『コーダ あいのうた』考察|ネタバレあらすじ・感想評価レビュー〜聞こえない歌の響き方

ヒューマン・ハートフル

  こんにちは!ムービーダイアリーズ運営人のタクです。今回取り上げる映画は、『コーダ あいのうた』(2022年:アメリカ映画)です。

小さな漁村に暮らす漁師一家を支えるひとりの女子高校生ルビーが主人公です。漁師一家は四人家族。しかしルビーを除いた3人は、耳が聞こえない障がいを持っています。

そんな彼女が歌を歌うことに目覚めます。 歌が何より好きな彼女の夢と家族の物語をレビューしてみます。

 

『コーダ あいのうた』スタッフ・キャスト

監督・脚本 シアン・ヘダー 原作『エール!(フランス映画)』 キャスト ルビー=エミリア・ジョーンズ  父=トロイ・コッツァー 母=マーリー・マトリン 兄=ダニエル・デュラント

『コーダ あいのうた』あらすじは?

では、あらすじの紹介です。 舞台はアメリカの小さな漁村。物語の核は漁師一家のロッシファミリー。 主役は娘(高校生)のルビー。

父と母、そして兄は、生まれつき耳が聞こえない。

そんな家族の中でただ一人耳が聞こえ喋ることができるルビーは、幼い頃から家族の通訳の役割を負っていた。

歌うことが好きなルビーは、高校入学と同時に、思い寄せるマイルズが入った合唱部に入部することを決める。

しかし、部活初日、パート分けの声出しテストで、うまく歌うことができずに落ち込むルビー。

だが合唱部顧問の音楽教師ベルナルドは、ルビーの隠れた歌の才能に気づく。

ベルナルドは独特の歌唱法でルビーの才能を開花させ、バークレー音楽院への進学をすすめる。

そんなさなか、漁村の漁業組合と家族含めた漁師たちが、管理手数料をめぐって紛糾。

漁師たちは、獲った魚を組合を通さずに直販を始める。

しかし、言葉が話せないの 父母にとって、客と直接交渉が必要な直販は難関だ。

ルビーのバークレー音楽院への進学は、家族にとっての交渉役のルビーがいなくなることを意味している。

両親は「ルビーの通訳としての存在が必須だ」と、進学に反対する。

ルビーは、家族の一員として、「通訳」として生きるか、それとも歌う夢を追うかの岐路に立たされる…。

といったストーリーです。

『コーダ あいのうた』あらすじラスト〜ネタバレにつき閲覧注意!

バークレー音楽院受験当日、受験を諦めていたルビーを家族は会場まで連れ届ける。

審査員、そして家族の前で自分だけの表現で歌い切るルビー。

結果は合格。

旅立ちの日、そこには家族全員の笑顔が一つになった静かな世界があった。

『コーダ あいのうた』ぼくの感想・考察〜この映画の持つ深い問い〜

最後まで一気見の『コーダあいのうた』

この映画は、1日の大半を、耳の聞こえない家族と暮らし、声での会話がない世界に生きてきたルビーが、歌に目覚め、壁を乗り越えていくストーリーです。

脚本が丁寧に作られています。

クライマックスラストまでぼくはスマイルで一気見でした。

音楽くくりの映画の場合、「スマイルで観られるかどうか?」が、ぼくの評価を大きく左右します。

全編に流れる名曲楽曲、歌声にはスマイリー、ルビーが思い寄せる彼との距離感にもスマイルな映画でした。

耳が聞こえない人々には「音」が「どう見える」んだろう??

『コーダ あいのうた』は、音が聞こえない障がいを持つ人の世界を舞台にしつつ、同時に彼らには物質的には聞こえるはずのない「音楽」を柱にした、実にチャレンジな映画でもあります。

「耳が聞こえない世界で音楽はどう受け取られるのか」も、この映画は暗に教えてくれます。

ルビーの合唱発表会でそのシーン=「耳が聞こえない世界で音楽はどう受け取られるのか」=は登場しますが、とても考えさせられました。

果たして、耳が聞こえない人にとって(でも目は見える)音楽は「どう聴こえる」のでしょうか?

そのシーンは例えば「目が見えない人に絵はどう「見える」のか?」という似たような問いにもつながります。

見えないから何も感じない、ではありません。何かに共鳴した心は、なんらかのイメージを心の中に抱くのだ…とぼくは思いました。

人という生き物は、知覚が何か一つが欠けていると、別の感覚が、健常者の枠を超える感度で、何か別のイメージを感じ取っている、と、常々ぼくは思っています。

「独特の匂い」として感じているのかもしれないし、周りの感動や、作品の発しているエネルギーを「温度」として感じているのかもしれません。

人の感情を受け取るのは、五感だけじゃない

歌でもなんでも「表現」とは「人の感情の発露」です。

でも、考えてみると、「感情」って、そのもの自体は形あるものではありません。

ニオイもなければ、音もないです。(あ…感情を表現した芸術行為は、形を作ったり、匂いをさせたり、音楽というカタチになっています。←ここでいっている「感情」とは芸術行為が生み出される前の心の状態のことです)

感情の発露を一種の波動と考えるなら、視覚がかけていても聴覚が欠けていても、「五感以外のアンテナ」が逆に冴えて、その波動を別のイメージでキャッチするんじゃないかな、、、と思いました。

コーダが突きつける、一体どちらがマイノリティなのか?という「問い」

ここ20年ほど、映画界にはマイノリティーや障がいを持つ人々を取り上げた映画が増えているように感じます。

『コーダ あいのうた』で主役となっているのは、先天的に耳が聞こえないロッシ家族です。

そんな中で、主人公ルビーだけが、家族の中で唯一耳が聞こえて声が出せる存在です。

ルビーの家庭は、「ろう者三人 対 健常者一人」という構図ですね。

世間一般では障がい者は、ついついマイノリティだと捉えがちです。

しかしロッシファミリーでは、実はルビーがマイノリティなんですね。

ぼくらは、つい、自分だけの視点が「当たり前ワールド」だと錯覚していますが、視点と割合を変えると、マジョリティとマイノリティはあっさり逆転することをこの映画は教えてくれました。

ルビーの両親と兄を演じているのは、耳が聞こえない俳優です

ちなみにろう者(父母兄)を演じた三人=トロイ・コッツァー マーリー・マトリン ダニエル・デュラントは、実際耳が聞こえないろう者の俳優です。

ナルホド、やっぱり!的リアリティありました。

主役四人のうち三人が耳が聞こえない俳優さん…撮影現場は一体どんな感じだったんだろう?

手話通訳者がいたと思いますが、手話通訳者の「演技指導の手話化」はどんな工夫があったんだろうか???

…そんな撮影楽屋裏も気になった映画でした。

『コーダ あいのうた』ぼくの評価は

最後にぼくの評価です。

主人公ルビー役もめんこいし(これはただ単に好み)、歌声もステキでした。

カレシも若々しくてピュア感がヨイです。

合唱を指導する先生、リアルにそばにいて欲しいよ的存在感がヨイです→もちろん映画のキーマンです。ここぞのシーンもシッカリ魅せます。

登場人物それぞれが光り、物語もしっかりしていて、おまけに観劇後、スマイル満点。

さらには、マイノリティとマジョリティが反転した、気が付かなかった世界も『コーダあいのうた」は見せてくれました。

ということで、ぼくの評価は星四つ半です。

いい映画をありがとうございました。

受賞歴・補足

アカデミー賞で作品賞・助演男優賞・脚色賞を受賞しています。

ちなみに耳が聞こえず話せない親兄弟の役を、実際に障がいを持ったアクターが演じています。

『コーダ あいのうた』で流れた曲:紹介サイト

  音楽が大事な柱となっているのが『コーダ あいのうた』です。

映画の使用音楽を、とても丁寧にまとめた音楽サイトを見つけたので、貼っておきますね。↓ https://studentwalker.com/moviemusic-coda#st-toc-h-2

『コーダ あいのうた』配信・レンタルは?

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