『プラダを着た悪魔2』感想レビュー|20年後の続編を観てわかった「人生の選び方」(ネタバレあり)

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『プラダを着た悪魔2』感想レビュー|20年後の続編を観てわかった「人生の選び方」(ネタバレあり)

当レビュー記事にはネタバレが含まれます。映画をご覧になる方は、鑑賞後にお読みください。また感想評価はあくまで一個人の印象です。ご了承ください。

「プラダを着た悪魔2」を劇場で観ました。 評判通り、魅力的な作品でした。

面白かった。

そう感じた僕は、その勢いのまま20年前の前作『プラダを着た悪魔』も一気に観てみました。

本来ならば、順番が逆ですけど。でもそういう映画の鑑賞法ができるのも、サブスクが充実している今ならでは。

前作『プラダを着た悪魔』が公開されたのは、今から20年前の2006年。でもさすが歴史に残っている作品は違いますね。古さなんて全然感じることなく、一気に最後まで楽しく観てしまいました。

本記事では『プラダを着た悪魔2』と『プラダを着た悪魔』を通して僕が何を受け取ったのかを書いてみます。




『プラダを着た悪魔2』&『プラダを着た悪魔』解説

ファッション業界を牽引するファッション誌『ランウェイ』。業界に辣腕でその名を轟かせる編集長ミランダの元に、新人アシスタント・アンディが配置されます。

業界の華麗さとは裏腹に、編集現場は朝も夜もプライベートもないブラック。編集長ミランダの要求に答えるべく右往左往するアンディ。その先に見える景色とは?

華やかなファッション業界の光とワーキングウーマンの悲喜交々が絶妙に織りなされ大ヒットとなった『プラダを着た悪魔』が公開されたのは2006年です。

そんな一作目に続き、20年の時間をおいて2026年に続編『プラダを着た悪魔2』が公開。スタッフキャスト、ストーリーともに前作から引き続いての正式続編となっています。

まずは2本の作品のあらすじから、公開順に簡単に紹介しましょう。

『プラダを着た悪魔』あらすじ~ネタバレあり

ジャーナリストを目指すアンディ・サックス(アン・ハサウェイ)は、大学卒業後にニューヨークへやって来ます。そして幸運にも、一流ファッション誌『ランウェイ』編集部で、編集長ミランダ・プリーストリー(メリル・ストリープ)の第二アシスタントという仕事を手に入れます。

ところが、ミランダはファッション業界で絶大な影響力を持つ一方、部下には容赦のないことで有名でした。

アンディは仕事はもちろん、私生活に関わる用事まで次々と押し付けられ、戸惑いながらも必死にミランダに食らいついていきます。

ファッションに興味のなかった野暮ったいアンディでしたが、ファッションディレクターのナイジェルに背中を押され、自分自身を磨き始めます。やがて仕事ぶりも認められ、ミランダからの信頼を得るまでに成長していきます。

そんな中、本来は第一アシスタントのエミリーが同行するはずだったパリ出張に、アンディが選ばれます。アンディは現場でのきちんとした仕事ぶりみせ、ミランダに認められます。

しかしその成功の裏で、第一アシスタントのエミリーや恋人との関係に、ひずみが生まれていました。

華やかなパリでアンディは、憧れていた世界の厳しい現実を目の当たりにします。そして、ジャーナリストを目指していた自分が、いつの間にかミランダの価値観に染まりつつあることにも気づき、悩むアンディ。

人生にとって本当に大切なものは何なのか――。

大きな決断を下したアンディは『ランウェイ』を去り、新たな一歩を踏み出す決意をし、幕となります。

『プラダを着た悪魔2』あらすじ~ネタバレなし

ファッション誌業界の頂点に君臨し続ける『ランウェイ』の編集長ミランダ・プリーストリー。しかし20年という時代の変化は出版業界にも押し寄せ、かつては絶対的だった彼女の立場にも影を落とし始めていました。

一方、かつてミランダのもとで働いていたアンディは、新聞社に席を置く敏腕報道記者として着実にキャリアを築いていました。しかし、アンディは人員整理という容赦ない社の方針で解雇されてしまいます。

時代の波に翻弄され、アンディが『ランウェイ』のエディターとして再就職。二人が、再び交差するとき、それぞれが歩んできた人生の選択が、静かに問い直されることになります。

さらに、物語には元同僚エミリーも加わり、ファッション業界の華やかな舞台から、仕事・信頼・成功の意味へと広がっていきます。

『プラダを着た悪魔』から20年。

時代とともに変わったもの、そして時が経っても変わらないものを描く、大人たちの再会の物語となっています。



『プラダを着た悪魔2』『プラダを着た悪魔』感想考察

プラダを着た教え・1/人生は分かれ道の連続だ

僕はファッションにあまり詳しくありません。

それでも「ファッション」の持つ意味とその素晴らしさは直球で伝わってきますし、ストーリーのテンポの良さ、わかりやすさ、ひねり、そしてラストの「そうきたか!」まで、両作品ともに安心して楽しめます。

この2本に共通して特筆すべきは、通り一辺倒のサクセスストーリーではない、という点です。

映画のラスト、主人公アンディ(アン・ハサウェイ)は、自分の人生を「選び取り、歩き出している=自分自身が納得できる道筋を選ぶのです。

その選択が教えるものは、

・いったい人生のどの時点をして「サクセス=成功した」というのか?

・人生において、 「サクセス」とは他からの評価ではなく、道を選び取った本人が決めるものだ。

という2つでしょう。



プラダを着た教え・2/人生は一点突破だ

また、どちらの作品も、共に強く響いたところは、「人生は一点突破」だということ。

2本の作品を通して、主人公アンディの姿勢はいい意味でも悪い意味でも一貫しています。

それは、自分の持ち場がなすべきことを、脇目もふらず「やる」という姿勢です。

そのためアンディは恋人や周囲から反発を招き、浮きます。それでもアンディは「やる」。

慣れない仕事ですから結果は失敗の連続ですが、ここで映画が発している大事なメッセージがあります。

それは、進みたい道に入ったならば、脇道や逃げ道を探したり、立ち止まったりするなという真理でしょう。

プラダを着た教え・3/一流ほど見えない苦しみを抱えている

両作を通して、ミランダの仕事に対する姿勢は徹底しています。自分が一流の存在でいるためには妥協しません。凄みのある美しささえ感じます。しかし同時に周りには見せない弱さも持っています。

ドラマの中で、周りに見せない弱さを観客は知ることになります。

そこで「なーんだ、弱いとこあるじゃない」とストレートに受け取るだけでは、この映画の言いたいことをキャッチできていません。

そんな「弱さ」を見せたシーンでこの映画は何が言いたかったのか。

それは「一流な人間ほど、表に出ない悲しみや辛さはヘビーであり、一流でいるため払っている代償もまた大きい」という意味でしょう。



プラダを着た教え・4/傍観者の人生からは何も生まれない

これもまた両作品ともに言えることですが、ミランダとアンディ、エミリー、ナイジェルの四人を中心に物語は進みます。彼らを取り囲む人間関係はアンディの彼氏を含めて67人でしょう。

この4人に共通して言えるのは、自分の意思で道を選んでいるということ。就ている仕事はそれぞれ違いますが、少なくとも皆、ああだこうだという外野ではなく、言われる側=すなわち自分でマウンドに立っているのです。

あの人はどうやっているんだろう、、、こうしたら周りからどう思われるんだろう?という姿勢は一切ない。それぞれが自分の意思で決めて動いている。

すなわち人生の傍観者ではないんです。

映画は両作ともに四人=4本の糸が織りなすストーリーになっています。その模様からは「傍観者でいる人生は、何も生まない」というメッセージを発しているように感じました。



プラダを着た教え・5/20年後、その選択はどう見えるのか?

『プラダを着た悪魔』『プラダを着た悪魔2』は「成功を手に入れる物語」ではありませんでした。

良作を通して紡がれたのは「何を選び、同時に何を手放すかの物語」なんだと思います。

人間は手に入れたものを手放すのに抵抗を感じる生き物です。しかし、新しいものを得るためには、代わりに何かを手放さなければなりません。

例えるなら、お金の仕組みがわかりやすいですね。

欲しいものを手に入れるためには、お金を手放さなければなりません。

そいうなんです。仕事であれ、地位であれ、はたまた名誉であれ、世の中の全ては何か手放すことで手に入るものであり、別の言い方するならば、インプット無くしてはアウトプットはできないということにも繋がります。

そんな宇宙の仕組みの理(ことわり)のひとつが、『プラダを着た悪魔』と『プラダを着た悪魔2』には込められているとぼくは感じています。

「新しい何かを手に入れようと思ったら、何かを手放しなさい」

両作のストーリーには、そんな理が込められているのです。

『プラダを着た悪魔2』を観た後には、「あの時の選択=選びとったと同時に捨てたことは、本当に正しかったのか?」「人生は一度選んで終わりではない。選択は続いていく」

という新たな視点も持てました。

「取捨選択」という言葉、そしてさらには「守破離」という日本オリジナルな言葉の思想と向き合いたくなる映画でした。

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ちなみに「守破離(しゅはり)」とは、日本の茶道や武道などの修行過程と成長段階を示した考え方です。

「守る」「破る」「離れる」の3つの段階を経て一人前になるという千利休の教えを指しています。

守(しゅ)=師匠の教え、基本的な作法を忠実に守り、徹底的に型を身に付ける段階。

破(は)=基本を身に付けた上で、新しい技術を取り入れ自ら工夫を重ねて既存の「型」を破り、発展させる段階。

離(り)=これまで守ってきた師匠の型から完全に「離れ」、自分自身のスタイルを確立する最終段階。

この映画を「守破離」の教えに当てはめるなら、ミランダは師匠役なんですよね。アンディは右も左も分からない中で、師匠ミランダから基本作法100本ノックを受けるわけです。これが「守(しゅ)」の段階です。

そしてクライマックスに向けて、アンディは自分なりに工夫し(新しい技術を取り入れ)ミランダの満点サポートに成功。これが「破(は)」の段階になります。

エンディングはネタバレになるのでさらっと書きますが、アンディ自身が”生きるスタイルを確立させるべく、決意を決め実行に移す”のが、エンディングにかけての「離(り)」。

『プラダを着た悪魔』『プラダを着た悪魔2』の脚本家が、日本の「守破離」を知っていたかどうかはわかりません。しかし、アンディの成長を読み解くと「守破離」の型で描いていたのです。



『プラダを着た悪魔2』は前作を観てから観るべき?

僕は、前作を見る時間を取れずに、『プラダを着た悪魔2』を見ました。

結論から言うと、前作を観てから2を観た方がスッキリすると思います。

もちろん2だけでも楽しめる作りになっています。でも僕は、アンディと元同僚エミリーの関係性が説明されるくだりでちょっとだけつまづきました。その後なんとなくわかってくるんですけどね。

とにかく登場人物が皆「濃い」キャラクターなので、観ながらもついつい「前作ではどうだったんだろう?」と考えてしまう僕でした。

なので、もちろんベストは「プラダを着た悪魔」を観てから、、、に決まっています。

でも、負け惜しみ言うわけじゃないけど逆に、「プラダを着た悪魔」を後でサブスクで見たことによって楽しめた部分もあるのです。

それはストーリー全体が大きな伏線になっていたことを、ハッキリ読み取れたことです。

そして、「ああ、2のあの展開は、1のあのシーンへのオマージュだったのか」とか、「あのキャラの行動は前作のココから繋がっていたのか」といったニヤリと手を打つ感じは、2を観た直後に前作を観たからこそ….と感じています。

僕自身は『プラダを着た悪魔2』→『プラダを着た悪魔』の順番で結果オーライだったと思っています。

まとめ~前作を越える面白さか、それともつまらないか?

前作ストーリーをオマージュ伏線とした続編作り

続編に当たる『プラダを着た悪魔2』は、前作のストーリー展開を踏襲しているのもニヤリとさせる連続で、「上手い脚本だな!」と好印象でした。

前作のシチュエーションを時代と場所を変えて踏襲しているんですね。

しかしそれは、手抜きで前作を真似したのではなく、前作の全ストーリーを、伏線としている感じです。 「ああ、このシーンは、前作のあのシーンへのオマージュだ」と感じたところがいくつもありました。

プラダ〜で思い出した僕のクリエイティブの空気

僕は20代の頃、広告制作会社でイラストレーターとして働いていました。

締切、修正、アートディレクターから次々伝えられる企画のサムネールやラフ、そしてクライアントからの無理難題。プライベート時間はほぼなし。
映画のように華やかではありませんでしたが、アンディやナイジェルが働く表現を作りあげていく空気には、どこか懐かしさを感じました。

だからでしょうか、『プラダを着た悪魔』は単なるファッション映画には見えませんでした。

会社に属して好きな仕事に打ち込みながらも、自分の人生をどう選ぶのか?当時、僕自身もアンディだった….ように思いました。

あの時から30数年、変わらずに表現の世界に生きている今もなお、その選択は繰り返し求められ、どこまでも続く…のもまた身をもって感じています。

20年の時を経て作られた続編を観た今、あらためてその問いを受け取った気がしています。



『プラダを着た悪魔2』『プラダを着た悪魔』評価は?

よく続編が作られると、前作を越える面白さか、それともつまらないか?という比較が話題に挙げられます。

これってどこか「兄弟比較」に似ています。どういうことかというと「世間的に出来の良い兄に比べられる弟君」、、、というかんじ。

比較する側って、どうしても最初に世に出た方の視点に寄りがちになります。それは良くない。

僕は『プラダを着た悪魔2』も『プラダを着た悪魔』も同じくらいに楽しめましたし面白く感じることができました。

僕の評価は、どちらも星四つ半です。



『プラダを着た悪魔』(2006)スタッフ

監督

  • デヴィッド・フランケル

脚本

  • アライン・ブロッシュ・マッケンナ

原作

  • ローレン・ワイズバーガー

『プラダを着た悪魔』(2006)キャスト

  • アンドレア(アンディ)・サックス:アン・ハサウェイ
  • ミランダ・プリーストリー:メリル・ストリープ
  • エミリー・チャールトン:エミリー・ブラント
  • ナイジェル:スタンリー・トゥッチ
  • ネイト:エイドリアン・グレニアー

『プラダを着た悪魔2』スタッフ

監督

  • デヴィッド・フランケル

脚本

  • アライン・ブロッシュ・マッケンナ

『プラダを着た悪魔2』キャスト

  • ミランダ・プリーストリー:メリル・ストリープ
  • アンドレア(アンディ)・サックス:アン・ハサウェイ
  • エミリー・チャールトン:エミリー・ブラント
  • ナイジェル:スタンリー・トゥッチ



『プラダを着た悪魔2』『プラダを着た悪魔』配信は?

『プラダを着た悪魔2』

20266月現在配信は未定です。

『プラダを着た悪魔』

アマプラ・DMMTVDisney+TELASAJ :COM STREAMTSUTAYA DISCAS でレンタルできます。







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