『グラディエーター 』あらすじ感想評価配信先・キャスト・続編情報まで|事実ベースの歴史フィクション

戦争・歴史・時代

ハリウッドでは、「古代ギリシャローマ時代」をテーマに、多くの映画が作られていた時代がありました。

『ベンハー』『クレオパトラ』『十戒』『アントニーとクレオパトラ』なんてその代表格です。

ハリウッドマネーを湯水のように注ぎ込み、巨大セットを組み上げエキストラ大動員で撮った鳴物入りムービーでした。

しかしその後、そんな史劇スペクタクル映画の流れは細り、もはや過去の遺物となりかけていたところに…紀元2000年のミレニアム、巨匠リドリー・スコット監督がやらかしてくれました。

世に送り出した映画が『グラディエーター』です。(日本公開2001年)

当時最新のVFXを使い、ローマの都や、今も遺跡が観光名所となっている「円形闘技場コロッセオ」を再現したことが話題となりました。

あらためてそんな『グラディエーター』をレビューします。

『グラディエーター』予告編

『グラディエーター』配信は?

2023年6月現在情報ですが、配信は以下です。

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『グラディエーター』あらすじ

舞台は紀元前の古代ローマ帝国。ローマ軍は組織的な軍隊を作り上げ、周辺のゲルマン民族をはじめ、辺境を屈服させ勢力地図を拡大していた。

主人公アエリウス・マキシマス(ラッセル・クロウ)はそんな最前線舞台を率いる歴戦の将軍だ。部下からも絶大なる信頼を得ている。

対ゲルマンの戦いに勝利した戦場に、ローマ皇帝マルクス・アウレリウス(リチャード・ハリス)が、息子コモドゥス(ホアキン・フェニックス)を引き連れ前線視察に訪れる。

皇帝が将軍に全幅の信頼をおき、次期皇帝の座まで譲ろうとする。しかし断る将軍。

息子コモドゥスは嫉妬し、将軍に反逆罪の濡れ衣を着せ、捕え、亡き者にしようと企む。刀傷を負いながらもからくも逃げ延びるマキシマス。

彼の目指す地は、遥か。妻と息子の住む我が家だ。

しかし追っ手が先んじ、家にたどり着いたマキシマスの前には妻と息子が吊るされていた。

深傷を負っている彼はその惨状に力尽き、気を失ってしまう。

気がつくと、馬車に横たえられどこかに連れ去られるマキシマス。その馬車は、ローマ帝国の悪名高きエンターティメント『剣闘=グラディエート』の剣闘士を奴隷として集めている興業主プロキシモ(オリバー・リード)の奴隷移送馬車だった。

傷が癒え、奴隷として剣闘士となったマキシマス。元々、戦場で戦ってきた百戦錬磨だ。剣闘士として腕をあげ、観客の市民から人気を博す。

しかし、そんな彼はある一つの目的を隠していた。自分をおとしめ、妻と息子を死に追いやった、コモドゥスへの復讐だ。

皇帝マルクス・アウレリウスを死に追いやり、反対する元老院を政争巧みにかわし跡を継ぎ、皇帝の座に座っていたのだ。

機は満ち、場は皇帝が謁見する円形闘技場コロッセオ。

剣闘ショーのシナリオは、カルタゴのハンニバル将軍とローマ軍の戦いだ。

しかし、剣闘士マキシマスはシナリオを無視し、勝利する。マキシマスが生きていたことを知り愕然とする皇帝コモドゥス。

そして物語はクライマックスへ。

マキシマスのコモドゥスへの命と名誉をかけた闘いが始まる。

『グラディエーター』感想です

実写とCGのコンビネーションが素晴らしい

冒頭で「CGでローマを再現した」と書きました。

公開当時、CGというと、SF映画が独壇場でした。

SF映画は「誰もみたことがない世界」ですから、ある意味、なんとでもなるよなあ、とぼくは思って見てました。

しかし、『グラディエーター』でCGが作り出したのは、SFのような架空世界ではなく、「かつて実在した、そして今は遺跡だけが残っているローマの街並み」です。

知らない世界を作り上げるのではなく、あったに違いない世界を「再現」するという点で、SFコンピュータグラフィックスワールドとは全く違っていました。

ローマには、今もコロッセオが、遺跡としてですが、町のど真ん中に存在しています。

実際に旅した人はコロッセオの重量感を知っていますし、実物見たことなくとも、誰もが写真で見て知っている建造物です。

コンピューターで作り上げる対象が、未来ではなく、過去だったのです。

古代地中海世界を学生時代に一応学び、憧れを持っていたぼくです。劇場で、俯瞰でCGコロッセオやフォロロマーナの登場シーンには、心底ドギモを抜かれました。

リドリー・スコットの「光と影のこだわり」が活きています

ローマのフォロロマーナを再現したCGの素晴らしさの源は、「光と影の再現」にあったと思います。

実は監督のリドリー・スコットは、もともと画家の勉強をしていたといいます。

画家の仕事は、3次元にあるものを2次元=紙やキャンパスの平面に置き換えることです。

リドリー・スコットの映画の特徴は、光と影にとことんこだわって作り上げている映像にもあります。

古代ローマが見事にスクリーンにCGで蘇ったのは、リドリー・スコット監督が画家として光と影を学んできたからのように思えます。

古代ローマ時代の戦闘シーンの迫力がすごい!

冒頭5分、ローマ軍とガリアの地の先住部族との戦闘で映画は始まります。

そのシーンは、ぼくの観てきた映画の中でも、指折りグレートなトップシーンです。

両軍のぶつかり合いをカメラが追い、観客を古代のガリア戦場真っ只中に叩き込みます。

かつて、黒澤明監督が『乱』で、昔の軍隊のぶつかり合いを独特の視点で表現しました。

弓矢の飛び方から大軍の登場させ方まで、それまでの映画と違っていて驚きました。

リドリー・スコット監督は、もしかして『乱』にインスパイアされたのではないかしら?とも感じました。

古代剣闘士の世界が今に蘇ります

その存在が歴史的事実であっても、誰も見たことがない、「剣闘士:グラディエーターの裏側」をしっかりと見せてくれます。

たぶんにフィクションも織り交ぜられているはずですが、光と影の演出がビシバシ効いて、まるで剣闘士たちの汗の匂いまでしてくるかのようなリアリティです。

中でもぼくが好きなシーンは、カルタゴ戦をフィーチャーした剣闘ショーのシーン。

バラバラで闘おうとする剣闘士たちに、マキシマスは「円形布陣を取るぞ」と、集団戦を指示するセリフを言います。

その時、マキシマスの背に位置する男(剣闘士マスクのため顔は見えない)がこういいます。

「わかりました。私はかつて将軍の部下でした」

これ、なんと言いますか、鳥肌なのですよ、半泣きになるのですよ、好きなのですよ、こういう「プロフェッショナルが発するセリフ」って。

このあと続くカットは、ザザっ!と、「亀甲の如く円形布陣をとる剣闘士たち」。何とカッコいいことよ、です。

バラけていた剣闘士たちを、あっという間にひとつにまとめてしまうマキシマスのカリスマ的魅力をも暗示させるわけです。

話戻すと、剣闘士奴隷の中には「元ローマ兵」がいたとしても不思議ではないんですよね。元々兵士は戦いのプロだし剣は立つ。

このシーンではそんな奴隷の出自を明かすことで、剣闘士がチームとしてまとまれば、非常にスキルが高い小隊となることを一瞬で観客に印象づけています。「うまいなあ」と思いました。

とにかくこの映画、ラストまで全く飽きませんでした。登場人物の性格描写もきちんとなされて、中だるみがないです。

ぼくにとってこの映画は、何度繰り返し見ても一気にラストまで楽しめる映画です。

事実なの?フィクションなの?

史劇スペクタクル映画って、「事実なの?フィクションなの?」と、誰でも思いますよね。

ちょっと調べてみました。

マルクス・アウレリウスはもちろん実在の皇帝です。賢帝として名を残しています。

息子にコモドゥスがいたことも、事実。コモドゥスが剣闘士として闘ったことも歴史の記録に残っているようです。また、コモドゥスは遊びに耽って、愚帝のレッテルを貼られていたようで、この辺りも映画は史実を踏んでいます。歴史上も最後は殺害されています。

一方、主人公のマキシマス将軍は架空の人物だ、と映画パンフレットには書かれています。

監督自身、このように語ったそうです。

「一番重要なのは、あの時代の精神に忠実であることだけで、事実に固執する必要はないと感じた。わたしたちが作っているのはフィクションで、考古学を研究しているわけではないんだからね」(映画パンフレットから転載)

皇帝コモドゥス役=ホアキンフェニックスがすごい!

映画は主役はもちろんのこと、脇役、敵役が大事ですよね。

『グラディエーター』の主役マキシマスの敵役は皇帝コモドゥスです。

この皇帝のヤバさ、憎々しさの演技が素晴らしいです。主役の存在感は皇帝コモドゥスあってのもの、、、とまで言いたくなります。

演じているのは、ホアキン・フェニックスです。

のちに『ジョーカー』や『カモンカモン』『ナポレオン』といった作品で実力をさらにパワーアップしています。

あ、、、敵役ばかり書いてしましましたが、主役マキシマスを演じたラッセル・クロウの良さは、いうまでもありません。

『グラディエーター』監督リドリー・スコットのこと

どんな有名監督でも「全作品良いか?」と言われたら、そんなことありません。

失敗作もあれば、ああ、プロデューサーと戦ってこうなっちゃったかとウラが見えてしまう映画もあります。

リドリー・スコット、ぼくは好きな監督ですが、中にはあれれ?となった映画もあります。『ブラックレイン』や『ワールド・オブ・ライズ』はぼくは正直、あれれ?でした。(ブラックレインの役者はよかったです。特に松田優作はゾクっとするほど凄かった)

そんな数あるリドリー・スコット作品の中で、この『グラディエーター』はベストムービーです。(まあ、ぼく自身、古代ローマ史専攻だったということで、ひいき目だな)

ベスト2は『エイリアン』。以下、ベスト3『ブレードランナー』と続きます。

これからまだまだ作品を観たい監督さんです。

(ちなみに『トップガン』や『クリムゾンタイド』の監督トニー・スコットは、リドリー・スコットの弟さんです。残念ながら亡くなったのが惜しまれます)

『グラディエーター』ぼくの評価です

ぼくの評価です。久々の歴史スペクタクルだし、当時新しいことにバリバリチャレンジしてますし、ラッセル・クロウはハマり役だし、悪役ホアキン・フェニックスも憎さ最強、史学科出のぼくを冒頭からラストまで古代ローマ時代にあっという間に送り込んでくれたということで、満点です。「ムービーダイアリーズ」映画の殿堂入り♩決定で

『グラディエーター』スタッフ・キャスト

監督:リドリー・スコット 脚本:デビッド・フランゾーニ ジョン・ローガン ウィリアム・ニコルソン 撮影:ジョン・マシソン 編集:ピエトロ・スカリア 音楽:ハンス・ジマー リサ・ジェラード

キャスト:ラッセル・クロウ ホアキン・フェニックス リチャード・ハリス オリバー・リード コニー・ニールセン デレク・ジャコビ ジャイモン・ハンスゥ

『グラディエーター』続編情報です

2024年公開に向けて、『グラディエーター』続編が制作進行中との情報が入りました。映画.comさんより情報を転載します。楽しみですね!

米パラマウント・ピクチャーズが、リドリー・スコット監督による傑作歴史スペクタクル「グラディエーター」(2000)の続編「グラディエーター2(原題)」を、2024年11月22日に全米公開すると発表した。続編は、「Aftersun(原題)」で第95回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされている注目のアイルランド俳優ポール・メスカルが主演交渉を進めている。

「グラディエーター2(原題)」は、ルシラ(コニー・ニールセン)の息子で、ホアキン・フェニックスが演じた王子コモドゥスの甥にあたるリキウス・ウェルスを主人公に、前作から幾年もの歳月が過ぎ、立派な大人へと成長したリキウス(メスカル)による新たな冒険と葛藤が描かれる模様で、「ゲティ家の身代金」でスコット監督とタッグを組んだデビッド・スカルパが脚本を執筆。スコット監督がメガホンをとるほか、前作で衣装と美術をそれぞれ担当したジャンティ・イェーツアーサー・マックスが続投する。

以上映画.comより転載



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