。

このたびDVDで再見。今の感覚でレビューします。




『カサンドラ・クロス』解説

公開年:1976年 製作国:イタリア・イギリス・西ドイツ合作

監督:ジョルジュ・パン・コスマトス

脚本:ロバート・カッツ、トム・マンキーウィッツ

音楽:ジェリー・ゴールドスミス

上映時間:129分




『カサンドラクロス』あらすじ〜ネタバレ閲覧注意!

ジュネーブの国際保健機関WHOの細菌研究所をテロリストが襲撃します。

襲撃に失敗したテロリストは、致死性の細菌に感染、逃亡。

ひとりの被感染テロリストは、ヨーロッパを横断する列車に乗り込み、結果、乗客たちを次々と感染させてしまいます。

細菌を研究していたバックにはアメリカ軍の影がありました。




マッケンジー大佐(バート・ランカスター)を指揮官に派遣。ウイルスの存在を隠すため乗客を列車ごと抹殺する計画を立てます。

抹殺の方法、それは、ポーランドにある老朽化した「カサンドラ橋」へと列車のルートを変更し、谷底に突き落とす計画的です。

とある駅に停止した列車は、窓を出口と窓を封印され、武装した軍の隔離部隊によって車両は確保されます。

乗客の一人、医師のチェンバレン博士(リチャード・ハリス)は、他の乗客と共に事態の真相を探り、列車がカサンドラ橋に向かうことを知ります。同時にその橋は老朽化がひどく、列車が渡ることなど不可能だということも。

チェンバレン博士は元妻のジェニファーやハリー牧師、登山家ナバロらと協力し、カサンドラ橋の手前で列車を止めるべく、戦いをしかけます。

迫るカサンドラ橋。はたして彼らの命運は…

というあらすじです。




『カサンドラクロス』配役キャスト

チェンバレン博士(神経外科医)リチャード・ハリス

ジェニファー(作家 チェンバレン博士の元妻)ソフィア・ローレン

ナバロ・サンティニ(武器商人ドレスラー夫人の愛人 登山家):マーティン・シーン

ハリー(牧師)O・J・シンプソン

スーザン(二等車の若夫婦の妻)アン・ターケル

トム(二等車の若夫婦の夫) レイモンド・ラブロック

ヘルマン・カプラン(老行商人):リー・ストラスバーグ

ニコール・ドレスラー(武器商人の妻)エヴァ・ガードナー

エクランド(テロリスト)ルー・カステル

エレナ・シュトラドナー(WHOの医師)イングリッド・チューリン

スティーヴン・マッケンジー大佐(アメリカ陸軍大佐)バート・ランカスター

スタック少佐(アメリカ陸軍少佐 マッケンジーの部下)ジョン・フィリップ・ロー




『カサンドラクロス』制作スタッフ

監督を務めたのはのちに、『ランボー 怒りの脱出』で知られることになるジョルジュ・パン・コスマトス。

音楽は『エイリアン』『マッカーサー』など数々の名作を手がけた巨匠ジェリー・ゴールドスミスが哀愁帯びた名スコアを書いています。

『カサンドラクロス』ぼくの感想

⚫︎列車内パンデミックが、怖い

導入からテンポ、いいです。グイッと引っ張られます。

ジュネーブのWHO研究施設にテロリストが侵入しますが、彼らの目的は致死性ウイルス。

これ、今なら「ふーん」とあまり驚かれないかもしれませんが、公開当時は、目に見えない恐怖である致死性ウィルスをテーマに据えたこと、とっても怖かった記憶があります。




ウィルスに感染したテロリストが大陸横断列車に乗り込み、偶然乗り合わせた登場人物たちと間接的に接触してしまうくだりは、リアリティあります。

コロナ禍をすでに経験済みの今なら「あっ!ダメダメ!そこ!触っちゃダメ!!」と叫びたくなります。

記事を書いている2025年から50年も前の映画です。リアルパンデミックを経験していない1970年代に、想像力フルスペックで作り上げたと考えるとこの映画、十二分に楽しめます。




⚫︎登場人物紹介がスマート

映画の舞台が列車車内でとなります。ということは登場人物も多種多様。

リチャードハリス演じる医師、ソフィア・ローレン扮する医師の元妻の小説家、謎の牧師、金持ちマダムと囲われている登山家(麻薬売人)、老行商人、バックパッカーの若者たちまで、列車の1等2等客室は社会の縮図です。

映画前半で、そんな彼らを次々嫌味なく紹介しながらストーリーに絡め取っていくんですが、そのあたりの脚本演出がうまいですよ。無駄がないんです。

先般公開された『新幹線大爆破』リメイク傑作も、列車内に偶然居合わせた異なる人々がドラマを引っ張っていました。

そんな『新幹線大爆破』と合わせてこの記事書いていて、はた!と思いました。

トレイン映画の面白さは「群像劇」でもあるんですよね。

その点でも『カサンドラクロス』はていねいに作られていると思います。

⚫︎主人公は医師だから成り立つストーリー

主人公のリチャード・ハリスが世界的に知られた医師という設定が、感染列車というシチュエーションで生きています。ウィルス学の権威ではないんですけど、やっぱり医者じゃないと物語にはずみがつきません。




⚫︎子役の絶妙な存在感

一人の幼い少女がこの映画ではキーマンとして登場します。キーマンといっても言われなきゃスルーするくらいかもしれません。

ネタバレになりますので詳しくは書きませんが、この子のドラマの中での扱いが絶妙です。

パンデミック、銃撃戦、車両奪取、感染からの回復と、少なくともストーリーの四つの曲がり角に絡んでくるのが、その子なんです。

社会とは、大人と子どもが等しく存在して成り立っているものだ、と、妙に感じ入ってしまいました。要は「回収が効いている」のです。

「感染ドラマ」から「アクション」に連なっていく中で、この少女の役が大人だったとしたら…『カサンドラクロス』は、つまらない映画になっていたに違いない…と、ぼくは思っています。




⚫︎負の遺産ユダヤ人絶滅収容所の存在

怪しいモノを売りつける行商人のユダヤ人ヘルマン・カプランもまた、ユダヤ人絶滅収容所の記憶による慄きをリアルに出していました。

考えてみれば映画が作られたのは第二次世界大戦が終わって三十数年です。

まだヨーロッパには負の記憶を抱えた人たちが大勢いて、暮らしを営んでいた時代です。

老人のPTSDに悩む役回りもまた、いわゆる「回収の効いた」シナリオとなっています。

⚫︎ラストのこわさ(ネタバレ閲覧注意!)

ココはネタバレですから、映画見たい方はスルーしてください。

ラストを国家権力の非情な怖さで締めくくっているところも良いです。

列車を消滅すべく立ち回り、しかし良心の呵責に苛まれていたのが、マッケンジー大佐です。

コトが済んで、司令室を去る彼の部下に一本のミッションがくだるのです。

もちろん、それは、大佐は闇に葬られることが暗示です。

ハッピーエンドともバッドエンドとも言えない、非常に複雑なエンディングです。(この「複雑な」とは悪い意味ではありません)

しかしそのエンディングに、音楽家ジェリーゴールドスミスの哀愁のあるメロディが流れると、カタルシスがやってくるのです。

映画って、やっぱり音楽ありきなんだなあ…とも思いました。

おおらかに見ることオススメします




今にしてみると、感染対策の不徹底さや、主役級が感染しないなど、目をつぶらねばならないところもあります。

当時のスタントシーンも、今はグリーンバックで安全に撮れますが、昔は本番撮り。

登山家が危険な役割をにない、疾走する列車外でハングするシーンは、ホンモノスタントですが、その危険からでしょう、結構長く続きます。これは編集マンがどうしてもスタントシーンを削りたくなかったんでしょうね。

昨今のアクションスタントに慣れきってしまったぼくには、「うーん、長すぎるな〜」と、映ってしまいました。

ヘリスカイアクションシーンでも同じように感じてしまったのは、「時代のスピード感」が変わってしまった、ということでしょう…

でも、そんなとこは差し引きましょう。エンタメとして楽しむのが吉な映画だと思います。

すでにお亡くなりになった名俳優がずらりと出ています。昔の映画はキャスティングも豪華だったんだなあ、今見るとあらためて感じます。

メイン張るのがリチャード・ハリスとバート・ランカスター、そしてソフィア・ローレンなんて、信じられないです。

チャーリー・シーンのお父様、マーチン・シーンも、麻薬売人に身をやつした登山家ととんがってます。数年後の『地獄の黙示録』でドカーンと出てきた時、「あっ!カサンドラクロスのあのひと!」って思いました。

主役級はもとより脇を固める役どころにもそれぞれにきちっと出番を割り振りしてあるかんじも丁寧でした。

『カサンドラクロス』オマージュはこんな映画にも…




『カサンドラクロス』へ乗り込みオマージュが匂う映画があります。

それは、『ミッションインポッシブル:デッドレコニング』

クライマックスは『カサンドラクロス』へのオマージュだと思うのはぼくだけでしょうか?多分に『カサンドラクロス』のクライマックスを意識した…というか、オマージュ捧げた脚本のように感じています。

『カサンドラクロス』公開から半世紀経ってなお、映画人に影響を与えている一本なんだと思います。

『カサンドラクロス』ぼくの評価は星4つ

40年ぶりに観た『カサンドラクロス』でしたが、懐かしさと共に、パニックサスペンス映画として楽しめました。




1970年代に細菌感染の怖さに目をつけた脚本、そして実写とフィルム合成、ミニチュアでの特撮だけでここまで作り上げたのは凄いと思います。

ぼくの評価は、星4つ🌟🌟🌟🌟です。

コロナ禍を経験してあらためて本作を観ると、「パンデミックが政治利用されたら?」という問いが自然に湧き上がってくる映画でした。

映画『カサンドラ・クロス』に関するよくある質問(FAQ)をまとめました。




Q1. 『カサンドラ・クロス』は実話?

A1. 実話ではありませんが、冷戦時代の雰囲気とバイオテロの脅威を反映しています。

Q2. 子供でも見られる?

A2. 一部ショッキングなシーンがあるため、12歳以上推奨だと感じています。

Q3. なぜ「カサンドラ・クロス」というタイトル?

A3. 古代神話の「カサンドラ」=“真実を語っても信じられない予言者”に由来するそうです。

Q4. 実際にカサンドラ橋は存在するの?

A4. 架空の橋です。撮影にはフランスの橋が使われたそうです。

Q5. 感染症対策として参考になる部分は?

A5. 隔離や初期対応の重要性を痛感させられます。でも、映画はノーマスク。

Q6. 続編やリメイクはありますか?

A6. 現時点ではリメイクの話はありません。




『カサンドラクロス』レンタル・配信先は?

レンタル、配信は2025年6月現在されていないようです。

DVDはアマゾン等で購入できます。

https://amzn.to/4n3Fduh

 

 







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