『タワーリングインフェルノ』実話なの?|ネタバレあらすじからキャスト感想評価|リメイクは?

スリラー・SF・アクション

こんにちは!映画好き絵描きのタクです。今回レビューで取り上げる映画は、1975年に日本公開されたパニック映画『タワーリングインフェルノ』です。

その昔、1970年代、「パニック映画」というジャンルがありました。『大地震』や『ポセイドンアドベンチャー』といった作品がありますが、『タワーリングインフェルノ』もその代表格ムービーです。




そんな『タワーリングインフェルノ』を2023年に48年ぶりに再見。もはや古典と言ってもいいパニック映画に、ぼくは何を感じたのか?

高層建築の怖さを突いた、ビル火災映画をあらすじ感想からキャストまで、いま改めて『タワーリングインフェルノ』の魅力を解き明かします。




『タワーリングインフェルノ』予告編



『タワーリングインフェルノ』のあらすじは?

『タワーリングインフェルノ』のあらすじを以下、まとめました。

サンフランシスコに138階建ての超高層ビルが新しく竣工した。

竣工式には設計を担当した建築家のダグ(ポール・ニューマン)はじめ、町の有力者やのお歴々があつまり、最上階では竣工パーティーレセプションが華やかにとり行われている。

しかし、建築経費削減で粗悪な電気部品が使われており、配電盤から発火、火災が発生。客たちには知らされないままに、火の手はじわじわと階を登っていく。

火災発生の要請で消防隊が駆けつけるが、高層ビルの構造から消火は困難を極める。火災発生場所は81階。梯子消防車の梯子の届く限界をはるかに越えているのだ。

消防隊の隊長オハラハン(スティーブ・マックイーン)はあらゆる手を打つが、あざ笑うかのように広がる火。炎に包まれ絶命していく人、人、人。

消防隊の必死の消火活動と救助も虚しく、遂に火災は、パーティー参加者が残された最上階に達する。

はたして打つ手はあるのか?そして最上階に閉じ込められたパーティー参加者たちの運命はいかに?

…という筋です。


『タワーリングインフェルノ』以下ラストネタバレ。観たい方は閲覧禁止

どうやって招待客を脱出させるか?がドラマ後半の展開です。

ビル間にカゴを渡し、招待客を一人ずつ脱出させるが、我先にと群がった客たちの重量で落下。

一機だけ動くことがわかった外部展望エレベーターを使っての脱出を図るが、爆発の衝撃で途中で停止。ヘリで吊り下げおろさねばならず、展望エレベーター救出作戦も一回のみで終わりとなる。

手は尽きたかとなったが、ダグは最上階のさらに上階にある巨大給水タンクの存在に気づく。

最後の手段は給水施設を爆破、大量の水を天井から降らせる手しかない。

消防隊長オハラハンとともにTNT爆薬を仕掛けるダグ。

パーティ会場では想像もつかない水圧に耐えるため、客らはロープで体を縛る。

爆破と同時に激流がパーティ会場に押し寄せ、全てを破壊、押し流すが、結果、ビルを包んでいた炎は鎮火する。

ラストは、オハラハンのダグへのブラックジョーク「ビルの立て方、いつでも教えてやるよ」というセリフで終わります。



『タワーリングインフェルノ』は実話なの?

『タワーリングインフェルノ』は、超高層ビル火災がテーマなだけに本当にありそうなお話です。この映画を知らなかった人は、「実話なのかな?」と思ってしまいそうですが、フィクションです。

制作スタート前に『ガラスの地獄』と『グラスタワー』という、高層ビル火災を主題にした二つの脚本があったそうで、その2本を一本にまとめて作られたのが『タワーリングインフェルノ』です。

公開当時、ぼくは、スクリーンに違和感なくそびえ立つ超高層ビルを見て、「ホンモノを作って燃やしたのか!アメリカって、やることすごいなあ」と本気(本気も本気)で信じ込んだことを覚えています。

高層ビルの特撮は、それほどリアリティがありました。

もちろん街中に立つビルのシーンは合成です。(今、解像度が上がったモニターで見ると、合成だってこと、ハッキリわかるんですけどね)

でも、実際に30数メートルのビル模型を作って撮影したとのこと。

30メートルというと実際のビル7〜8階に相当しますから、でかいです。

VFXがなかった時代、可能な限り高層なミニチュアを作ることでリアリティを出していたのですね。




『タワーリングインフェルノ』豪華絢爛キャスト

『タワーリングインフェルノ』は公開当時そのキャスティングの豪華もセールスポイントでした。

消防隊長にスティーブ・マックイーン。建築家にポール・ニューマン。その彼女にフェイ・ダナウェイ。ビルの施工主はウィリアム・ホールデン。

他にもロバート・ヴォーンやロバート・ワグナー、極め付けは、ザッツエンタティメントなフレッド・アステアですよ。絢爛豪華な俳優陣。

そうそう、その後、事件起こしてカーチェイスまでしてしまったOJ・シンプソンまで出ています。

パニック映画超大作は、出演料も超大作だったに違いありません。




『タワーリングインフェルノ』キャスト・フレッド・アステアのこと

『タワーリングインフェルノ』をぼくが観たのは、13歳の中学一年生。ペテン師役で登場するフレッド・アステアですが、正直当時は「なんだか痩せっぽちのじいさんだ」としか思っていなかったです。しかし今回の『タワーリングインフェルノ』再見で、改めて、役者として、ショービジネスをくぐりぬけてきた魅力とソコジカラを再認識しました。

フレッド・アステア登場のシーンの「さりげない仕草」からして、絶品。素晴らしいです。

手さばきやスーツを着る時の、ちょっとした仕草、キュッと締まった演技の間合い。その輝きはまるで芸術品を見るかのよう。

当時、中学一年生のぼくに、そんなところ、わかるはずもありませんね。今回、感動して繰り返し見てしまいました。

もちろん、マックイーンやニューマン、ホールデンの演技もカッコ渋いのですが、アステアの演技は渋さを通り越して、ワビサビの世界まで感じました。神わざです。

助演男優賞もこの作品で受賞しているんですね。当然だなと思いました。




『タワーリングインフェルノ』ポール・ニューマンとスティーブ・マックイーンのこと

『タワーリングインフェルノ』の主役をはるのは、196070年代のハリウッド映画を代表する俳優の2人です。ポール・ニューマンとスティーブ・マックイーン。

今で言うならば、トム・クルーズとレオナルド・ディカプリオが出ているようなものでしょうか。(違うかな?いや、きっとそんな感じ)

建築家がポール・ニューマン。消防隊長スティーブ・マックイーン。火災が起こるビルを建てた側と火を消す側のトップの二人です。

ある意味ぶつかってしまう役なわけですが、互いの個性がケンカしていません。この二人だからまとまった映画だったんだろうな、と思いました。

特にスティーブ・マックイーンは、あの「クシャっ」とした顔が、ヨイです。

消火がうまくいかず、疲労こんばい座り込んでの汚れた表情は、マックイーンならではです。

ぞくっときました。

もちろんメイクさんの力量もあってのことですが。マックイーンの消防隊長役は、ドンピシャな配役だったと思います。

なんでも初めはマックイーンが建築家の役で打診されたとのことですが、マックイーン自身が「消防隊長役」を希望した…とのエピソードも伝わっています。

スティーブ・マックイーンとポール・ニューマンが逆の配役だったら、全然違ったトーンの映画になっていたんじゃないかな。




『タワーリングインフェルノ』名優オンパレード

『タワーリングインフェルノ』の脇役陣も名優オンパレードです。施工主役がウィリアム・ホールデン。彼の名前もこの映画で覚えました。のちにサムペキンパー監督のワイルドバンチを観たときに、ウィリアム・ホールデンとスクリーンで再会、「ああ、あの映画の」となりました。

そう、ロバート・ヴォーンしかり、フレッド・アステアしかり、ぼくにとって『タワーリングインフェルノ』は「あの映画に出ていた」の『あの』なのです。

今にして思うに、ぼくのムービーライフの「道しるべ」的映画だったのですね。




『タワーリングインフェルノ』の音楽を書いたのは、実はかの有名な…

ここで問題です。

『ジョーズ』、『スターウォーズ』、『インディジョーンズ』、『未知との遭遇』、『スーパーマン』それらに共通するのはなんでしょう?

答えは、音楽担当がジョン・ウィリアムズだということ。

『タワーリングインフェルノ』もジョン・ウィリアムズがスコアを書いています。

しかし『タワーリングインフェルノ』では、オープニングの曲(シーンでもある)がやたら長いなと思った以外は、音楽が印象に残らなかったのです。

でも、これって、実はいいことだとぼくは思っています。

最近、映像より音楽がやたらと耳に「付く」映画が多くなっている気がするんですよね…。

本来「映画音楽」は、物語あっての音楽。あくまで縁の下の力持ちですから、あれ?流れていたっけか?くらいの方がステキだと思います。

音楽でもう一つ書いておきましょう。

劇中のパーティーシーンで、女性歌手が歌を歌っています。彼女はモウリーン・マクガバンといいます。

すでに鬼籍に入りましたが、ぼくの本棚から当時のドーナツ版が出てきました。劇中歌がシングルカットされ、プロモーションに使われるそんな時代だったんですね。(確かポセイドンアドベンチャーのサントラオリジナルソングもモウリーン・マクガバンだった。)




『タワーリングインフェルノ』ぼくの感想

『タワーリングインフェルノ』は3時間近い長い映画です。今見ると、饒舌な感じや中だるみも無きにしもあらず。先にも書きましたが、ビル特撮はあくまで縮小セット(といっても30メートルもあった)を建てての特撮です。CGではありません。フィルム映像の「合成」です。

炎のスケール感のチグハグ感や、ラストの消火シーンの水流のスケール違いなど、今見るとツッコミどころもあります。

また、1990年代の消防士テーマの佳作、『バックドラフト』のようなクールなカット割もまだ見られない時代の映画ではあります。(カットの撮り方やアングルにも、もちろん「時代」というものがあると思います)

でも、48年経って、再び『タワーリングインフェルノ』を観てこう思いました。

『タワーリングインフェルノ』はぼくに「映画の面白さを教えてくれた大事な一本」だったんだ。

あらためて感謝!な映画でした。




『タワーリングインフェルノ』思い出あれこれ

『タワーリングインフェルノ』のロードショー公開当時、ぼくは中学一年生。12歳。岩手の片田舎、小さな町に住んでいました。

その町の映画館で上映されるのは半年遅れ。『タワーリングインフェルノ』は、どうしても観たくて、75キロ離れた県庁所在地まで電車で観に行きました。

間違いなくぼくの映画ライフへの道を開いてくれた、貴重な一本です。

そして今回、「映画というものは、時を経ても、次へと繋いでくれるものだなあ」と思ったことがあります。

それは、今回『タワーリングインフェルノ』を観終わってすぐに、フレッド・アステアの映画を探したんです。選んで観た映画は『バンドワゴン』。

アステアの名演技を別のスクリーンに観たくなったのですね。

こちらの素晴らしかった。感想もまたいずれ書きたいと思います。

フレッド・アステアエピソードはこちらに書いていますので、よかったらどうぞ

https://www.movie-diaries.com/fred-astaire-199



『タワーリングインフェルノ』監督・キャスト

⚫︎監督/ジョン・ギラーミン

⚫︎キャスト/ポール・ニューマン スティーブ・マックイーン フェイ・ダナウェイ ウィリアム・ホールデン フレッド・アステア ロバート・ヴォーン ジェニファー・ジョーンズ ロバート・ワグナー リチャード・チェンバレン O・J・シンプソン 他

1974年アメリカ映画 1975年日本公開




『タワーリングインフェルノ’08』はリメイク??

『タワーリングインフェルノ’08』というドイツ映画があります。

ですが、リメイクではなく、あくまで『タワーリングインフェルノ』とは別物映画のようです。

ドイツ語原題は『DAS INFERNO』===訳すと「地獄」ですね。

DVDタイトルに『タワーリングインフェルノ』のタイトルデザインがそのまんま流用されていますし、「あの悪夢再び甦る」…なんてキャッチコピーですから、「リメイクができたんだ!」と勘違いされても仕方ないですよね。

紛らわしいなあ。

でもでも、DVDで観た方の評価は、そんなに悪くはなさそうで「楽しめた」という評価が目につきます。機会があれば見てみたいな。

Amazon等でDVDが入手可能なようです。




『タワーリングインフェルノ』配信・レンタルは?

U-NEXT 、Prime Video 、Youtubeでレンタルできます。






 




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