『クリスマスキャロル〜SCROOGE』評価星五つ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️殿堂入り!
こんにちは!映画好き絵描きのタクです。今回レビューする映画は、『クリスマスキャロル〜原題SCROOGE』です。
ディケンズ原作の『クリスマスキャロル』は、これまで何度も映画やアニメになっています。
そんな中でも1970年に公開された『クリスマスキャロル〜原題SCROOGE』は、運営人のぼくが、勝手に「クリスマス映画ランキング第一位」に認定する映画です。クリスマスに一人でも、カップルでも、子供と一緒に観るにも最適おすすめの一本です。
運営人のぼくは、初めて観た1980年以降、ビデオ、DVD、配信と時代は変われど毎年クリスマスには変わらずに必見の映画となっています。
そんな『クリスマスキャロル〜原題SCROOGE』の魅力をレビューしてみます。
(便宜上、本記事では『クリスマスキャロル』を『クリスマスキャロル〜SCROOGE』(1970)と統一します)
『クリスマスキャロル〜SCROOGE』(1970)解説
映画の舞台は19世紀のロンドン。クリスマス前夜、悪徳金貸しスクルージが、彼の元を訪れた3人のクリスマスの幽霊に導かれ、改心していくという物語です。
監督はパニック映画の名作『ポセイドンアドベンチャー』のロナルド・ニーム。『ポセイドンアドベンチャー』とは全く異なる、ミュージカルの楽しさも加えたとても暖かい映画に仕上げています。
主役はアルバート・フィニー。当時若い俳優ですが、老いたスクルージ役の演技がすごいです。脇役には、スターウォーズのオビワンケノビ役で有名なアレック・ギネスという贅沢なキャスティングです。
要所要所に歌と踊りが交差するミュージカル仕立てになっています。
『クリスマスキャロル〜SCROOGE』(1970)予告編〜どんな映画?
「クリスマスキャロル・SCROOGEって、どんな映画?」と思われる方へ、予告編を貼っておきます。
映画『クリスマスキャロル〜SCROOGE』(1970)スタッフ
| 担当 | 名前 |
|---|---|
| 監督 | ロナルド・ニーム |
| 原作 | チャールズ・ディケンズ |
| 脚本・音楽 | レスリー・ブリカス |
| 音楽 | レスリー・ブリカス |
登場人物・キャスト(キャラクター解説付き)
| 登場人物 | 立ち位置・役割 | 俳優名 |
|---|---|---|
| エベネザー・スクルージ | 主人公/金の亡者だった孤独な老人 | アルバート・フィニー |
| ボブ・クラチット | スクルージの部下/誠実で家族思いの書記 | デイヴィッド・コリングス |
| ティム(タイニー・ティム) | クラチット家の息子/物語の良心と希望の象徴 | リッキー・ボーモン |
| フレッド | スクルージの甥/人情と家族愛を体現する存在 | デレク・フランシス |
| ジェイコブ・マーレイ | スクルージの元共同経営者/警告者として現れる亡霊 | アレック・ギネス |
| 過去のクリスマスの精霊 | スクルージの過去を見せる案内役 | イーディス・エヴァンス |
| 現在のクリスマスの精霊 | 今を生きる人々の姿を映す存在 | ケネス・モア |
| 未来のクリスマスの精霊 | 死と孤独を象徴する無言の存在 | ピーター・ブリントン |
| フェジウィッグ | 若き日のスクルージの雇い主/温かい理想像 | ロイ・キニア |
『クリスマスキャロル〜SCROOGE』(1970)あらすじ〜ネタバレ閲覧注意
それでは『クリスマスキャロル〜SCROOGE』(1970)のあらすじを簡単に紹介しましょう。以下、ネタバレとなりますのでご注意ください。
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舞台は19世紀のロンドン。主人公の老人スクルージ(アルバート・フィニー)はケチで意地悪な金貸し。使用人のクラチット(デイヴィッド・コリングス)はスクルージとは逆に善人を絵に描いたような人物です。
クリスマスイブの夜、スクルージが貸金の取り立てから帰ってくると、スクルージの枕元に、7年前に亡くなった共同経営者のマーレイ(アレック・ギネス)が幽霊となって現れます。
マーレイは、自分が地獄で鎖につながれ苦しんでいることを告げ、スクルージをなんとか改心させようと、3人のクリスマスの亡霊を送り込みます。
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一人目の亡霊は、「過去のクリスマスの亡霊」(エディス・エバンス)です。
「過去のクリスマスの亡霊」は、スクルージに幼かった頃の過去を見せる。スクルージは実は純粋で優しい少年だったことを思い出し、さらには、働き始めた頃の純粋だった自分自身を見せつけられます。
しかしスクルージは、「過去の亡霊」を幻としか思わず、信じません。
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続いて現れたふたり目の亡霊は、「現在のクリスマスの亡霊」(ケネス・モア)。
「現在のクリスマスの亡霊」は、貧しいながらも幸福そうな、使用人クラチット一家の団欒風景を見せます。
彼らが自分のために祝ってくれるのを見たスクルージは良心が疼きます。
同時にスクルージは、クラチットの子供の一人、ティム(リッキー・ボーモン)が重い病を患っていることを知らされます。
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最後に現れるのは、「未来のクリスマスの亡霊」。
「未来のクリスマスの亡霊」はスクルージに、ティムが死んでしまうこと、そしてスクルージ自身の死後の様子を見せます。それは地獄で重荷を背負い苦しむスクルージの姿でした。
3人の亡霊が見せてくれたのは、スクルージの過去現在未来でした。
スクルージは自分の生き方を反省し、変わることを決意します。
窓のカーテンを開けると、クリスマスの朝です。
スクルージは、町中の人々に「ありがとう」の言葉を告げ、自分が分け与えることができる全てを皆に施します。
クリスマス、彼の心に湧き上がってきたのは、「I Like Life」「人のために生きる人生をやり直そう」という決意でした。
『クリスマスキャロル〜SCROOGE』(1970)感想です
感動の源は、誰もが持っている「無垢さ」と「意地悪さ」
映画の冒頭オープニングは、貧しい子供達が小銭を得るために歌を歌うシーンからスタートします。
この歌声がナチュラル=無邪気な感じなのですが、その歌うシーンが渋顔のスクルージと絡み合います。
そう、映画の幕は”子供達の「無垢さ」と、スクルージの「意地悪さ」の対比”でひらくのです。
人は誰でも心の中に「無垢で正直な自分」と「意地悪で皮肉家の自分」がいるんだと思います。
誰しもそんな「無垢さ」と「意地悪さ」を心の中に持っていますよね。
だからこそ、『クリスマスキャロル〜SCROOGE』のオープニングは響くんだと思います。
二つの『Thank you very much』の謎
後半〜クライマックスに歌い踊る二つの『Thank you very much』の素晴らしさは、特筆モノです。
『Thank you very much』は決して派手な振り付けのダンスではありません。それでも、何度観ても、本作の見るたびに踊りのシーンに目が釘付けになります。
+ + +
「歌い踊る二つの『Thank you very much』」と書きましたが、しかし、なぜ『Thank you very much』ダンスが2回も繰り返されるのでしょうか?
実は、その二つの「Thank you very much=ありがとう」は、意味が全く逆なのです。
1回目の『Thank you very much』は、スクルージから金を借りている町の人たちの「けちんぼスクルージよ、死んでくれてThank you very muchだぜ」という、皮肉的な『Thank you very much』です。
2回目=クライマックスの『Thank you very much』は、スクルージが改心し、全てに感謝している言葉としての『Thank you very much』です。
このように、相反する2回の『Thank you very much』で、本作は何を観客に伝えたかったのでしょうか?
それは、「町の人たちはスクルージとは違い善人と思えるかもしれないけど、決してそうではない。町の人たちも一皮むけばスクルージと同じように罪深いんだ」ということのようにぼくは感じています。
このぼくの推察は間違っているかもしれません。
でもなぜ、『Thank you very much』は2回歌い踊られるのか?そこには必ず深い意味が隠されていると思います。
『I like life』という言葉が響く
歌のシーンでもう一つ。『I like life』の歌もまた、シンプルで素敵です。
「I like life」訳すと「人生が好きさ」ってなります。
これ、そうそう言えない言葉ですよね? 正直、少なくともぼくは、なかなか言えない…。
日々、辛いこともそれなりにあるし、楽しいこと、良いことって、思いのほかすぐ忘れてしまいます。
そんな「当たりまえな日々の中に素晴らしい光はある」ということを、歌でさらりと教えてくれるのが、『I like life』です。
人はいつでも変わることができる
クリスマスイブがやってくるたびにぼくが見続けてきた『クリスマスキャロル〜SCROOGE』(1970)。
本作は、不思議なことに、観るたびに違う発見や感動、驚きをくれるのです。
過去観た時はスルーしていたシーンで、突然涙がこぼれたり、納得できなかったスクルージの姿勢が突然理解できたり。観なおすたびに違う発見を次々するのです。
それはなぜしょうか?
以下、そのなぜ?に答えることで、『クリスマスキャロル〜SCROOGE』(1970)のぼくの評価に替えます。
『クリスマスキャロル〜SCROOGE』(1970)評価は殿堂入り
DVDをセットして、プレイボタンを押して、観劇2時間。その度ごとに、新しい気づきがある映画が『クリスマスキャロル〜SCROOGE』です。それはなぜでしょうか?
答えは、実は、なんてことはありません。
それは観ている自分自身が、去年のイブから一年たち、良きにつけあしきにつけ「経験を重ねて変わっていっているから」でしょう。
その一年の「変化」を『クリスマスキャロル〜SCROOGE』(1970)は、まるで鏡のように見せてくれるんです。
毎年繰り返しこの映画を観ることで、ぼくは『クリスマスキャロル〜SCROOGE』から「人は常に少しずつ変わっていく」ということを教えてもらいました。
だからこそ、スクルージが一夜にして変わったのは、奇跡でもなんでもないと、今、ぼくはリアルに思います。
「人はいつでも変わることができる」
「『Thank you very much=ありがとう』という言葉は全てを変える」
「I like life~人生が好きさ」
『クリスマスキャロル〜SCROOGE』のメッセージはこの3つに尽きます。
今年もクリスマスイブには、ぼくは間違いなく『クリスマスキャロル〜SCROOGE』を観るでしょう。
もちろん評価は星五つ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️の殿堂入りです。
『クリスマスキャロル〜SCROOGE』配信先は?DVDは手に入る?
以下のサービスで配信レンタル可能です
| Prime Video | レンタル |
| Apple TV | レンタル |
DVD・ブルーレイともに販売されています。
他のオススメ『スクルージ』映画は?
『クリスマスキャロル〜SCROOGE』の他の作品はどんな感じなのか?も、別記事で書いています。
配信で見られる主な4本のスタッフキャスト、そして見どころをその記事から制作年代順にまとめてみました。(記事はあくまで個人の主観です。ご了承ください)
🎞️ 1938年版 『Scrooge』(イギリス)

監督:エドウィン・マリン
主演:レジナルド・オーウェン(Scrooge)ジーン・ロックハート
トーキー映画。モノクロ
作品解説
モノクロ映画です。
現代から観ると技術面は古いですが、強い演出と深みのあるモノトーンが魅せます。
見どころ・配信先
初期映画ならではの 舞台的テンポ、影の使い方や俳優の迫力が味。
コンパクトながら、Scroogeの性格・幽霊たちのキャラが立っています。100年近く前の作品とは思えません。
ラストの大団円は、今見ると非常にオリジナリティーが高いです。
・配信/Amazon Prime Video U-NEXT 等
🎞️ 1951年版 『Scrooge』/アメリカ版タイトル『A Christmas Carol』
制作・スタッフ
監督:ブライアン・デズモンド・ハースト
主演:アリステア・シム(Scrooge)、マーヴィン・ジョンズ、ヘルミオーネ・バドレー 他
1951版:作品解説
古典映画版クリスマスキャロル。
英国らしい雰囲気と丁寧な脚本で、Scroogeの心の変化が深く描かれます。
原作のセリフや構成を忠実に再現しており、“基本の王道”として評価されているようです。
見どころ・配信先
シムの演技力と演出、カメラの絶妙なバランス感覚が光っています。
当時の特撮効果の高さ以上に“人間ドラマ”としての完成度が高いです。
『スクルージ』ファンなら、数ある映画版スクルージ=クリスマスキャロル作品の「基準点」としてみておきたい作品かも。
・配信/Amazon Prime Video 等
1984年版『クリスマスキャロル』
監督:クライブ・ドナー
出演:ジョージ・C・スコット(Scrooge)、デビッド・ワーナー(クラチット)スザンヌ・ヨーク(クラチットの妻)他
作品解説
1951年版の脚本に比較的近いです。クリスマスキャロルの原作の筋と登場人物像を最も踏襲した作品でしょう。
アメリカでテレビ向けに制作されましたが、キャストは往年の名優が揃うオールスター版です。
見どころ・配信先
この映画の見どころは、スクルージを演じた名優ジョージ・C・スコットの演技です。凄みさえ感じます。(運営人が個人的に一番好きなスクルージ像は、このジョージ・C・スコットが演じたスクルージです)
クラチットを演じるのは、名優デビッド・ワーナーです。その妻をスター女優スザンナ・ヨーク。主役脇役ともに、俳優の名演に酔えます。
3人の俳優を観ているだけでも幸せになれるクリスマス映画です。
・配信/Amazon Prime Video 等
🎞️ 2022年Neflix『スクルージ:クリスマスキャロル』(アニメ)
監督:スティーヴン・ドネリー
声の出演:ルーク・エヴァンス(Scrooge)、オリヴィア・コールマン、ジェシー・バックリー、ジョナサン・プライス 他
作品解説
原作=過去のクリスマスキャロル映画のストーリーはもとより、1970年版のミュージカルエッセンスをも受け継ぎ、今のファミリー層を意識し換骨奪胎したCGアニメ版。
見どころ・配信先
Netflix制作配信のCGアニメ×ミュージカルのハイブリッド版となります。最新の技術で表現されたCGクリスマスキャロルワールドが広がります。
過去のクリスマスキャロル映画の”いいところ”を、上手に取り入れています。
また、現代的テンポ&デフォルメ演出も活きており、いわば、1930年代、50年代作品のシナリオを活かしつつ、1970年版のミュージカルスタイルを踏襲した味付けです。
CGによる絵作り、ビジュアルや声優は豪華。また、旧作ファンへの気遣いが感じられる作品となっています。
低年齢層をも意識した”解説的なわかりやすさ”を優先させたセリフも多く、“ポップな音楽体験”も楽しめることから、ファミリーで観るのにオススメです。
・配信先/Netflix





コメント
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