『ポセイドンアドベンチャー』ネタバレあらすじ考察〜生き残りは?牧師の信仰は?から続編リメイク情報まで〜豪華客船パニック名作を徹底レビュー:

Poseidon Adventure アドベンチャー

『ポセイドンアドベンチャー』ネタバレレビュー
舞台は転覆した豪華客船
生きるとは何かを問うパニック映画の名作

こんにちは、映画好き絵描きのタクです。
今回は、1972年公開の傑作パニック映画『ポセイドン・アドベンチャー』を取り上げます。

1970年代はハリウッドが「パニック映画」というジャンルを確立した一つの時代でもありました。

『タワーリングインフェルノ』や『大地震』といった作品が立て続けに制作され映画ファンを増やしました。動物が人を襲う『ウィラード」や『ジョーズ』、『グリズリー』といった動物系パニック映画もその派生系です。『ポセイドン・アドベンチャー』はそんなパニック系の先駆けとなった一本です。

50年以上の時を経てもなおリメイクが作られ続ける『ポセイドン・アドベンチャー』は、パニックスリラーの金字塔といっても過言ではないと思います。

今回はそんな『ポセイドン・アドベンチャー』の魅力に迫ってみます。




『ポセイドンアドベンチャー』予告編

『ポセイドンアドベンチャー』解説〜スタッフ・キャスト

『ポセイドン・アドベンチャー』の一体何がそんなに素晴らしいのでしょうか?

それは、奇想天外なシチュエーションが繰り出す「この先どうなる?」の連続と、リアルな人間ドラマ…につきるでしょう。

舞台となるのは”転覆した豪華客船”というそれまで誰も思いつかなかったシチュエーションです。

そしてその天地逆転した船内を舞台装置として、次々に繰り出される危機また危機。そしてそれらの危機に立ち向かう人々の人間模様の描かれ方が見事なのです。

スリラーアドベンチャーの定石の一つに「A地点からB地点までどうやって辿り着くのか?」という定番シナリオがあります。

『ポセイドン・アドベンチャー』では、A地点は「ひっくり返ったパーティ会場」です。そして登場人物たちはゴールとなるB地点=「海上にわずかに顔を出した部分」=「船底」」を目指すのです。

オリジナリティあふれる脚本と奇想天外な天地反転シチュエーション….そしてキャラが立った登場人物たち――見事な三位一体ドラマが『ポセイドンアドベンチャー』の素晴らしさでしょう。

何といっても、「上下逆転した世界」という舞台設定が秀逸です。
床屋、トイレ、エンジンルーム…すべてが逆さま。手作りのセットは驚異的なリアリティで観客を引き込みます。

監督は『クリスマスキャロル』や『オデッサ・ファイル 』で知られ、大英帝国勲章を受勲したイギリス人監督ロナルド・ニーム。

脚本を『タワーリングインフェルノ』のスターリング・シリファントとウェンデル・メイズ。

キャストには当時飛ぶ鳥を落とす勢いで次々話題作に出演していたジーンハックマンはじめ、個性の強さで右に出る者がいない(と僕は思っている)アーネストボーグナイン、往年の名女優シェリー・ウィンタースといった重役級が名前を連ねています。

緻密なセリフ、状況設定も非常に丁寧に作り込まれ、どのシーンにも「映画愛」を感じる作品です。

スタッフ

監督 ロナルド・ニーム
製作 アーウィン・アレン
原作 ポール・ギャリコ『ポセイドン・アドベンチャー』
脚本 スターリング・シリファント、ウェンデル・メイズ
編集 ハロルド・F・クレス
撮影 ハロルド・E・スタイン
美術 ウィリアム・J・クレバー
特殊効果 L・B・アボット、A・D・フラワーズ
音楽 ジョン・ウィリアムズ
主題歌 「The Morning After」
(作詞・作曲:アル・カシャ、ジョエル・ハーシュホーン)

キャスト

役名 俳優名 人物紹介
フランク・スコット ジーン・ハックマン 行動派の牧師。祈りよりも行動を説く。
マイク・ロゴ アーネスト・ボーグナイン 元警官。短気だが実直な男。
リンダ・ロゴ ステラ・スティーヴンス 元娼婦でマイクの妻。口は悪いが情に厚い。
ジェームズ・マーティン レッド・バトンズ 独身の雑貨商。几帳面で優しい。
ノニー・パリー キャロル・リンレイ 女性歌手。主題歌「Morning After」を歌う。
エイカーズ ロディ・マクドウォール 船員のボーイ。乗客を助ける。
ベル・ローゼン シェリー・ウィンタース マニーの妻。元水泳選手の老婦人。
マニー・ローゼン ジャック・アルバートソン ベルの夫。温厚な老紳士。
スーザン・シェルビー パメラ・スー・マーティン 思春期の少女。牧師に淡い恋心を抱く。
ロビン・シェルビー エリック・シーア スーザンの弟。姉思い。好奇心旺盛。
ハリソン船長 レスリー・ニールセン ポセイドン号の船長。

🌊 『ポセイドンアドベンチャー』あらすじ(ネタバレなし)

年越しパーティで賑わう豪華客船ポセイドン号。
大西洋上を航行中、突如襲いかかる巨大津波によって船は転覆し、完全に逆さまの状態に――。

自己流の理論と信念を持つ一人の牧師・スコット(ジーン・ハックマン)が脱出ルートを模索。

船内に取り残された老若男女の乗客たち9人は、スコットと共に船底(=今や海面に浮かぶ最上部)を目指して脱出を図る。

極限状態で明らかになる人間の本性。

果たして彼らは、生き延びることができるのか…?




🌊 あらすじ〜ネタバレ結末まで

以下はネタバレです。映画をご覧になる方はスルーしてください。

巨大な衝撃により上下が逆転した船内は、まるで迷宮のようだった。

スコット牧師の導きのもと、9人は、倒壊した通路や炎上する配電室をくぐり抜けながら、船底=海面を目指して進んでいく。

途中、一人倒れ、二人倒れ、、、犠牲が重なっていく中、それでもスコットは、「神は行動する者を助ける」と信じ、わずかな希望にすがるように進み続ける。

やがて彼らは、脱出口となる船底付近に辿り着く。

が、そこでは強烈に吹き出す蒸気漏れが行く手を阻む。

スコットは蒸気を止めるため、バルブにぶら下がり手動で閉じようとするが、圧に耐えきれず――
仲間たちを救うため、自らを犠牲にして炎燃え盛る深淵へと落ちていく。

彼の死を無駄にしないよう、残された者たちは力を合わせてハッチを開き、外へ脱出。
逆さまの船体の上に、救助隊のヘリが姿を現す。
救い上げられたのは、わずか六人だった――エンドロール



🎭 感想考察〜感情移入必至のキャラクターたち

この映画の登場人物は、全員が“主役級”。脱出を目指す10人のキャラクターはそれぞれに個性が立ち、観ているうちに自然と感情移入してしまいます。

  • 異端の牧師スコット(ジーン・ハックマン)
  • 強情な元警察官(アーネスト・ボーグナイン)
  • 勇敢な中年女性(シェリー・ウィンタース)
  • 優しき老紳士(ジャック・アルバートソン)
  • 淡い恋心を抱く少女(パメラ・スー・マーチン)

10人の個性がぶつかり合い、時に支え合いながら、一本の“人間ドラマ”としてまとまっていく様は見事のひと言です。

ぼくが若き頃(当時中学生だった)、初めて観た時には「このヒト、なに邪魔してんの?」と感じていた登場人物が、人生悲喜交々を経験した今改めて見ると、俳優たちの繊細な演技として胸に刺さってくるんですね…,。

人って、誰でも心の中にはいくつもの顔がありますよね。『ポセイドンアドベンチャー』の登場人物たちは、その”心の中のいくつもの顔”を映し出している鏡なんですね。

登場人物に”いくつもの自分”を重ねて、共に戦ったり議論したり、泣いたり、笑ったりする、、、これぞ映画の魔法です。

異端の牧師スコットの見事な異端ぶり

この映画の主役スコットは、キリスト教圏のアメリカで作られたとは信じられないような設定です。

スコットは牧師なのですが、「祈ってるだけでは何にもならん!」と看破します。「祈る前にチャレンジしろ!」が彼の信仰なのです。しかしはっきりいって、キリスト教の世界では超異端児なのでしょう。

この映画まで、そんな主人公がいただろうか?と思ってしまいます。彼の信仰ー信念は最後まで折れません。ひとこと、タフです。

映画が作られた当時は、アメリカンニューシネマが映画界を席巻していた終わり頃です。アメリカンニューシネマって、いわばそれまでの既成概念やスタンダードに”No!”を突きつけたムーブメントだったわけですが、主役スコットの異端性にもその流れは現れているんだと思います。

異端と書きましたが、今の時代に見返すと、スコットが持っている信念は、至って当たり前でマトモです。これも時代の移り変わりなのかもしれません。

強情さを絵描いたようなアーネスト・ボーグナインの演技

一度見たら忘れられない役者っていますよね。牧師スコットにことあるごとに反発する元警官ノーマンを演じたアーネスト・ボーグナインはその最右翼の一人でしょう。

いちいち思ったことを言わずに折れない性格で、おまけに強情。見ている方がハラハラしてします。

『ポセイドンアドベンチャー』のドラマの濃さ、深さのかなりの部分が元警官ノーマンにかかっていると言っても良いでしょう。

僕ら”一般ピープル”の鏡みたいな存在でもあると思います。

情けない、うざいが反転、泣かせるシェリーウィンタース

若い頃=初見時には「情けない!うざいキャラ!」と思っていたのが、シェリー・ウィンタース演じる初老の女性ベルです。それが今見ると、その存在感に超絶納得してしまいます。

弱虫のように見せて実は勇敢…というその姿に美学さえ感じるんですから、歳を重ねるのは悪いことばかりじゃない…って思わせられます。

ちなみに夫役マニーもいいんです。派手さはないけど、チームのまとめ役として優しく渋く光っています。

ぼく思うに、人間、優しく光る….って、難しいと思うんですよ。そういう意味でベルの夫マニーはまさにそんな人間理想像の具現者です。

恋心が淡い!淡すぎる!!少女スーザンの想いパステルカラー

色で表現するならパステルカラー…そう思わせる少女役をパメラ・スー・マーチンがいい感じで演じています。

お年頃の少女スーザンが恋する相手が、主人公でもあるオジサン牧師のスコットです。

恋の表現がまた、淡く切ないんです。

映画には恋が必須項目ですが、少女にその役を担わせた脚本にハナマル二重丸です。

そしてスーザンの弟君は、恋なんてどこの話だ?という少年キャラ。こちらもクスッとさせる役回りがギスギスしがちなパニック映画の緩衝材となっています。




🔥 感想考察〜バッドエンドムービーとしての意義とスコット牧師の信条

※以下、クライマックスのネタバレを含みます。映画を見たい方はスルーしてください

+ + +

『ポセイドン・アドベンチャー』の最大の特徴は、「ハッピーエンドで終わらない」こと。
主人公であるスコット牧師は、最後の最後で、文字通り“炎に消える”のです。

これが、1960〜70年代にかけて隆盛した“アメリカン・ニューシネマ”の精神を色濃く受け継いでいると、ぼくは感じています。

様々な困難の果てに、消えずに何ったものは何なのか???その残ったものに真実のかけらが潜んでいる、、、と『ポセイドンアドベンチャー』のバッドエンドは教えていると思います。(そう考えると決してバッドエンドではないよなあ…。)

映画を支える牧師スコットの信条

「神に祈る前に、自分で動け」というスコット牧師の言葉が、時代を越えて今も強烈に響いてきます。

「祈ってばかりじゃ解決にならない。その前にやることを全てやれ」これは全てに通じるマジックワードですね。『ポセイドンアドベンチャー』の根底に流れているテーマはまさしくそれ。

スコット牧師の信条「祈る前に、自分で動け」…は、人生を生き抜くに大事な鍵の一つなのは多分間違いないと、今にして思います。

🎧 『ポセイドンアドベンチャー』の僕の原体験と音楽記憶

ぼくがこの映画を初めて観たのは1975年頃のテレビ放映でした。
テレビにラジカセをくっつけて録音し、音だけを何十回も繰り返し聴いた、そんな思い出の一本です。

今回(2023年)の再見では字幕版でしたが、”当時の声優の吹き替えが脳内で自動再生”されてびっくりしました。
「映画の記憶」は、こうして身体に染み込むんだなと感じました。




🎼 主題歌『モーニング・アフター』とジョン・ウィリアムズ

劇中に登場する楽曲『モーニング・アフター』は、モウリーン・マクガバンが歌い、アカデミー賞歌曲賞も受賞しました。

訳すなら“朝のあと”という意味のこの曲名ですが、どこか酔いから覚めたような醒めた気持ち、希望と不安が交錯するイメージが漂います。調べてみるとモーニング・アフターにはどうやら「二日酔い」という意味もあるようです。….船酔いと二日酔いを引っ掛けての曲名だと僕は勝手に思っていますが、真実はいかに???

そして映画『ポセイドンアドベンチャー』の音楽を手がけたのは、あのジョン・ウィリアムズです。
そう、『ジョーズ』『スターウォーズ』『E.T.』『ハリーポッター』など、今や映画音楽の巨匠中の巨匠となった名手が『ポセイドンアドベンチャー』の音楽スコアを書いています。




 

✅ 評価:CGなしでも震える名作!再見して満点

CGがなかった時代にも、これだけ迫力があって、これだけ“心を打つ”映画が作れるということ。
『ポセイドン・アドベンチャー』は、脚本・演出・演技・セットがすべて噛み合った、奇跡のような一本です。

昔の自分が100点をつけたこの作品、再見してもやっぱり満点でした。




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続編『ポセイドンアドベンチャー2』(1979年公開作品)情報

前作『ポセイドン・アドベンチャー』続編映画で、前作の原作小説の作者ポール・ギャリコ自身が脚本として参加。1978年に出版された続編小説『海底の怒り』(Beyond the Poseidon Adventure)の映画化です。原題は『Beyond The Poseidon Adventure』

内容は、前作ラストの数時間後からスタート。主人公はサルベージ船のキャプテン。ポセイドン号の積荷、プルトニウムの争奪戦が筋となっているようです。

マイケル・ケイン、テリー・サバラス、サリー・フォールド・他、懐かしい役者さんが出演しています。(運営人のぼくは未見)
詳しい筋は以下にWikipediaから転載しておきます。



続編『ポセイドン・アドベンチャー2』あらすじ

ニュー・イヤーパーティーの夜、海底地震によって発生した大津波を受け転覆した豪華客船・ポセイドン号。前作ラストから数時間後、サルベージ業のマイク・ターナー(マイケル・ケイン)は、上空にヘリを発見し、近くに転覆した船があるはずだと判断。サルベージを行うことにした。

転覆したポセイドン号を発見し、セレステ(サリー・フィールド)、ウィルバー(カール・マルデン)と共に船内へ向かうこととなった。その時、ステファン・スベボ博士(テリー・サバラス)率いる医療チームがポセイドン号に到着し、彼らと行動を共にする。

船内には、フランク(ピーター・ボイル)、看護士のジーナ・ローズ(シャーリー・ジョーンズ)、スザンヌ・コンスタンチン(ヴェロニカ・ハメル)ら3人の生存者がいた。

その後スベボと別行動をとったマイクらは、テックス(スリム・ピケンズ)、ラリー(マーク・ハーモン)、フランクの娘テレサ(アンジェラ・カートライト)らを発見、他の生存者と共に船首へ向かって歩き出した。

スザンヌは、事務長の部屋にあった積荷目録をスベボの元へ届けるためにマイクらの群れから離れた。

スベボらの本当の目的は、船内にある時価を計り知れぬプルトニウムを船内から運び出すことにあった。その頃マイクらは、小説家夫婦のハロルド(ジャック・ウォーデン)とその妻ハンナ(シャーリー・ナイト)を発見。船首からの脱出は不可能と見たマイクはスベボと合流すべく船尾からの脱出を試みるが、スベボらの目的を知ったマイクは、スベボらと銃撃戦になる。

『ポセイドン・アドベンチャー2』予告編




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リメイク『ポセイドン』(2006年公開)作品情報

2006年に公開された『ポセイドン』は『ポセイドンアドベンチャー』の換骨奪胎リメイクです。監督は、『Uボート』『ネバーエンディングストーリー』などで有名なウォルフガング・ペーターゼン。キャストにはジョシュ・ルーカス、カート・ラッセルやリチャード・ドレイファスが名を連ねています。

大枠ストーリーはひっくり返った中での脱出劇という点でオリジナルの『ポセイドンアドベンチャー』と同じですが、登場人物の設定はガラッと変わっています。

僕自身、観ましたが、感想は、「楽しめた!!だけど、あまり印象に残っていない…」です。あらためてもう一回観てみたいです。



『ポセイドン』予告編




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