『ジャッカルの日』ネタバレあらすじ・感想評価レビュー|緻密、静寂、そしてスリル。暗殺者vs国家の頭脳戦!一級サスペンス名作レビュー

スリラー・SF・アクション

『ジャッカルの日』
静寂と知性が支配する暗殺サスペンスの金字塔

この記事にはネタバレが含まれます。映画をご覧になる方はその点ご留意の上お読みください。




こんにちは、映画好き絵描きのタクです。
今回取り上げるのは、1973年に公開されたサスペンス映画『ジャッカルの日』。

エドワード・フォックス演じる一匹狼の暗殺者“ジャッカル”が、フランスのシャルル・ド・ゴール大統領暗殺を依頼され、緻密に任務を遂行していく──その裏側を息を呑むリアリティで描いた作品です。

殺し屋視点と捜査側視点が交互に進む脚本、仕事の細部にまでこだわった暗殺準備の描写、そして実在の政治と結びついた世界観は秀逸!

まるで実話のようなリアリティを醸し出し、派手なアクションがなくても、ここまでスリリングにできるのか!と驚かされます。

50年以上が経った今でも色褪せていない、サスペンス傑作ムービーを解説レビューします。



🟦 『ジャッカルの日』解説〜どんな映画?

『ジャッカルの日』(The Day of the Jackal)は、ミステリ作家フレデリック・フォーサイスの同名小説を映画化した作品です。

監督はフレッド・ジンネマン。主役をエドワード・フォックスが演じています。(参考までにフレッドジンネマン監督作品→『真昼の決闘』『地上より永遠に』『尼僧物語』『ジュリア』他/エドワードフォックス出演作『』 『遠すぎた橋』『ナバロンの嵐』 他)

OAS(フランスの秘密組織)が実際にド・ゴール大統領暗殺を試みた歴史的事件を土台にしながら、
「もしプロ中のプロの暗殺者が投入されていたら?」という仮定を徹底的なリアリズムで描きます。

『ジャッカルの日』の大きな特徴は、暗殺者ジャッカルの視点と、彼を追うフランス警察の視点が並行して描かれる”二重構造”でしょう。
“暗殺者と警察の、どちらの”仕事”が先に完了するか”が見どころ。論理と知性の応酬から生まれるスリルに飲み込まれます。


🟦 『ジャッカルの日』スタッフ・キャスト

区分 名前
監督 フレッド・ジンネマン
原作 フレデリック・フォーサイス
脚本 ケネス・ロス
音楽 ジョルジュ・ドルリュー
撮影 ジャン・トゥルニエ
役名 俳優
ジャッカル エドワード・フォックス
ルベル警視正 ミシェル・ロンズデール
モンジー内務大臣 アラン・バドゥエル
デニス夫人 デルフィーヌ・セイリグ
ウルフ中佐 エリック・ポーター



🟦 『ジャッカルの日』あらすじ(途中まで ※ネタバレなし)

1962年、アルジェリア独立を阻止できなかった秘密組織OASは、フランス大統領シャルル・ド・ゴールへの報復を企てる。

そこで組織は、コードネーム“ジャッカル”と呼ばれる正体不明の凄腕暗殺者を雇い、大統領暗殺計画を極秘裏に始動させる。

ジャッカルは、完全に姿を消すため複数の身分を取得し、武器職人に特注の分解式狙撃銃を依頼。
移動手段、滞在場所、緊急逃走経路まで徹底的に計算し、完璧な準備を淡々と積み重ねていく。

一方フランス政府は、暗殺者が放たれた事実を掴み、ルベル警視正に捜査の全権を与える。
ジャッカルの正体は不明、写真も記録もない。
手掛かりは、ジャッカルという名前だけ──

こうして “姿なき暗殺者 vs 国家総力捜査網” の極限の追走劇が幕を開ける。


🟦 『ジャッカルの日』あらすじ(ネタバレ結末まで)

※ここから先は結末に触れます。ネタバレにつき映画を見たい方はスルーしてください。

捜査網が追いつくたびにジャッカルは新しい身分で突破し、痕跡を消し続ける。
そのたび警察は後手に回りながらも徐々に彼の行動パターンを解読し、包囲を狭めていく。

ついにジャッカルは大統領が出席する開放記念式典に潜入。
杖に狙撃銃を隠し、周囲に紛れながら、準備したある建物の一室へと忍び込み、発砲の瞬間を待つ。
警護の演説タイミング、角度、距離──すべて計算は完璧。

しかしその直前、捜査のわずかな推理の積み重ねによって現場に辿り着いたルベル警視正がジャッカルを発見。
反撃する間もなく、ジャッカルはルベル警視正が放った銃弾に倒れ、絶命する。

暗殺者の身元は最後まで判明せず、政府は“存在しなかった事件”として闇に葬り去る。
彼が使っていた偽名だけが、ただ、記録に残る。

エンドロール。


🟦 『ジャッカルの日』ぼくの感想

静けさが緊張感を生む

「すごい映画は時代を超えるよなあ…」
それがぼくの『ジャッカルの日』を観ての直球感想でした。

ぼくはこの映画を、その昔に2度観ています。今回は3度目、配信で見ました。
それでもあっという間に引き摺り込まれていました。

この映画のすごさは、“静けさが緊張を生むこと”を徹底しているところ。
ジャッカルは暴力的でも派手でもなく、淡々と、実に淡々と仕事をするだけです。
だけど、その一つ一つの行動が、観ている側には恐ろしいほどゾクゾクッときます。

殺し屋と警察、共にプロフェショナル

特に狙撃銃の設計製作依頼・調整・運び方なんて、まるで職人のドキュメンタリー。
危険なのに、思わず肩入れして見入ってしまうリアリティがあります。
「悪なのに見事すぎて、ついつい感心してしまう」──そんな危うい感情を抱かせる映画は、そうないでしょう。

一方で、捜査側の執念もまたプロフェッショナルです。
ほんのケシ粒のような小さな手がかりから、徐々にジャッカルの輪郭を浮かび上がらせていき、最後の最後まで諦めない。そしてギリギリで勝負に臨む。
この “追う者 × 追われる者”の”知性の戦い”はサスペンスの理想形だと感じました。

追ってを巻くジャッカルのあの手この手が見事

警察に徐々に詰められていくジャッカルですが、警察の巻き方が感心してしまいます。車の色をスプレー塗料で塗り替えたり、老ける変装をするくだりでは確か火薬か何かを服用し顔色を老人のそれにしてしまう、、、。この辺は、原作を読んだ印象が強いので、映画と原作がごっちゃになっている気がしないでもないですが、とにかくスリリングで舌を巻きます。

主役エドワード・フォックスの紳士的冷徹さに惚れる

主役を演じているのはエドワード・フォックスです。英国紳士を演じさせたら一級品、、、とぼくは思っていますが、その紳士然とした風貌と空気感を纏いながら”暗殺者”を演じてい流そのギャップがドラマに厚みを加えています。

暗殺者っぽくない暗殺者というイメージが、つい、観ているぼくを肩入れさせてしまうんですね。でも、どこまでも冷徹ですよ。受けた仕事を完遂するためなら、”エドワード・フォックスのジャッカル”は、多分、子どもでも殺すでしょう。エドワード・フォックス、最高に渋いです。

過去映画にみた殺し屋で横綱を上げろと言われたら、そうですね、西の横綱が”『ノーカントリー』のアントン・シガー”なら東の横綱が『ジャッカルの日』のジャッカル”ですね。

エドワード・フォックスの他の映画の出演作を挙げておきましょう。

』 『遠すぎた橋』 『女王陛下の戦士』 『ナバロンの嵐』 『ガンジー
ネバーセイ・ネバーアゲイン』 『ドレッサー』 『バウンティ/愛と反乱の航海
エクスカリバー

』では英国アカデミー助演男優賞をとっています。『遠すぎた橋』では英国陸軍士官の雰囲気が見事にハマリ役でした。



🟦 『ジャッカルの日』ぼくの評価

派手な爆発もCGもないのに、手に汗握ります。
50年以上前の映画なのに、今観ても全く古くないです。
映画の面白さってこういうことだよな、と改めて思いました。

『ジャッカルの日』ぼくの評価は、⭐⭐⭐⭐⭐(星五つ)です。

素晴らしい映画をありがとうございました。


🟦 『ジャッカルの日』配信情報

※2025年2月時点の一般情報(変更の可能性あり)







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