『ポセイドンアドベンチャー』実話?あらすじネタバレ・徹底解説・考察評価レビュー|リメイクへと続くバッドエンドパニック映画金字塔

スリラー・SF・アクション

津波で転覆した客船内から、生き残るために老若男女10人が一人の牧師に導かれ船底を目指す。果たして彼らの運命は?

『ポセイドンアドベンチャー』は1972年公開の「パニック映画」と呼ばれる映画ジャンルの火付け役となった名作です。



監督は丁寧な作品作りが印象的なロナルド・ニーム監督。主演はジーン・ハックマン。アーネスト・ボーグナインやシェリーウィンタースといった名優が脇を固めて、それは見事な歯車の噛み合わせを見せます。

この作品の大ヒットが、ハリウッドを『タワーリングインフェルノ』に向かわせました。(当サイトでも取り上げていますhttps://www.movie-diaries.com/towering-inferno-189)。リメイクとして『ポセイドンアドベンチャー2』が作られているほどですし、レオナルドディカプリオ主演で話題作となった『タイタニック』にもこの映画は影響は与えていると思います。ゆえに『ポセイドンアドベンチャー』のスペックの高さは言わずもがなでしょう。「ムービーダイアリーズ」では「殿堂入り」の一本です。

続編、リメイク作品も作られました。その情報も記事末に載せておきます。

『ポセイドンアドベンチャー』は次のテロップで始まります。
「大晦日 NYからアテネへ向け航海中のポセイドン号が沈没。生存者はわずかだった」
あたかも実話かと思わせる一文ですが、ポール・ギャリコが原作のフィクションムービーです。



『ポセイドンアドベンチャー』あらすじは?

『ポセイドンアドベンチャー』のあらすじ、簡単に済ませます。

『ニューヨークからアテネへ向かう老朽客船が、津波に遭い転覆。
ジーン・ハックマン演じる牧師が、ひっくり返った船内を9人と共に上へ上へ(船底へ)と向かう。途中次々と降りかかる困難。
9人は極限の中助け合い、またぶつかり合いながら乗り越えていく。
はたして彼らは転覆、混乱した船内から脱出することができるのか?』

…といったストーリーです。

登場人物の性格設定が良いです。10人(牧師含めて)が個性がそれぞれハッキリ描かれています。
『ポセイドンアドベンチャー』はただのパニックドタバタ驚かせムービーではなく、がっちりとした骨格があり、人間ドラマともなっています。



『ポセイドンアドベンチャー』あらすじ〜ネタバレラストまで

あらすじを結末までサラッと書いておきます。『ポセイドンアドベンチャー』を観たい方はスルーしてくださいね。

牧師と8人はぶつかり合いながらもひっくり返った船底を目指す。

途中次々と振りかかる「想定外」。必死に乗り越える中、一人、また一人と命を落とすが、もうすぐ船底とおぼしきスクリューシャフト区画まで辿り着く。

しかし、壊れたバルブから大量に噴き出す蒸気が行手を遮る。

牧師は開閉バルブに飛び移り、神への怒りを叫びながらバルブを閉める。が、ついに力付き燃え盛る火の海に落下、牧師は船底を目の前に、死亡。

残された6人は牧師の死で開かれた道を辿り、ついに船底に辿り着く。

すると外から船底を叩く音が響く。

救出隊が彼らを救出。

スクリーンに初めて空が映し出され、エンドクレジット。


『ポセイドンアドベンチャー』「右に進むか左を選ぶか?生きるとは選択の連続だ」

『ポセイドンアドベンチャー』を一言で表すなら、「人生の縮図映画」といっていいです。
主人公に牧師という宗教家の設定を置いたのも、そんな視点で考えるととても自然です。
とはいえ、この映画の牧師はいわゆる「異端」。
「神に祈る前にできることをどこまでもしろ」、という宗教哲学の持ち主です。「祈りは解決策にはならない」とも言い切ります。

「右に進むか左を選ぶか?生きるとは選択の連続だ。だから、日々、丁寧に道を選べ」という、迷っている人々へのメッセージを込めている映画です。
なんといっても、文学作家ポール・ギャリコが原作です。命や生き方を著作のメッセージとして込める作家ですので、『ポセイドンアドベンチャー』が質の良い内容となったのも頷けます。

『ポセイドンアドベンチャー』は「パニック映画の代表作」と称されていますが、それだけでくくってはかわいそう、、、というもの。
『ポセイドンアドベンチャー』のメッセージは「人生とは選択の連続であり、困難を乗り越えることで道は拓ける」。このことにつきます。

『ポセイドンアドベンチャー』天地逆転生き残りムービー

天と地がひっくり返った逆転シチュエーション、それも板一枚の向こうは海中。そんな設定は『ポセイドンアドベンチャー』まで無かったと思います。逆転シチュでのサバイバルムービーです。

天地をひっくり返したセットが素晴らしく、ストーリーにリアリティを与えています。
船内の逆さまになった床屋、トイレのセット等々、秀逸です。それぞれのシチュエーションならではのセリフ脚本が用意されています。つくづく丁寧な脚本だな…と感じます。
登場人物の一人に、集合時間に遅れた理由を「トイレに行ってた」と言わせますが、ニヤリです。

「当たり前をひっくり返すと新しい視点が生まれるんだよ」とは、『ポセイドンアドベンチャー』のもう一つのメッセージでもありますね。

ハリウッドの新しい流れを作ったバッドエンドムービー〜一部ネタバレあり閲覧注意

前にも書きましたが、『ポセイドンアドベンチャー』のメッセージは「神に祈る前にできることをどこまでもしろ」「祈りは解決策にはならない。その前にできることをやれ」という自己肯定です。

1960年代から1970年代、ハリウッド映画は、ベトナム戦争の影響を受けていわゆるアメリカンニューシネマと呼ばれるジャンルが確立します。

『起承転結ハッピーエンド』が映画の主流だったハリウッドは『おいおい、そんな終わり方でエエの?』的、「人生とは辛いんよ」トーンの映画が数多く作られます。

代表作として『明日に向かって撃て!』『イージーライダー』『フレンチコネクション』『バニシングポイント』『真夜中のカウボーイ』『ワイルドバンチ』などなど。

それらをまとめて『アメリカンニューシネマ』と呼んだわけですが、『ポセイドンアドベンチャー』はそのアメリカンニューシネマ中期に制作された作品。パニック映画というよりも、少なからず、アメリカンニューシネマがら派生した一本の傍流のようにぼくは感じます。

ネタバレになりますが、さらにはジーンハックマン演ずる主人公が、ラスト、炎の海に落ちていくのです。これはまさにアメリカンニューシネマの流れ以外の何ものでもありません。クライマックスで舞台から消えるのですから。

「道は極限まで己で拓け」と説いていた牧師が全力を尽くした挙句、炎に消える。ハリウッド映画がこのむ「乗り越えムービー・お仕舞いはハッピー」とは全く逆です。

主演ジーンハックマンや脇役のアーネストボーグナインはアメリカンニューシネマ語るにおいて、外せない俳優でもあります。
『ポセイドンアドベンチャー』は、アメリカンニューシネマの洗礼を受け、極限シチュエーションで新たな価値観を問うた一本だと思うのです。



『ポセイドンアドベンチャー』感想レビュー

登場人物のキャラクター設定と俳優の演技がめちゃくちゃ光ってます。

『ポセイドンアドベンチャー』は脱出をはかる10人の物語です。全員が主人公だ、と言ってもいいほどキャラが立っています。

しかし10人のキャラが決してばらついたり、枝葉がちょん切れることなくきちんと一本にまとまっています。これ、すごいです。

異端牧師役のジーンハックマンはもちろんのこと、牧師と対立する堅物の元警察官役のアーネストボーグナイン、気のいいおばさまを演じたシェリーウインタース。どこまでも優しく、「人間、逆境時、こうありたいよなあ」的ジャック・アルバートソンや、牧師に淡い恋心を抱くティーン役のパメラ・スー・マーチン…一人一人が人としての存在感をていねいに演じ切っています。

初めて中学時代に『ポセイドンアドベンチャー』を見たときは、シェリーウィンタースもアーネストボーグナインも「黙って牧師にについていけよ、なんだか邪魔な奴らだな〜」と思ったことが、赤面恥ずかしくも思い出されます。名優とは、映画が古くなっても、かくも煌めいているものですね。

今改めて『ポセイドンアドベンチャー』を見直してみると、夫婦愛あり、敵対あり、恋あり、と、映画の要素を全てストーリーに入っています。
2023年、久々の再見にも関わらず、「見事にヤラレマシタ」でした。



『ポセイドンアドベンチャー』ぼくの評価は?

ぼくは、その昔(1975年当たりだったと思う)『ポセイドンアドベンチャー』をテレビ放映で観ました。当時ぼくはテレビ放映時に、ラジカセをテレビスピーカー部にペタッとくっつけて録音、そのカセットテープを、何十回と飽きもせず部屋で『ポセイドンアドベンチャー』の音をBGMとして聴いていました。(ビデオもDVDもなかった時代なので)そんなヘンな中学生でした。

今回(2023年)見たのは字幕版でしたが、当時聴いていたそのテープの声優の声をハッキリ覚えていて、全編通して、吹き替えが記憶の遥か向こうから響いてくる感じ。そのことに驚きました。(当時の声優さんが誰だったのか、わからないけど…)

そして、それほどまで繰り返し『聞いて』いたということは、当時のぼく=中学生のぼくにとって『ポセイドンアドベンチャー』は100点満点ムービーだったのだと思います。

そして45年近くが経ち再見したわけですが、ぼくの今回の評価も、あらためて満点でした。
シナリオ、演出、セリフ、俳優の演技とメイク、セット、素晴らしかったです。

CG無しでも、こんなにも迫力ある映画が作れるんだ…と、今にして脚本と演出、美術の大切さを教えられました。



『ポセイドンアドベンチャー』スタッフ・キャスト

⚫︎監督/ロナルド・ニーム この監督は後に、名作『クリスマスキャロル〜スクルージ』を生み出します。

ディケンズの物語を映画化したものです。クリスマスキャロルは映画として何本も作られていますが、ロナルド・ニーム監督の『クリスマスキャロル』は、別格中の別格。ベストムービー・殿堂入りの一本です。別記事でレビューを書いていますので、よかったらご覧ください。クリスマスに観るには最高の一本です↓

映画『クリスマスキャロル』1970公開=原題SCROOGEのあらすじ・感想評価レビュー・配信先まで
当ブログ「クリスマス映画ランキング第一位」認定。子供にもオススメ。音楽、ダンスシーンも素晴らしい1970年公開『クリスマスキャロル〜原題SCROOGE』。あらすじ・感想評価レビュー・配信先までレビュー

⚫︎キャスト/ジーン・ハックマン(別記事あります) アーネスト・ボーグナイン ジャック・アルバートソン シェリー・ウィンタース レッド・バトンズ 他



『ポセイドンアドベンチャー』主題歌について

『ポセイドンアドベンチャー』劇中、寄港地で乗り込んだバンドが歌を歌うシーンがあります。タイトルは『モーニング・アフター』。女性シンガーが歌いますが、もちろん吹き替え。実際に歌っているのはモウリーン・マクガバン。この映画の後に作られたパニック映画『タワーリングインフェルノ』でも彼女の歌がフィーチャーされています。

『モーニング・アフター』ってどんな意味かと調べてみました。「二日酔い」と出てきました。朝が辛いことを「船酔い」に引っ掛けてロマンチックに歌い上げているのかな?別の意訳があるのかもしれませんが管理人の英語翻訳力では「目眩くよう揺れる心」がせいぜいです。(これも当たってないと思う)

音楽スコアは、名手ジョン・ウィリアムズです。『ジョーズ』、『未知との遭遇』、『スターウォーズ』、『スーパーマン』、『インディジョーンズ』、『ハリーポッター』と今もなお活躍はとどまるところを知らない作曲家です。



『ポセイドンアドベンチャー』配信先

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続編『ポセイドンアドベンチャー2』(1979年公開作品)情報

前作『ポセイドン・アドベンチャー』続編映画で、前作の原作小説の作者ポール・ギャリコ自身が脚本として参加。1978年に出版された続編小説『海底の怒り』(Beyond the Poseidon Adventure)の映画化です。原題は『Beyond The Poseidon Adventure』

内容は、前作ラストの数時間後からスタート。主人公はサルベージ船のキャプテン。ポセイドン号の積荷、プルトニウムの争奪戦が筋となっているようです。

マイケル・ケイン、テリー・サバラス、サリー・フォールド・他、懐かしい役者さんが出演しています。(運営人のぼくは未見)
詳しい筋は以下にWikipediaから転載しておきます。



続編『ポセイドン・アドベンチャー2』あらすじ

ニュー・イヤーパーティーの夜、海底地震によって発生した大津波を受け転覆した豪華客船・ポセイドン号。前作ラストから数時間後、サルベージ業のマイク・ターナー(マイケル・ケイン)は、上空にヘリを発見し、近くに転覆した船があるはずだと判断。サルベージを行うことにした。

転覆したポセイドン号を発見し、セレステ(サリー・フィールド)、ウィルバー(カール・マルデン)と共に船内へ向かうこととなった。その時、ステファン・スベボ博士(テリー・サバラス)率いる医療チームがポセイドン号に到着し、彼らと行動を共にする。

船内には、フランク(ピーター・ボイル)、看護士のジーナ・ローズ(シャーリー・ジョーンズ)、スザンヌ・コンスタンチン(ヴェロニカ・ハメル)ら3人の生存者がいた。

その後スベボと別行動をとったマイクらは、テックス(スリム・ピケンズ)、ラリー(マーク・ハーモン)、フランクの娘テレサ(アンジェラ・カートライト)らを発見、他の生存者と共に船首へ向かって歩き出した。

スザンヌは、事務長の部屋にあった積荷目録をスベボの元へ届けるためにマイクらの群れから離れた。

スベボらの本当の目的は、船内にある時価を計り知れぬプルトニウムを船内から運び出すことにあった。その頃マイクらは、小説家夫婦のハロルド(ジャック・ウォーデン)とその妻ハンナ(シャーリー・ナイト)を発見。船首からの脱出は不可能と見たマイクはスベボと合流すべく船尾からの脱出を試みるが、スベボらの目的を知ったマイクは、スベボらと銃撃戦になる。

『ポセイドン・アドベンチャー2』予告編




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リメイク『ポセイドン』(2006年公開)作品情報

2006年に公開された『ポセイドン』は『ポセイドンアドベンチャー』の換骨奪胎リメイクです。監督は、『Uボート』『ネバーエンディングストーリー』などで有名なウォルフガング・ペーターゼン。キャストにはジョシュ・ルーカス、カート・ラッセルやリチャード・ドレイファスが名を連ねています。

大枠ストーリーはひっくり返った中での脱出劇という点でオリジナルの『ポセイドンアドベンチャー』と同じですが、登場人物の設定はガラッと変わっています。

僕自身、観ましたが、感想は、「楽しめた!!だけど、あまり印象に残っていない…」です。あらためてもう一回観てみたいです。



『ポセイドン』予告編




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