『シルバラード』西部劇映画のネタバレ含む評価感想キャストレビュー。1985年公開当時の印象と2023年今に観て思ったこと。

スリラー・SF・アクション

『シルバラード』西部劇です。1985年、この映画の公開時、ぼくはワクワクした気持ちで劇場に足を運んだことをリアルに覚えています。当時、すでにハリウッド西部劇は過去の栄光となり、ほとんど作られていませんでした。そんな中、当時の映画界を引っ張っていた一人、ローレンス・カスダン監督がメガホン取った!と聞いては、観ないわけにはいかないよ、でした。

『シルバラード』ぼくが観たきっかけ

「ローレンス・カスダンって、誰?」と知らない方も多いと思いますのでちょっと触れますと、監督はもとより脚本家でもあります。脚本で関わった作品は、有名どころでは、『スターウォーズ』、『インディジョーンズ』なんて、メガトン級大ヒット作を手がけています。

1985年っていうと、スターウォーズ、インディジョーンズの時代ですよ。

時代を背負ってたカスダン監督、SF、アドベンチャーの次に手がけたジャンルがまさかの、もはや廃れたかと思ったウェスタンだったわけです。

ただならぬ気配感じたぼくは映画館へ駆け込んだのでした。

今回のムービーダイアリーズでは、公開当時映画館に通いまくっていた22歳のぼくが感じた印象と、38年経ち、改めて観ての「還暦感想」を二つに分けて書いてみたいと思います。

『シルバラード』1985年劇場公開時の感想レビュー

22歳当時のぼくは、とにかくめちゃくちゃ興奮したことを覚えています。

ぼくはクラシック西部劇の『シェーン』『真昼の決闘』『駅馬車』や『西部開拓史』はテレビ放映で観た世代です。『シルバラード』の内容は、それらへのオマージュ連打もあり、「西部劇スタイルを今風に甦らせたなあ」と、それこそ劇場から出てきた時は、あたかも腰の脇に拳銃ホルスターが付いているかんじの「手」になってました。

「ガンベルトを腰に回すシーンや、ライフルを抱え持つローアングルカットのナイスセンスがたまらんぜ」

とか、

ラストの町での対決シーンも、パーフェクトにウェスタンの古き良きパターンを再現、型通りの結末に「最高だったぜ!」と、友達に吹いて回ってたこと覚えています。

「西部劇はこうでなくちゃ」と舞い上がっていました。

キャストも、当時売り出し中だったケビン・コスナーはじめ、当時渋く脇役を張っていた役者さんたちがゾロっと主役メンバーに並んだ感がありました。

悪役もきちっと悪役やってましたし。

さて、当時22歳のぼくがつけた点数です。シルバラードというタイトルを今聞いても当時の高揚感を思い出しますから、多分90点くらいつけたようにように思います。

『シルバラード』2023年再見時の評価レビュー

時は四半世紀どころか38年も経ってしまい今回再見、こういう過去との対面はハラハラです。

「もし、観終わって、あの日の高揚感と違ってたらやだな。」

誰でも映画好きなら経験ある、過去感動作との再会です。

で、どうだったか?

やはり38年という歳月は自分自身の感度、というか、マッチする周波数みたいなのが当時とは変わっていることを感じました。

たとえば、冒頭のシーン。

真っ暗な室内で外から襲撃を受けるシーンがあります。

ズドンという銃声と同時に、穴が空いた壁から一条、二条と光がさす。

つかみはオッケー、光と影の絶品名シーンです。

暗闇の中、次々差し込む光がかっこよいのです。銃撃戦が終わり主人公がドアをあけ外に出ると雄大なアメリカ西部のだだっ広い荒野が、眼前にわーっと広がります。

文で書くと、悲しいかな文才が無く、なんてことなくなっちゃうのですが、「帰ってきたウルトラマン」ならぬ、「帰ってきたザ・ウェスタン」なのです。

「ザ・ウェスタン」と書きました。「この映画でウェスタンの真髄を復活させたる!」という製作陣の気概がかんじられるシーンです。

この冒頭シーンではまだ自分の周波数は変わっていないな、と安心したのですが徐々にところどころに打ち込まれる「キメ」に素直に「かっけー!」となれない自分がいました。

そう、みて徐々にズレが感じられていったのです。

これは映画が時と共に鮮度が悪くなったわけではなく、ぼく自身の中の「カッコイイ」周波数が、変わっていた、ことに尽きると思います。

かつてはシビれまくっていたシーン(意外と覚えているものですよ)に、ことごとく「あれ?前みたいに鳥肌こない」なのでした。

ライフルの名手が2丁ライフルを両手で掲げ持つシーンなんて、ナミダ出るくらいカッコええな、と思っていた若き日。今回は、「あ、あのシーン、ここだ、ここだ」の再確認で終わってしまいました。

主人公が馬に踏みつけられ半死半生から再起するシーンがあります。

クライマックスへ向かい、怒り心頭、立ち上がるシーンですが、ここでもつい「さっきまで立ち上がれなかったのに、おいおい、大丈夫か?あ、そうか、アドレナリンだ。アドレナリンってすごいな」と思ってしまった自分に、少し悲しくなりました。

全編通して、随所でふと「我に返ってしまう」映画は切ないです。

38年後のぼくの評価は、60点でした。

何度も言いますが、映画には感じる周波数ってあります。笑いのツボって、人それぞれ。それと一緒です。

あくまで今回思ったのはぼくのカッコええに対しての周波数が変わってしまっていた、ということです。

と言いつつ、役者さんたち、いい味を出してますよ。ケビン・コスナーは当時絶賛売り出し中という感じ。スコット・グレンはこの後バックドラフトなんかでガンガン行くことになります。ジェフ・ゴールドブラムなんて、『ザ・フライ』ですげーなーと思いましたが、今回もキザなギャンブラー役でニヤリとさせます。

スクリーンの中では年を取らない俳優さんと久々の再会は楽しかったです。

また、ポスターもかっこよいです。当時の本流、「イラスト」でバシッと決めています。イラストレーターとしても脱帽ものでした。

『シルバラード』あらすじ紹介

ガンマンのエメットは砂漠で倒れていた男ペイドンを救う。

助けられたペイドンは、立ち寄った町で古い仲間のコッブと再会、仕事を持ちかけられる。

しかし、ペイドンは断り、エメットと行動を共にするが、のちにコッブの経営する酒場の用心棒に落ち着くことになる。

黒人のライフルマンのマルとエメットとの出会い。

そして新たにストーリーに合流するエメットの弟ジェイク。

そこにかつてエメットをはめた悪党牧場主マッケンドリックがからみはじめる。

エメットとマッケンドリック一味、そしてコッブの対立は避けられない空気が流れはじめる。

そんな折、エメットはマッケンドリック一味に半死半生のリンチを受ける。

同時に姉夫婦の家が襲われ、物語は一気にシルバラードでの決闘へとなだれ込む。

掻い摘むとそんなストーリーです。実際見てみると基本スジがシンプルな西部劇にしては少々複雑感なきにしもあらずですが、、、。

『シルバラード』スタッフ・キャスト

監督/ローレンス・カスダン

キャスト/ケビン・クライン スコット・グレン ケビン・コスナー ダニー・グローバー ブライアン・デネヒュー ロザンナ・アークェット ジェフ・ゴールドブラム 他

『シルバラード』配信は?

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