『時々、私は考える』ネタバレ感想あらすじ・評価〜絵画のような空気感がステキ

ヒューマン・ハートフル

『時々、私は考える』ネタバレ感想・評価星四つ🌟🌟🌟🌟

こんにちは!映画好き絵描きのタクです。今回取り上げる映画は『時々、私は考える』。レイチェル・ランバート監督の2023年公開アメリカ映画です。

閑散とした港町を舞台に、ひとりの女性の出会い、日常をノスタルジックかつ愛おしいカメラで表現した、大人のためのファンタスティックな中編映画です。原題:Sometimes I Think About Dying)

オレゴン州アストリアの港町を舞台に、主人公フランの心の成長と人間関係の温かさを描いた物語をレビューします。




解説〜『時々、私は考える』はどんな映画?

 

フランは空想癖がある女性で、小さな港町の会社で働いています。そのフランを演じるのはデイジー・リドリー。

繊細な深い演技力で、フランの内面の変化を表現しています。

また、人付き合いが苦手な彼女が、恋や仕事仲間との交流を通じて少しずつ自分を開いていく過程は、誰でもが持っている心の内の影の部分に寄り添うものだと思います。

監督のレイチェル・ランバートは、「注目の女性監督28人」にも選ばれている若手実力派です。

絵画的な構図と繊細なカメラで、登場人物たちの微妙な感情を寂れた港町の風景に重ね合わせています。

まるで、港の空気がスクリーンから匂ってくるようです。

人間ドラマとも恋愛映画とも言えない、そんな微妙なところを突いてきた映画です。


『時々、私は考える』あらすじは?

以下、公式サイトより抜粋改稿します。

人付き合いが苦手で不器用なフランは、会社と自宅を往復するだけの静かで平凡な日々を送っている。

友達も恋人もおらず、唯一の楽しみといえば空想にふけること。それもちょっと変わった幻想的な“死”の空想だ。

そんな彼女の生活は、会社に新しくやってきた新同僚ロバートとのささやかな交流をきっかけに、ゆっくりときらめき始める。

デートを重ねる二人だが、フランの心の扉に掛かった鍵は外れないままだ。

やがて、そんなフランの態度にロバートは強く意見する…。

というあらすじです。


『時々、私は考える』感想です

ぼく、実は、セリフがはじまるまで、その色彩トーンにてっきりフランス映画とばかり思い込んでいました。

主人公の名前が「フラン」というのも、思い込みに関係していたかもしれません。

とにかく、映画が始まって、主人公フランが会社に着き、英語のセリフがはじまるまで、「フランス映画の色って、なんでこうもキレイなんだろう」って思っていたんです。ああ、お恥ずかしい。れっきとしたアメリカ映画なのにね。

でも、そう感違いして見ていたということは、逆にこの映画の本質をついているようにも思えます。

フランス映画にはフランス映画独特の色があると思っています。どんな色?と言われても困るんですが、ぼくの中では「フランスの色」って、レッキとしてある。冒頭から感じたのは、まさにその色だったのです。

撮影監督は、映像表現に一家言持ってるカメラマンだろな、と、思ってましたが、やはりそうでした。かなりなこだわりをお持ちのカメラマンのようです。

フランス的かどうかはさておいて、といいますか、ぼくの映像に対する勝手なイメージが気持ちよく羽ばたいていたのは確かです。

だって、「たまらないなあ…絵だけでも見ていたい…」って思ったほどですから…。構図や空気感にひたるっていう映画の見方があってもぼくは良いとおもいます。

ここから肝心のストーリーへの感想です。

『時々、私は考える』は、空想癖のある人付き合いの苦手な女性が主人公です。

空想癖があるっていうと、赤毛のアン的なイメージを持たれるかもしれませんが、いえいえ、そんな可愛らしい逞しいイメージではありません。その想像とは「自分が死んでいる」姿のリアル空想です。

仕事をしている最中、ぼーっと夢想にひたるフラン。あるいは食事をしている途中にふとイメージの世界に迷い込んでしまうフランの、脳裏に浮かんでいる絵は、森の中に横たわっている自分や、浜辺で横臥している自分です。そしてそれらは全て「死体」としての自分なんです。

ドキッとしますよ。

でもね、美しい「死」なんです。

それを捉える映像もまたアーティスティック、まるで一枚の絵画作品のようです。

人の想像力って、無限だと言われますけど、自分の「死」を想像するって、あまりないのでは?と思います。少なくとも、ぼくはなかった。だからなおさら美しいと感じたし、ドキッとしたんだと思います。

この美しさは不思議です。退廃的でもなければ、残酷性もない。まるで自然の中に倒れた木が朽ちてゆくような、そんな自然さです。

死の夢想にあそぶことだけが楽しみのフランが、会社という中での生きていく様は、観てあるこちらがドキドキするほどリアルです。

それはなぜでしょう?

それはもしかすると自分の中にも「フラン」がいるから、なのかもしれません。

恋が進みそうな中でもフランは「自分らしく」あるがままにしか自分を表現することができません。しかし、それでいいし、ぼくを含めて、この映画『時々、私は考える』を「観よう」と思った方ならば、納得するのではないでしょうか?


この映画はたぶん人を選びます。

星占いで「時代は風の時代に入った」とよく言われますよね。(結構ぼくは好きなんです。星占い)

この映画はそういう時代に合っている人なら大丈夫どころか受け入れウェルカムな映画だと思いますが、逆に「いつもイケイケ、答えはひとつだ!」という熱血タイプの方には、ピンとこない映画だろうなあ、とも思います。

あっ、でも、フランは決して「謎めいた女性」では無いですよ!ごくごく普通の、ぼくらの隣にもいる、そんな素直で愚直で生き方がヘタなだけのステキなキャラクターです。


『時々、私は考える』ぼくの評価は?

映画は結末ラストまで静かに進みます。でもね、でも、その静けさがとーっても優しくて、いいんです。そして静けさが雄弁な映画でもあります。

結末がふわっとした、答えがあるようで無い大人のファンタジー…

というか、結末は、巻末の先にあって、ページ閉じてもさらに深みが横たわっている、、、

そんな短編小説のような映画でした。

ぼくの評価は星四つ🌟🌟🌟🌟です。

またあの港町を訪ねたくなりました。

いい空気感とステキな余韻をありがとうございました。


『時々、私は考える』スタッフ・キャスト

スタッフ

<監督>レイチェル・ランバート

<撮影>ダスティン・レーン

<音楽>ダブニー・モリス

キャスト

<フラン>デイジー・リドリー

<ロバート>デイヴ・メルヘジ

<ギャレット>パーヴェシュ・チーナ

<キャロル>マルシア・デボニス

<イゾベル>ミーガン・ステルター

<ソフィー>ブリタニー・オグレイディ

『時々、私は考える』配信は?

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