『T34 レジェンド・オブ・ウォー』ネタバレ感想評価|リアルど迫力戦車戦の向こうににじむラブ&ピース

戦争・歴史・時代

『T34レジェンド・オブ・ウォー』迫力の戦車戦!泣けるラスト!に星五つ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

こんにちは、映画好きでついでにミリオタの絵描き・タクです。今回取り上げる映画はロシアの映画『T34 レジェンド・オブ・ウォー』。その昔、タミヤのプラモで「T34/76初期型」が登場した時は感激でした。それと同じくらい、いや、それ以上の感動体験が『T34 レジェンド・オブ・ウォー』です。


ちょっと冷静になって、「T 34 ってなに?」というあなたに、少しだけ解説です。T 34 は第二次世界大戦における、ソ連祖国防衛戦争で祖国を守り抜いたレジェンド戦車の型番です。

第二次世界大戦からすでに80年という時が経ちました。戦争映画であるけれど、史劇スペクタクルのような描き方もできるよね、と証明した映画が『T34レジェンド・オブ・ウォー』だと思います。

『T34』のバックグラウンドにあるのは、誤解恐れずにいうと、多分、「ラブ&ピース」。

戦争映画のくせに、カメラがとにかく美しいです。ほんと美しい。。。「ラブ&ピース」と「ファラウエイな時代へのメモリアル」がなければ、あんな美しいシーンの数々は撮れないと思います。

それではそんな『T34 レジェンド・オブ・ウォー』をレビューしてみましょう。(以下、『T34レジェンドオブウォー』と短めに表記します)


はじめに〜T34とパンター戦車

映画の舞台となる1941年の独ソ戦が開始されると、T-34戦車に対しIII号/IV号戦車は苦戦します。(劇中、最初に登場するのはIII号戦車)

そこでT34に対抗すべくドイツが開発した戦車がパンター戦車です。互いに互角の火力を持った優れた戦車です。

ただ、映画で、パンターの若い兵士たちを訓練するというくだりがありますが、実際にも一握りのベテランを除く乗員は、東部戦線での実戦経験の無い新兵が多く、また訓練期間も不足していたようです。その辺りも映画では考証されています。

これは矢印↓ぼくが過去描いていたT34\76(後期型)

こちらは↓ドイツのパンター戦車。大急ぎで描いたので拡大するとネタバレします笑:拡大しないでくださいね



『T34レジェンドオブウォー』あらすじは?

時代は1941年。第二次世界大戦の独ソ戦。ソ連のどこかの村。

ドイツの戦車一個小隊を迎えうつべく一台のT34/76中戦車が、艤装を施して待機している。T34/76の戦車長はニコライ・イヴシュキン少尉(アレクサンドル・ペトロフ)だ。村には歩兵や対戦車砲もあるが、多勢に無勢の感は否めない。

戦いが始まった。

戦車長ニコライの動かすT34/76は一騎当千だった。次々ドイツ軍戦車を撃破し、最後の一台、指揮官イェーガー大佐が乗ったIII号戦車と一騎打ちするが、差し違える。

戦いはドイツ側の勝利となり、ニコライと操縦手ら戦車兵は、ドイツ軍の捕虜となった。

3年後の1944年、舞台は変わってドイツ軍の捕虜収容所となる。捕虜となっていたイヴシュキンは、宿敵イエーガー大佐と再会し、模擬戦車戦の相手として戦車操縦を命じられる。

整備・操縦を任されたのは捕獲したT34、それも85ミリ砲を搭載した新型だ。

ドイツ軍のパンター戦車小隊の射撃の的になる戦車T34/85を操縦するのだ。​ドイツのパンター戦車は実弾射撃することが伝えられる。

まともに模擬訓練の相手すれば、死が待っている。イヴシュキンは、戦車兵たちと、通訳ロシア人女性捕虜アーニャとともに、模擬訓練中に脱走するという大胆な計画を立て、密かに戦車砲の実弾を手にいれる。

・ ・ ・

T34の整備が済んだ。

イエーガーやドイツ軍の高官たちが見守る中、模擬戦車戦訓練が始まった、、、。



『T34レジェンドオブウォー』あらすじ結末ラスト〜ネタバレ閲覧注意

ここからはラストまでの完全ネタバレとなります。くれぐれも自己判断でお願いします。

+ + +

地形を利用したイヴシュキンはT34をたくみに操り、ドイツ軍のパンター戦車を軽々と撃破。足の速さを活かし収容所ゲートを突破、脱出に成功する。

途中、通訳のアーニャを拾い上げ、一路西へ。チェコのソ連領を目指す。

しかし、宿敵のドイツ戦車コマンダー・イェーガー大佐は、イヴシュキンの行動の先を読んでいた。

計画を読まれたことを察知したイヴシュキンは、戦車を隠し、アーニャに対して一人で脱出するよう諭す。

仲間の戦車兵たちにも「バラバラで逃げよう」と提案するが、戦車兵たちは反論、イヴシュキンの指揮ののもと、T34でドイツ軍の包囲を突破することを選ぶ。

とある町に宿敵イェーガー大佐率いるパンター戦車の小隊が、T34を罠にかけるべく網を張っていた。

町に伸びた狭い道すじで、コンマ数秒で勝負が決まる際どい戦車戦が繰り広げられる。

一台また一台とパンター戦車を撃破してゆくイヴシュキンたち。

激戦の末、イヴシュキンたちはイェーガーの乗るパンター戦車を橋上で一騎打ちの末、撃破する。

傷を負ったイェーガーは無言で負けを認め、一瞬、イヴシュキンと心を通わせる。しかしイェーガーの乗ったパンター戦車は橋下の川に転落して絶命。

イヴシュキンたちは自由を手に入れる。

エンドロール。

+ + +




 

迫力リアリティの『T34レジェンドオブウォー』

見事な実写とVFXの融合!

何がすごいかというと、戦車戦リアリティです。冒頭の戦闘シーンは実写とVFXがたくみに滑らかに編集されて迫力すごいです。見事でした。

T34車内に実際にカメラを据えて撮影したと言いますが、その「車内の狭さ」は見ものですよ。

特に、T34が被弾した時の車内の衝撃描写は特筆モノ!です。

例えるなら、鉄のハコに入り込んで、外から巨大なハンマーでガンガン叩かれる以上の衝撃でしょう。

また、戦車から打ち出された砲弾がスローモーションで再現されるカットは、あちこちで良い評判になっていますが、戦争映画史に名を残す名VFXカットだと思います。ぼくは思わず「カッコえー!」と拳握っていましたから。

合わせて、戦車戦のリアル感がハンパないですよ。


独・ソ・戦車兵の被り物の違い

映画を見て気づかれた方いるかもしれませんが、ソ連戦車の戦車兵は詰め物クッションがついた戦車帽をかぶっていますよね。それに対してドイツ戦車に乗るイェーガーはカッコイイ、華奢な軍帽をかぶっています。この違いに?となったあなたは、とっても鋭い!

なぜでしょう?

なんで被り物がこうも違うか?って、サスペンションの違いからくるんだそうです。

イェーガーの乗るIII号戦車・パンター戦車はトーションバー方式。
イヴシュキンの乗るT-34のサスペンション形式はコイルスプリング方式。
トーションバー方式は、詳しい機構を説明しても、多分わからない(ぼくもよくわかってない)と思うので省きますが、要はコイルスプリング方式より、衝撃吸収がイイんです。現在でも戦車の多くに使用されているのがトーションバー方式です。揺れが少ないので戦車兵が頭をぶつけることがナイ=乗ってて快適なのがドイツ戦車で、反対に頭をガンゴンぶつけるのがT34だったんですね。

ま、どうでもいいことですけど、このこと知っているとT34の特に操縦手の「真剣に辛い表情」がよくわかるというもんです。


戦車が主役の『T34レジェンドオブウォー』

「機甲系戦車ムービー」って、群像劇だったり戦争の一部として戦車が出てくるものが多くて、「この一台の戦車」にスポットを当ててる映画って、意外にも少ないんですよね。

「一台の戦車が主役」と言える作品の主役となるタンクと映画の内容、特徴をあげてみると、、、、

フューリー(Fury, 2014)

  • 主役:シャーマン戦車「Fury」
  • 内容:終戦間際のドイツ戦線で、一台のシャーマンとそのクルーの戦いを描く。
  • 特徴:タイトル自体が戦車の名前!終盤の「Fury一台 vs ドイツ兵部隊」のバトルはまさに“この戦車の映画”。

レバノン(Lebanon, 2009)

  • 主役:イスラエル軍のM60パットン戦車
  • 内容:ほぼ全編が戦車内部。兵士たちの心理戦、閉塞感がすごい。
  • 特徴:戦場の外はスコープ越しにしか見えず、戦車内の緊張感が最大の見どころ。

ホワイト・タイガー ナチス極秘戦車・宿命の砲火(White Tiger, 2012)

  • 主役:T-34戦車 & 幻のドイツ戦車「ホワイト・タイガー」
  • 内容:ソ連兵が謎の戦車「ホワイト・タイガー」と戦うスピリチュアル・戦争映画。
  • 特徴:戦車がまるで意思を持ってるかのような描写で、「戦車 vs 戦車」の神話的バトル。

タンク(Tank, 1984)

  • 主役:シャーマン戦車
  • 内容:退役軍人が自分の所有する戦車で家族を救うという、ちょっと変わり種。
  • 特徴:現代アメリカで戦車が活躍するおとぎ話的アクション。

そして本作の、

T-34 レジェンド・オブ・ウォー(T-34, 2018)

主役:T-34戦車
内容:ナチスの捕虜になったソ連兵たちが、戦車一台で脱出を試みる。
特徴:まるでアクション映画のような超高速戦車戦&スローモーション演出が特徴。
、、、と、戦車主人公はやっぱり少ない!です。
中でも『T34レジェンドオブウォー』は、T34がまるで舞い踊るように走るシーンをはじめとして、戦車そのものが生きてるように描かれてます。



白鳥の湖に舞い踊るT34/85

舞い踊る、と書きましたが、そのシーンのBGMが絶妙にふるっています。チャイコフスキーの『白鳥の湖』ですよ。
ドイツ将校たちの前で、戦車がその実力を見せるのです。片輪走行までやってしまいます。「こんな動き、ほんとにするのか?」と口をあんぐり開けてしまうのは劇中のドイツ将校だけではありません。映画見ている観客のこっちまでが口あんぐりになってしまう超・名シーンでしょう。
白鳥の湖・第二幕のオケバックのこのシーンは、まさに監督が、「この映画は、T34戦車がプリンシパルなんです」と言い切ったシーンですよ。
ロシアが作った映画で「チャイコフスキー」を使われたら文句は言えませんね。



ビューティフルでラブ&ピースな『T34レジェンドオブウォー』

さて、そんなふうに戦車がプリンシパルとして登場する戦争映画が『T34レジェンドオブウォー』です。

プリンシパルの舞い踊るタンクアクションムービーですから、そのカメラは、メチャクチャにビューティフルなのです。

戦いでズタボロになった兵士たちを捉えるカットにしても、その背景の自然=光と影がとっても美しい!…それはこだわった露出で撮られています。

紅一点・アーニャの美しさを柔らかーく捉えるカメラも、もう泣けてくるくらいにラブアンドピースです。

他にも、戦い終わった戦場を照らす夕日シーンや、アーニャを美しいシルエットで浮かび上がらせる夕刻の光、隠れる森の木々の美しさ…と数え上げればキリがありません。

そんなふうに、戦いの向こうに厳然とある自然の美、光と影の美をあちこちに描き出しています。

それは、『T34レジェンドオブウォー』が戦争映画である以上に強いラブ&ピースメッセージを包んでいるからだとぼくは思ってます。


久々に見たぞ不敵な笑み〜敵役魅力炸裂の『T34』

主人公の魅力も大事ですけど、映画がおもしろいかつまらないかは、やっぱり敵役次第でしょう。

『T34レジェンドオブウォー』の主役は「T34/85と戦車長ニコライ・イヴシュキン」で、対する敵役はイェーガー大佐です。

なんかね、、「ナチス」という匂いではなく、「国防軍の職業軍人」的匂いがしていいんですよ。職業軍人だから「戦う」のはあくまで仕事です。撃ち合う相手も同じ職業軍人の戦車兵だと思っているんです。

映画の中盤、イェーガーはニコライを自室に招き入れて話しかけるんですが、その時の嬉しそうな顔は、まるでフェンシングの対戦相手と会うメダリストのようなそれでした。

ドラマ後半、逃走するT34を探すイェーガーの厳しい表情に、どこか自分自身の姿を探しているように見えたのは、ぼくの思い込みに過ぎないと思います。

そして、クライマックスのイェーガーの表情は、、、、これはもう映画を見てください。

なんだ、結局ぼくは敵役のイェーガーに惚れ込んでたんですね。

敵役に惚れ込める映画に駄作はありません。

『T34レジェンドオブウォー』は、そんなふうに考えてもやっぱり素敵なラブアンドピースな映画だと思います。



『T34レジェンドオブウォー』スタッフ・キャスト

スタッフ: 監督:アレクセイ・シドロフ /  製作:ニキータ・ミハルコフ

キャスト: アレクサンドル・ペトロフ:ニコライ・イヴシュキン / イリーナ・ストラシェンバウム:アーニャ・ヤルツェヴァ / ヴィンツェンツ・キーファー:クラウス・イェーガー / ヴィクトル・ドブロヌラヴォフ:ステパン・ヴァシリョノク / アントン・ボグダノフ:デミアン・ヴォルチョク / ユーリー・ボリソフ:イオノフ

『T34レジェンドオブウォー』ぼくの評価

エンドロールで明かされる意外なラストに泣いたぼく

ところで、クライマックスで戦車の戦いが終わりますが、紅一点のアーニャのその後が気になったんです。が、監督はしっかりとエンドクレジットでその点を明かしています。

それがね、実に想定外、、、たったワンシーン。だけどもしかし、ぼくはそのシーンに泣けてしまったんですよ。ああ、よかったよかった^_^って。。。

ぼくは『プライベートライアン』、『Uボート』、『スターリングラード』、『フルメタルジャケット』、『戦場のピアニスト』をマイフェイバリット戦争映画とラインナップしていますが、『T34レジェンドオブウォー』もその仲間に加えようと思います。

ぼくの評価は、星5つ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️です。オススメ映画です。ミリオタじゃない(笑)多くの人にぜひ見てもらいたいです。

素敵な映画をありがとうございました。

『T34レジェンドオブウォー』トレイラー

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