映画『コーラスライン』感想レビュー
あらすじ・配信情報・キャスト・使用曲から
2025アダムクーパー主演ミュージカルとの対比まで
こんにちは、映画好き絵描きのタクです。
ぼく、ミュージカル映画、好きです。インド映画の大群舞からハリウッド黄金期のミュージカル映画、『愛と悲しみのボレロ』といったドラマだけど音楽カナメっていう映画も好き。
そんな音楽映画を見ていると顔が緩んで笑顔になってしまいます。音楽と踊りと映像って、相性が良いんでしょうね。
今回レビューで取り上げる映画は『コーラスライン』。1985年日本公開のアメリカ映画です。
今年(2025年)はアダム・クーパー主演の『コーラスライン』が日本に上陸しました。ぼくも遅ればせながら10月15日シアターHでの舞台公演を観てきました。言葉にならないほど、それは素晴らしかったです。そんなこともあって久々に映画版『コーラスライン』をDVDで観てみました。
せっかく映像と舞台のダブルで楽しみましたので、映画レビューと併せて舞台レビューも載せておきます。
舞台を見た方が「映画も見てみたいな」となった時のガイドにもなれば嬉しいです。
映画『コーラスライン』予告編
映画『コーラスライン』解説〜どんな映画?
『コーラスライン』(A Chorus Line)は、1985年公開のアメリカ合衆国のミュージカル映画です。監督はリチャード・アッテンボロー。主演はマイケル・ダグラス、テレンス・マン。他。
アーノルド・シュルマンによる映画脚本は、ジェームズ・カークウッドとニコラス・ダンテによる1975年初演の同名のミュージカル作品の台本に基づいています。
楽曲を担当したのはマーヴィン・ハムリッシュとエドワード・クレバン。
物語は、新作ブロードウェイ・ミュージカルの演出家と、舞台の役を得ようとするダンサーたちのストーリーです。踊る喜び、ステージダンサーに選ばれる厳しさ、踊り手それぞれの生き方が描かれる映画です。(113分。アメリカ映画)
『コーラスライン』配信レンタル先は?DVDは入手可能か?
映画『コーラスライン』がどこでみれるか?気になるところですよね。
この映画を観たい方に向けて、配信レンタル先を調べてみました。
残念ながら、いま(2025年9月現在)、配信はされていないようです。
宅配レンタルなら、TSUTAYA DISCASでDVDをレンタル可能のようです。
DVD/ ブルーレイは、中古になりますがAmazon、メルカリ等で入手可能です。
ちなみにぼくはAmazonで入手しました。

映画『コーラスライン』(1985)スタッフ情報
- 監督:リチャード・アッテンボロー
- 脚本:ジェームズ・カークウッド・Jr.、ニコラス・ダンテ、アーノルド・シュルマン
- 原作:ブロードウェイ・ミュージカル「A Chorus Line」
- 音楽:マーヴィン・ハムリッシュ
- 作詞:エドワード・クリーバン
- 製作:リチャード・アッテンボロー、ポール・J・ヘンジ
キャスト一覧
| 役名 | 俳優名 | 特徴・役割 |
|---|---|---|
| ザック | マイケル・ダグラス | 演出家・振付師 |
| ラリー | テレンス・マン | 振付助手 |
| キャシー | アリソン・リード | ザックの元恋人、再起をかけてオーディションに挑む |
| マイク | チャールズ・マクゴアン | ユーモアあるタップを披露する。 |
| ポール | キャメロン・イングリッシュ | 自分の過去を打ち明ける青年ダンサー |
| ディアナ | ヤミール・ボージェス | 明るいラテン系ダンサー、ソロ曲「Nothing」を披露 |
| シーラ | ヴィッキー・フレデリック | 皮肉屋のベテラン女性ダンサー:ザックと旧友 |
| マギー | パム・クリンガー | 夢を語るダンサー |
| ヴァル | オードリー・ランダース | セクシーさを武器にする女性ダンサー |
| リッチー | グレッグ・バージ | 黒人ダンサー・エネルギッシュ |
| グレッグ | ジャスティン・ロス | ユダヤ系のダンサー |
| マーク | マット・ウェスト | 30代に差し掛かったダンサー |
『コーラスライン』あらすじは?
では、映画のあらすじ紹介です。
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舞台はアメリカニューヨークのブロードウェイの劇場です。
劇場のステージでは、あるミュージカルのバックダンサーオーディションが行われ、大勢のダンサーたちが、振付師から繰り出される指示に従い群舞しています。
暗い客席に座って厳しい視線を舞台に送るのは演出家のザック(マイケル・ダグラス)。
何十人も審査を重ね、通過したのはわずか16人。
そんなところへ、往年のスターダンサーだったキャシー(アリソン・リード)がバックダンサーの仕事を求め、オーディション会場に遅れてやってきます。
キャシーは演出家ザックの元恋人。かつてキャシーはザックと別れてハリウッドへと旅だったのです。
ザックは、コーラスライン(バックダンサー)として男性4人、女性4人の計8人を決めることにしていました。
そんなオーディションにキャシーが現れたことにザックは躊躇します。
審査は進みます。
ザックは参加者たちにそれぞれのたどってきた人生を語ってくれ、と、自己紹介を求めます。
まさか語ることがオーディションにあるとは思ってもいなかったダンサーたち。
ポツポツと、ダンサーひとりひとりが、家族、悩みが明かされていきます…
『コーラスライン』あらすじラストまで〜ネタバレ注意
ダンサーたちが抱える悩み、ダンスへの想い、家族のことや初体験など様々な話題が話される。
ザックはキャシーに話しかける時、参加者全員をリハ室にハケさせます。
ザックは、スターダンサーだったキャシーに対し、コーラスラインのダンサーに個性的な踊りは無用だと、伝え、オーディションから引くよう説得します。
しかしキャシーはオーディションを受けさせて欲しいと願い出ます。
折れるザック。
キャシーとザックの関係、ダンサーたちそれぞれの人生が交差しつつ新しい振り付けがなされ、オーディションは進む。
そんな中、ダンサーのひとりポールが足の筋を痛め、救急車で運ばれていきます。
ダンスの厳しさを身をもって感じ入るダンサーたち…
ザックはダンサーたちに二度と踊れなくなったらどうするのかと尋ねます。
1人が「たとえコーラスの1人だとしても記憶に残るダンサーになりたい」と語り、全員がうなずきます。
選考は終わりました。ザックは、コーラスラインの最終選考結果を伝えます。
ヴァル、キャシー、ビビ、ディアナ、マイク、マーク、リチー、ボビーの8人です。
舞台は暗転。
スポットライトが当てられたステージで、8人が「”One”」を踊ります。
すると落選したダンサーたちも舞台に登場し、一列だった踊りのラインが2列に、そして3列に…。
次第に舞台は大勢のダンサーで埋め尽くされ、音楽がどこまでもリフレーンし、エンドロール。
映画『コーラスライン』感想
公開当時(30年前)、ぼくはコーラスラインミュージカルの内容も知らずにこの映画を見ました。その時の感動を今でもリアルに覚えています。その足でサントラLPアルバムを買いに行ったのを覚えています。当時はビデオやDVDがまだ無かった時代、映画見終わった後にその感動を増幅させる手はサントラレコーしか無かったんですね。
それはさておき、まもなく東京はじめ、全国でミュージカルステージの『コーラスライン』がスタートします。
ぼくも東京公演のチケットを手に入れました。そんなわけで映画『コーラスライン』も見直してみよう…のなったのです。
しかし、配信はどこでもされていない。他なればDVDか、と、探したところ、中古で見つけました!
届くのをワクワク感。これ、久しぶりの感覚。
届いてさっそく見てみたら…。
もう、最高でした!
冒頭のオーディション群舞からグイグイ引っ張り込まれます。
振付師助手ラリーの存在感もやっぱりよいです。
そして、ザック役のマイケルダグラス。「ギャラはどうでもいいからこの役をさせてくれ」と、頼み込んだというだけあって、その役回り脈への入り方が良いんですよ、渋いんです。
ドラマのところどころにさしはさまるダンスも素晴らしいですが、縦横無尽のカメラアングルがとにかく魅力です。
ダンサーたちの踊りはもちろんのこと、カメラの素晴らしさを楽しめるのは、舞台のコーラスラインでは味わえない、映画ならではの醍醐味でしょう。
天井から捉える。
後ろから映す。
前後左右斜めと動き回るカメラ。
ステージライトと舞台の陰影。
そして編集の巧みさで、2時間弱があっという間。魅せてくれます。
ぼく自身の話になりますが、40歳から15年ほどタップダンスを習っていたことがありました。(過去形)その上で言わせてもらうと、凡人は、映画のなかのシーンのように「振り付けを一発で覚える」なんて、ほぼ間違いなくムリなんです。
でも、踊りの天性の才あるダンサーは一発で覚えるんですよね。
映画の中で、「振り付けはこうだ」という指示に一発で応えます。あれ、できる人はできるんですよ。ちなみにぼくは十数回繰り返してやっと覚えられた、凡人です。
踊りに関して、振り付けをすぐに覚えれるか覚えられないか?って、大事な一線のような気がする、、、。そんなところも映画では描かれているのがぼくはとても好きなところです。
カメラと踊りの話の次に、やっぱり大事なのは内容ですよね。
この映画は30年前の作品ですが、時代を先取りしています。なんと、「多様性」が隠れテーマになっています。
人種、容姿、家族構成、性癖と、ダンサーそれぞれが話していくのですが、そのドラマが、今(2025年)見ても全然古さを感じません。
「個としてしてどう生きるか?どいう人生に立ち向かっていくか?」というのが、この映画のテーマだ、と、ぼくは受け取っています。
『lコーラスライン』を観るたびに、ダンサーたちが放つ言葉を通して「自分自身が個としてどう輝いていけるのか?」を考えさせられます。
映画『コーラスライン』は、古さを感じないどころか、閉塞感のある今現在に通じていると感じました。
ぎゅっとタイトにまとめている演出を手がけた監督はリチャード・アッテンボローです。『ガンジー』でアカデミー賞を取っている名監督ですね。
最後にクライマックスの群舞『ONE』のシーンについてですが、カメラアングルと編集が映画ならではの作り方をしており、とても記憶に残ります。
やはり同じエンターティメントでも、「映画」は「舞台」とは違った視点があります。
「映画」とは、意図されたカメラ目線の複合体で作り上げられるものであり、単一視点=要は一つの客席から観ることになる「舞台芸術」とは一線を画した別エンタメなんだなあ、と僕は改めて感じました。
映画『コーラスライン』ぼくの評価
公開時の1985年、そして30年後の2025年、時代を超えて観た映画『コーラスライン』でしたが、ぼくの評価は星五つです。
….だって30年経っても鳥肌たちっぱだったんだもんな。星を減らす理由はありませんでした。
いい映画をありがとうございました。
最後に、劇中仕様の音楽曲名とシーンを簡単にまとめてみました。(公式サイトじゃないので間違いがあったらごめんなさい。)
劇中音楽とシーンまとめ
| 曲名 | シーン |
|---|---|
| I Hope I Get It | 冒頭のオーディションシーン。期待と不安を歌うナンバー |
| Who Am I Anyway?(映画版オリジナル) | ザックが自問する場面。演出家の葛藤を描く |
| I Can Do That | マイクが子どもの頃から踊ってきた経験を語る |
| At the Ballet | シーラ、マギーらが幼い日の夢を歌う感動的なシーン |
| Nothing | ディアナが演技の授業での挫折を振り返るソロ |
| Let Me Dance for You(映画版のみ) | ヴァルが自分のキャリアと身体をユーモラスに語る |
| What I Did for Love | 「踊りのために人生を捧げた」ことを歌う感動的ナンバー |
| One (Singular Sensation) | クライマックス。金色の衣装でラインを組み華麗に踊る |
| Finale: One (Reprise) | 大団円。全員での華やかなフィナーレ |
アダムクーパー主演の舞台『コーラスライン』を観ての感想です

2025年10月15日、アダムクーパー主演のミュージカル、コーラスライン日本公演を、東京のシアターHにて見てきました。
座席は、前から4列目・上手サイドでしたので、舞台上のミュージカルダンサーの表情、一挙手一投足までしっかり見ることができました。
絵描き目線からすると、正面よりも斜めの方がポーズが絵になりきまります。
僕の席のほぼ正面(舞台上では上手側)には、ザックと振り付けアシスタント・ラリーのデスク座りの位置となり、二人の演技が手に取るようにわかりました。
ミュージカルダンサーたちの踊りと演技については、もう何もいうことなどないです。すばらしいの一言です。グレートです。エクセレントです。
何せ冒頭から鳥肌です。オープニング曲のI Hope I Get Itに合わせたオーディションシーンから、ぼくはなぜか涙があふれて止まりませんでした。
その涙は、40年前に見た映画と今の舞台が、ぼくの前に同時に一線上にダブって現れたからなのだと思います。
↑うまく言えませんが、そうなんです。2本のエンターティメントが繋がって、一つになって一気に現出した、そんな感じだったんです。
感動という言葉に書くと、あっという間に色褪せて消えてしまう…そう言いたくなるような、40年の時を繋いだ至福な涙でした。
ストーリーは、映画とそう変わりません。というか、舞台が先ですから、当たり前ですね。でもでも、踊りは新しい振り付けで、別物です。シャープ&クール!まさに最新式のコーラスラインとなっていました。
ザックとキャシーの2人だけのシーンに若干の違いはありますが、驚くほどの違いではありません。キャシーのハリウッドに行ったときの挫折談が具体的に加わる感じです。(映画ではそのあたりはあっさり削られていますので、ぼくはなるほどとそのエピソードを楽しんでいました。)
そのシーンでザックは舞台に映画にと忙しくなっていき、そこで2人は別れてしまったことが明かされます。ここも映画とほぼ違いはありません。
また、舞台版では、ザック役のアダムクーパーは、舞台上と客席の間をシナリオに合わせて移動するんです。舞台の袖にも折りたたみのテーブルがあり、そこはラリーの定位置となっていますが、ザックも頻繁にそのいちにやってきます。
ちなみに、僕の席は通路に面していたので、アダムクーパーが脇を通るたびに、風に乗って彼の熱と圧を感じました。
1人の世界のトップに君臨するダンサーの肉体の持つ質量を、その風から感じることができたのが、ぼくにとって何よりの収穫だったかもしれません。
ぼくは、こう書いている今でも、アダム・クーパーの「人間としての質量」を、あの風と共に思い出します。
舞台に群舞したダンサーはじめ、アダム・クーパーまで、超絶な舞台表現をする彼らであっても、僕らと同じ一人の質量を持っていました。
つい、彼らは雲の上の人に思えてしまいますが、宇宙人でもスーパーマンでもなかったのです。「彼らもあくまで努力重ねた一人の人間なんだ、、、」鍛えられた肉体がかき分ける空気から、そう感じることができたことは、映画では決して得られなかった体験でした。
全てがパーフェクト‼️ そう叫びたくなるミュージカルでした。


↑こちらは2025年10月15日の配役表キャスティングボードです。
舞台ミュージカルの公式サイトはこちらになります↓

映画版『コーラスライン』と舞台(1975年〜版)の違いは?
『コーラスライン』はもともとが舞台のミュージカルを映画にしたものですが、それでは映画と舞台の違いはどこにあるのでしょうか?
ぼく自身、『コーラスライン』は映画から入ったクチです。舞台のコーラスラインは劇団四季版をのぞいて、まだ見たことがありません。なので、僕の言葉でその違いを書くことはできません。
ですが、ネットで調べたところその違いを書いているブログがありました。なので、そのブログのリンクを貼っておきますね。かなり細かく、かつ丁寧に、映画と舞台の違いを調べて書いています。
そちらのサイトを読んでのまとめとして、簡単に違いを書いておきますね。
映画版は「ザックとキャシーのドラマを中心に組み上げている」ようです。
また、舞台ミュージカルでは、「音楽・踊り・ダンサーたちのセリフ」が映画版よりバラエティに富んでいるようです。
映画版『コーラスライン』とアダムクーパー版舞台ミュージカルとの違いは?
日本では、2021年イギリス公開のアダムクーパー主演『コーラスライン』の舞台ミュージカル(以下、アダムクーパー主演版と表記します)が2025年、日本でも公開されています。(2025年10月16日現在)
ぼく自身、10月の東京公演のチケットを取り観てきました。内容はそれは素晴らしいものでした。
映画版との大きな違いは以下の3つと感じました。
1・ザックは映画では劇場内の観客席にほぼ座ったままでドラマが進みますが、アダムクーパー主演版ではアダムクーパー演じるザックがステージ上に頻繁に登場し、オーディションを受けるダンサーたちと、より距離が近く=ザックの人間味を大きく表に現した演出=と感じました。
2・キャシーの登場の仕方が違います。映画ではキャシーがオーディション会場に渋滞で遅れてタクシーで駆けつけます。すなわちカメラがニューヨークのブロードウェイを写しすシーンとして構成されています。要はカメラが劇場外に出ているんですね。一方、アダムクーパー主演版でのキャシーは、最初からステージ上に登場しています。これは1975年〜版も同じだったようです。
3・またキャシーと振り付け助手のラリーとの関係が舞台裏でのシーンとして脚色されているのが映画版です。僕は映画版のラリーの人間味のある存在が好きでしたが、アダムクーパー主演版ではあくまでラリーは振り付け助手としての設定となっています。そう書くと「残念な感じ?」と誤解を受けそうですが、そんなことはありません。ラリーは常にザックと壇上にいて、その存在感は光っていました。


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