映画『ブレイブハート』の舞台・古戦場を探してスコットランドを旅してみた

戦争・歴史・時代

映画を観て、「舞台となったあの場所に立ってみたい!」と思ったことが何度かあります。スコットランド独立をテーマにした映画『ブレイブハート』もそんな一本でした。

絵を描くことが仕事のぼくは、スケッチの取材で数年おきに、海外に出かけます。

ある時、こう思いました。「そうだ、『ブレイブハート』の地、スコットランドへ行こう。」

映画を観たのは1995年。そして 『ブレイブハート』の空を探しにスコットランド・グラスゴーに降り立ったのは2010年。思いを叶えるまで、15年の歳月が経っていました。

今回のムービーダイアリーズは、『ブレイブハート』の空気を探しに現地に旅した旅ルポです。




 

『ブレイブハート』のスコットランド巡礼

映画『ブレイブハート』のロケ地は、スコットランドかと思いきや、実はかなりのシーンがアイルランドだったりします。

でもね、それはそれ。映画の中に吹き込まれたのは、1300年代のスコットランドの空気であり空なわけで、映画の中に感じた色や山並みを探しながら、劇中戦われた古戦場に行ってみよう、、、と、ぼくはグラスゴーの空港に降り立ちました。

めぐるポイントは、大まかに五つに決めました。

1.ハイランドの山並み

2.ザ・ウォレスモニュメントの立つスターリング

3.古戦場オールドブリッジ

4.古戦場バノックバーン

5.エジンバラ(古戦場フォルカークも近い)

映画の中ではヨーク、ロンドンも出てきますが、その二つは別の旅で何度か訪れていたので、今回の旅では割愛、としました。

『ブレイブハート』の映画レビューはこちらに書いていますので、よかったらどうぞ

https://www.movie-diaries.com/braveheart-1-1141



『ブレイブハート』の旅・足はレンタカー

そんなルートを回る足は、レンタカーがベストです。

以前二度ほどスコットランドを鉄道とバスで回ったことがありました。大きな街を訪れるなら鉄路&路線バスで大丈夫ですが、ハイランド高地や駅から離れた古戦場となるとお手上げです。

タクシーという手もありますけど、自由度の高いレンタカーでグラスゴーを出発しました。

グラスゴーで借りて時計回りにスコットランドを周り、エジンバラで乗り捨て。そんなプランです。

ルートマップはこちら。





『ブレイブハート』のロケ地。ベンネビス山近郊

映画の中で、ウォレスの暮らす村が出てきますが、そのロケ地に選ばれたのはフォートウィリアムにそびえるベンネビス山近郊。まずはフォートウィリアムを目指しました。グラスゴーから一路北上します。途中、湖ロッホローモンドを眺めながらドライブです。

ロケに使われたピンポイントな場所はわからなかったので、スコットランド最高峰のベンネビス山を見ることに。ちょっと雲に隠れていたのが残念でした。

フォートウィリアムで立ち寄った場所が、実は「ベン・ネビス蒸留所」です。

出発直前、ニッカ宮城峡蒸留所に勤めていた知人から「ベン・ネビスディスティラリーの社長を紹介するから立ち寄ってみてね」と連絡が入りました。

スコッチウィスキーといえばスコットランドの生命の水です。(ウィスキーの言語となったのは「ウシュクベ」という古代ゲール語。「生命の水」という意味です)

スコッチウィスキー好きな僕は、ありがたくご挨拶に訪問。

社長自ら蒸留所を案内してくれて、社長室でシングルモルトをご馳走になりました。

その日は、フォートウィリアム近郊のB&B泊でした

『ブレイブハート』の山並みの空気に浸る。グレンコー近郊

フォートウィリアムを出発し、さらにハンドルを北へ。

ハイランド地方に入ると雄大な山並みが現れ始めます。グレンコーはゲール語ですが、訳すと「グレン谷」1690年に村人がイングランド政府強行派とスコットランド親英派によって虐殺された地。スコットランドを旅する中でキーとなるところです。

そこへ至る風景が絶品でした。続く山並みは、まさに『ブレイブハート』の空気に満ち満ちていました。

『ブレイブハート』ちょっと寄り道・アイリーンドナン城

山並みに感動、ここまできたならと、さらに北、スカイ島を目指しました。スカイ島にはタリスカー蒸留所もあるうえに風光明媚で有名な島です。ちょっと、、、というか、しっかり寄り道しようと決めていました。

そんなルートを走っていると、突然すごい古城が現れました。

地図を見ると「アイリーン・ドナン城」です。

車をとめ、降りると映画さながらバグパイプの音色が流れてくるではありませんか。

アバウトスケジュールが基本の旅です。気がつけば半日ほどスケッチしていました。

 



スカイ島へ

スカイ島でタリスカー蒸留所を訪ねる途中、岩が屹立した風景に出会いました。この奇岩と、実はその後、とある映画で再開します。

その映画はエイリアンシリーズ5作目、『プロメテウス』。

のちに映画館で『プロメテウス』のスクリーンでその光景に再会した時は、思いましたよ。

「寄り道ってしておくもんだよなあ」

スカイ島ではポートリーの街の郊外、高台にたつB&Bに2連泊の投宿でした。





ネス湖・アーカート城

スカイ島を後に、スコットランドハイランド地方を東へ縦断します。ネッシーで有名になったネス湖にそって走るルートです。

ネス湖湖畔に古城アーカートキャッスルがあります。そのビジターセンターで昼食。雨が降ってきました。とにかくスコットランドの天気は目まぐるしいです。

『ブレイブハート』の中でも雨の天気を「最高の天気だ」というくだりがあります。おもわず納得!するぼくなのでした。

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ダフタウンへ

東に向かうにつれ、ブレイブハート的な山並みは、徐々に穏やかになってきます。ネス湖観光起点となるまちインバネスを通り過ぎ、ダフタウンに投宿。

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ダフタウンはグレンフィディック蒸留所はじめ複数のディスティラリーがあるスコッチ好きには聖地のような場所です。スペイ川にそってある町。

街からちょっと散歩すると映画に出てくるような丘陵地帯になります。まるでウォレスたちが潜んでいそうな、そんな森があちこちにありました。

『ブレイブハート』勝利の地・スターリングへ

ダフタウンを後にして、いよいよ映画『ブレイブハート』の決戦の地が二箇所もあるスターリングへ向かいます。

映画の中で、イングランドの騎馬隊を長い槍で打ち負かすシーンがあります。実はこの戦いは、「オールドブリッジの戦い」と言います。

スターリングの「オールドブリッジ」なる橋で戦われましたが、映画の中ではセットを作ることが叶わず平原での戦いに置き換えられています。

ともあれ、目指せオールドブリッジ!

そしてもう一つの戦いは、映画のラストでロバート・ザ・ブルースがイングランドを打ち負かす、「バノックバーンの戦い」です。このバノックバーンなる地はスターリング近郊にあると知り、スターリングを目指したのです。

もう一つ、『ブレイブハートフリーク』にとって行かずに死ねるか的場所があります。「ナショナル・ウォレス・モニュメント」という名が冠されたウィリアム・ウォレスを顕彰したミュージアムです。

それもある場所は、スターリング!とくれば、聖地巡礼のクライマックスが自ずとスターリングになるわけ。



…辿り着けずにピトロッホリーで一休み

とはいえ風景をスケッチしながらのロングドライブです。(今回の旅のメインの一つは、個展のための絵の取材でもあるので…)

スターリングへ辿り着くことができずに途中のまち、ピトロッホリーに投宿となりました。

B&B(民宿)がたくさんある、風光明媚な田舎町です。

その昔、夏目漱石がロンドンに留学していた折に、病んだ心を癒しに滞在した街です。

メインストリートに面したB&Bに投宿しました。




思いもよらぬアクシデント、、、

いざいざ勝利の地スターリングへ…と意気揚々とチェックアウトです。

ところが、ピトロッホリーでトラブル発生….

クルマを停めてある駐車場に向かうと、なんと、、、タイヤがパンク!!日本でもパンクなんてしたことがないのに、スコットランドの田舎町でパ・ン・ク…。確かにパンクファッションはブリティッシュですけど、何も田舎町でパンクはないでしょう、、、

B&Bオーナーに事情を話し、地元の修理工場を紹介してもらい、気のいいガレージの親父さんにパンク修理をしてもらってことなきをえました。

こう書くと大したことなかったように思えるでしょうが、もう、気持ちはどん底です。

修理が済んで、気持ちが映り込んだような雨空の中、「どよ〜ん」とした気持ちでスターリングへ向かいました。町外れのとりあえず適当なB&Bに滑り込んで、「今晩、泊まれますか?」

「ああ、一部屋空いてるよ」

「じゃ、一泊お願いします」

なんともしょぼいスターリング到着でした。





いよいよオールドブリッジへ

荷物を部屋に運び込んで、一休み。『ブレイブハート』巡礼クライマックスの地に辿り着いたのも関わらず、気持ちはマイナー、楽譜に置き換えたら、もはや短調です。

それでも気を取り直し、宿のオーナーに尋ねました。

「スターリング・オールドブリッジの場所に行きたいんですが、場所、教えてもらえますか?」

「ああ、オールドブリッジなら、ウチのすぐウラだよ」

「え??裏??」

「ああ、歩いて数分さ」

沈んでいたはずの気持ちが一転、音楽ならマーチにあっという間に転調していました。

だって、泊まった宿の裏ですよ。

「これはウォレスの導きに違いない!」と感極まり思い込むぼくなのでした。

オールドブリッジは石造りの味のある橋でした。

もちろん戦いがあった当時は木製の橋だったようです。

ウォレス・モニュメントへ

オールドブリッジで『ブレイブハート』に思い馳せた後は、ナショナル・ウォレス・モニュメントへ。

いわゆる「ウィリアム・ウォレス資料館」ですね。

館内にはウィリアム・ウォレスとスコットランド人の戦いの歴史がパネルとなって展示されていました。

ウォレスの剣なる展示もありましたが、もちろんこれはイミテーション。

でも、良いのです。

『ブレイブハート』ラストのバノックバーンの戦いシーンでウォレスの幼馴染みハミッシュが力の限り投げるウォレスの剣が、じんわりとオーバーラップしました。

ナショナル・ウォレス・モニュメント最上階からはスターリング市街が見渡せました。

ブルース公のスターリング城。

ナショナル・ウォレス・モニュメント見学の後は、スターリング城へ向かいます。

スターリング城はスターリングの街の高台に作られた城です。エジンバラ城のひとまわり小さい感じ。城といってもフランスやドイツにあるような絵的に美しい城とは違い、よくいえば質実剛健なつくり。戦いの城。悪くいえば、インスタ映えしないスタイリング。

そんな城の中庭には、ウィリアム・ウォレスの処刑後にスコットランド独立を率いた貴族、ロバート・ザ・ブルースの石像がスターリング市街に睨みをきかせていました。

「君は、昔、俺たちと一緒にイングランドと戦ったに違いない」

泊まったB&Bは居心地が良い宿でした。

朝、朝食を食べながら他の客やオーナーと身振り手振りの雑談です。

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「今日はどこへ行くんだ?」とぼくに聞くB&Bオーナーに

「バノックバーンに行こうと思っています。昔のバトルフィールドを見てみたいんです」というと、こんな言葉を返してきました。

「昨日はオールドブリッジで今日はバノックバーンか!?面白い日本人だなあ。君は俺たちと一緒にイングランドと戦ったに違いない。前世はスコットランド人だったんだな」

そんなジョークに見送られていざ、荷物を積み込み、バノックバーンへ。と思ったら、、、、パンクの次はバッテリー上がりでクルマは沈黙。。。

ぼくが行きたい地は、古戦場。そう、スコットランドの兵たちの魂が眠る地です。そうそう一筋縄には行かないのでした。

バノックバーン

バッテリーをオーナーの車につないでなんとかエンジン始動。オーナーに感謝の意を伝えて一路バノックバーンへ。

辿り着いた決戦の地バノックバーンは、静かでした。

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松尾芭蕉が平泉にて「夏草や 兵どもが 夢の跡」と句を詠んでいますが、まさしく、、、です。スコットランドまできて松尾芭蕉というのもなんだかなあ、と思いながらもスケッチブックをひろげてバノックバーン風景を描きました。

木々の向こうに緩やかな丘が連なり、どこまでも心地よい風が吹いていました。





エジンバラへ

『ブレイブハート』の風を感じる旅も、いよいよ終わりに近づいてきました。

バノックバーンを後にし、一路エジンバラへ。乗り捨て指定のレンタカーオフィスに辿り着き、鍵を返しました。レンタカー屋の気のいい兄さんにはもちろんパンクのことも伝えましたが、クルマを見もせず、「オーケー!ノープロブレム!」

あっさりとしたものです。なんかこういう大雑把な感じが良いです。スコットランドは。

レンタカーオフィスをあとに、旅行鞄を転がしながら、前もって予約していた宿に投宿。身軽になり、エジンバラの城が建つオールドタウンへ向かいます。歴史を宿した重厚な街並みです。

通りのどこかから、ストリートバグパイパーの吹くスコットランドの調べがどこまでも追いかけてきました。

 

おわりに〜スコットランド独立の歴史資料

映画『ブレイブハート』は史実を元にしていますが、かなり脚色されています。登場人物の時代も実際の歴史とは異なっています。ほぼフィクションと言っても良いと思います。

スコットランド独立の詳しい歴史事実が記されたサイトがありましたのでここに貼っておきます。

https://history-maps.com/ja/story/First-War-of-Scottish-Independence

 



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