『ポセイドンアドベンチャー』レビュー|逆さまの世界で、生きるとは何かを問うパニック映画の金字塔
こんにちは、映画好き絵描きのタクです。
今回は、1972年公開の傑作パニック映画『ポセイドン・アドベンチャー』を取り上げます。
50年以上の時を経てもなおリメイクが作られ続けるこの映画、あなたはご覧になったことありますか?
実はぼくにとっても特別な一本で、今回はその魅力と感想をたっぷり語っていきます。
- 『ポセイドンアドベンチャー』予告編
- 🌊 あらすじ(ネタバレなし)
- 🎬 作品解説|なぜ“傑作”と呼ばれるのか
- 🎭 登場人物と演技が光る!感情移入不可避のキャラクターたち
- 🔥 バッドエンド・ムービーとしての意義(ネタバレあり)
- 🎧 音楽と記憶と、ぼくの原体験
- 🎼 主題歌『モーニング・アフター』とジョン・ウィリアムズ
- 🛳 スタッフ・キャスト情報
- ✅ まとめ:CGなしでも震える名作!再見して満点
- 『ポセイドンアドベンチャー』配信先
- 続編『ポセイドンアドベンチャー2』(1979年公開作品)情報
- 『ポセイドン・アドベンチャー2』予告編
- 『ポセイドン・アドベンチャー2』配信先
- リメイク『ポセイドン』(2006年公開)作品情報
- 『ポセイドン』予告編
- 『ポセイドン』配信先
『ポセイドンアドベンチャー』予告編
🌊 あらすじ(ネタバレなし)
年越しパーティで賑わう豪華客船ポセイドン号。
大西洋上を航行中、突如襲いかかる巨大津波によって船は転覆し、完全に逆さまの状態に――。
船内に取り残された老若男女の乗客たちは、自己流の理論と信念で生存ルートを模索する一人の牧師・スコット(ジーン・ハックマン)に導かれ、船底(=今や海面に浮かぶ最上部)を目指して決死の脱出を図る。
極限状態で明らかになる人間の本性。
果たして彼らは、生き延びることができるのか…?
🎬 作品解説|なぜ“傑作”と呼ばれるのか
『ポセイドン・アドベンチャー』の監督はロナルド・ニーム。主演にジーン・ハックマン、脇を固めるのはアーネスト・ボーグナイン、シェリー・ウィンタース、ジャック・アルバートソンなど名優ぞろいです。
この作品の成功が、その後のハリウッドを『タワーリング・インフェルノ』や『大地震』といったパニック映画ブームへと突入させました。
ぼく自身、この時代のパニック映画で映画の面白さに目覚めた一人です。
何より、「上下逆転した世界」という舞台設定。
床屋、トイレ、エンジンルーム…すべてが逆さま。手作りのセットは驚異的なリアリティで観客を引き込みます。
緻密なセリフ、状況設定も非常に丁寧で、どのシーンにも「映画愛」を感じる作品です。
🎭 登場人物と演技が光る!感情移入不可避のキャラクターたち
この映画の登場人物は、全員が“主役級”。脱出を目指す10人のキャラクターはそれぞれに個性が立ち、観ているうちに自然と感情移入してしまいます。
- 異端の牧師スコット(ジーン・ハックマン)
- 強情な元警察官(アーネスト・ボーグナイン)
- 勇敢な中年女性(シェリー・ウィンタース)
- 優しき老紳士(ジャック・アルバートソン)
- 淡い恋心を抱く少女(パメラ・スー・マーチン)
10人の個性がぶつかり合い、時に支え合いながら、一本の“人間ドラマ”としてまとまっていく様は見事のひと言。
若き頃、初めて観た時には「なに邪魔してんの?」と感じていた登場人物が、今では名優たちの繊細な演技として胸に刺さる…,。これぞ映画の魔法です。
異端の牧師スコットの見事な異端ぶり
この映画の主役スコットは、キリスト教圏のアメリカで作られたとは信じられないような設定です。スコットは牧師なのですが、「祈ってるだけでは何にもならん!」と看破します。「祈る前にチャレンジしろ!」が彼の信仰なのです。
この映画まで、そんな主人公がいただろうか?と思ってしまいます。彼の信仰ー信念は最後まで折れません。ひとこと、タフです。
強情さを絵描いたようなアーネスト・ボーグナインの演技
一度見たら忘れられない役者っていますよね。牧師スコットにことあるごとに反発する元警官ノーマンを演じたアーネスト・ボーグナインはその際右翼の一人でしょう。いちいち思ったことを言わずに折れない性格で、おまけに強情。見ている方がハラハラします。
『ポセイドンアドベンチャー』のドラマの濃さ、深さのかなりの部分が彼にかかっていると言っても良いでしょう。僕ら一般ピープルの鏡みたいな存在でもあると思います。
情けない、うざいが反転、泣かせるシェリーウィンタース
若い頃は「情けない!うざいキャラ!」と思っていたのが、シェリーウィンタース演じる中年女性です。それが今見ると、その存在感に超絶納得。弱虫のように見せて実は勇敢…というその姿に美学さえ感じるんですから、歳を重ねるのは悪いことばかりじゃないですね。
ちなみに夫役もいいんです。派手さはないけど、チームのまとめ役として光っています。
恋心が淡い!淡すぎる!!少女スーザンの想いパステルカラー
色で表現するならパステルカラー…そう思わせる少女役をパメラ・スー・マーチンがいい感じで演じています。お年頃の少女スーザンが恋する相手がオジサンの牧師です。恋の表現がまた淡く切ない。映画には恋が必須項目ですが、少女にその役を担わせた脚本にハナマル二重丸です。
そしてスーザンの弟君は、恋なんてどこの話だ?という少年キャラ。こちらもクスッとさせる役回りがギスギスしがちなパニック映画の緩衝材となっています。
🔥 バッドエンド・ムービーとしての意義(ネタバレあり)
※以下、クライマックスのネタバレを含みます。映画を見たい方はスルーしてください
+ + +
『ポセイドン・アドベンチャー』の最大の特徴は、「ハッピーエンドで終わらない」こと。
主人公であるスコット牧師は、最後の最後で、文字通り“炎に消える”のです。
これが、1960〜70年代にかけて隆盛した“アメリカン・ニューシネマ”の精神を色濃く受け継いでいると、ぼくは感じています。
「神に祈る前に、自分で動け」というスコット牧師の言葉が、時代を越えて今も響きます。
🎧 音楽と記憶と、ぼくの原体験
ぼくがこの映画を初めて観たのは1975年頃のテレビ放映でした。
テレビにラジカセをくっつけて録音し、音だけを何十回も繰り返し聴いた、そんな思い出の一本です。
今回(2023年)の再見では字幕版でしたが、当時の声優の吹き替えが脳内で自動再生されてびっくり。
「映画の記憶」は、こうして身体に染み込むんだなと感じました。
🎼 主題歌『モーニング・アフター』とジョン・ウィリアムズ
劇中に登場する楽曲『モーニング・アフター』は、モウリーン・マクガバンが歌い、アカデミー賞歌曲賞も受賞しました。
“朝のあと”という意味のこの曲、酔いから覚めたような醒めた気持ち、希望と不安が交錯するイメージが漂います。(どうやら「二日酔い」という意味もあるようです)
そして音楽を手がけたのは、あのジョン・ウィリアムズ。
『ジョーズ』『スターウォーズ』『E.T.』『ハリーポッター』など、映画音楽の巨匠中の巨匠です。
🛳 スタッフ・キャスト情報
- 監督:ロナルド・ニーム
→ 後に名作『クリスマスキャロル〜スクルージ』も監督。別記事はこちら:
▶『クリスマスキャロル』レビュー - 出演:ジーン・ハックマン、アーネスト・ボーグナイン、シェリー・ウィンタース、ジャック・アルバートソン、レッド・バトンズ、他
✅ まとめ:CGなしでも震える名作!再見して満点
CGがなかった時代にも、これだけ迫力があって、これだけ“心を打つ”映画が作れるということ。
『ポセイドン・アドベンチャー』は、脚本・演出・演技・セットがすべて噛み合った、奇跡のような一本です。
昔の自分が100点をつけたこの作品、再見してもやっぱり満点でした。
『ポセイドンアドベンチャー』配信先
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続編『ポセイドンアドベンチャー2』(1979年公開作品)情報
前作『ポセイドン・アドベンチャー』続編映画で、前作の原作小説の作者ポール・ギャリコ自身が脚本として参加。1978年に出版された続編小説『海底の怒り』(Beyond the Poseidon Adventure)の映画化です。原題は『Beyond The Poseidon Adventure』
内容は、前作ラストの数時間後からスタート。主人公はサルベージ船のキャプテン。ポセイドン号の積荷、プルトニウムの争奪戦が筋となっているようです。
マイケル・ケイン、テリー・サバラス、サリー・フォールド・他、懐かしい役者さんが出演しています。(運営人のぼくは未見)
詳しい筋は以下にWikipediaから転載しておきます。
続編『ポセイドン・アドベンチャー2』あらすじ
ニュー・イヤーパーティーの夜、海底地震によって発生した大津波を受け転覆した豪華客船・ポセイドン号。前作ラストから数時間後、サルベージ業のマイク・ターナー(マイケル・ケイン)は、上空にヘリを発見し、近くに転覆した船があるはずだと判断。サルベージを行うことにした。
転覆したポセイドン号を発見し、セレステ(サリー・フィールド)、ウィルバー(カール・マルデン)と共に船内へ向かうこととなった。その時、ステファン・スベボ博士(テリー・サバラス)率いる医療チームがポセイドン号に到着し、彼らと行動を共にする。
船内には、フランク(ピーター・ボイル)、看護士のジーナ・ローズ(シャーリー・ジョーンズ)、スザンヌ・コンスタンチン(ヴェロニカ・ハメル)ら3人の生存者がいた。
その後スベボと別行動をとったマイクらは、テックス(スリム・ピケンズ)、ラリー(マーク・ハーモン)、フランクの娘テレサ(アンジェラ・カートライト)らを発見、他の生存者と共に船首へ向かって歩き出した。
スザンヌは、事務長の部屋にあった積荷目録をスベボの元へ届けるためにマイクらの群れから離れた。
スベボらの本当の目的は、船内にある時価を計り知れぬプルトニウムを船内から運び出すことにあった。その頃マイクらは、小説家夫婦のハロルド(ジャック・ウォーデン)とその妻ハンナ(シャーリー・ナイト)を発見。船首からの脱出は不可能と見たマイクはスベボと合流すべく船尾からの脱出を試みるが、スベボらの目的を知ったマイクは、スベボらと銃撃戦になる。
『ポセイドン・アドベンチャー2』予告編
『ポセイドン・アドベンチャー2』配信先
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リメイク『ポセイドン』(2006年公開)作品情報
2006年に公開された『ポセイドン』は『ポセイドンアドベンチャー』の換骨奪胎リメイクです。監督は、『Uボート』『ネバーエンディングストーリー』などで有名なウォルフガング・ペーターゼン。キャストにはジョシュ・ルーカス、カート・ラッセルやリチャード・ドレイファスが名を連ねています。
大枠ストーリーはひっくり返った中での脱出劇という点でオリジナルの『ポセイドンアドベンチャー』と同じですが、登場人物の設定はガラッと変わっています。
僕自身、観ましたが、感想は、「楽しめた!!だけど、あまり印象に残っていない…」です。あらためてもう一回観てみたいです。
『ポセイドン』予告編
『ポセイドン』配信先
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