ブレーキダウン|ネタバレあらすじ〜感想・評価|失踪した妻を探せ!ミッシングスリラー映画の佳作

スリラー・SF・アクション

『ブレーキダウン』、1997年製作のアメリカ映画です。キャストはカートラッセル×J・T・ウォルシュ。カートラッセルと妻がアメリカ大陸の田舎道でエンスト。突然の妻の失踪。その影にちらつく怪しい男たち。妻を探し救うため、単身戦いを挑む「ごく普通の男」を描いたドライビングスリラーです。

クルマのスリラーといえば『激突』が有名です。正直、『ブレーキダウン』はなんとなーく、スピルバーグの『激突』的ムービーかな??と思ってみた映画でした。

ところが、なかなか。

主演がお気に入りのカート・ラッセル、共演がクセモノ眼力すごいJ・T・ウォルシュ。これ、一見の価値ありかも、と、観た『ブレーキダウン』のレビューです。




砂漠の中で妻が消えた…『ブレーキダウン』解説

『ブレーキダウン』のポスターのキャッチは『はじまりはなんでもないクルマのトラブルだった』という、コピーです。なかなかナイスなキャッチコピーですが、その脇に添えられてるサブコピーが、それ以上に怖い。

「あなたの後ろを走っているドライバーが常人とは限らない」…です。

令和の今、そんなドライバーが多くないですか??昨今問題になっている「アオリ運転」まんまじゃないですか。怖いコピーです。

1997年と随分前の映画ですが、今にも十分通じる作品だと思います。

主演はカート・ラッセル。奥さん役をキャサリン・クインラン。謎のトラックドライバー役をクセモノ眼力すごいJ・T・ウォルシュが演じています。

田舎独特の「ヨソモノ排除」の空気感が絶品。映画のカナメにもなっています。




『ブレーキダウン』予告編

 

『ブレーキダウン』あらすじは?

あらすじはWikipediaから転載(一部改稿)しますね。

カリフォルニア州サンディエゴへ引っ越すために長距離ドライブを楽しんでいたジェフリー・“ジェフ”・テイラー(カート・ラッセル)とその妻のエイミー(キャサリン・クィンラン)は、突然車が故障したため砂漠で立ち往生してしまう。

そこにトラックの運転手ウォーレン・“レッド”・バー(J・T・ウォルシュ)が現れ、エイミーは修理屋を呼ぶためにダイナー「ベルズ・ダイナー」まで乗せてもらう。

ジェフは車を見張るためにその場に残るのだが、いつまで経ってもエイミーは戻ってこない。

車の電気配線が抜けていた事に気がついたジェフは、配線を直しダイナーへと急ぐ。ところが妻はおらず、目撃者によると男達と一緒に別のトラックへ乗り、7号線を北に上がった川の方に向かったという。

ジェフはそのトラックが向かったという道路へ車を飛ばすが、何者かの襲撃を受ける。

…とこれが前半。後半はその何者かとジェフ単身の戦いになります。

ネタバレラスト知りたい方は、次の「感想」の後に書いていますので、そちらへどうぞ!



『ブレーキダウン』ネタバレ感想〜何が怖いか?

『ブレーキダウン』アメリカの田舎は広さが怖い

映画『ブレーキダウン』のオープニングはアメリカの広大な荒野でスタートします。

ぼくはアメリカに行ったことありませんけど、アメリカ映画を見るたびに、「荒野のスケール感、日本と違うよな、どこまでも同じ風景が続くんだろうな…」と思ってました。

舞台はそんな、荒漠な荒野。

「クルマが故障したら、どうするんだろう?ケータイなんて繋がらないとこもあるだろうな…」

そんなこと思って観はじめていると、主人公ジェフ(カートラッセル)と妻エミリー(キャサリン・クィンラン)夫婦の乗ったクルマは、砂漠のど真ん中で故障、止まってしまうわけです。

カートラッセルって、けっこうタフガイ印象ありますけど、今回はいたってヤサ男な設定。ビビるときはビビるその姿に感情移入してしまいます。

ホワイトカラーのそれなり小市民的な感じが「ポツンと感」を高めて、観る方も「ポツン」。いい感じでのめり込めました。




『ブレーキダウン』消え方が怖い

困った2人を助けようと申し出たトラック運転手(JTウォルシュ)に妻は最短ドライブインまで送ってもらうことにしたまま、消えます。

この消え方が、不気味です。

誰もが、「あんたの奥さん?そんな人しらんよ」といった感じ。

口裏合わせているのか、それとも本当に知らないのか?「疑心暗鬼」がムクムク起きてくる演出はなかなか効いてます。

『ブレーキダウン』ドライブインの客が怖い

アメリカの田舎に行くと、アジア人は「エイリアン=異邦人」の気分を味わうよとよく聞きます。

閉鎖的な意味を込めていっているのだと思いますが、妻を探して訪ねるドライブインのシーンは、ジェフはもとより、観ている観客も見事にエイリアン気分を味わうことになります。

「なんだ、こいつ、見ないやつだな」という視線、じわっと怖いです。




『ブレーキダウン』トラックドライバーが怖い

JTウォルシュ扮する大型トラックの運転手がいわゆる敵役になるわけですが、JTウォルシュは後半正体を表すまでのしらばっくれ方演技がすごい。そのガタイと大型トラックの存在感

と合わさって、大きな陰のような存在を出しています。怖さを目で表現する役者さんだなと思いました。

前半は親切そうな運ちゃんですが、後半、「オレのすることに文句あるか」とガラリ変わると、目が座ります。

結局、強盗チームのボスドライバーだったという設定ですが、家族にもその正体を知らさずにいるところが、実にありそうな設定です。

事件が終わった後に、犯人を「そんな人だとは知らなかった」って、今の日本でも良くあることですから。

広大な荒野も怖いですが、人間はそれ以上に怖いと、思ってしまいます。




『ブレーキダウン』真面目な男だって本気出せば怖い

物語の後半は、前半とガラッと変わります。

前半モードは、謎が謎呼ぶ嫌な汗滲み出るミステリーですが、

後半モードは、逃げろ!やらなければやられちまう!手に汗握る活劇モードに変わります。

この違いが良かったのかどうか、分かれるところでしょう。

カート・ラッセルが、愛妻家のホワイトカラーを巧みに演じています。

主人公がスーパーマンではなく、あくまで普通の人。そして極限に追い詰められたとき、精一杯のハラハラファイトを見せるというシチュエーションがとっても納得できて、ストーリーチェンジの良し悪しは「ヨシ」として楽しんでいました。




『ブレーキダウン』クライマックス・ネタバレラストは?

クライマックスはゴツいカーチェイスとなります。主人公が助け出した「奥さん」が、見せる「女はつよし」ラストシーンもナイスでした。(レビューとは関係ないけど、実はぼくは奥さま役のキャサリン・クィンランがタイプでもあるどうでもいいか)

完全ネタバレになりますが、このラストシーンは「橋」が舞台となります。

橋の真ん中で、追うJ・T・ウォルシュのトラックとカート・ラッセル、キャサリン・クィンランのクルマが宙吊り、あわや、、、と、「橋から落ちるか落ちないか?」というネタは使い古された感はあるのですが、やっぱり高いところから落っこちそうというシチュエーションはめちゃくちゃ手に汗握ります。

『ブレーキダウン』は、結局、『激突!』とはぜーんぜん違うタイプのミステリアクションでした。

前半後半のトーンが変わってしまうところは、ちょぴっとだけ残念でしたが、最後まで楽しめました。




『ブレーキダウン』キャストの魅力

主人公ジェフリー・“ジェフ”・テイラー=カート・ラッセル

ぼくがはじめてカート・ラッセルの出演映画を観たのは『ユーズド・カー』でした。1980年代のスラップスティックムービーです。

あまり強い印象は残りませんでしたが、その次の作品がジョン・カーペンター監督の『ニューヨーク1997』。これが強烈でした。続く出演作『遊星からの物体X』も、どハマりでした。

以後、『バックドラフト』『ポセイドン』などなど。出てくると、ぼくはニヤッとしてしまう俳優です。好きです。

ウォーレン・“レッド”・バー=J・T・ウォルシュ

この映画の悪役を演じたのはJ・T・ウォルシュ。彼は『バックドラフト』でカートラッセルとは共演していました。『バックドラフト』では、これまたバリバリクセのある役を演じていましたので、撮影現場でこの2人は「また、敵役だなあ」なんてジョークたらたら和気あいあいだったのでは?

くせものウォルシュ、好きです。

エイミー・テイラー(ジェフの妻)=キャスリーン・クインラン

キャスリーン・クインランの女優デビューは『アメリカングラフィティ』からとキャリア長いです。(ちなみに『アメリカングラフィティ』の監督は『スターウォーズ』のジョージ・ルーカス。ハリソンフォードも出てる。)

『アポロ13』にも出演しているとのこと。でも見ていたはずなんですが、記憶にない…。ですが、ぼくは『ブレーキダウン』の奥さん役で、はじめてツボりました。美人さんだけど、雰囲気美人、っていうんですかね、フツーにそのへんにいそうな感じ(いないけど)の雰囲気にホレました。

奥さん、好きです(笑)




『ブレーキダウン』ぼくの評価は?

決して派手ではないけど、良くできたドライビングスリラームービーだと思います。

この映画の持つ怖さって「田舎町アルアル感」だと思います。

「ちょっとタガが外れたことしてしまったけど、ま、黙ってようぜそれで丸くおさまるならな….」

そんな「田舎コミュニティ気質」って、ありますよね。いや、別に田舎じゃなくたって何人か集まってグループになれば、何かがきっかけでズルズル歯止めが効かなくなる怖さってあると思います。

「少ーしずつ少ーしずつブレーキが効かなくなってしまう怖さ」。

映画ではそれがうまく出ていました。

『ブレーキダウン』というタイトルはそんな意味をも滲ませた傑作タイトルだと思います。

ぼくの評価は星三つ半♩さらに奥さんキャスリーン・クインランに惚れた!ってことで、星半分乗せちゃいます。星、四つ!



 

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