『フレッドアステア』なぜに「雨に唄えば」??ダンスから踊りの品格・性格や人となりまで〜超絶エンターティナーの神。

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『フレッドアステア』なぜに「雨に唄えば」??
超絶エンターティナーの神をわかりやすく解説します

その昔エンターティメントといえば、主に映画という時代がありました。コンサートや舞台が庶民にとっては高嶺の花で、娯楽といえば映画、エンターティメントといえば、映画。そんな時代があったのです。

中でもミュージカル映画は非日常の代名詞。とても人気がありました。スクリーンで所狭しと踊られるのは、タッタカタカタン!と靴音も華やかにタップダンス♩

今回は超絶タップで20世紀を席巻したミュージカル映画俳優、フレッドアステアを取り上げます。

(フレッド・アステア(Fred Astaire)が正しい表記ですが、記事中は「フレッドアステア」で統一します)




「フレッドアステア」は『雨に唄えば』に出演しているの??

フレッドアステアは『雨に唄えば』に出ていません

ミュージカル映画タップダンサーの大御所、『フレッドアステア』をググると、なぜか『雨に唄えば』がキーワードで出てきます。

ですが、超有名傑作ミュージカル映画『雨に唄えば』の主役はジーン・ケリーとドナルド・オ・コーナーなんです。アステアは『雨に唄えば』にはカメオであっても出演していません。…なんでやねん。

ちなみにジーンケリーはこんな方。『踊る大紐育』、『巴里のアメリカ人』が有名作品です。もちろんアステアと肩を張る…というか、超絶ミュージカル俳優です。ジーンケリーとフレッドアステアはMGM映画の二大俳優ですね。

で、ドナルドオコーナーはこんな方。キュートな俳優。『雨に唄えば』ではジーンケリーとくんで「ボケとツッコミ」的笑いをかっ飛ばしてくれています。もちろんダンスも絶妙。

まあ、西洋人って、見慣れていないとなんとなーく皆同じに見えてしまうってとこ、あるじゃないですか。(ぼくはあります)そんな感じで『ジーン・ケリー×ドナルド・オコーナー÷有名ミュージカル=なんとなくフレッドアステア+雨に唄えば』…,という図式が出来上がっているのかもしれませんね。

「そうか、21世紀の令和となった今、超絶エンターティナーのフレッドアステアって、意外と知らないヒト多いかもなあ、、、どこかで耳にした『フレッドアステア』と有名な『雨に唄えば』を混ぜちゃってるのかもなあ…」

そう思って、今回、フレッドアステアの人物像やどんな魅力があるのかを取り上げてみました。



『フレッドアステア』と『マイケルジャクソン』そしてムーンウォーク

フレッドアステアの名前を聞いたことがない方でも、マイケル・ジャクソンを知らないという方は、まずいないと思います。

フレッドアステアは1899年生まれ、1987年没。マイケルは1958年生まれ、2009年没。彼らの間には60歳の年の差があります。

フレッドアステアとマイケルジャクソンは活躍していた時代もダンスシーンも、ダンススタイルも違います。しかし共通点があります。それは二人とも突き抜けたエンターティナーだったということ。歳は離れていても、二人は互いに尊敬し合っていた、と聞きます。

その証拠となる映像があります。

マイケルの『デンジャラス』という曲のプロモーションビデオ。

マイケルがキレのあるダンスで世界を魅了したビデオ、実はフレッドアステアの傑作ミュージカル『バンドワゴン』の中のワンシークエンスなのです。

ぜひ、見比べてみてください。

こちらがマイケルの『デンジャラス』




こちらがフレッドアステアの『バンドワゴン』(1953年 アメリカ映画 監督/ヴィンセントミネリ 出演/アステア&シド・チャリシ他)

どうでしょう?マイケルが、フレッドアステアに敬意を表しての、『デンジャラス』の作りだったのだと思います。

冒頭にマイケルを取り上げて、何を言いたかったのかといえば、フレッドアステアはマイケル同様、間違いなく時代を突き抜けたエンターティナーだ、ということです。

ちなみにマイケルの得意技といえば「ムーンウォーク」が有名ですよね。

フレッドアステアは、マイケルが活躍し始めた当時、彼のムーンウォークに感動し、マイケルにその技を教えてもらいマスターした、、、というエピソードも残っています。

アステアもマイケルをエンターティナーとしてリスペクトしていたのですね。



フレッドアステアの魅力〜超絶に洗練されたタップダンス!

フレッドアステアのタップは『神』です

そう、フレッドアステアの代名詞は、『洗練されたタップダンス』でしょう。

磨きに磨き上げられたタップは、品の良さとそしてユーモアまで感じさせます。

彼のダンスシーンをみているだけで、ぼくは嫌なこと、忘れます。

実は運営人のぼくも、いっときタップダンスを習っていました。40歳を過ぎたあたりから15年ほどです。

習い始めたきっかけは、映画観始めの頃=高校時代=に知った、フレッドアステアやジーンケリーのタップダンスミュージカルにあります。

「足だけで踊るんだったら、オレでもできるかもな~。タカタカって、つま先かかとだけなんだ、なんか簡単そう」

と、思っていたわけですが、習ってわかりました。「簡単にできる芸事など存在しない。」

タップダンスって、ただ雰囲気と気分だけでタカタカやっているのではないのです。

実は様々な「型のステップの組み合わせ」なのです。

「シャッフル」「タイムステップ」「バックステップ」なんて名前がついたたくさんの基本形をバラエティに縦横無尽に組み合わせ、踊りを作っていくんですね。(気分で即興するインプロタップってのもありますが、それでさえ型を知らなければできない)

映画観てると、なんとなーく誰でもそこそこできそうなのがタップダンスです。

しかし、習った上で(下手くそだけど)ミュージカルを観ると、見方が180度変わります。

タップダンサーの見事なわずか数分の踊りの裏側には、数百倍の稽古があるんですね。

実際にタップを習った、超絶に凡人のぼくが言います。

「フレッドアステアのタップは、今に見ても、超絶に「神」。エンターティナーの神様がついているとしか思えない。」

21世紀の令和となった今も、世界中で、歴史に名を刻むだろう名タップダンサーは次々と生まれています。

もちろん、タップ好きなぼくも、彼らの技にゾッコン身惚れます。




フレッドアステアの魅力〜タワーリングインフェルノに見る演技の品格

ぼくが初めてタップを知ったのは高校生の時だったと書きました。

えっと、1979年あたりです。

田舎の名画座で、一ヶ月ぶっ通しで週替わりミュージカル特集なんてのをやっていたのです。

多分、間違いなく、映画館主の「趣味」だったと思います。

そのミュージカル特集でダンス映画マジックに引っかかったぼくは、『愛と哀しみのボレロ』のシーンや、スタイル変わって『フットルース』『シカゴ』『リトルダンサー』と、ダンス映画好きになっていきました。

正直言います。時が経つにつれアステアは霧の向こうに消えかけていました。

それが、数十年の時を越えて、フレッドアステアの名前が記憶の向こうから呼び戻されました。

きっかけは、2023年。

ある一本のフレッドアステア出演の旧作映画リバイバル放映でした。

その映画のアステアにぶっ飛びました。

その映画のタイトルは『タワーリング・インフェルノ』です。

主役はスティーブマックイーンとポールニューマンです。フレッドアステアは脇役出演でしたが、当時、75歳。

ぼくは、『タワーリングインフェルノ』での彼の磨き込まれた演技力に脱帽していました。

フレッドアステアは、さりげないシーンを、絶妙の仕草で画面をめちゃくちゃ引き締めるんですね。

例えば、スーツに腕を通すシーンひとつとっても、素晴らしいのです。「はあ、、、」とため息が出ていました。

ちょっと違うかもしれないけど、どこか、フーテンの寅さんの渥美清の存在感に通じるところがあります。

どういうことかというと、「ただ彼がそこに居る」だけで、画面がエンターティメントに変わってしまう。…そんな感じです。

ぼくは『タワーリングインフェルノ』のフレッドアステアに、ダンサーとしてだけではなく、役者としての凄みをあらためて感じたのでした。

それから「フレッドアステア映画」巡礼がふたたび始まっています。

マイケル括りで話した『バンドワゴン』初め、『イースター・パレード』『トップハット』『パリの恋人』……。

そんな映画のストーリ展開は流石に古さを隠せません。だけど、フレッドアステアのダンスに誰もが笑顔になること間違いなしではないでしょうか。




『フレッドアステア』その性格と人となり

俳優の性格や人となりをぼくが語るなんておこがましいですが、興味あるところですよね。なので、フレッドアステアの人物像を調べてみました。

フレッドアステア略歴を簡単に

4歳でタップを習い始め、17歳でブロードウェイダンサーデビュー。

22歳で舞台『バンドワゴン』を成功させ、映画デビューは34歳です。…思ったより映画界に入ったのは遅いんですね。

ミュージカル映画全盛の時代は、数多くの映画に出演。

ミュージカル全盛の時代が過ぎた後も、『渚にて』や前述の『タワーリングインフェルノ』や『ゴーストストーリー』などに出ています。

フレッドアステアの私生活は?

気になるフレッドアステアの私生活ですが、彼は芸能人にありがちな派手な生活を好まなかったようです。

二度結婚しています。一人目の奥さんとは病気で死別。再婚は80歳を越えてから45歳年下の競馬ジョッキーと周囲の反対押し切って再婚しています。その二度の結婚生活は共に優しさに満ちたものだったようです。

そのタップは、紳士的な空気や、踊る相手を思いやる雰囲気がありますが、私生活や性格も同様だったのでは?と思いました。

まとめ〜フレッドアステアがぼくらにくれるもの

さて、まとめです。

フレッドアステアの「タップダンス」、そして「映画」は別次元の何かをくれるのです。

それは、何か?

ぼくは、アステアがくれる最大のプレゼントは『観る人が満面の「笑顔」になるラブ&ピース』だと思っています。

アステアのダンスを、映画を見ていると、知らず知らずにスマイルになっているのです。

ハッピーをくれるダンス。それがアステアの踊りの魅力の一つです。

今見てもいつ見ても笑顔になっている自分がいます。

そんなわけで、フレッドアステアの芸は、時代を越えて残っていく金字塔だと思います。

もし、どこかに喧嘩している二人がいたならば、フレッドアステアのタップミュージカルを見ること、オススメかもしれません。

https://www.youtube.com/watch?v=GLksYk2kGHM

今回取り上げた『フレッドアステア』、いかがだったでしょうか?

「何かハッピーになれる映画はないかな、、、」と思った時は、アステアの映画も候補に入れてみてはいかがでしょうか。

今回はミュージカルとタップの王様『フレッドアステア』ご紹介しました。







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