『男たちの戦場』映画 実話ベースのあらすじ、感想レビュー。スタッフキャストまで

スリラー・SF・アクション

史実にのっとった映画です。実話というよりも、戦争映画の名作『プライベートライアン』(監督・スティーブン・スピルバーグのように、実際にあったエピソードをベースに脚色した映画ではないかと思います。舞台は第二次世界大戦のニューギニア戦線。オーストラリア民兵部隊と日本軍の戦いをオーストラリア側から捉えた戦争映画です。

日本劇場未公開映画ですが、オーストラリアの戦争映画は、いまいち日本ではマイナーです。ニューギニア戦線を描いた映画はそうありません。なので、あえて中古のDVDを購入、観てみました。

太平洋戦争のニューギニア戦線は地政学的にオーストラリアの目と鼻の先でした。オーストラリアは日本軍の南方進出をどう捉えていたのか?そんなクエスチョンにも、映画レビューで答えてみたいと思います。

『男たちの戦場』あらすじは?

以下、Wikipediaから転載、割愛、再構成しました。

オーストラリア民兵第39大隊はニューギニアの奥地に駐留している。大隊は国防軍が到着するまで日本軍の進撃を阻止できる唯一の部隊だ。主人公ジャックの所属する小隊は、前線哨戒中だったところを、日本兵の奇襲を受ける。指揮官の中尉は戦死。部隊はバラバラになり後退する。密林の中を彷徨う生き残りの小隊兵士たち。

敵は日本兵だけではない。赤痢マラリアがじわじわと彼らを苦しめる。しかし主人公たち6人は、絶望的な前線イスラバへ向かうことを決意する。

しかし、相次ぐ日本兵の襲撃で、兵士たちは一人また一人と脱落。泥まみれになりながら、救護所があるイスラバベースに辿り着桁のは、主人公とわずか2人。

誰もが傷つき、戦える状況にはない、そんな救護所に、無情にも日本軍迎撃のため出兵せよとの伝令が入る。

イスラバのとばりが下りた。日本兵の攻撃に打って出る。わずかな武器で迎えうつボロボロのオーストラリアの兵士たち。激戦が始まる。

日本軍は補給路が伸び切り、夜半、攻撃を断念。小隊でその戦いを生き伸びたのは、主人公ともう一人のみ。

オーストラリア軍はブリゲイド・ヒルに陣取るためイスラバから撤退。撤退中の負傷兵の隊列をうつし、映画は終わる。

『男たちの戦場』感想レビュー

ジャングル戦は絶対いやだ

『男たちの戦場』の最大の見せ場は、なんといっても延々続くジャングルの不快感です。

戦場って、きたない。不快だってことは、なんとなくわかっているつもりですが、リアルな戦争を知らないぼくらにとっては、あくまで想像の世界なわけです。

この映画は、ロケして撮影したツクリモノではあるけれど、とことんその不快な湿気と汚さを観客に伝えようとしています。

結果、大成功。

冒頭が、泥まみれの双眼鏡や装備品のどアップではじまりますが、そのカットからすでに、「ああ、こんなとこにはいたくないよ」って思ってしまいます。

泥まみれ、汗まみれ、血まみれ、ざわッとする虫まみれそのジャングル戦の事実をいやがおうにも突きつけられる映画です。それも延々。

オーストラリアの人たちにとって、原題にもなっている「コゴタ」の戦いは忘れられない記憶なのだと思います。攻める側の日本軍兵士ももちろん不快だったことは間違い無いですし、南方に派遣された日本軍兵士の記録本なんかを読んでいても、敵は兵士だけではなく、ジャングルの持つ気温と湿度の不快さだったことがわかります。

かつてオーストラリア内だった今も存命のお爺さん、翻って日本兵だったお爺さんたちが、敵味方関係なく、あのジャングルの澱んだ湿気を実際に体験していたこと。

不快指数100%の戦争映画です。

戦った主人公たちは民兵=民間人

『男たちの戦場』で、ニューギニアの戦場で戦っていたオーストラリア人は正規軍=オーストリア国防軍だけではなかったというファクトもまたはじめて知りました。

ジャングルをさまよい、ライフルを手に戦う彼らは陣地づくりのために入った民間人です。

軽い軍装はつけているけど、軍人のようにトレーニングされた兵士ではありません。

しかし、銃を撃ち合う。階級などありませんから、もちろん上官も兵卒もない。ということは指揮系統もあいまい。

そんな中で戦う非合理。

「おまえは指揮官じゃないだろ?」と仲間をとがめて言うセリフあります。

なんでそんな民間人が必死こいて戦うんだ?とも思いましたが、舞台となるジャングルはニューギニアのポートモレスビーへ通じるルートです。

日本軍にポートモレスビーを陥されると、目の前は海峡挟んでオーストラリア大陸。(オープニングでマップ表記されます)

彼らにとって、ニューギニアの戦いは、迫る日本軍からの祖国防衛戦であり、コゴタの前線は祖国最終防衛ラインでもあったのですね。地政学的に映画を俯瞰することで、オーストラリアでなぜこの映画が作られたのか?その意味がわかったように思えます。

泥まみれ、血まみれで、それでも戦わざるを得なかった理由は、その背に母国をみていたから、だったのでしょう。

『男たちの戦場』解説〜姿をほとんど見せない日本兵

『男たちの戦場』では、対峙する日本兵の姿をほとんど見せない演出がなされています。

制作予算の都合だったのかな?なんて邪推してしまうほど、全身をハッキリと見せるシーンがありません。

逆にそれが、日本兵を未知の怖い存在感のように印象づけています。

当時、第二次世界大戦では、最前線兵士にとって敵兵は、今のようにネット情報戦で敵国兵士の詳細がわかるものではなかった、と思います。

オーストラリア兵のみならず、アメリカ兵も、はじめて遭遇するアジア人の敵兵=日本兵は劇中表現のような、「なんだか訳わからん怖いやつら」として思われていたのではないのかなその感じを出したかったのかなと、これはあくまでぼくの推測です。

『男たちの戦場』解説〜弾倉の弾はすぐ尽きる

『男たちの戦場』で印象的なのが銃撃戦のシーンです。オーストラリア民兵が持つ武器は、リー・エンフィールドライフルとブレン軽機関銃の2つです。

何が印象的かというと、「撃つ」という行為の、その手間のかかるアナログさです。

『男たちの戦場』では、一発撃つと、ボルトを動かして、弾をこめ、狙って、撃つ。すぐさまボルトを動かして再び弾をこめる。狙う。撃つ。この繰り返しです。第二次世界大戦当時の、射撃の間が開いてしまう「リアル」。

バラララと連射できないライフルのみが武器の民兵たちの「戦場の恐怖」がうまく表現されています。

ブレン軽機も機関銃上部に弾倉をはめ込みますが、連射すると、すぐに弾が切れます。

「早く弾倉を!」と、射手が叫び、隣にいる射撃助手が弾倉をはめ込む。

昔の戦争映画では、よく無尽蔵に弾丸があるよう撃ちまくる映画が多い(というか、弾倉交換シーンがはしょられてそう見える)ですが、『男たちの戦場』では違いました。

リー・エンフィールドボルトアクションライフル(画像はwikipediaより転載)

ブレン軽機関銃(画像はwikipediaより転載)

『男たちの戦場』スタッフ・キャスト

『男たちの戦場』のスタッフ、キャストについてはfilmarks.comから転載しておきます。

監督 アリスター・グリアソン

脚本 アリスター・グリアソン ジョン・ロニー

キャスト

ジャック・フィンステラー

トラヴィス・マクマーン

サイモン・ストーン

ルーク・フォード

トム・バッジ

スティーヴ・ル・マルカンド

『男たちの戦場』配信、レンタルなど

配信はありません。レンタル落ちDVDを求めるしか手はなさそう。

『男たちの戦場』レンタルDVDジャケットに絶句

と、ここまで『男たちの戦場』についてあれこれ書いてきましたが、最後にひとつ、苦言を。

それは、日本版レンタルDVDジャケットデザインがあまりにも酷いということ。ありえないビジュアルに、絶句でした。

どんなジャケットだったのか、、、そのことは別記事で書きましたので、そちらをご覧ください。

https://www.movie-diaries.com/jacket-review_otokotachinosenjyo-611



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