実話『カセットテープ・ダイアリーズ』
ネタバレ考察|評価:星五つ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
こんにちは!映画好き絵描きのタクです。
映画『カセットテープ・ダイアリーズ』(原題:Blinded by the Light/2019年・イギリス映画)は、実話を元に作られたミュージカルムービーです。『カセットテープ・ダイアリーズ』で描かれるのは、人生に立ち塞がる様々な壁とそれらを乗り越えるチカラへの賛歌です。
映画のバック全編に流れるのは「The Boss」ことブルース・スプリングスティーンのナンバーです。
スプリングスティーンの名曲に彩られた、勇気とチャンスのつかみ方を教えてくれる『カセットテープ ダイアリーズ』をレビューしてみます。

このレビューでわかること
『カセットテープ ダイアリーズ』英語タイトルの意味は?
『カセットテープ ダイアリーズ』は実話?
『カセットテープ ダイアリーズ』あらすじは?
『カセットテープ ダイアリーズ』邦題の意味は?
『カセットテープ ダイアリーズ』どんな方にオススメ?
- 『カセットテープ・ダイアリーズ』予告編
- 『カセットテープダイアリーズ』解説
- 『カセットテープ・ダイアリーズ』スタッフ・キャスト
- 『カセットテープ・ダイアリーズ』あらすじ〜中盤まで
- 『カセットテープダイアリーズ』あらすじ結末まで〜ネタバレ閲覧注意!
- 『カセットテープ・ダイアリーズ』実話に基づいたストーリー
- 『カセットテープ・ダイアリーズ』考察・感想
- 『カセットテープダイアリーズ』考察・感想〜ジャベド流チャンスのつかみ方
- 『カセットテープダイアリーズ』考察〜歌詞の映像化が革新的
- 『カセットテープ・ダイアリーズ』の魅力とは?
- 『カセットテープ・ダイアリーズ』〜邦題に隠された意味
- 評価|『カセットテープ・ダイアリーズ』は“人生の応援歌”
- 『カセットテープ・ダイアリーズ』配信は?
『カセットテープ・ダイアリーズ』予告編
『カセットテープダイアリーズ』解説
『カセットテープダイアリーズ』(原題:Blinded by the Light)は、原作・共同脚本のサルフラズ・マンズールの少年期〜高校を卒業するまで体験したことをベースとして描いた実話ムービーです。
サルフラズ・マンズールが出版した本を読んだスプリングスティーンが、本への賛辞を示し、グリンダ・チャーダ監督がスプリングスティーンに映画化を打診。即映画化OKをもらったというエピソードが伝わっています。
チャーダ監督は、インド系移民でイギリスで育っています。BBC放送ジャーナリストを経てドキュメンタリーフィルムを制作。代表作に映画『ベッカムに恋して』(2002)があります。
その後、『パリ、ジュテーム 』 (2006)、『ジョージアの日記/ゆーうつでキラキラな毎日』 (2008)、『英国総督 最後の家』 Viceroy’s House (2017)に続いて、本作が5作目とのことです。
主役のビヴェイク・カルラは『Three Months』『ヴォイジャー』に続いて本作が3作目です。
『カセットテープ・ダイアリーズ』スタッフ・キャスト
以下、制作スタッフとキャストを書いておきます。
監督:グリンダ・チャーダ 脚本:グリンダ・チャーダ/サルフラズ・マンズール/ポール・マエダ・バージェス
キャスト ビヴェイク・カルラ/クルヴェンダー・キール/ミーラ・ガラトナ/ネル・ウィリアムズ/ヘイリー・アトウェル/他
『カセットテープ・ダイアリーズ』あらすじ〜中盤まで
舞台は1987年のイギリス・ルートン。
パキスタン移民の家庭に生まれた青年ジャベド(ヴィヴェイク・カルラ)は、詩を書くことが好きな内気な高校生です。
サッチャー政権下の不況や差別に苦しむ街で、彼は「自分の居場所」を見つけられずにいました。
父親(クルヴィンダー・ギール)は厳格で、家族の誇りを守るために息子にも安定した職を望み、自由な夢など認めようとしません。
そんな鬱屈した日々の中、同じ学校に通うムスリムの友人ループス(アーロン・ファーガソン)から、ある日ブルース・スプリングスティーンのカセットテープを渡されます。
半信半疑で聴き始めたジャベドは、「自分のことを歌っているのか」と思うほど心を揺さぶられます。スプリングスティーンの歌詞には、階級、孤独、自由への渇望――まさに自分の現実と同じテーマが刻まれていたのです。
音楽に背中を押され、彼は初めて自分の詩を学校の授業で披露します。教師のロージー(ヘイリー・アトウェル)は彼の才能を認め、作家になる夢を応援してくれます。
さらに、政治活動に関心をもつ女子生徒エルヴィス(ネル・ウィリアムズ)と出会い、恋も芽生えます。
スプリングスティーンの音楽を通して、ジャベドは初めて「自分の声」で世界と向き合い始めます。
『カセットテープダイアリーズ』あらすじ結末まで〜ネタバレ閲覧注意!
スプリングスティーンの曲に導かれるように、ジャベドは自分の詩を新聞に投稿し、少しずつ夢に近づいていきます。しかし、家族の現実は厳しく、父親が失業したことで家計はさらに苦しくなります。
父は「物書きになる夢など捨てろ」と息子に迫り、二人の間の溝は深まります。
そんな中、アメリカ・ニュージャージー(スプリングスティーンの故郷)を訪れるチャンスがジャベドにやってきます。
ジャベドは思い切って旅に出ます。
しかし喜びも束の間、ルートンでは暴動が発生。ジャベドは、自分だけが夢を追い、家族を置き去りにした罪悪感に苛まれます。
卒業式の日、ジャベドはスピーチの場で、ブルース・スプリングスティーンの詞を引用しながら自分の心をまっすぐに語ります。
その真摯な言葉に、父とジャベドに邂逅が訪れます。
映画のラスト、ジャベドは大学へ進学し、夢だったライターの道へと歩き出します。
新たな住まいへ父と向かう車中のカーステレオには、かつて友人から渡されたスプリングスティーンのカセットテープが。
彼にとってそれは、人生を変えた“希望の音”そのものでした。
『カセットテープ・ダイアリーズ』実話に基づいたストーリー
先にも書きましたが、『カセットテープ・ダイアリーズ』は、単なるフィクションではなく、サルフラズ・マンズールの実話をもとにしています。
映画の中でも描かれる「父との衝突」「極右による移民排斥デモ」「高校新聞への寄稿」などは、実際に彼が体験したことです。
🎤 Blinded by the Light
「光に目がくらみながらも前に進む」
映画の原題もスプリングスティーンの実際の楽曲から取られており、劇中のクライマックスに深い意味を持って登場します。
『カセットテープ・ダイアリーズ』考察・感想
「親との確執」「移民への差別」がストーリーを進めます
先にも書きましたが、映画『カセットテープ・ダイアリーズ』は、実話を下敷きに主人公たちが歌い踊るミュージカル仕立てムービーです。
「親との確執」「移民への差別」が物語の中、要所要所で曲がり角を作り、物語をぐいぐい進ませます。
その「親との確執」「移民への差別」を主人公はどう乗り越えていくのか??が『カセットテープ・ダイアリーズ』の鍵となっています。
しかし、グリンダ・チャーダ監督は、決して堅苦しい映画表現はしていません。そういったことへの答えをブルーススプリングスティーンの歌詞で置き換えたり、歌詞をジャベドらに踊り歌わせたりする「ミュージカルスタイル」をとることで、しっかりとミュージックエンターティメント映画に仕上げています。
『カセットテープ・ダイアリーズ』を観ているうちに、ぼくは勝手にジャベドの友達になった気分で、笑顔と涙で応援していました。
『カセットテープ・ダイアリーズ』は「人生の応援歌」と言っていい一本だと思います。
王道で練られた脚本が光る
『カセットテープ・ダイアリーズ』の物語の構成は、映画の王道を踏襲しています。
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ボーイ・ミーツ・ガール
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現れる“賢者”ポジションの先生
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親との対立
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社会的な障害(差別)
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小さな成功と挫折の繰り返し
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そしてクライマックスでの“凱旋”
このような構成は、例えば『スター・ウォーズ』や『ロッキー』にも見られる普遍的な“ヒーローズ・ジャーニー”です。
『カセットテープ・ダイアリーズ』は、それを現代の移民の少年の物語として落とし込み、共感できる形にブラッシュアップしています。
もちろん『スター・ウォーズ』や『ロッキー』と内容は異なりますけれども、ぼくは観終わって同じようなカタルシスを感じました。
『カセットテープダイアリーズ』考察・感想〜ジャベド流チャンスのつかみ方
「チャンスは回り道の先にある」
映画を通して強く感じたのは、「チャンスを掴むには近道なんてない」ということ。
ジャベドが新聞社の仕事を得るまでも、何度も断られ、悩み、挑戦を続けます。
それでも彼はあきらめませんでした。
その過程で「さりげなく背中を押してくれる大人たち=国語教師や近所の老人」と出会い、道を切り開いていくのです。
人生を変える”人”は、いつも静かに、そっと手を差し伸べてくれるものだ…..。そんな「出会いの奇跡」もまた本作の大きなテーマだと感じました。
ゴールへの早道なんてない
『カセットテープ・ダイアリーズ』が暗に表現しているのは、「右がダメなら左に進んでみようよ。ダメダメシチュエーションでも繰り返しぶつかっていこうよ」という真理です。
夢を叶えるためには、繰り返しのアタックが遠回りのように見えつつも実は最短距離なのだ….という真理でもあります。
ゴールへの早道近道なんて、やはり無いんですね。
道を示してくれる「キーマン」の現れ方
また、この映画から僕が教えられたことの一つに、「人生のキーマンとなる「誰か」は、さりげなく自分の人生に現れて、スッと去っていくものだ」ということがありました。
映画の中では、国語教師のグレイ先生の「さりげなさ」をもって描かれています。
グレイ先生を演じたのはヘイリー・アトウェルですが、素敵でした。イギリス人女優です。アベンジャーシリーズや、ミッション:インポッシブル デッドレコニングといったハリウッド映画でも活躍している女優さんです。
『カセットテープダイアリーズ』考察〜歌詞の映像化が革新的
本作の見どころの一つが、歌詞の映像表現です。
スプリングスティーンの言葉が、映像の中に文字として現れ、ジャベドの心の内面とリンクするという、音楽映画では観たことがなかった演出です。
特に印象的だったのは「Thunder Road(涙のサンダーロード)」を使った愛の告白シーン。歌詞が風に乗るように町中に浮かび上がり、感情が視覚的に伝わってきました。
この革新的な演出により、観客も自然と歌詞に引き込まれ、「言葉の力」に気づかされます。
『カセットテープ・ダイアリーズ』の魅力とは?
『カセットテープ・ダイアリーズ』の魅力を箇条書きにするなら、以下の4つになるでしょうか。
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🎵 ブルース・スプリングスティーンの名曲が心にダイレクトに響いてくる
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✍️ 書くこと・言葉の力を信じる主人公への共感
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🇬🇧 英国作品らしい“シミジミ感”漂うミュージカル表現
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💬 実話だからこそ感じられるリアリティ
ミュージカル仕立てでありながら、ハリウッドのようなド派手さではなく、どこか控えめで温かい。これこそが「イギリスらしさ」であり、『カセットテープ・ダイアリーズ』ならではの魅力なのだと思います。
『カセットテープ・ダイアリーズ』〜邦題に隠された意味
『カセットテープ・ダイアリーズ』の原題は『Blinded by the Light』です。これはブルース・スプリングスティーンの楽曲で「光に目もくらみ」と訳されています。
『カセットテープ・ダイアリーズ』の中ではクライマックスのジャベド受賞トークシーンで「光に目もくらみ」のことがジャベドによって話されます。
その原題を『カセットテープ・ダイアリーズ』という邦題に置き換えたのは、素晴らしいな、と思いました。
なぜなら、冒頭で幼年時代のジャベドが幼馴染から日記帳=ノートをもらいます。以来、ジャベドの本棚には詩や言葉が綴られたノート(日記帳だと思います)がずらりと並んでいくのです。
映画ではそのノート=日記帳が、物語の隠れアイテムとなっているのです。
ジャベドの宝物であるカセットテープウォークマンと、思いのたけを綴った日記帳。この二つを邦題として冠した配給会社のセンスは素晴らしいと思いました。
ちなみに『Blinded by the Light』の曲が劇中のどこで流れているかを書いておきましょう。
それはジャベドとループスが、アメリカ・ニュージャージーのアズベリーパークを訪問するシーンです。スプリングスティーンファンにとって聖地でもあるアズベリーパークのシーンで流すとは、なんとも粋な演出です。(※こちらがブルース・スプリングスティーン&Eストリートバンドのプレイする『Blinded by the Light』です↓)
評価|『カセットテープ・ダイアリーズ』は“人生の応援歌”
ブルース・スプリングスティーンの音楽に背中を押され、自分の夢に向かって一歩ずつ進む青年の姿に、自分を重ねる人も多いのではないでしょうか。
「人生は遠回りの連続だけど、信じて進めばきっと光が見える」
そんなメッセージを、静かに、でも確かに伝えてくれる名作だと思います。
何を隠そう、ぼく自身スプリングスティーンファンでもあります…なので、ぼくの評価は、文句なしの星5つ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️です。
📌『カセットテープ・ダイアリーズ』はこんな人におすすめ
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ブルース・スプリングスティーンが好き
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移民や差別の問題に興味がある
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英国映画の雰囲気が好き
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青春映画が見たい
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元気や勇気をもらいたい
『カセットテープ・ダイアリーズ』配信は?
配信は U-NEXT/HULU /FODプレミアムで配信中です(2023年6月現在)
レンタルは Prime Video/ DMM TV/RAKUTEN TV/クランクインビデオでレンタルできるようです。
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