こんにちは!映画好き絵描きのタクです。今回取り上げる映画は戦争映画、タイトルは『スターリングラード』です。第二次世界大戦のスターリングラード市街戦をスナイパー=狙撃兵の目線で描いた映画です。
スナイパー=狙撃兵って、映画のテーマになりますよね。
『アメリカンスナイパー』『スナイパーレイブン』など何本も作られています
戦争映画の傑作『プライベートライアン』でも、登場人物の1人は狙撃兵。めっぽういい味を出していました。
劇中でジュードロウが演じた狙撃兵は、なんと実在の人物なのです。『スターリングラード』は事実ベースのフィクション戦争映画です。
『スターリングラード』予告編
『スターリングラード』って2本あるけど、どっちなの?
第二次世界大戦のソ連の都市・スターリングラード攻防戦をテーマにした『スターリングラード』と邦題が付けられた映画は、実は2本あります。
一本目は、ドイツ映画陣がドイツ軍目線で描いた『スターリングラード』(1993年作品)
2本目は、ロシア軍スナイパーをジュード・ロウが演じたロシア軍目線の『スターリングラード』(2001年作品)です。ちなみに後者はアメリカ、ドイツ、イギリス、アイルランドの4国合作です。
で、レビューします、と言っても、いったい、どっち?なの??となりますよね。
今回レビューするのは、後者。ジュード・ロウがスナイパーを演じたロシア軍目線の『スターリングラード』(原題: Enemy at the Gates 2001年作品)です。
参考までに、ドイツ目線の『スターリングラード』は徹底した戦場描写と救いのなさでリアル感に背筋寒くなるような映画ですよ。ALLCINEMAの紹介ページを貼っておきます
『スターリングラード』解説
『スターリングラード』は実話なの??
実在した名狙撃兵ヴァシリ・ザイツェフがモデルとなっています。
ヴァシリ・ザイツェフ自身、公開時もロシアの国家的英雄であり、1990年頃まで存命していていたのですが、何が真実でどこまでが事実なのかははっきりしないようです。
どこの国でも「プロパガンダ」で宣伝される英雄像って、そんなものですよね。
監督のジャン・ジャック・アノー自身、こう言っています。
「登場人物の中には保存文書やニュース映像などに実在する人物もいたが、大半は自由に解釈した」(公開時パンフレットのプロダクションノートから転載)
あくまで映画はザイツェフと女性兵士との恋(記録に残っているようです)とドイツ軍スナイパーとの対決があったらしい、、、という下敷きを元に創作したフィクションです。
映画シナリオとして脚色されているため、厳密な意味では実話ではありません。
『スターリングラード』はどんな話?
第二次世界大戦でナチスドイツがソ連に侵攻しました。
当初は破竹の勢いのドイツ軍でしたが、スターリングラード(今のボルゴグラード)でつまずきます。
ソ連軍は兵士を人と思わない人海戦術でドイツ軍に抵抗しました。
そんなスターリングラードに一人の兵卒がいました。
彼はヴァシリ・ザイツェフ(以下ザイツェフ)。子供の時から狩猟のためライフルを教え込まれ、射撃の腕は抜群でした。
軍司令部からその腕前を見込まれてザイツェフはスナイパーとなります。
彼が狙撃する相手は、ドイツ軍の士官クラス将校です。下っ端兵士は撃ちません。
ザイツェフの狙撃で上級将校不足となったドイツ軍は、ザイツェフを倒すため、伝説的なスナイパー・ケーニッヒ少佐を刺客として送り込みます。ここからがクライマックス…そんな戦争映画です。
どうやって崩壊したスターリングラードを撮影したのだろう?と思えるほどリアリティに驚きです。
『スターリングラード』10秒でわかる4行あらすじ。
・激戦のスターリングラードで一人の兵卒ヴァシリ・ザイツェフがスナイパーとして名をあげます。
・英雄となった彼はしかし、ドイツ軍から抹殺すべき男としてマークされます。
・激しい戦火の中、絡み合う友情と恋愛、そして憎悪。
・クライマックスはドイツ軍の狙撃の名手とザイツェフの対決となります。
(詳しいストーリーは別章で書きますね。)
『スターリングラード』詳しいあらすじです
ネタバレ含みますので、映画を観る方は、あくまでご自身の判断でお読みください。
舞台は第二次世界大戦のヨーロッパ東部戦線スターリングラード。
1942年、ドイツ軍はソ連へと侵攻。
しかしスターリングラードでソ連軍の激しい抵抗にあい、街は瓦礫と化し、戦線は膠着していた。
そんなスターリングラードに兵卒の一団が送り込まれる。その一人が主人公のザイツェフだ。
無謀な突撃を強いられる彼らはしかし、ドイツ軍の前には無力で全滅。
ザイツェフは辛くも生き残るが、敵地にあって身動きが取れないままとなっていた。
その場で政治将校のダニロフと偶然出会う。
ザイツェフの射撃の腕前に驚いたダニロフは、司令部でフルシチョフ将軍に彼の存在を告げ、兵を鼓舞するために英雄として仕立て上げる提案を申し出る。
ダニロフのアイデアで狙撃兵となったザイツェフの戦果は華々しい。意気投合する二人。
ザイツェフはソ連兵はもとより市民からも英雄視され、ある家族と知り合う。
その家族には女性レジスタンスのターニャがいた。
ターニャに一目惚れするザイツェフ。
しかし、ドイツ語を学んでいた彼女はダニロフの口利きで、暗号解読班に配属される。
スターリングラードの戦いは熾烈を極めていた。
ザイツェフはドイツの高級将校だけを狙い撃つ。
指揮官クラスを狙撃で次々失っていくドイツ軍は、スナイパーとして英雄視されているザイツェフを殺すため、貴族出身の狙撃の名手ケーニッヒ少佐を送り込む。
戦場でのザイツェフとターニャの愛、そして密かにターニャの想いを抱くダニロフ。
しかし共産主義の掲げる「所有権を廃する」理想と、一人の女性ターニャを独占したいという心の葛藤に苦悶するダニロフ。
ダニロフは、作戦から帰還しないザイツェフを「彼は死んだ」とターニャにつげ、ターニャはスターリングラードからの脱出を強いられる。
脱出直前のターニャの至近距離に砲弾が炸裂する…。
一方、ザイツェフの刺客として送り込まれたケーニッヒ少佐は、ただの狙撃兵ではなかった。
策略をも得意とする生粋の軍人でもあったのだ。
彼は策を練り、ザイツェフを慕う家族の子供サーシャを情報源として囲い込む。
かくして、裏の裏をかく、スナイパー同士の戦いの幕が切って落とされる…
といったストーリーです。
『スターリングラード』あらすじ結末ラストまで〜ネタバレ閲覧注意
瓦礫となったスターリングラード市街で、情報源として取り込んだサーシャを餌に、優位に立つケーニッヒ少佐。
ザイツェフは、戦略巧みなケーニッヒ少佐の居場所がわからない。
ターニャの死をダニロフから告げられ、焦燥し混乱するザイツェフ。
しかし、ダニロフが自らを狙撃の的としてケーニッヒ少佐に撃たせることで、ケーニッヒ少佐の射撃位置をザイツェフに教え、絶命。
ダニロフの捨てた命と引き換えに、ザイツェフはケーニッヒ少佐を撃ち抜く。
スターリングラードの戦いは、程なくドイツ軍が降伏する。
とある野戦病院に、負傷しつつも無事だったターニャの姿があった。そして同じ病院内でターニャを探すザイツェフ。
ラスト、二人は奇跡的に再会する。
『スターリングラード』ぼくの感想です
冒頭15分のスターリングラード激戦シーンは必見!
まずすごいのは、貨車に詰め込まれた主人公ザイツェフや兵士たちが、「ガラガラっ」と貨車の扉が開き、川向こうに破壊し尽くされたスターリングラード市街が見えるシーンです。
「嘘だろ、こんなの、あり??」と唖然となるほどの衝撃的カットです。
続いて、彼ら=ソ連兵の突撃シーンへとカットは写っていきますが、これがまた
「絶対嘘だろ、こんなの、ありかい??」となるほどの悲惨極まりなさ。
激戦…と書きましたが、いや、その実、「戦い」になっていません。
ソ連側の兵士たちは二人に一挺のライフルしか与えられず、機関銃と戦車が迎え打つドイツ軍陣地にただやみくもに突進していくのですから。
あまりに無謀極まりない突撃です。言うなれば一方的虐殺でもあります。
戦争映画の傑作『プライベートライアン』の冒頭シーンもすごかったけど、『スターリングラード』のその15分間も、別の意味で歴史に残るすごいシーンだと思います。
市街戦も同じく必見!
見ている側は、スターリングラード市街戦にあっという間に放り込まれます。セットの素晴らしさ…ということなんだろうけど、VFXが全盛になる前の映画ですから、一体どうやって撮影したのか?と思ってしまいます。
ロングでの廃墟を捉えたシーンが多いのも『スターリングラード』の特徴のj一つです。
呆然となる瓦礫をロングで捉えることで、人間のちっぽけさが強調されています。
ミリオタ必見!
戦争映画の歴史を変えた『プライベートライアン』がヨーロッパ戦線の西部戦線だったのに対して、『スターリングラード』は地獄の東部戦線です。
戦争映画好き、ひいてはミリオタなら間違いなくツボだと思います。(ぼく、オタまでいかないけどミリタリ好き)
ドイツ軍戦車は「3号戦車」らしき車両が登場します。微妙に細部が違うので何か別の戦車を化粧して作られたものだと思いますが、ミリオタなら狂喜乱舞の完成度ですよ。
子供と一緒に…はさすが見れない殿堂入りのラブシーン
戦闘シーンは確かに凄いのですが、ぼく的には別にゴールデンタイムに見せられない残酷シーンではない、、、と思っています。
しかし、子供と一緒に…はさすがに進められないかな、、、
というのは、ザイツェフとターニャのラブシーンが、素晴らしくも絶品なのです。。。ラブシーンと言う言葉より濡れ場という言葉を使いたくなってしまいます。
ソ連軍の兵士たちの雑魚寝しているところで、ターニャがザイツェフに忍び寄り、コトが始まるのですが、裸が出てくるのはほんの一瞬。されどその愛の交感は、生死ギリギリ戦場での胸が苦しくなるような交わりを見せてくれます。
明日がやってこないかもしれない状況でのセックスを、ほぼ裸なしで見せるジュード・ロウとレイチェル・ワイズの演技は渾身の捨て身。ほんと素晴らしい。
こんな愛の交わし方を映像で見せてくれた監督に五つ星プリーズのセックスシーンなのです。
過去みた映画の濡れ場シーンベスト3に入れちゃいます。
もしですよ、子供が隣に座っていたら、、、それはもう、間違いなく子供の両目を両手で覆って、大人だけ見るのが正解かもです。
ストーリーの柱は男女の愛と嫉妬
『スターリングラード』、ベタなドンパチ戦争映画と思ってみると、少々肩透かしをくらうかもしれません。
というのも、ストーリーの柱となっているのはザイツェフとターニャのラブストーリーであり、そしてダニロフの抱く二人への嫉妬心なのです。
その点は「だから人間面白い」派と「なんだかなあ…」派に別れるんじゃないかな、、、と感じました。
ぼく自身は、生々しい人間ドラマに深みを与えた、と感じたので、賛成派に一票です。
『スターリングラード』ぼくの評価は?
オススメ!です。
スターリングラード市街戦のハラハラ感はもとより、場人物たちがどう絡んでいくんだろう?という人間ドラマが、数ある戦争映画の中でも光っていたように思えます。
そして敵役ケーニッヒ少佐の型にはまらない描き方が良いです。
悪役って言えば悪役なんですが、息子が狙撃で死んでいる伏線があり、なぜザイツェフと戦うのか?その理由もキリッとしています。
演じたエドハリス、よかったです。
ぼくの評価は星四つ半。半欠けは男女の愛と嫉妬の描き方がちょっと饒舌すぎたかな???という点で半欠けでした。
『スターリングラード』スタッフ・キャスト
スタッフ
監督:ジャン=ジャック・アノー
製作:ジャン=ジャック・アノー ジョン・D・スコフィールド
原作:ウィリアム・クレイグ
脚本:ジャン=ジャック・アノー アラン・ゴダール
撮影:ロベール・フレス
美術:ウォルフ・クレーガー
音楽:ジェームズ・ホーナー
キャスト
ジュード・ロウ(ヴァシリ・ザイツェフ)
ジョセフ・ファインズ(ダニロフ)
レイチェル・ワイズ(ターニャ)
ボブ・ホスキンス(フルシチョフ)
エド・ハリス(ケーニッヒ少佐)
他
『スターリングラード』配信先は?
以下でレンタル、配信されています。
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fulu | 見放題配信 | 登録無料 |
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