『ジョーカー』映画の考察解説レビュー〜あらすじから評価まで|『ジョーカー2』予告付き

スリラー・SF・アクション

ぼくはバットマンシリーズを、まだみた事がありません。映画『ジョーカー』は、そのバットマンの敵役の誕生を描いた物語ですが、観ようと思ったきっかけは、最近再見した『タクシードライバー』にありました。

久々に観た『タクシードライバー』に衝撃を受けてネットの評価レビューをいくつか除いていると、その中に『ジョーカー』との類似性が語られている記事がありました。

1976年に公開された『タクシードライバー』から半世紀あまりのちに制作された『ジョーカー』。この二つを間をおかずに観ることで、何か社会の歪みのようなものが浮かび上がってくるのではないか?と、思ったのです。

前知識なく観た『ジョーカー』です。それは悲しくなるほど切なく恐ろしい「スマイル」の誕生を描いた映画でした。主役のホアキン・フェニックスの演技は、超絶に圧倒的。

この記事は、ぼくのココロの目で観た『ジョーカー』考察・解説・評価レビューです。(2019年公開アメリカ映画)




『ジョーカー』予告編

ワーナーブラザーズ公式予告編です。







『ジョーカー』はバットマンシリーズから順番に観なきゃダメなの??

ネット上で「バットマンシリーズを順番に見てからじゃないと『ジョーカー』は見ちゃいけないかな?」と言う心配モードの声が上がっていました。

他のバットマンシリーズを観ていないぼくが言うのもなんですが、バットマンの前知識なくとも、一本の映画としてぐいぐいと迫ってくる映画でした。

確かに舞台がバットマンの舞台「ゴッサムシティ」となっています。しかしその町の名前だって特段深い意味を持っているわけではなく、架空のまちと言う設定程度です。

「バットマン」の「バ」の字も出てきません。

オープニングからラストまで、「一人の男の物語」として描かれており、かろうじてラストが「他の物語に続くんだよ、、、」と匂わせて終わるところが、バットマンへの導入っぽいといえば導入かな、、、と言う程度です。

バットマン知らずとも疑問を持たずに最後まで観れますよ。




『ジョーカー』あらすじです

かいつまんでのシノプシスです

  1. アーサー・フレックはコメディアンになる夢を持ちながら、ピエロとして働いている。
  2. 社会の格差や自身の不幸に苦しみ、徐々に狂気に染まっていく。
  3. ある事件をきっかけに、ゴッサムシティの象徴である富裕層に対する反乱を扇動する。
  4. 混乱に乗じて、アーサーは自身のアイデンティティである「ジョーカー」へと変貌していく。

もうちょっと詳しいあらすじです

主人公アーサー・フレックは、母親との生活のためにピエロとして働きながら、コメディアンになる夢を追いかけていた。心根は優しく、人を傷つけることを知らない男だ。

しかし、彼は精神疾患を抱えており、周囲から理解を得られずに孤独を感じていた。

その精神疾患は、自分の気持ちとは裏腹に突然笑い出すという脳疾患だ。

ある日、アーサーは母親を介し、自分が富裕層ウェイン家によって捨て子だったことを知り、怒りを募らせていく。

ある日、アーサーはピエロの衣装を着たまま地下鉄に乗っているところを富裕層の3人の男に絡まれ、銃で射殺してしまう。

この出来事が、アーサーの鬱屈した気持ちに栄養を与えることになる。

「暴力の目覚め」だ。

その事件は、混迷したゴッサムシティの市民たちの富裕層への憎悪を刺激し、マスメディアはピエロを英雄視してゆく。

ある日、アーサーは自分の出自を精神病院で知ることになる。

それは母親自身が精神病患者で、母親から受けた虐待の事実だった。

その事実を知ったアーサーは、心の闇を解き放つ。

心の奥底に押し込められていた暴力の種が、ついに発芽する…




『ジョーカー』あらすじ〜結末ラストまでネタバレ閲覧注意

以下はネタバレですので、映画を見る方はスルーしてくださいね。

コメディアンになることが夢だったアーサー。

そんな彼に、アーサーが心酔していたTVコメディショーの司会者マーレイ・フランクリン(ロバート・で・ニーロ)から番組出演の声がかかる。

しかし、すでにアーサーの心は暴力に支配され、変貌していた。

番組生放送中にアーサーは自分の抑圧された思いを語り、司会者マーレイの頭を銃で撃ち抜く。

ゴッサムシティは、富裕層に対する反感を持った人々がピエロの仮面をアイコンとして被り、街は混乱の極みとなる。

その混乱に乗じて、アーサーは自身のアイコンである「ジョーカー」へと変貌していく。

ラストのシーンは、アーサーが収監された精神病棟だ。

白い壁の病棟の中をどこかへと歩き去るアーサー。

アーサーの逃亡を匂わせて映画は終わります。




『ジョーカー』考察〜誰の心にもある闇をあばいた佳作

『ジョーカー』の前半からぼくが受け取ったのは、社会から不要な存在として烙印を押されたアーサーの悲哀でした。

社会という「輪」は、適応できないものを弾き出すことでバランスをとっています。

町や村といった共同体もそうですし、行政組織、会社、学校やサークルであっても、表向きは綺麗ごとでカバーしています。

しかし、一枚皮を剥ぎ取ると、アーサーが体験している世界が姿を表すと、ぼくは感じています。

ぼく自身、フリーランスで生きてきたゆえに尚更その感が強いのかもしれません。常に「どこにも属することができない疎外感」がつきまとっていました。

映画『ジョーカー』でなぜ「アーサー」の存在が切なくなるほどに強く感じるのか?

それはアーサーを演じたホアキン・フェニックスの重量級の演技だから、と言うのは当然です。

しかし同時に「誰もが心のどこかにアーサーのような疎外感を抱えているから」のようにも思えました。

映画『ジョーカー』の描き出した、圧倒的に観るものに迫るモノはなんだったのか?

それは「誰もが持つ心の闇」をついたことだ、と、ぼくは感じています。




『ジョーカー』考察〜世に溢れるスマイルは本当にスマイルなのか?

『ジョーカー』という映画を読み解く「カギ」があります。

それは「スマイル」です。

「スマイル」を悪く言う人はまずいません。

他の動物にはないヒトがヒトたるゆえんの一つが、笑顔=スマイルを表現できることにあります。

しかし『ジョーカー』の主人公アーサーは、その悲しい心とは裏腹に笑ってしまうという障がいを持っています。

劇中、「Don’t forget SMILE」と書かれた看板のforgetをアーサーはマジックで真っ黒く塗りつぶし、光の向こうへ去るシーンがあります。

このシーンのアーサーの歩き方は心底「笑って」いました。

なんという皮肉でしょうか。

そして、なんと印象的なシーンなんだ…とぼくは感じました。

ちまたにあふれかえる「心のないスマイルは悲劇なんだ」というメッセージのようにもぼくは感じました。

考えすぎかもしれませんが…。




『ジョーカー』考察〜『タクシードライバー』への時を越えたラブコール

ゴッサムシティとニューヨークの世界観がオーバーラップ

ロバート・デ・ニーロ主演の『タクシードライバー』という映画があります。1976年公開のニューヨークを舞台にした、ベトナム戦争がえりの心を病んだ一人の男の物語です。(当サイトでもレビューしています=https://www.movie-diaries.com/taxidriver-2247)

『ジョーカー』の劇中には、そんな『タクシードライバー』へのリスペクトがそこかしこに垣間見えます。

舞台となっている荒れたゴッサムシティは、あたかも『タクシードライバー』で主人公が彷徨う混沌とした1970年代当時のニューヨークとオーバーラップしますし、主人公が心を病んでいると言う点でも似通っています。

一回めに見た時は、「ストーリーの柱と物語の背景が似ているな…デ・ニーロ出演は間違いなく『タクシードライバー』へのリスペクトでの声がけだよな…」と思たくらいでした。そう、『タクシードライバー』にはロバート・デ・ニーロが主役を張ってますし。

ところが2回繰り返して観た時に、よりはっきりと『タクシードライバー』への制作陣のリスペクトを感じました。

こめかみに人差し指のポーズが示すもの

例えば、アーサーが想いを寄せる女性がいますが、彼女と初めて出会うシーン。

そこで彼女は「指をこめかみに当てて引き金を引く」ポーズをします。

このポーズは彼女だけではなくアーサーも映画の中で何度か繰りかえします。

そのポーズはなんなのか?

答えは、『タクシードライバー』のクライマックスで、ロバート・デ・ニーロ扮する主人公が血まみれの指を自らのこめかみにあて、「プシュ」と呟く名シーンです。

では、2本の作品に共通するこのシーンは、何を意味しているのでしょうか?

それは「過去の自分への強引な訣別」を暗喩しているようにぼくには思えます。

誰もが「過去の自分と別れたい、過去を忘却し新しい自分になりたい…」という願望を持っています。

こめかみを撃ち抜くポーズはそんな主人公の声を暗喩しているようにぼくには思えました。

2本の映画の共通性はそれのみにとどまりません。




主人公とテレビの関係

『タクシードライバー』の主人公が社会とつながる一つのツールに「テレビ」があります。ロバート・デ・ニーロ扮する主人公が裸でテレビに向かいなんとも言えぬ表情をみせ、テレビを壊すシーンは『タクシードライバー』の名シーンの一つです。

『ジョーカー』でもアーサー演じるホアキン・フェニックスは裸でテレビを見、その流れで心の闇をさらけ出す表情と演技を見せます。

『タクシードライバー』のロバート・デ・ニーロがアーサーを解き放つ

そして『タクシードライバー』で主役をはり、ベトナム帰還兵の心の闇を見せたロバート・デ・ニーロが、『ジョーカー』では、アーサーの心の闇を、ある意味解き放ってしまう役回りのコメディアンを演じます。

まるで、「悲劇は喜劇だ」と言わんばかりの配役です。

デ・ニーロは、『タクシードライバー』から半世紀たって、その点=悲劇は喜劇だ=ということを心底楽しんで演技しているように見えてなりませんでした。

以上、いくつか『タクシードライバー』と『ジョーカー』の類似点を挙げてみました。

ぼくは『ジョーカー』の制作陣は、『タクシードライバー』のいくつかのシーンを想起させることで、『タクシードライバー』から半世紀たった今も、世界はなんら変わっていないんだ、、、という危惧を観客に知らせたかったのではないかと思います。




『ジョーカー』ぼくの評価は星四つ半

『ジョーカー』は、『バットマンシリーズ』を想起させることなく、見事に一本の作品として完結していたことに拍手でした。

そして、人間の心のあやうさ、そして心に闇を抱えている人間の怖さ、さらにはその心の闇は、実は社会が作り出しているんだ….という強いメッセージが感じられました。

また、ホアキン・フェニックスの超絶的演技力に改めて敬意を表して、ぼくの評価は星4つ半です。

息の合った制作とキャストが生み出した傑作だと思います。

良い映画をありがとうございました。

 




『ジョーカー』スタッフ・キャスト

監督:トッド・フィリップス 脚本トッド・フィリップス&スコット・シルバー

キャスト:ホアキン・フェニックス/ロバート・デ・ニーロ/ザジー・ビーツ/フランセス・コンロイ 他

続編『ジョーカー2』予告編と2024年10月4日公開情報

『ジョーカー』の続編『ジョーカー2』(原題)「Joker: Folie à deux」が2024年10月4日に世界同時公開されるようです。

キャストはホアキン・フェニックスにレディー・ガガ。こちらも楽しみです。「Timeout」で『ジョーカー2』の情報が見られます。こちらです→https://www.timeout.jp/tokyo/ja/news/heres-everything-we-know-about-joker-2-so-far-021723




 

 

『ジョーカー』配信先は?

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