『ショーシャンクの空に』ネタバレ考察・感想レビュー:評価・星⭐️⭐️⭐️⭐️✨四つ半
こんにちは、映画好き絵描きのタクです。今回取り上げる映画は『ショーシャンクの空に』。フランク・ダラボン監督の1994年の公開作品です。(アメリカ映画)主人公は冤罪で刑務所に入れられた銀行員。収監されている男たちとのエピソードを通して希望のありかを静かに問うヒューマン・ドラマです。原題は『The Shawshank Redemption』直訳すると「ショーシャンクの贖い」となります。
映画の受け取り方は、見る年齢によって違うものだと、改めて思います。
『ショーシャンクの空へ』は、過去、2、3度、観ていると思います。よくネット上の「おすすめベストムービー」なんかでも必ず入ってくるようなビッグネーム良品ムービーです。
還暦をすぎて、多分10年ぶりくらいに再見した『ショーシャンクの空』です。今回の突き刺さってきたツボは、今までとは違ったところでした。
最初に言っちゃいます。それは、「刑務所の壁と社会の目に見えない壁、誰でもが壁に囲まれて生きている。自分を囲む目に見えない壁は、もしかすると刑務所の壁よりも高い壁なのかも、、、」というざわつき感でした。
久々に見た『ショーシャンクの空に』を見終わって、僕はそんなふうに感じている自分自身に戸惑っていました。今回はそんな映画感想文です。あらすじや解説もありますので、ネタバレ必至です。くれぐれも自己判断で読み進めてくださいね。
『ショーシャンクの空に』予告編(4Kリマスター版)
『ショーシャンクの空へ』解説〜どんな映画?
原作はスティーヴン・キングの小説『刑務所のリタ・ヘイワース(Rita Hayworth and Shawshank Redemption)』。監督・脚本はフランク・ダラボン。彼の初監督作品です。
ちなみにスティーヴン・キングだからといってホラーではありません。
キャストは、主人公の銀行員アンドリュー・デュフレーン(アンディ)をティム・ロビンス、囚人仲間の調達屋エリス・レディング(レッド)をモーガン・フリーマン、サミュエル・ノートン刑務所長をボブ・ガントンが演じています。
主役を支えるモーガン・フリーマンが、その存在感で逆にほぼ主役でもありますね。
脇役陣はダラボンファミリーというかんじの布陣。皆、どっしりと安定感、ありますよ。
『ショーシャンクの空に』ネタバレあらすじです
あらすじはネタバレを含みます。くれぐれも自己判断で読み進めてください。
冤罪そして絶望
1947年、銀行の副頭取をしていたアンディ・デュフレーンは、妻とその愛人を殺した罪で冤罪を訴えながらも終身刑となり、ショーシャンク刑務所へ送られます。
アンディは、慣れない過酷な刑務所生活の中、調達屋として知られるレッドと出会い、少しずつ心を通わせていきます。
友情
鉱物採集が趣味のアンディは、レッドにロックハンマーを入手してくれと頼んだことをきっかけに友情を深めます。
非道な暴力にさらされながらも、老囚人ブルックスの管理する図書係となったアンディは、塀の中に希望の種を蒔いていきます。
人生を変える図書館
アンディの熱意で図書室は少しずつ充実していきます。
一方、仮釈放された老囚人ブルックスは、外の世界に馴染めず、自ら命を絶ってしまいます。
塀の中と外、どちらにも自由はないのかもしれない、、、
アンディはそれでも仲間たちに希望の力を語り続けます。
冤罪の証拠
きのいい新入りの若い囚人、トミーが現れ、アンディの冤罪に関する証言をもたらします。
しかし、所長はそれを握りつぶし、証拠を握るトミーを射殺。アンディは独房に収監されます。
地獄の日々に抜け殻のようになったアンディをレッドは気遣いますが、そこでアンディは不思議な言葉を口にします、、、。
『ショーシャンクの空へ』あらすじ結末ラストまで
以下は結末までのネタバレとなります。映画を見たい方はスルーしてください。
樫の木を探せ
希望を絶たれたように見えていたアンディはレッドにこう告げるのです。
「とある農園の樫の木の下に石を探してくれ。」
そして、ある日突然、失踪。
実は、彼は20年かけて壁を掘り、脱獄のための抜け穴を掘り進めていたのです。
自由との再会
脱獄したアンディは所長の不正を暴き、見事に他人となって、世間から消えます。
やがて仮釈放されたレッドは、アンディの残した手紙に書かれた「海辺の町ジワタネホにきてほしい」の言葉に導かれ、太平洋へ。
白い砂浜を歩くレッド。青い海の前にアンディの姿を見つけ、エンドロール。
『ショーシャンクの空へ』感想
アンディの静けさと刑務所の過酷さ
導入は法廷の様子と男と女の密会がクロスしつつ始まります。
それらにかぶさってくる主人公の銀行員アンディの呆然とした顔。
彼は無実を主張するも終身刑となり、ショーシャンク刑務所での過酷な生活がスタートします。ここまでの畳み掛けはスピーディであっという間。
囚人たちが刑務所内で並ばせられるシーンは、ダークな影を上手く使い、カメラでドラマに集中させる演出がさすがです。
同時にドラマを後半まで引っ張るモーガン・フリーマン演じるレッドや仲間たちがその場で登場してきます。主要人物は、このオープニングから10分程度で勢揃いしますので、わかりやすい!。
こういうツカミ集中型のスタートダッシュ、ぼくは好きです。
そして、ほぼ何も話さず表情を変えないアンディの静けさが、逆に刑務所のどぎつさ、暴力、過酷さを浮き彫りにします。アンディの表情と刑務所の表情の絶妙な対比ですよね。
「対比」って、こんなふうに上手い使い方をすると無茶苦茶互いに引き立てます。
刑務所内に溢れる希望の象徴
アンディは暴力や孤独に耐えながら、財務の知識で看守の信頼を得ます。そしてレッドとの絆が深まり、刑務所の生活に一条の光が差し始めます。
それは物語の中盤、アンディが本を入手しレコードをかけるシーンです。そこでとあるメッセージをぼくは勝手に受け取りました。
その一条の光とは、音楽と本なのです。「希望の象徴」として使われる小道具が、芸術と読書なのですよ。なんて素晴らしいメッセージ!
そして、本が、音楽が、囚人たちの心を少しばかり柔らかく解き、レッドたちの心にアンディは友として刻まれていきます。
「芸術と読書は全ての門を開く」、、、そうスティーブン・キングは考えて本にそんなエッセンスを忍ばせて書いたんじゃないかしら?
ブルックスの悲劇と“自由”のモロさ
図書室の充実を目指すアンディですが、一方で仮釈放された老囚人ブルックスの衝撃的な最期が、塀の中の囚人たちに暗い影を落とします。
その影は、「自由とはいったい何者なのか」を問いかけるものです。
老囚人ブルックスにとっては、50年の服役によって、悲しいかな自由は塀の中にあるもの、、、にすり替わっていました。
レッドでさえも、長い服役のため、塀の外の自由に、すくみ始めます。
二人がいわゆるシャバに出たあとの戸惑うシーンを見て、ぼくはドキッとしました。
いわゆる塀の外にぼくらはいますが、何かのコミュニティに属しています。それは会社だったり地域コミュニティだったり、あるいは組織だったりです。そんなコミュニティは、煉瓦積みのブロックこそないけれど、目に見えない塀ではないか、との思いが胸を通り過ぎましたのです。
自由とは、心の状態です。
脱獄映画の傑作が叫ぶ「我はここにあり」
「選択肢は2つだ。必死に生きるか。必死に死ぬか。」
この意味深いセリフは、刑務所の庭でアンディがレッドに最後にあった時、レッドに向かって口にした言葉です。
シンプルです。だけど、受け取った人100人いたら100人が多分微妙に異なった解釈をするセリフだと思います。とっても哲学的な言葉です。(英語ではなんと言っているのかな、、、。ちょっとわからない、ごめんなさい。)
この「必死に」というワードは、仮釈放で50年という過ぎ去ってしまった時に「必死に立ち向かった」けれど死を選んだブルックスの生き方(死に方ではない)から生まれています。(たぶん)
また、「我はここにあり」という意味の言葉も『ショーシャンクの空に』を考える時、大事なキーワードです。このワードも、ブルックスとレッドの「存在」にかかってくるのです。
ぼくらは、レッドやブルックスと同じく、常に二股に別れてゆく道に立っているのではないでしょうか?
ブルックスのような命の終わらせ方も僕は決して否定しません。ブルックスもハードに生きたのです。しかし希望が全くなかった。
『希望こそが「我はここにあり」を常に前に進めるんだ。希望こそ「人生を動かす力」なんだよ。』
今回『ショーシャンクの空に』を見直して、僕はそう言われている気がしてなりませんでした。
エンドロールにテロップされるアレン・グリーンとは誰?
さて、そんな『ショーシャンクの空に』ですが、エンドクレジットに「アレン・グリーンに捧ぐ」とのテロップがインサートされますが、一体誰?と気になる方多いでしょう。なので調べてみました。
アレン・グリーンは,映画エージェントで監督のフランク・ダラボンの古くからの友人のようです。この映画の完成直前に亡くなったんですね。『ショーシャンクの空』はその彼に捧げられている、、、。
ダラボン監督にとってアレン・グリーン氏は、アンディとレッドのような強い絆の友だった、、、と僕は勝手に想像しています。
『ショーシャンクの空に』ぼくの評価は?
『ショーシャンクの空に』は、運命的な偶然や、スピリチュアルなミラクルが起こるといった、派手な映画ではありません。
囚人仲間の調達屋レッド(モーガン・フリーマン) の独り言のようなナレーションが淡々と続くにも関わらず、まったく飽きさせません。
それは、映画の持つ行間が素晴らしいから。
原作がスティーブン・キングですが、キングの物語によくある(と思う)、「なんでこのエピソードが延々続くんだ?って読み進めていたら、後半なるほど納得!」のパターンがこの映画でも生きています。
地味な映画かもしれませんが、ぼくは好き。評価は星四つ半⭐️⭐️⭐️⭐️✨です。
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