『ブラックホーク・ダウン』実話映画の解説考察から評価まで|実際の映像のようなリアリティ

実話・リアリティ

『ブラックホーク・ダウン』は、1993年にソマリアで実際に起きた「モガディシュの戦闘」を描いた戦争映画です。監督はリドリー・スコット。

199310月、ソマリアでは内戦が続いていました。国際社会は内戦を終結させるため、米軍を中心とする多国籍軍を派遣し、食糧支援を実施していました。

そんな中、米軍は和平に反対するアイディード将軍の副官2名を捕らえる作戦を実行します。しかし、作戦は失敗。2機のブラックホーク・ヘリが撃墜され、市街戦へと発展します。『ブラックホーク・ダウン』では、この作戦の様子を、米軍特殊部隊の兵士たちの視点から描いています。

映画は、戦争の悲惨さやリアリティが衝撃を与えました。また、アカデミー賞では、撮影賞、編集賞、音響編集賞、音響効果賞を受賞。名匠リドリースコットが「戦争」をどう捉えたのか?今回はそんな戦争映画『ブラックホーク・ダウン』をいくつかの視点でレビューしてみます。




『ブラックホーク・ダウン』予告編です




『ブラックホーク・ダウン』実際の映像ってあるの?

実話の映画ですから、実際の映像が気になる方、いませんか?

ぼくは気になりました。

報道写真等で見つけられないかと思い探しました。しかしそう見つかりませんでした。

考えてみれば極秘裏作戦だったわけで、カメラマンが同行できたはずがありません。

唯一ぼくが見つけられたのは、時事通信の時事ドットコムに掲載されていた、「破壊されたヘリ、ブラックホーク」の写真でした。

時事ドットコムさんのサイトに載っていますので、ご覧ください。

https://www.jiji.com/sp/v2?id=20090428somalia-pirates_11




『ブラックホーク・ダウン』ぼくの感想・考察

映画の第一印象は「これは従軍カメラマンの目線だ」

かつてベトナム戦争やカンボジア内戦、アフガニスタンでは、戦場カメラマンが戦場最前線のリアルな写真を撮影、新聞等で見ることができました。

日本でも沢田教一さんはじめ、有名な戦場カメラマンが幾人もいました。いや、今もいます。

しかし、情報公開のあり方や、出版社のそういった戦場報道写真集に対する姿勢も変わってきたのか、書店で戦場カメラマンの写真集を見ることも、ほとんどなくなりました。

あわよくばソマリア内戦の報道写真集がないものかと探しましたが、見つかりませんでした。

『ブラックホーク・ダウン』を観た第一印象は、「沢田教一カメラマンがもしモガディシオの現地にいたならば、この映画のスチール的作品を多数残していたに違いない」という感想でした。




スクリーンから突きつけられるのは「十数時間の戦場の現実」

戦争では、どちら側が正しい、間違っている、を問うこと自体馬鹿げています。

戦場では、「ただ兵士が戦い、傷を負い、死んでいく。あるいは生き残っていく」、それだけ。

ベトナム戦争やカンボジアの戦場での沢田教一氏の写真が訴えてくるのはまさに、そんな現実です。

『ブラックホーク・ダウン』の映画から伝割ってくるのは、そんな「戦場ではただ兵士が戦い、傷を負い、死んでいく。あるいは生き残っていく」というメッセージだと感じました。

全編、兵士の目線で局地戦に放り込まれると言っていいです。それ以上でも、それ以下でもありません。

『ブラックホーク・ダウン』は、兵士たちのモガディシュでの十数時間リアル体験ゾーンです。

沢田教一カメラマンの写真がついオーバーラップしてくる『ブラックホーク・ダウン』の映像に、ぼくはベトナム戦争の時代から、世界は何も変わっていないのかも、と、悲しくなりました。




『ブラックホーク・ダウン』登場する武器装備

管理人のぼく自身、少しだけミリオタ入ってます。ですが第二次世界大戦終戦時点で興味がストップしているので、この映画に登場する兵器についてはさっぱりわかりません。

だけど、気合い入ったミリオタ諸兄にとっては、『ブラックホーク・ダウン』はバイブルとなっているのでは?

その証拠に、『ブラックホーク・ダウン』でウェブ検索かけると、ミリタリー好きサイトやサバゲーサイトにバンバンぶつかりますね。

これ、納得です。

『ブラックホーク・ダウン』はそんな方々にとってバイブルといってもいいかもしれません。

ぼくが『ブラックホーク・ダウン』の中で印象に残った武器装備は、敵方が頻繁に使う「RPG」です。

RPG===ロールプレイングゲームじゃありません。

RPGはロシア語の「ルチノーイ・プラチヴァターンカヴィイ・グラナタミョート」の略です。「携帯対戦車グレネードランチャー」のことです。

『ブラックホーク・ダウン』劇中でも、市街戦シーンで何度もRPG!!とアメリカ軍兵士が怒鳴るシーンが出てきます。

とたんに、叫んだ至近距離に「ドカン!」

これ、筒状の発射筒の先っぽにロケット弾が付いている武器です。

Wikipediaから写真を引用転載しますが、こんな形。

出典:Wikipedia

元々ロシアが第二次世界大戦後に開発した、戦車を破壊するための歩兵の武器です。

似たような武器に第二次世界大戦中にアメリカ軍が使っていた歩兵用対戦車ロケット弾にバズーカ砲、ドイツ軍が使っていた対戦車擲弾兵器にパンツァーファウストってのがありますね。

RPG」は今も第三世界でよく使われているスタンダードな兵器です。

『ブラックホーク・ダウン』ではアイディード将軍側の民兵が押し寄せるシーンで、RPGを担いでいる兵士がよく映っています。

また、発射されたロケット弾が装甲を破り、兵士の腹部を貫通するキツイシーンも出てきます。

至近距離で飛来するロケット弾からすると、兵士の肉体なんて、薄っぺらい紙みたいなもの….それもまた戦場のリアルなんでしょうね。。。




『ブラックホーク・ダウン』「デルタ」って、何?戦死者数は?

『ブラックホーク・ダウン』の中で頻繁に出てくるワードに「デルタ」があります。

部隊の名前だろう、、、くらいはわかるのですが、詳しくは知らなかったので調べてみました。

「デルタ」=デルタフォースと呼ばれるもので、おもに対テロ制圧を任務とするアメリカ陸軍特殊部隊とのことでした。

ちなみにモガデシュの戦いに従事した部隊は、以下の通りです。

デルタフォースC中隊 第75レンジャー連隊B中隊 第160特殊作戦航空連隊第一大隊 第10山岳師団 Seals6 第24特殊戦術飛行隊

以上、米軍側の兵士160名。

対するソマリア民兵は1500名~2000名だったとされています。

米軍側の戦死者は19名。ソマリア民兵側の戦死者は200名~500名とはっきりしませんが、映画の中では1000名と書かれていました。

映画を観て、この数字を比べると、作戦失敗だったことは傍に置いておいて、民兵に比べて正規軍の練度の高さ=プロフェッショナル度がわかります。




『ブラックホーク・ダウン』はどんな作戦だったのか?

『ブラックホーク・ダウン』で描かれる作戦は、アメリカ軍が秘密裏に立案、統合特殊作戦コマンドが実行したオペレーションです。

目標はソマリア民兵の将軍アイディードを捕えることでした。

「モガディシュの戦い」として歴史にその名を刻まれていますが、この名称は、のちにマスコミがつけた呼び名です。

映画の中で、作戦の説明をするシーンがあり、地図が出てきます。激戦地となるそのエリアの名前から「ブラック・シーの戦い」とも呼ばれているようです。

作戦中、「We got a Blackhawk down, We got a Blackhawk down」という報告がなされます。

訳すと『ブラックホークの墜落を確認した、ブラックホークの墜落を確認した』となります。

映画のタイトル『ブラックホーク・ダウン』は、この、ヘリ墜落確認交信から取られているんですね。

ちなみに映画冒頭で「死者だけが戦争の終わりを見た」というクレジットが流れます。

この映画を見終わって、その冒頭クレジットの言葉の重みを感じました。ちなみにギリシャの哲人、プラトンの言葉です。




『ブラックホーク・ダウン』ぼくの評価です

エイリアンシリーズや『グラディエーター』、2023年年末には『ナポレオン』が公開されるリドリー・スコット監督の描く近代の戦争映画、ということで、ぼくは実は3回見ています。

正直な感想は、十数時間という戦場真っ只中に放り込まれる感じです。延々と市街戦が続きます。実話ですから気を抜くところが全くありません。映画というよりも報道カメラマンの目線に随行している感じを受けました。

ぼくの評価は、しっかりと四つ星です。

3回とも見終わるとヘトヘトになる、そんな戦争映画です。

なので、万人には「絶対見て!」とは言いにくいかも、、、。

戦争映画を見慣れない人にとっては、街の中でどう紫外線が繰り広げられているのか、位置関係などの繋がりがわかりにくいシーンも多々かもしれません。

また、洋画の戦争映画アルアルに、「ヘルメットかぶった男たちが、汗と硝煙で顔が汚れ、みんな同じ顔に見える」のはこの映画も一緒です。←東洋人の僕らからしたらこれは仕方ないことですね。




『ブラックホーク・ダウン』配信先は?

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