『プライベートライアン』あらすじネタバレ考察|実話?なぜ手が震える?登場人物紹介からアパム、ジャクソン、ライベンの存在意味まで徹底解説

戦争・歴史・時代

『プライベート・ライアン』レビュー
戦争映画の金字塔を徹底考察!評価:星五つ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

当ブログ記事にはネタバレが含まれます。気になる方はその点ご留意の上お読みください。


こんにちは!映画好き絵描きのタクです。

今回レビューする作品は、スティーブン・スピルバーグ監督の『プライベート・ライアン』です。(1998年公開・アメリカ映画)

映画の舞台は第二次世界大戦ヨーロッパ戦線。歴史の大転換となった1944年6月6日に決行された「ノルマンディ上陸作戦から数日間の兵士たちのリアル」を描いた戦争映画です。

ストーリーは、トムハンクス演じる小隊長ミラー大尉と部下たちがとる作戦行動です。

その作戦とは「戦場のどこかにとり残された一人の二等兵を見つけ出して救出せよ」という命令です。

ミラーの部下八人の兵士は、「なぜ一人の二等兵のために自分たちが命をかけなければならないのか?」と命令に疑問を持ちながら戦場をかいくぐります。

果たして二等兵を救出できるのか?

戦場のその先にあるものは……?。

実話かどうかも含めて、『プライベート・ライアン』のあらすじから考察、撮影秘話まで解説レビューします。

このレビューでわかること

・実話か?……実話ではありません。フィクションです
・原題『Saving Private Ryan』の意味は?……「ライアン二等兵救出」

・グロい?気まずい?家族おすすめ?……高校生以上推奨
・あらすじ……結末ラストまで、ネタバレありで掲載

・登場人物は?……役名・俳優名・キャラ設定まで簡単に紹介
・なぜミラー大尉の手が震えるのか?……“戦争神経症”PTSDの一種
・なぜアパムにイラつく?……アパムは我々自身の投影だから
・ジャクソンの存在意味……戦争の抱える矛盾の体現者

・ライベンの存在意味……戦争の真実を後世に伝えるメッセンジャー
・ぼくの評価……五つ星の殿堂入り=オススメです。
・撮影秘話……驚異の撮影日数からカメラの台数、裏話など

※ネタバレ多々です。映画を観ようと思っている方はくれぐれも自己責任でご覧ください。




  1. 解説〜『プライベートライアン』はどんな話?
    1. 舞台は?いつの作戦?
    2. グロい?気まずい映画か?
    3. 空虚なヒーロー像を抜き去った傑作
  2. 『プライベート・ライアン』は「実話」か?
    1. 映画のヒントとなった事実「ソール・サバイバー・ポリシー」
  3. 『プライベート・ライアン』のモデルは?
    1. モデルはナイランド兄弟の物語
    2. 映画との違い
    3. 『プライベート・ライアン』 vs. ナイランド兄弟の史実 ― 時系列比較表
    4. 比較ポイント
  4. 『プライベートライアン』の原題の意味は?
  5. 『プライベート・ライアン』あらすじ
    1. オマハビーチ
    2. ライアン二等兵救出命令
    3. 迫るドイツ軍
    4. 以下ネタバレ結末ラストまで〜閲覧注意!
  6. 『プライベート・ライアン』登場人物紹介
  7. 『プライベート・ライアン』〜理不尽でグロ、されど秀逸な戦場描写
  8. 『プライベート・ライアン』〜心の垢を掻き出すドラマ
  9. 考察・1〜ミラー大尉はなぜ手が震えるのか?
      1. 兵士たちの精神疾患〜NHK:『戦跡 薄れる記憶』 より
  10. 考察・2〜アパムになぜイラつく?
    1. ムカつく?イライラする?ネット嫌われ者アパム伍長
  11. 考察・3〜好評価多数、スナイパー・ジャクソン二等兵の存在意味
  12. 考察・4〜アパムと共に生き残るライベン一等兵について
  13. 考察・5〜内臓が….半身が…グロいけど、決して下品じゃない
  14. 考察・6〜下部からさす光のハレーションの謎
  15. 『プライベート・ライアン』への批判は?
  16. スピルバーグとD-Day
  17. 『プライベート・ライアン』ぼくの評価は?
    1. 点数は満点五つ星
    2. そしてぼくが繰り返し観る意味は?ミラー大尉・最後のセリフがその答え
  18. 『プライベート・ライアン』スタッフ・キャスト紹介
  19. 『プライベート・ライアン』配信先は?DVD情報
    1. 『プライベートライアン』[Blu-Ray]購入先
  20. 『プライベートライアン』撮影秘話
  21. 最後に〜画家のぼくのノルマンディへの思い

解説〜『プライベートライアン』はどんな話?

舞台は?いつの作戦?

まずは『プライベートライアン』がどんな話か?を簡単に書いておきます。

時代は1994年。舞台はフランス・ノルマンディ地方です。

第二次世界大戦のヨーロッパ戦線で、戦況を大きく分けた作戦がありました。それはノルマンディ上陸作戦=通称「D-Day」と呼ばれています1944年6月6日、連合軍がフランス・ノルマンディ地方のビーチに上陸用舟艇で急襲したのです。

『プライベートライアン』では、上陸から数日間にわたる、一小隊の戦いを描いています。

グロい?気まずい映画か?

『プライベートライアン』はオープニング上陸シーンから、リアルかつグロい戦場描写も多々映し出されます。

低年齢の子どもには、ほぼ無理でしょう。

現に我が家では、娘が小学生だった時に、ぼくが居間で『プライベートライアン』のテレビ放送を見ていた時に、娘が偶然冒頭の激しくもリアルなノルマンディ上陸シーンを目にしてしまい、マユをひそめて部屋に駆け上がりました。彼女は以後、戦争映画は一切見なくなりました、、、。(「あのシーンはトラウマになっている」と彼女は今も言っています)

そんな体験もありますので、小さな子どもがいるファミリー向けとは言えないと思います。(まあ、戦争映画は大概そうですが)高校生以上ならOK、中学生は親御さんも一緒に見るなら良いかと思います。

空虚なヒーロー像を抜き去った傑作

しかしそんな『プライベートライアン』の戦場描写のリアリティは、監督・スピルバーグの「戦争という魔物から空虚なヒーロー像を抜き去り、どこまでも残酷な最前線の現実を伝えよう…」という、映画人としてのプライドだと思います。

多分、「プライベートライアンは戦争映画の傑作」との評価に異議を唱える映画ファンは、あまりいないのではないかと思います。

配役はトム・ハンクスやマット・ディモン、トム・サイズモア、他。人気シリーズ『ワイルドスピード』の主役ヴィン・ディーゼルも一兵卒役で味ある脇役で出ています。

『プライベート・ライアン』は「実話」か?

『プライベートライアン』は、ノルマンディ上陸作戦という歴史的事実をベースに作られています。

その映像リアリティから「実話」のように思われがちです。しかし「実話」ではありません。

ですが、完全なフィクションか?というと、あながちそうとも言い切れません。

というのも、実際にあったと言われる、似たような「事実エピソードをヒントにして作られている」からです。

その事実とは、第二次世界大戦中の、次のようなエピソードです。

それは、アメリカの軍の法律に、アメリカ軍の兵役に就いた四人の兄弟のうち、三人が戦死。残った一人が強制的に帰国となったのです。(事実は確か、太平洋戦域とヨーロッパ戦域両方で戦死したのだと思いました)

映画を見ればわかりますが、まさにそのエピソードが映画の下敷きになっています。

そのエピソードを知ったスピルバーグ監督が、ストーリーを新たに練り、フィクションとして撮りあげたのが『プライベート・ライアン』なのです。

劇中、アメリカ軍の将軍がリンカーンの言葉を引用しながら、「ノルマンディで三人が戦死したことは見過ごせない。末っ子のライアン二等兵を何としても救出せよ」との命令を下します。

映画のヒントとなった事実「ソール・サバイバー・ポリシー」

その将軍はある制度に即してその命令を出しています。

その制度とは「ソール・サバイバー・ポリシー(Sole Survivor Policy)」です。

ソール・サバイバー・ポリシーとは、ある家族の兄弟姉妹が複数人軍務についている場合に、そのうち一人が戦死または行方不明になった時、残った兄弟姉妹を前線から外すなどして家系の存続を守る、、、という方針です。

『プライベート・ライアン』では、この政策を背景に「ライアン二等兵を生還させるために救出部隊を派遣する」という筋書きが作られているのです。

『プライベート・ライアン』のモデルは?

『プライベート・ライアン』のライアン二等兵には、はっきりとした史実上の1人のモデルがいるわけではなく、複数の実話を組み合わせた人物です。
特に有名なのは ナイランド兄弟(Niland brothers) のエピソードです。

モデルはナイランド兄弟の物語

  • フレデリック “フリッツ” ナイランド(Frederick “Fritz” Niland)…この人物がライアンのモデルに最も近いと言われています。

  • ナイランド家の4人の兄弟のうち、3人が第二次世界大戦で戦死または行方不明となります。

    • 長男エドワード:空軍、太平洋戦線で行方不明(後に捕虜となり生還)

    • 次男プレストン:ノルマンディー上陸作戦で戦死

    • 三男ロバート:同じくノルマンディーで戦死

    • 四男フレデリック:ヨーロッパ戦線に従軍中だったが、兄たちの死を受け、アメリカ本土に送還

  • この兄弟の悲劇が、ソール・サバイバー・ポリシー の象徴的な事例のひとつになりました。

映画との違い

  • 映画では救出部隊が命懸けでライアンを探します。しかし史実のフリッツ・ナイランドは、憲兵に付き添われ、後方に移送されました。映画ほどドラマチックな救出劇はなかったようです。

『プライベート・ライアン』 vs. ナイランド兄弟の史実 ― 時系列比較表

『プライベート・ライアン』と『ナイランド兄弟』を史実を時系列にそってまとめてみました。

筋書きが入っていますのでネタバレです。ご注意ください。

時期 映画『プライベート・ライアン』 ナイランド兄弟(史実)
1944年6月6日 ノルマンディー上陸作戦(D-Day)。ライアンの兄一人はオマハビーチで、2人が別の戦地で戦死・行方不明となる。 D-Dayにナイランド兄弟のうちプレストン(次男)とロバート(三男)が戦死。
6月上旬〜中旬 ワシントンの陸軍省が、ライアン家の悲報を把握。ソール・サバイバー・ポリシーに基づき、残されたジェームズ・フランシス・ライアン二等兵の救出を決定。 米陸軍がナイランド家の兄弟の戦死を確認。ソール・サバイバー・ポリシーに基づき、フレデリック(四男)を帰還させる方針を決定。
6月中旬〜下旬 トム・ハンクス演じるポール・ミラー大尉率いる小隊が、ライアンの居場所を求めて戦場を捜索。仲間を失いながら前進。 憲兵部隊が後方で従軍していたフレデリック・ナイランドを探し出す。戦闘中ではなく、比較的安全な場所で発見。
発見シーン ライアンは部隊を離れることを拒否。「仲間が戦っている間、自分だけ帰ることはできない」と主張。最終的にドイツ軍との激戦に参加。 フレデリック・ナイランドは命令に従い、部隊を離れ帰還の準備をする。戦場での引き止めや大規模戦闘はなかった。
クライマックス ライアン救出のための橋の戦い。ミラー大尉は重傷を負い、橋を守り切った直後に死亡。 戦闘はなし。フレデリック・ナイランドはヨーロッパからアメリカ本土へ無事帰還。
帰還後 ライアンは祖国へ帰り、数十年後のノルマンディー墓地への墓参りでミラーたち仲間の犠牲に感謝する姿が描かれる。 フレデリック・ナイランドは家族と再会。実は行方不明だった長男エドワードも捕虜生活から帰還し、生き延びていた。

比較ポイント

  1. ドラマチックさの差

    • 映画は戦場での命懸けの救出劇として描くが、史実ではよりスムーズに帰還。

  2. ライアンの戦場での葛藤

    • 映画ではライアンは「帰らない」とい命令拒否。ナイランドは命令に従い帰還。

  3. 家族の結末

    • 映画では兄たちは全員死亡。史実では長男が生還。兄弟2人が戦後に捕虜として存命がわかる。

『プライベートライアン』の原題の意味は?

『プライベート・ライアン』のタイトル原題は『Saving Private Ryan』です。「セービング・プライベート・ライアン」とは、どういう意味でしょうか?

「私的なライアン救助』とでも訳したくなりますが、それは、間違いです。

軍事用語でPrivateには「二等兵」という意味があります。

そう、正しくは『ライアン二等兵救出』が原題訳となります。「一人の兵士を救出する」という意味が表されていますね。

『プライベート・ライアン』あらすじ

※以下『プライベートライアン』のあらすじはネタバレです。映画をご覧になりたい方はスルーしてください。

オマハビーチ

オープニングの時代は、「今」だ。フランス・ノルマンディの戦没者墓地に、一人の老人が家族とともに訪れる。どこまでも続く十字架。老人は一つの墓標の前でひざまづく。見守る家族たち。

何を思うのか、男の目は悲しさをたたえ、瞳はかつて体験した遠い過去、第二次世界大戦のノルマンディ上陸作戦へとオーバーラップしていく…

時は1994年6月6日、ドーバー海峡。アメリカ軍の上陸用舟艇がフランスの浜辺へ押し寄せる。

目指す上陸地点はオマハビーチだ。

舟艇の前扉が開くと、浜辺の崖の上のドイツ軍トーチカから機関銃弾が雨あられと降り注ぎ、砂浜を目指す兵士たちをなぎ倒す。

アメリカ軍兵士たちは、ドイツ軍機関銃手の射的のマトだ。

第2レンジャー大隊のミラー大尉(トム・ハンクス)率いる中隊は、斃れゆく兵士たちを乗り越え、ドイツ軍トーチカへ接近。激戦の末、制圧する。

激戦の後の浜辺が映し出される。波うちぎわには、兵士たちの死体が散乱したままだ。

カメラは一人の兵士の死体へとズームインする。死体の装備品に「RYAN」の文字が映し出される。

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舞台は一転、アメリカ本土のどこか。軍司令部。

司令部付けのマーシャル将軍の元に、オマハビーチの戦いで「ライアン家の三人の兄弟兵士が戦死した」事実が届けられる。

マーシャル将軍は、ライアン家末弟・ジェームズ・ライアン二等兵がノルマンディのどこかに空挺部隊員として降下したことを知り、本土へ連れ戻す命令を発する。

オマハビーチを制圧後3日目のことだ。

ライアン二等兵救出命令

舞台は再度オマハビーチの前線基地。

将軍から発せられた「ライアン二等兵救出」の命令が、ミラー大尉の元に届く。

ミラーは中隊から生え抜きの兵士6人=ホーバス軍曹・ライベン一等兵・ジャクソン狙撃手・メリッシュ二等兵・カパーゾ二等兵・ウェイド衛生兵、そして通訳として、戦場を知らないアパム伍長を従え、わずかな情報を頼りに、ライアン二等兵を連れ戻すべく、最前線を潜り抜ける任務に着く。

潜り抜けるといっても、進むエリアはドイツ軍、連合軍が一進一退を繰り返す最前線だ。

一行のライアン二等兵救出のための行軍は、困難を極める。

ドイツ軍と連合軍が家一軒を奪い合うような市街戦や、ドイツ軍のレーダー基地がミラー以下7人の道を阻み、市街戦ではカパーゾ二等兵が戦死。レーダー基地制圧戦ではウェイド衛生兵が命を落とす。

とある花咲き乱れる野原で、一台のドイツ軍装甲輸送車にミラーらは遭遇。思いもよらぬバズーカによる砲撃でドイツ軍装甲輸送車は撃破される。

迫るドイツ軍

バズーカはどこから放たれたのか?いぶかしげなミラー大尉たちの前、花咲く野原の中から立ち上がったのは、三人の兵士。軍服は空挺部隊員のそれだ。

名前を伝え合うミラーと三人の空挺部隊員たち。その中の一人がこう名乗る。

「ジェームズ・ライアン二等兵です」




偶然で唐突なライアン二等兵との対面。

ミラー大尉はライアン二等兵に帰国命令を伝え、救出作戦は終わったかに思えた。

しかし、ライアンたちの空挺部隊が本拠としていた街=ラメルの一本の石橋は、なんとしてもドイツ軍から守りぬかなければならない橋だった。

ドイツ軍戦車とドイツ兵たちが、街に迫っている。激戦は必至だ。

ライアン二等兵は、「仲間たちと橋を守る」と、ミラー大尉一行が下されている命令=ライアン二等兵の後方への移送=を断固として断る。

想定外の展開に、ミラーと部下、そしてライアンのとった行動は…???

以下ネタバレ結末ラストまで〜閲覧注意!

以下は完全ネタバレです。映画を見たい方はスルーしてください。

+ + +

ミラー大尉が帰国命令を伝えるが、ライアン二等兵は帰還を拒み、空挺部隊の仲間とともに橋を死守することに固辞する。

ライアンを連れ戻すことが任務のミラー大尉や部下たちは困惑する。

しかし一つの答えを導き出す。

「ライアンらと共に橋を守り、そして生きて帰る」という選択だ。

いっときの静けさのあと、ドイツ軍の重戦車タイガーが歩兵を従えて瓦礫の町に突入してくる。

戦いは激烈を極める。

狙撃手のジャクソンがマーダー戦車の砲撃で吹き飛び、戦死。

アパムは機関銃弾帯の運搬を任されるが、恐怖で身動きできずに、弾帯付きた機関銃手メリッシュはドイツ兵とナイフでの格闘の末、命を落とす。

古参兵ホーバス軍曹はバズーカでタイガー戦車に立ち向かうが、銃弾を受け、戦死。

ミラー大尉は、橋を爆破すべく雷管に手を伸ばすが、かつて情けをかけたドイツ兵の放った弾丸に倒れる。

ラスト、橋を渡ろうとするドイツ戦車タイガーに拳銃を向け、銃弾を撃つ、瀕死のミラー大尉。

と、ミラーに砲身を向けたタイガー戦車が爆発擱座。

空から援軍のP-51戦闘機が上空からタイガー戦車を撃破したのだ。

戦いが終わり、かつてミラーが情けをかけ、アパムが命を助けたドイツ兵も手を上げあげ投降してきた。

アパムに命乞いするドイツ兵だが、しかしアパムは表情を変えずに射殺する。

守り抜いた橋の上、命が尽きかけているミラー大尉の元へ、ライベン一等兵とライアン二等兵が、駆け寄る。

ミラーは消え入りそうな声でライアンに、かすかな言葉でメッセージを渡す。

「ムダにするな。しっかり生きろ」

その言葉を最後に、ミラーは息絶える。

カメラは震えの止まったミラーの手を映し出す。

ライアンの顔がアップで写り、その表情は映画冒頭の老人の顔にオーバーラップする。

「はたして自分はミラー大尉に恥ずかしくない生き方をしてきただろうか?」

ミラーの墓の前にひざまづくそんな老人の問いで映画は終わります。




『プライベート・ライアン』登場人物紹介

ここで登場人物の役名と演じた俳優の名前、そしてキャラひとこと紹介までまとめてみました。

役名 俳優名 人物紹介
ジョン・H・ミラー大尉 トム・ハンクス 任務に忠実な部隊指揮官。冷静で責任感が強い。
マイク・ホーバス軍曹 トム・サイズモア ミラーの副官。実務能力高い歴戦の強者
リチャード・ライベン一等兵 エドワード・バーンズ 皮肉屋の兵士。任務への不満を隠さない。
エイドリアン・カパーゾ二等兵 ヴィン・ディーゼル 任務中に女の子を助けようとする。子どもへの愛情が深い。
アーウィン・ウェイド衛生兵 ジョヴァンニ・リビーシ 衛生兵。仲間の命を必死に救おうとする。
スタンリー・メリッシュ二等兵 アダム・ゴールドバーグ 皮肉屋のユダヤ系兵士。仲間想い。
ダニエル・ジャクソン二等兵 バリー・ペッパー 信仰心厚い狙撃手。祈りを唱えつつ射撃する。
ティモシー・アパム技術伍長 ジェレミー・デイヴィス 翻訳担当の新兵。戦場に戸惑う知識肌。
ジェームズ・ライアン二等兵 マット・デイモン ミラーらの小隊が探し出す、救出対象となる空挺部隊の兵。

 

『プライベート・ライアン』〜理不尽でグロ、されど秀逸な戦場描写

『プライベート・ライアン』の映画としてのすごさは、戦場リアリティ再現にあると同時に、理不尽な現場における兵士たちの心の葛藤、「最前線はどこまでもシュールなんだ」という戦争の顔を真正面から描ききったことにあります。

『プライベートライアン』以前の戦争映画は、おおかた兵士がヒロイックに描かれていたり、最前線を舞台にした兵卒ムービーであっても、残酷な表現への「遠慮」がありました。

どういうことかというと、過去の戦場の記録写真を見るとわかるのですが、戦場での戦死は、目も当てられません。はっきりいって、グロいです。

はらわたは飛び出ている。大口径機銃弾が当たった兵士は四散している…。『プライベート・ライアン』に出てくる、数日放置された死体は、まさに記録写真に出てくるそれです。

しかしスティーブン・スピルバーグは『プライベート・ライアン』において、そんな描写をあえて使い、観客をノルマンディ上陸作戦の激戦のただなかに放り込んだのです。

そのリアリティに、手も心も、震えます。

『プライベート・ライアン』〜心の垢を掻き出すドラマ

『プライベートライアン』の映画としての最大の魅力は、戦闘シーンは当然のこと(後で書きます)、極限が引っ張り出す人間の心を描いたドラマだということでしょう。

戦場という極限が、登場人物の心の内を、垢のようにポロポロと掻き出します。

例えば、それはこんな感じ。

・トーチカ制圧後、意味がわからない流れ出る嗚咽に戸惑うユダヤ人兵士、メリッシュ二等兵。

・ミラー大尉の理不尽な命令と言動にキレてしまう、ライベン一等兵

・常に「神よ」と呟きながら、命を奪う引き金を引く、ジャクソン狙撃手。

・姪に似ている、と、避難民の子供に手を差し伸べるカパーゾ二等兵。

・子供のころの母親への態度を悔いているウェイド衛生兵。

・「戦う意味」を意外にもポロリと話す、古参兵のホーバス軍曹。

・そして、ミラー大尉の過去と未来への言葉たち。

そんな彼らのセリフの一つ一つが、繰り返し見れば見るほど、いろんなことを語りかけてくる映画です。多分、『プライベートライアン』は、観る側の心のありようによって受け取り方が変わってくる映画ではないでしょうか。




考察・1〜ミラー大尉はなぜ手が震えるのか?

ネット上での『プライベートライアン口コミ疑問』の一つに、「なぜミラー大尉の手が震えるの??」があります。

主人公ミラー大尉(トム・ハンクス)は、ふとした時に手が震える描写が劇中に挟まれます。戦闘中に怖くてブルブル震えるんではなくて、戦場に向かう時や戦闘が終わった後とかに、片手だけが震える描写があるのです。

恐怖からくる震えではないのは確か(だと思う)。ではなぜ手が震えるのでしょうか?ぼくも気になっていたので、「ミラー〜大尉の手がなぜ震えるのか?」調べてみました。

答えは以下です。

ミラー大尉の手の震えは、「シェルショック」でしょう。

「シェルショック」とは、戦場を経験した兵士に現れる複雑な精神的・感情的状態の古い呼び名です。 第二次世界大戦時は、多くの兵士が精神的外傷を受けましたが、「戦闘疲労」と呼ばれていました。今でいう心的ストレス外傷PTSDの一種でしょう。

「シェルショック」の起源は1914年の第一次世界大戦に遡ります。ヨーロッパ戦線で戦ったイギリス軍兵士は、戦闘後に耳鳴り、健忘症、頭痛、めまい、震え、騒音過敏症といった症状が現れました。命名者はイギリスの心理学者チャールズ・S・マイヤーズです。日本語では戦場ショック、砲弾ショックとも言われていたようです。

医学的に見ると手の震えは、「極度の緊張状態」からくる症状なようです。

ミラー大尉の手が震えるシーンは、生死ギリギリの状況へ向かう緊張状態と、逆に戦いからしりぞいた=解放された=緩んだ状態で出ています。

なぜそんな波の時に手の震えをでしたのでしょうか?それは戦場でのミラーの精神状態の波を「手の震え」演出に託していると、ぼくは考えています。

ネタバレになりますが、ラストでは、「震えていないミラー大尉の手」が写し出されます。それは「ミラーの魂が、戦場から真の意味での解放された」という意味だとぼくは考えています。

オープニングから何度か繰り返される「ミラー大尉の手の震え」が、映画の結末にぴたりと止まっている….息をのむ回収です。

+ + +

さらに突っ込んで「兵士の震えの疾患」をネットで調べてみたところ、NHKが兵士たちの精神疾患をテーマに作った番組『戦跡 薄れる記憶』がありました。その中から一部を転載します。理解の一助になれば、と思います。

兵士たちの精神疾患〜NHK:『戦跡 薄れる記憶』 より

先の大戦中、戦場でのストレスなどが原因で精神疾患を発症した兵士たちがいました。

しかし、その存在は「皇軍の恥」とされ、ひた隠しにされてきました。

ことし、兵士たちを追跡調査したおよそ60年前の極秘資料が、NHKの取材班にはじめて開示されました。800ページにわたる資料には、壮絶な戦場での体験から戦後も病に苦しみ、誰にも理解されず孤独を抱えて生きた兵士たちの姿が記録されていました。

“戦争神経症”の日本兵 激しいけいれんが全身を襲った

戦地のストレスなどによる精神疾患を総称して“戦争神経症”といいます。

症状は不眠やうつ、幻聴など。全身がけいれんしたり、歩行が困難になるなどの激しい症状が現れる人もいました。

ミラー大尉は戦場での手の震えでしたが、「戦争神経症』を発症した設定だったのではないか…とぼくは思っています。

考察・2〜アパムになぜイラつく?

ムカつく?イライラする?ネット嫌われ者アパム伍長

ネット上の口コミを見ると、「嫌い」「見ててイライラする」「ムカつく」という言葉が投げかけられる登場人物にアパム伍長がいます。

なぜにアパムはそれほどまでに観客から嫌われるのでしょうか?

早速考察してみましょう。

+ + +

「ライアン二等兵救出命令」を受けたミラー大尉は、一人の事務方兵士を通訳として部隊に引きいれます。その兵がアパム伍長です。

アパム伍長は生粋の事務方軍人(特務伍長)ゆえ、リアルな戦場のドンパチを知りません。

それゆえに激戦を潜り抜けてきた他の兵士たちとの間には、目に見えないけれど硬い壁があります。それは劇中でもあちこちで表現されています。

アパムのとる行動や口にする言葉は、歯痒すぎたり、的外れだったり、臆病に見えたり、、、それは映画の観客をもイライラさせる存在なのです。ぼくも当初はアパムの役回りにイラついていました。

ドイツ軍捕虜の扱いに対し、戦争法を引き合いに丁寧な扱いを要求したり、激戦の中で身がすくみ動けなくなってしまったりと、真っ正直というか、本当に情けない。とにかくそんな役回りがアパム伍長です。

では、なぜ、そんなナサケナ系で理論派のアパム伍長が映画に中である意味キーマンとして登場しているのでしょう?

ぼくは、その理由は一つしか思いつきませんでした。

彼の存在は、映画を観ている観客=「ぼくら」の生き写しなのです。

 

今も世界のあちこちで戦争があります。

ぼくらはそんなニュースをみては、「ひどいなあ」「許されないことだ」「あちらの言い分は間違っている」と思ったり感じたりしています。

そしてテレビの中ではコメンテターや評論家、学者がまことしやかに論説を並べ立てます。

そうなんです。アパム伍長は、戦争をアタマでしか理解できていないぼくらの象徴であり、同時にシュールで理不尽な戦場に対し、安全なところから正論を打ち込むマスコミコメンテターや専門家の象徴なのです。

そういう観点でアパムを見ると彼の捉え方がガラッと変わると思います。少なくともぼくはそうでした。

考察・3〜好評価多数、スナイパー・ジャクソン二等兵の存在意味

アパムとは一転、ネット上で「かっこいい!」「クール!」と人気の登場人物が、スナイパー(狙撃兵)のジャクソン二等兵です。

確かに「ライアン救出作作戦」の中でもっとも見ていてかっこいいなあ、と思えます。

神への言葉を呟きながら引き金を引きドイツ兵を一人また一人と倒してゆくジャクソン。映画の中で彼が担った存在意味はなんでしょうか?

ジャクソンは必ず神への祈りを捧げながら敵兵を撃ちます。

それはジャクソンが「神」という名のもとに狙撃する相手は、同じ人間=すなわちいわゆるキリスト教世界では「神の子」です。

ということはジャクソンは「戦争の抱える矛盾の体現者」ではないかとぼくは思っています。

なんて、堅苦しく書きましたが、まあ、プライベートライアンもエンタメ戦争映画です。ぼくらは素直にジャクソンをヒーローとして見てしまいますが、それでいい。

エンタメ物語の中では彼のような、チームの中で腕の立つヤツという存在は必須です。そしてそんなヤツは必ず斃れてゆくのもまた定番です。

黒澤明の『七人の侍』で孤高で腕の立つ剣士、宮部久蔵が登場します。ジャクソンはまさに久蔵に当たる存在でしょう。(『七人の侍』見ていない方、ぜひ見てくださいね。久蔵、めちゃくちゃかっこいい。倒れゆく姿もジャクソンに重なる、と、ぼくは思う。)

ジャクソンと久蔵は、誰もが「ああなりたいな」と憧れる定型ヒーロー=「かっこいい頼れるヤツ」なのではないでしょうか。

考察・4〜アパムと共に生き残るライベン一等兵について

次にライベン一等兵を取り上げましょう。

実はこの映画で生き残るのは、アパムともう一人のたったの二人。そのもう一人がライベン一等兵です。

ライベン一等兵はどんな存在意味を与えられているのでしょう?

やはりアパムと同じく我々の投影なんだと思います。

ウェイド衛生兵が命を落とす戦闘ありますが、そのくだりでライベンは捕虜を逃すミラー大尉にたてつきます。

そのシーンでは、多分映画を見ている誰もがライベンの態度にシンパシーを感じるのではないかと思います。

他にも「なんで顔もしらないあったこともないライアンを、俺たちが命かけて助けなきゃならないんだ?」という疑問を突きつける役がライベンです。これも観劇しているぼくらの感情を代弁ではないでしょうか。

つまり、生き残ったアパムとライベンは、平和の時代に生きているぼくらなのです。(本当に今が平和なのかどうかは別テーマとなりますので、ひとまず傍に置いときます)

そう考えると、ライベンとアパムの存在は「生きてこの戦争の真実を後世に伝えてくれ」というメッセージなのではないでしょうか。

二人の存在意味を考えることは、隠れメッセージを探ることであり、今を生きる僕らに向けて放たれた手紙にも似たものであると、ぼくは信じています。




考察・5〜内臓が….半身が…グロいけど、決して下品じゃない

冒頭20分のオマハビーチ上陸シーンは、とにかく絶句です。映画史に刻まれる戦場描写です。「観てください」としか言えません。

まんま観客は、銃弾が雨あられとふる浜辺に放り込まれます。

実際にノルマンディ上陸作戦を体験した元兵士にこのシーンを試写で見せたところ、「音がまさに戦場のそれと同じだった」と語ったといいます。

それまでの戦争やアクション映画で表現されなかったチャレンジが、この映画にはいくつもあります。

例えば、こんなシーン。

「海中に落ちた兵士に航跡を引きながら襲う銃弾」

「水中を進むシーン、カメラが水中を進む兵士の目となり、水面と水面下で音が変わる」

「至近距離で砲弾が炸裂すると、耳が聞こえなくなる」

「大口径対空砲が水平射撃され、たまに当たった兵士の頭が消え飛ぶシーン」

「戦場を知らないアパム伍長の”ライフルの微妙な持ち方”を嫌う兵士たち」

「至近弾着弾で半身が失われるカット」

…と、キリがないのでこの辺にしておきますが、今のアクション映画や戦争映画ではよく使われるようになったそんな表現は、実は『プライベート・ライアン』から始まったと言っても良いのです。




考察・6〜下部からさす光のハレーションの謎

そんなアパム伍長ですが、クライマックスの激戦の果てに、縁があったドイツ兵を射殺します。

そして、それまではぼくらと同じ顔つきだったアパムの顔が、無感情が張り付いたような「兵士の顔」になります。

このシーンにおいて「映像下部から光が差し込んだような独特の効果」が使われています。

実はその効果、前半のオマハビーチ激戦の最後、トーチカを制圧した兵士たちが「呆然となり我を失うシーン」にも、同様に使われているのです。

ぼくは、なんでそんな「光が下から差し込む表現」が使われているのだろう?と気になりつつ、そしてまたモノクロームのオーロラのような光に惹かれていたのですが、使われた意味が今ひとつわかりませんでした。

しかし今回の数十回目の映画再見において、アパム伍長が変わるそのシーンで、ようやくわかった気がしました。

ちなみに撮影監督のヤヌス・カミンスキーの言葉によると、そのハレーションは「レンズを加工してあえてドキュメンタリー風の画質にしたことによって生まれた効果」だ、と言っています。

ですが、ぼくはあえて次のように思いたいのです。

『あの光は、「善悪の判断することさえ意味をなさない戦場の無常」を表すための「ハレーション」だった』と。




『プライベート・ライアン』への批判は?

結構「グロい」、とか「気持ち悪い」「アパム伍長がクズすぎる」と言った批判的な声も聞かれる『プライベートライアン』ですが、ぼくはそれらの批判は、映画の表面だけを見ての声だとおもいます。

確かにサラッと流し見した印象を「グロい」「気持ち悪い」「アパムにイライラ」と言葉にしたのもわかります。

しかし、二度、三度と映画を繰り返し見ると、それらのシーンや設定は物語を進めるため、絶対的に必要があって描かれていることがわかります。

『プライベートライアン』一人の兵士を救出するために部隊が命を投げ出すシュールなテーマです。そのナンセンスさを観客に伝えるには、戦場のグロさや気持ち悪さをきちんと描くことが必要です。嘘っぽい戦場描写ではナンセンスなシュール感が伝わらないのです。

アパムへの批判に関しては、前にも述べたとおりです。イライラするのは、自分自身を重ねて鏡のように観てしまうからなのです。ぼく自身も、最初に見た時はそうでしたから。

そんな批判的な部分も、繰り返し見ることで視点が変わっていく映画が『プライベートライアン』です。




スピルバーグとD-Day

実は、スティーブン・スピルバーグは、結構ミリオタでもあるんですよね。(スピルバーグに限らず、隠れミリオタの男子、結構多いと思う。運営人のぼくも、そうです)

アメリカ人のスティーブン・スピルバーグにとって、第二次世界大戦の転換となった激戦、ノルマンディ上陸作戦=D-Day=を素材に映画化したい…と思ったのは至極当然だったんじゃないかな、と思います。

ちなみにノルマンディ上陸作戦を映画化した作品には、『史上最大の作戦』(原題:The Longest Day)がありますが、『プライベートライアン』とはトーンが違うノルマンディ上陸作戦モノです。

もちろん『史上最大の作戦』も映画史に名画として刻まれている作品です。

こちらはジョン・ウェインやヘンリー・フォンダ、ロバート・ミッチャムといった、当時ハリウッドのオールスターキャストで撮られた映画でした→映画.comさんのサイトを貼っておきます=https://eiga.com/movie/45203/



『プライベート・ライアン』ぼくの評価は?

点数は満点五つ星

最初に書いてしまいましたが過去数十回、繰り返し観てしまう映画ということで、評価に代えます。。満点以外に考えられません。

「ヘコんだ時に見る映画」と書きました。

この映画は、「凄惨」でもあります。なので観るにはエネルギーが必要な映画だと思います。

それでも、プレイボタンを押すのです。

そしてぼくが繰り返し観る意味は?ミラー大尉・最後のセリフがその答え

ぼくが『プライベートライアン』を繰り返し観るその理由は、ラストのミラー大尉がライアン二等兵に語りかける短い言葉を聞きたいがため、です。

その最後のセリフは、

「ムダにするな。しっかり生きろ」

映画ではライアン二等兵救出に向かう途上、一人また一人と命を落としていきます。

このラストの一言「ムダにするな。しっかり生きろ」を聞くと、ヘコんでいた自分が情けなくなり、同時に、人は一人で生きてると思っているけど誰かにどこかで支えられてるんだろうな、、ライアン二等兵のように…と思うのです。

この映画を繰り返し見る意味は、その一点につきます。

というわけで、『プライベートライアン』は「ムービーダイアリーズ」殿堂入り♩決定の一本です。




『プライベート・ライアン』スタッフ・キャスト紹介

⚫︎スタッフ 監督:スティーブン・スピルバーグ/脚本:ロバート・ロダット/撮影:ヤヌス・カミンスキー/編集:マイケル・カーン/音楽:ジョン・ウィリアムズ

⚫︎キャスト ミラー大尉=(演)トム・ハンクス /ホーバス軍曹=(演)トム・サイズモア /ライベン一等兵=(演)エドワード・バーンズ /ジャクソン狙撃手=(演)バリー・ペッパー /メリッシュ二等兵=(演)アダム・ゴールドバーグ /カパーゾ二等兵=(演)ヴィン・ディーゼル /ウェイド衛生兵=(演)ジョバンニ・リビージ/ アパム伍長=(演)ジェレミー・デイヴィス




『プライベート・ライアン』配信先は?DVD情報

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『プライベートライアン』撮影秘話

撮影監督は『シンドラーのリスト』でスピルバーグとタッグを組んだヤヌス・カミンスキーだと、前述しました。

スピルバーグとヤヌス・カミンスキーの撮影裏話を見つけました。ここでプライベートライアンの撮影の裏側をちょっと紹介しておきましょう。

短い撮影期間

『プライベートライアン』の撮影期間は、なんとたったの60日間です。

169分の長編が2ヶ月で撮られたとは信じ難いですが、スピルバーグの早撮りは有名です。

少ないカメラ台数

戦争超大作といえばたくさんのカメラが回っていると思いますよね?ぼくもそう思っていました。

ところがカミンスキー撮影監督が回していたカメラ台数は、たった3台。しかも、撮影フィルムの90%は手持ちカメラで撮影されたものだったそうです。

ほとんどを手持ちカメラで撮影する方法をとったゆえに、第二次世界大戦当時の空気が画面に再現されたのでしょう。

ローアングルの多用

オマハビーチ上陸シーンも手持ちカメラ3台で撮影されたそうですが、見れば分かるのですが、ほとんどがローアングルです。

兵士たちが砂浜に倒れ込んだり、匍匐前進したりをリアルに撮るにはもちろんカメラマンも這っていたわけです。ところで、カメラは精密機器ですから砂は大敵。砂地スレスレの激しい撮影はカメラマンにとっては難行苦行だったようです。

戦場カメラマンの報道写真を研究して撮影

ロバート・キャパをはじめとした戦場カメラマンの写真を見て、撮影の構図やトーンを決めていったそうです。

カミンスキーはのちにインタビューで「何人もの戦場カメラマンがいるかのような錯覚を起こしたかった」と語っています。

「1944年」を再現した粗い映像

『プライベートライアン』の色調って、今の綺麗な映像に見慣れていると彩度が低くて粗めの印象を受けますよね。それって、あえてなのです。

19944年の報道写真にあるような「粗い空気感」を出すためにレンズコーティングを剥がしたり、シャッターに工夫を加えることで、当時の写真のような硝煙と爆発、砂の飛び散りの時代リアリティを追求したとのことです。

製作陣のこだわり、ですね。

以上撮影方法の項は『全米撮影監督協会が選ぶ20世紀最高の映画100作品』(古澤利夫・著/ビジネス社・刊)を参考にしました。

最後に〜画家のぼくのノルマンディへの思い

こちらのぼくのウェブサイトに、映画の舞台となったノルマンディへの、画家としての想いを書いています。極めて個人的なブログですが、興味のある方は覗いてもらえると嬉しいです。

6月6日-ノルマンディーを描くその日まで
6月6日-ノルマンディーを描くその日まで 「6月6日って何の日?」そう聞かれたら、ぼくは即座にこう答えます。







コメント

  1. […] スティーブン・スピルバーグ監督の映画『プライベート・ライアン』でも、その上陸シーンが生々しく描かれていました。 […]

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