映画『丘の上の本屋さん』ネタバレあらすじ考察評価〜名言・キャスト・ロケ地情報まで

ヒューマン・ハートフル

こんにちは!映画好き絵描きのタクです。 もし、素敵な風景に囲まれた丘の上に、小さな本屋さんがあったなら、こっそり覗いてみたいと思いませんか?




「幸せとはなんだろう?」「日々を生きるってどういうこと?」

そんな答えが見つかるかもしれない、小さな宝石のような映画が今回レビューで取り上げる『丘の上の本屋さん』です。

ロケされたのは、「イタリアで最も美しい村」にも選ばれたチヴィテッラ・デル・トロント。

では、『丘の上の本屋さん』を観に、イタリアトスカーナへとムービートリップしてみましょう。




最初に予告編を貼っておきますね。




『丘の上の本屋さん』解説〜スタッフ・キャスト

どんな映画?

『丘の上の本屋さん』の舞台はイタリア・トスカーナの丘の上に佇む小さな村です。

主人公は時間が残り少なくなってきた店主の老人と本屋にやってくる少年です。

店主が小さな古書店人生で得てきた珠玉のセリフが、店に立ち寄るアフリカ移民の男の子、近所の友人たち、そして時折訪れる客たちの間で交わされます。

映画の見どころは、小さな町での淡々と繰り返される日々。その静かな描写が素敵な映画です。

以下に公式サイトの解説を転載しておきます。

イタリアの風光明媚な丘陵地帯を見下ろす丘の上の小さな古書店。訪れる風変りな客たちを温かく迎え入れるリベロの店は街のちょっとしたオアシス的な存在でもある。ある日、店の外で本を眺める移民の少年エシエンに声を掛けたリベロは、好奇心旺盛なエシエンに、コミックから児童文学、中編小説、長編大作、さらに専門書まで次々と店の本を貸し与えていく。エシエンから感想を聞きながら、様々な知識やものの見方や考え方など、リベロはジャンルを超えて叡智を授ける。そしてイタリア語で「自由(Libero)」を意味する自身の名の通り、エシエンに自由であること、誰もが幸せになる権利を持つことを伝えていくのだった。
物語の舞台となる “イタリアの最も美しい村”のひとつ、チヴィテッラ・デル・トロントの息をのむ絶景や、石造りの歴史ある街並みを味わえるのも本作の大きな魅力。リベロとエシエンの交流を軸に、古書店に集まってくるユーモラスで個性あふれる人々、繰り返される日々の暮らし、小さな幸福は愛おしく観る者の心に染みこむ。そして人生を豊かに形づくるヒントが詰まったリベロの「幸せのブックリスト」は観客の知的好奇心を刺激する。リベロ役のレモ・ジローネは、『フォードvsフェラーリ』(19)、『我が名はヴェンデッタ』(22)など映画や舞台、テレビなど幅広く活躍してきた大ベテラン。本作の製作にはユニセフ・イタリアが共同製作として参加している。

監督:クラウディオ・ロッシ・マッシミ / 脚本:クラウディオ・ロッシ・マッシミ
キャスト:レモ・ジローネ(リベロ)/  ディディー・ローレンツ・チュンブ(エシエン) / コッラード・フォルトゥーナ(ニコラ) / 他




『丘の上の本屋さん』あらすじは?

ではまず、さらりとあらすじを紹介しておきますね。ネタバレもありますので、あらすじ観ないで映画を観たい方は、スルーしてください。

舞台はトスカーナ地方の丘の上にある小さな町。町は城砦でぐるりと囲まれ、中世のたたずまいそのままだ。

トスカーナの風景を見下ろす城壁のすぐそばにある、小さな古書店。店の主人は初人生の先が短くなってきた、リベロ。

隣には一軒のカフェ。若い友人のニコラが働く。店をサボっては古書店に顔を出すニコラ。彼は店に時折顔を見せるキアラが気になってしょうがない。そんなニコラを暖かく見守るリベロだ。

ある日、古書店に数冊の古本を買い取って欲しいと町の男が立ち寄る。

ゴミ箱から拾ったというその中には一冊の日記ノートがあった。その日記を静かに開くリベロ。日記から立ち上がってくるのは一人の女性の人生だ。

また別の日、一人の少年が店にやってくる。アフリカからの移民の子、エシエンだ。

小遣いがないエシエンに、リベロは、漫画本を貸し出す。

翌日、本を返しにくるエシエン。

その日から、リベロはエシエンに一冊づつ本を貸し始め、物語を通してエシエンとの交流が始まる…。

あらすじはこんな感じです。

あらすじ、といっても静かな日常と本を通した会話がストーリーを進める映画です。ですが、その日常と会話が絶品です。



『丘の上の本屋さん』あらすじラストまで〜ネタバレ注意

以下にネタバレになるラストまで書いておきます。閲覧注意です

貸し出す一冊一冊を大切に読んでくれるエシエンに、リベロは一冊の本を手渡す。

「この本は返さなくていい。プレゼントだ。君にとって大切なことがこの本には書かれている」

難しい本だったのだろうか? エシエンが時間をかけてようやく読み終わり、古書店を訪れる。

すると店のドアに貼られていたのは、店主リベロの訃報…。

プレゼントのその本は、病に冒されていたリベロからエシエンへの「遺言」でもあったのだ。

手渡された本に書かれた言葉が映画の最後を締めくくる。その本は、「世界人権宣言」

書かれていたのはこんな言葉だった。

「人生で一番大切な事は、幸せになる権利だ」

では、ぼくの感想レビューにすすみます。



『丘の上の本屋さん』ぼくの感想

『丘の上の本屋さん』で描かれるのは「当たり前の日々の愛おしさ」

映画には様々なジャンルがありますよね。アクションでハラハラな非日常に遊ぶ映画もあれば、ロマンスにドキドキと心をときめかせる2時間もあります。

『丘の上の本屋さん』にはそんなハラハラもドキドキもありません。

ですが、ハラハラドキドキにはない「普通の日の愛しさ」がていねいに描かれていました。

それはもう、ぎゅーっと抱きしめたくなるような「愛しさ」。

古書店にやってくる客も、それぞれが繋がりのない「ごく普通の人々」です。

そんな人々が、本を選び、あるいは探している本はないか?と店主リブラと話すのですが、映画を観ているうちに、ふと「古書の気持ち」になっている自分に気づきました。

不思議な感覚でした。だって、「本の気持ち」、ですよ。

「古書は、それぞれが縁を求めて、出会う人との人生(本の人生)を楽しんでいるみたいだな」、、、うまく言えませんが、そんな感じなのです。新鮮な感覚でした。

劇中、リベロは、少年エシエンに、「今日はこれを貸すよ」と、一冊ずつ本を選び、貸し続けます。

エシエンが読み終えて持ってくると、リベロはエシエンに、貸した本の「ひとこと感想」を求めます。

エシエンはよく考えて、正直に答えます。エシエンの感想に対してリベロが返す言葉は、全てとても示唆に富み、宝石のような輝きに満ちています。

観ているぼくは、エシエンが本を返しにくるたびに、「繰り返されるその対話」を心待ちにするようになっていました。



ブックリスト〜どんな本が登場するの?

ちなみに、劇中でリベロがエシエンに貸し出した本の名前は、ネタバレになりますが、

「ピノキオ」

「イソップ物語」

「星の王子さま」

「白鯨」

です。

「ピノキオ」を読んだエシエンが、感想を求められ、どう答えたのか?

その答えにリベラはなんと返したのか…?

その対話を書き留めたくなるほど、映画の中には素敵な言葉たちが溢れています。

リベロとエシエンの会話に限らず、リベロとニコラの会話もまた絶品です。

ぼくは、登場人物のセリフのやりとりのあっちこっちに、ニヤリとしたり、

「そう答えるか!」と膝を打ったりしていました。

 

映画『丘の上の本屋さん』の中で交わされるセリフたちは、それは最上の人生を味わうような対話集でもありました。



『丘の上の本屋さん』ぼくの評価は?

ぼくの評価は星4つ

実に静かな映画ですが、深いメッセージを丁寧に描きこんだ映画でした。

ぼくの評価は五つ星中、星四つです。

ここからは評価に至った考察を二つ書いておきます。



『丘の上の本屋さん』まとめ考察

何気なさが導く普遍的なメッセージ

映画の中で舞台となるのは、古書店と隣近所。そしてエシエンがいつも借りた本を読み始める公園です。実に実に狭いエリアです。ところが時々、丘の上から遠くを見下ろした、これまた何気ないトスカーナの田園風景が挟まれます。

映画はどこまでも何気ない日常、そして何気ない風景を描き続けます。

ここに『丘の上の本屋さん』のメッセージが隠れていると、ぼくは感じました。

『丘の上の本屋さん』の制作陣が映画に託したメッセージの一つは「普通の日々、当たり前の風景の中にこそ、最高の美しさは潜んでいるんだ」というシンプルな、しかし、普遍的なことだったように思えます。

そんなセリフはもちろんどこにも出てきません。が、それがぼくの受け取ったメッセージです。

『丘の上の本屋さん』の名言たち

劇中、登場人物がかわす会話がとても印象に残りました。

好きないくつかのセリフ〜名言を以下にメモしておきますね。

「そんなことを紳士の口から言えるわけがないだろ。」…ニコラ

「欲深い人は、あるものをもっと欲しがる。いい感じの人には気をつけろ」…ピノキオの本の対話から

「汝 常に希望を選ぶべし」…セネカ

「これぞ、文化だ。」…教授

「人生で1番大切な事は、幸せになる権利だ」…(世界人権宣言)

 

僕にとって、『丘の上の本屋さん』は、何度も繰り返し観たい映画となりました。

そう、映画の中でもリべロがエシエンに言う、こんなセリフがありました。そのセリフでレビューを終わりにしたいと思います。

「本は、2度読むんだ。最初は理解するため。2度目は考えるため」

あっ、そうか、、、映画も同じ、ですね。



『丘の上の本屋さん』ロケ地情報

映画の舞台となった小さな村のロケ地に選ばれたのは、 “イタリアの最も美しい村”のひとつと言われるチヴィテッラ・デル・トロント=Civitella del Tronto=です。アブルッツオ州・テラーモ県にあります。ローマの東に位置していますね。

小高い丘の上にある村ですが、元々外敵の襲撃をいち早く察することができるように、見晴らしの良い丘の上に作られたという歴史があります。(その集落形態はイタリアに結構多くあります。)

『イタリアに住んだネギ』さんのサイトで詳しく紹介されていましたので、ロケ地巡礼してみたい方はご一読をオススメします。↓

チヴィテッラ・デル・トロント【イタリアの最も美しい村と広大な要塞】
「イタリアの最も美しい村」のひとつとされているチヴィテッラ・デル・トロント(Civitella del Tronto)はアブルッツォ州テラモ県にあります。 この街にはイタリアで一番狭い階段と、イタリアで唯一陥落しなかった城砦があります。

『丘の上の本屋さん』のレンタル、配信情報

U-NEXT/RAKUTEN TV/TELASA/クランクインVIDEOでレンタルできます。




コメント

タイトルとURLをコピーしました