『シス 不死身の男』マッド系戦争アクションネタバレあらすじから感想評価まで

スリラー・SF・アクション

  こんにちは、映画好き絵描きのタクです。今回取り上げる映画は、『シス 不死身の男』。予告編での「ハメ外し感」がバリバリでした。なので、観ました。第二次大戦末期、フィンランドを舞台にしたバイオレンスアクション映画です。




主人公は、金を掘り当てた元特殊部隊のはみ出し者爺さんアアタミ。敵役はドイツ軍。爺さんアアタミは、飛び道具一切ナシでナチスドイツ陸軍と渡り合います。

そんな破天荒バイオレンス感プンプンな『SISU/シス 不死身の男』をレビューしてみます。

『シス 不死身の男』予告編




『シス 不死身の男』スタッフ・キャスト

監督:
キャスト: ヨルマ・トンミラ / アクセル・ヘニー / ジャック・ドゥーラン / ミモサ・ビッラモ / オンニ・トンミラ
英題:SISU

主人公アアタミを演じたのは「レア・エクスポーツ 囚われのサンタクロース」のヨルマ・トンミラ。敵役ヘルドルフ中尉を演じたのは「オデッセイ」のアクセル・ヘニー。監督・脚本のヤルマリ・ヘランダーは「ビッグゲーム 大統領と少年ハンター」を撮っている監督です。



『シス 不死身の男』どんな映画?

予告編では「マッドマックス×ランボー」とテロップ流れます。

一言でいうなら、マカロニウェスタンの第二次世界大戦版×バンド・デシネ(コミック)という感じでしょうか。

実は腕が立つ主人公がフトドキな奴らと出会ってしまい、途中コテンパンにやられます。

生死の境さまよい、しかし奇跡の復活。

ラストはワルい奴らをコテンパンにやっつける。

マカロニウェスタン定番スタイルに、ブラッディソースかけて今に甦らせた…そんな感じでしょうか。

ツッコミどころ満載ですが、マカロニウェスタン系アクションにツッコミはヤボってもんです。「このテの映画は、細かいことグダグダ言わずにとことん楽しんで観る!」という方、オススメだと思います。



ちなみに『シス』の意味は?

タイトルの「SISU(シス)」(フィンランド語)の意味は、「絶望の淵に現れる不屈の精神」といった意味合いらしいです。「日本語への翻訳は難しい」とのテロップが映画冒頭で出ます。

Google翻訳で調べてみましたが、フィンランド語で「SISU」と入力すると、日本語では「行く」と訳されます。「すべての希望が失われたときに現れるという、不屈の精神」とは流石に出てきませんでした。

でも、「SISU:行く」は、意訳すると「前に進む」になりますから、さらに拡大解釈するならば「たとえどんなことがあっても立ち止まらない」=<=「不屈の精神」と辿り着きそうな気がします。



『シス 不死身の男』登場する犬のカワイイこと

『シス 不死身の男』は、肉片飛び散るマッド系バイオレンスアクションです。

が、一匹の犬「ウッコ」が主人公アアタミの愛犬として登場します。

その「ウッコ」の可愛らしさといったらありません。

『シス 不死身の男』と同じような不死身ヒーロー主役のバイオレンス映画『ジョン・ウィック』でもワンコがいい脇役をしていました。

やっぱり不死身ヒーローの友は、「献身的なワンコ」なんだと思います。「我が道をいくニャンコ」じゃ役不足です。

SNSでも随分「登場する犬がカワイイ」と人気だったようです。

見た目フワフワで全然逞しくもないし、役に立つか?…というとそうでもないんだけど、不死身のアアタミと真逆なのが魅力なんですね、きっと。

「映画.com」さんが、愛犬ウッコの魅力をラブ全開で記事にしていました。その記事を一部転載しておきます。  ちなみにどうでもよいけど、ぼくは犬派。

試写会での上映後、必ず話題になっていたのがアアタミの“道連れ”ともいえる愛犬ウッコの存在だ。正直、役には立たない、攻撃能力も皆無で、特別に賢いわけでもない。おまけに、敵に捕らわれ、利用され、アアタミが不利な状況に陥る場面も存在している。しかし、そんなことはどうでもよくなるほど“可愛すぎる”……!
愛犬ウッコは、映画開始早々にアアタミとはぐれてしまう……。凍てつく荒野、危険すぎる地雷原、敵意むき出しのイカつい軍用犬を連れたナチス戦車隊のいる戦場で、果たして生き残れるのか?

映画の冒頭、主人公アアタミ男と愛犬ウッコをとらえた西部劇風の情景が広がる。ウッコは孤独な旅を続けるアアタミのかけがえのない相棒なのだ。だが不運にも彼らはナチス戦車隊に遭遇、これから始まる戦闘を予感したアアタミは無言で犬に「行け!」と命じる。素直に駆け出していくウッコは地雷原を全力疾走で駆け抜け、さらに敵兵の乱射の中、辛くも逃げ延びる。

一度は観客の視界から消えたウッコだが、物語の中盤、困った形で再登場を果たす。狡猾なナチスは“この犬がアアタミを捜して駆け寄る”と見越してウッコを捕獲。そして、爆薬を巻き付けて野に放ったのだ。案の定、愛する主人アアタミを見つけて駆け寄るウッコだが……。

(中略)
銃撃を浴びながら荒野を逃げ惑うウッコの姿を活写。後半にはドイツ軍からぶんどったツェンダップのバイクで疾走するアアタミと、サイドカーでほわほわの毛をなびかせるウッコ。ワンコを愛する心優しい皆さま、安心してください。ウッコは“無事”です。

なお、ウッコは主人公・アアタミを演じたトンミラが実際に飼っている愛犬。イギリス原産のベドリントン・テリアという犬種で牧羊犬などに適した活発な犬だ。あまりに人なつっこく、撮影中もナチス役の敵兵から逃げなければいけないシーンでは相手の俳優になついてしまい、ヤルマリ・ヘランダー監督を困らせたようだ。




『シス 不死身の男』は実話なの?

歴史舞台、それも第二次世界大戦が舞台、おまけに占領軍に立ち向かう英雄ストーリーとなると、この映画が実話かどうか気になる方もいるかもですが、もちろん実話ではありません。

ただ、第二次世界大戦時、ドイツがフィンランドを占領していたことは事実です。フィンランドではすごい興行成績だったようです。なんか、わかるなあ。



『シス 不死身の男』あらすじ

舞台は第二次世界大戦末期のフィンランド。

元特殊部隊最強と言われた、初老の男アアタミ・コルピが金を掘り当てる。

彼はドイツ軍の戦車兵へルドルフ中尉率いる部隊に遭遇。部隊はフィンランドの女性たちを拉致していた。

そんなドイツ軍に命を狙われることになるアアタミ。

しかし彼は特殊部隊の生え抜きとして、対ロシア戦で名を馳せた古強者だった。

アアタミは、」フィンランド流不屈の精神「シス」とツルハシ1本、そして強靭な精神力でドイツ軍に立ち向かう…

…といったあらすじです。



結末ラスト〜ネタバレ閲覧注意。

一度はドイツ軍に捕まり縛り首になるアアタミだが、不屈の精神力で難局を脱する。

奪われた金を取り戻すべく、ドイツ軍への追撃が始まる。

1人また1人と血祭りにあげられていくドイツ兵たち。

クライマックスは、ヘルドルフ中尉が飛行機で脱出。

アアタミはツルハシ一本で離陸直前の機体にしがみつき、戦いの場は機内へと移る。

ヘルドルフ中尉を倒すものの、機は地面に激突。

満身創痍となったアアタミは、それでも金を取り戻し、ヘルシンキの銀行へと現れる。

「身軽な札に換金してくれ」という一言が映画の幕となる。



『シス 不死身の男』ぼくの感想レビュー

ブレーキなしのノンストップバイオレンス

「これ以上飛ばしたらやばいなあ」と、ブレーキをかける一線って、ありますよね。

『シス 不死身の男』の演出は、あえてそのブレーキをかけてません。

敵兵はアアタミにナイフで頭を串刺しにされるし、地雷原に踏み込んだ兵士は地雷で肉片細切れになる。

敵の放つ雨あられの銃弾をアアタミは砂金とりの鉄皿で跳ね返すんですから、そうですね、まさにコミック:バンド・デシネを映画にした感じでありました。

そういう羽目はずしを「これもあり!」とノリで観れるなら、めっぽう楽しめます。ぼくは楽しんで観てました。



マカロニウェスタン×無敵ヒーロー×一見戦えそうにない爺さん

一見、ナチスドイツを相手に戦えそうにない爺さんが主役です。

ですが、強い。タフです。

首括られても、おのれの肉体をバール替わりにして吊られた柱から脱出します。

ほんと、死にません。

マカロニウェスタンでも、主役はだいたい一度は痛めつけられます。ダメージ食らった体を引きずって、ラストは敵役をやっつけます。

『シス 不死身の男』でも痛い表現がいくつもありますが、どれもアアタミの肉体にダメージを与えません。いや、ダメージは食らっているのでしょうが、そんなもんどこ吹く風で敵に立ち向かいます。

タイトルに直球で「不死身の男」とつけているのは、その不死身さに配給会社の担当者も「あっぱれ」と思ったからに違いない…と思います。

拉致されたフィンランド女性たちの謎

ドイツ軍のトラックになぜかフィンランド女性たちが囚われています。なぜなのか理由も明かされず話は進みます。

結局最後までわからずじまいですが、「まあ、それもヨシとしよう..」.と思わせてしまう話の運び方は、まさにバンド・デシネです。

地雷原を女性二人に歩かせてその後をドイツ軍が進むシーンなんて、どこかやっぱり西部劇っぽい。

観終わって考えてみると、この映画に女性たちを登場させなければ、主人公は爺さんだし、あまりに泥臭くて男臭すぎて耐えられない….よ、ともぼくは思ったので、理由不明の女性登場はそれはそれでよかったように思えました。(どこからきたのか、最後まで謎だけど)



武器はツルハシ一本というシンプルさもまさにコミック

アアタミの武器は、最後までナイフ一丁とツルハシ一本です。

このシンプルさはヨイです。

くたびれた風体のアアタミが、アクション映画の無敵ヒーロー定番のごとくマシンガンを撃ちまくっちゃ、途端にツマラナイ映画になっていたと思います。

ラストまで、武器は肉体とツルハシのみとした脚本は大正解だったと思います。



『シス 不死身の男』は家族向けには、多分気まずい…

血や殺戮シーンに一切遠慮がないバイオレンス映画ですので、お子さんと一緒に、、、は、う〜ん、おすすめできません。

刺したら痛いってことがわかっている、オトナ向けの映画でしょう。

『シス 不死身の男』ぼくの評価です

どう評価していいのか困ってしまうほど、ぶっ飛んでた映画でした。

チープさとワイルドさが混在して独特の世界を作り出していたのが、ある意味新鮮でした。

とはいえ、「オススメだよ〜」と言えるかというと声を大に、そうもいえない、、、。

フィンランドでは上映が熱烈歓迎されたとのことですが、それはドイツやロシアといった周辺国から攻め続けられた歴史があるから…だとぼくは推測します。

戦争映画って、その国の成り立ちでも評価が変わってきますから。

ということで、ぼくの評価は星三つでした。

 

しかし、チラシのコピーが奮っています。

「世界一幸せな国から届いた、爆風マッド・エンターティメント!」

 

…幸せになればなるほど、人ってマッドなバイオレンス映画を求めるのかも…。




『シス 不死身の男』レンタル・配信先は?

以下でレンタルできます(2024年3月現在)

U-NEXT レンタル 初回31日間無料
RakutenTV レンタル 登録無料
DMM TV レンタル 初回30日間無料
TELASA レンタル 初回2週間無料 
Lemino レンタル.購入 初回1ヶ月無料

 







コメント

  1. くさかつとむ より:

    人間を空気ボンベにしてしまうとか無茶苦茶なアイディアがぶっ飛んでましたね

    • タク タク より:

      久々に出会ったぶっとび系でしたね。こういう「これ、やってみたかったんだ!」と、想いだけで作ってしまう映画がぼくは決して嫌いじゃありません。

      • くさかつとむ より:

        去年観た映画で「SISU」と同じようにぶっ飛んでいて驚いたのが、「PATHAAN/パターン」
        インド映画ですが、内容はインド軍情報部(のようなところ)に所属する主人公がパキスタンの将軍の依頼を受けたテロリストと戦うスパイアクション。「ミッションインポッシブル」のアクションをよりド派手にマシマシにした映画で、劇場で大爆笑しながら鑑賞しました。ところどころ「祖国(インド)に敬礼」など愛国を強調するところは鬱陶しいですが、インド映画ならではの歌や見事な踊り、そしてむやみにグラマーで胸元の緩い美女も出てきてそこも楽しめます。
        ツタヤでレンタルも始まっていますので是非どうぞ。

      • くさかつとむ より:

        あと、北欧の映画繋がりですが、ノルウェーの作品で「イノセンツ」が面白かったです。
        ノルウェーのオスロ郊外の団地で子供たちがサイキックバトルを繰り広げるホラー。
        団地、子供、サイキックバトルでお分かりだと思いますが、これは大友克洋の「童夢」です。バトルは童夢みたいに派手でなくどちらかというと地味ですが、それがむしろリアルで良いです。最後のバトルシーンはまんま童夢なので是非。配信もアマプラに来てます。

        • タク タク より:

          くさかつとむさん、北欧映画の情報、ありがとうございます。『イノセンツ』が配信で見られるとのこと、見てみたいと思います。

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