『アンタッチャブル』ネタバレレビュー|実話?あらすじ・キャストから感想・評価まで|完璧な映像スタイルと映画愛が融合したデ・パルマの最高傑作

スリラー・SF・アクション

『アンタッチャブル』ネタバレあらすじ感想レビュー:評価は星五つ🌟🌟🌟🌟🌟

この記事にはネタバレが含まれます。映画を見たい方はその点ご留意の上ご覧ください。

こんにちは、映画好き絵描きのタクです。

今回取り上げる映画は、ブライアン・デ・パルマ監督による傑作『アンタッチャブル』です。1987年公開作品です。

古い映画と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

実在のギャング、アル・カポネに挑む財務省捜査官エリオット・ネスと仲間たちの戦いを描いたこの映画は、犯罪ドラマでありながら、まるで良質なクラシック西部劇のような品格と美学を持っています。

名匠エンニオ・モリコーネの音楽が緊張感を極限まで高め、アルマーニの衣装が時代の空気をスタイリッシュに彩る…。デ・パルマ演出の精密さと俳優陣の存在感が融合した、まさに「映画の完成形」と呼びたくなる名作です。

『アンタッチャブル』トレイラー予告

『アンタッチャブル』スタッフ・キャスト

項目 内容
原題 The Untouchables
公開年 1987年
製作国 アメリカ
監督 ブライアン・デ・パルマ
脚本 デヴィッド・マメット
音楽 エンニオ・モリコーネ
衣装 ジョルジオ・アルマーニ
原作 オスカー・フレイリー『アンタッチャブル』
上映時間 約119分

主なキャスト

役名 俳優名 説明
エリオット・ネス ケヴィン・コスナー 主人公。財務省捜査官。禁酒法時代のシカゴでカポネ逮捕を目指す。
ジム・マローン ショーン・コネリー 信念の塊のような巡査。ネスの右腕。
アル・カポネ ロバート・デ・ニーロ シカゴを支配するギャングの帝王。
ジョージ・ストーン アンディ・ガルシア 警官。射撃の名手。チームメンバー。
オスカー・ウォレス チャールズ・マーティン・スミス 会計士。脱税の糸口を見出すチームメンバー。



『アンタッチャブル』は実話?

『アンタッチャブル(The Untouchables)』は実話をもとにした映画です。
ただし、史実をそのまま描いたものではなく、かなりの部分が脚色。以下に簡単に整理して書いておきます。

🕵️‍♂️ 元になった実話

1930年代の禁酒法時代のアメリカ・シカゴを舞台に、実在したアル・カポネというギャングのボスを、財務省派遣捜査官エリオット・ネス率いるチームが追い詰めていくという実話がベースです。

ネスは実際に「The Untouchables(=買収されない者たち)」と呼ばれる捜査チームを組織し、カポネを摘発しました。
映画タイトルもここからきています。

🎬 映画との違い・脚色ポイント

ブライアン・デ・パルマ監督の1987年版『アンタッチャブル』は、実話を下敷きにしながらもドラマチックなフィクション要素が多く盛り込まれています。

要素 実際の史実 映画での描写
チーム編成 実際は十数人の捜査官チーム 映画では4人の精鋭チームとして描写
ジミー・マローン(ショーン・コネリー) 架空の人物 ネスを導く「師」として登場
カポネ逮捕の経緯 主に脱税容疑で逮捕 映画でも同様だが、銃撃戦や法廷劇など脚色多め
駅の階段の銃撃シーン 完全に創作 エイゼンシュテインの『戦艦ポチョムキン』へのオマージュ

あらすじ(途中まで)

舞台は1930年、アメリカ・シカゴ。

禁酒法により酒の販売が禁じられていたが、裏社会ではアル・カポネ(ロバート・デ・ニーロ)が密輸を通し莫大な利益を上げていた。

街には腐敗と暴力が蔓延し、警察や政治家までもがカポネの金に屈している。

そんな中、財務省から若き捜査官エリオット・ネス(ケヴィン・コスナー)が、正義感を胸にシカゴへ赴任する。

だが、初の密輸酒摘発作戦は失敗。内部に内通者がいることを痛感したネスは、信頼できる仲間を自らスカウトする。

スカウトしたのは3人。

街角で出会った老巡査ジム・マローン(ショーン・コネリー)。

会計士のウォレス(チャールズ・マーティン・スミス)。

そして射撃の名手であり若手の警官のストーン(アンディ・ガルシア)。

4人の少数精鋭チームが誕生する。

あらすじ(ネタバレ・結末まで)

彼らはカポネの密造酒ルートを次々に摘発し、マスコミから「アンタッチャブル」と呼ばれる存在となる。

しかし、反撃は苛烈だった。仲間ウォレスが殺され、マローンも暗殺者に襲われる。

マシンガンで蜂の巣にされた瀕死のマローンが最後の力で残した「列車でカポネの帳簿係が逃げる」という情報をもとに、ネスたちはユニオン駅へと向かう。

ストーンの神業のような射撃が決まり、帳簿係を無事確保する。

その証言によって、ついにカポネは「脱税」という形で起訴。
裁判所でネスは、マローンを殺した殺し屋と対決、殺し屋を屋上から突き落とす。。

さらにはカポネが買収していた陪審員を、隣の法廷の陪審員とすり替えるという奇策で勝利に導く。

カポネには懲役が下される。

しかし、その直後、禁酒法は廃止。その知らせをネスは記者から聞き、こう聞かれる。

「もし法が廃止されたらどうします?」

「一杯やるさ」と答えるネス。

エンドロール。




『アンタッチャブル』感想です

ぼくは何度『アンタッチャブル』を見たことでしょう。

『アンタッチャブル』は、デ・パルマの映像美学が結晶した“神話的映画”といっても良いと思います。
銃撃戦や暴力描写のリアルさはデ・パルマ監督の得意とするところですが、『アンタッチャブル』はその「得意」なところが神技のように昇華されています。

カット割りや構図のひとつひとつが、まるでクラシック音楽=交響曲のように緻密に計算されており、どの瞬間も間合いも「映画的快楽」に満ちています。ぼくはニヤニヤしっぱなしでいつも見てしまいます。

エリオット・ネスを演じたケヴィン・コスナーは、この作品でスターとしての地位を確立しました。

演ずるのは青臭くも真っすぐな正義漢です。その純粋さの表現が見事です。

そんな彼の演技と、ショーン・コネリー演じるマローンの老練な渋みが絶妙なコントラストとなってこの映画に密度を与えています。

マローンの最期のシーン――血まみれのままネスに情報を託す場面は、ショーン・コネリーの演技史に刻まれる名演でしょう。

ちなみにショーン・コネリーはこの役でアカデミー助演男優賞を受賞しています。

そして、ロバート・デ・ニーロ演ずるカポネのパーフェクトな悪!。デ・ニーロが一人の人間の中の中の「暴力とカリスマの同居」の演技は、圧巻です。

豪華なスーツに身を包み、バットで部下を撲殺するシーンはデパルマの面目躍如です。

このシーンの数カットでカポネの残忍な一面を一瞬で印象付けています。

ロバート・デ・ニーロ=悪役カポネの存在こそが、映画全体をただの犯罪アクションではなく、品を兼ね備えた犯罪アクションエンターティメントという伝説的高みまで押しあげています。



『アンタッチャブル』考察・見どころ

🎬 西部劇へのオマージュ=キメてくれた「国境捕物シーン」

カナダでの国境で密輸酒を受け渡しするところを抑えるシーンは、西部劇へのオマージュスピリットを感じさせる名シーンです。

アメリカ人は多分にフロンティアスピリッツに惹かれるところがあるのでしょう。

ネスが仲間たちと馬に乗りギャングたちを取り押さえる…..そのシーンのカットはどれもが「西部劇」への敬意を評して作られているように思えます。

ネスら四人とギャングたちの対決に乗馬シーンを取り入れたのは、フロンティアへの憧憬であり、やはり、「あえて」の脚本でしょう。

🎬 映画史に残る「階段の銃撃戦」

ユニオン駅のシーンは、映画史に残る名場面です。そのシーンを語らずして犯罪アクションは可rたれないほどの質量を持っているシーンです。

捕獲したい帳簿係が駅にやってくるとそこには運悪く赤ん坊を乗せた乳母車を引く母親が。見かねたネスが乳母車を最上階まで引き上げる….そこに帳簿係を連れたギャングの子分が。

咄嗟に乳母車から手を離すネス――。

階段の上から転がり落ちる乳母車――

階段から落ちていく乳母車の両側で銃撃戦が始まる――

スローモーションで描かれる有名な「階段の銃撃戦」です。

デ・パルマがこのシーンでオマージュを捧げたのは、ロシア映画『戦艦ポチョムキン』の“オデッサの階段”シーンですが、一発で射撃を決めるストーン(アンディ・ガルシア』の名演がスパイスとなって、正義と悪の混沌が交錯、暗喩させた必見ガンアクションシーンとなっています。

畳み掛けるスローモーションを使いつつ、明と暗が交差する――まさに映像芸術の極致だと思います。



👔 アルマーニの衣装美学

全キャラクターの衣装を手がけたのは、ジョルジオ・アルマーニです。
1930年代のクラシックさと80年代のモード感が見事に融合し、全体をファッショナブルに統一しています。
ネスのトレンチコート、カポネのスーツ。マローンやストーンの出立ちなど、どの一着にも「配役の品格と美意識」が香っています。

着こなしファッションを見るだけでも、一見の価値アリです。

🎵 エンニオ・モリコーネのスコア

冒頭のシルエットオープニングのベース音が鳴り始めた瞬間からぼくはこの映画の世界に引き込まれました。(このオープニングも映画史に残ると思う)

重厚なリズムと哀愁ある旋律。。。モリコーネの音楽は、この作品の“もうひとりの語り手”として完璧に機能していると思います。

音楽も聞き応えがあるのが『アンタッチャブル』です。

🎥 デ・パルマの演出美学

ブライアン・デ・パルマが得意とする暴力シーンや長回し、カメラの流麗な動き。暴力を見せながらも「美しい」と感じさせる構図のセンスには改めて脱帽です。

『アンタッチャブル』には、サスペンスとポエティックを共存させるデ・パルマの凄さがあります。

「血のデパルマ」と呼ばれるほど、彼の映画には血が欠かせません。ですが、この『アンタッチャブル』はもちろん血は見せますが、他の映画、例えば『スカーフェイス』や「カリートの道』といった代表作とは異なった血の見せ方をしています。

ブラッディシーンに、ド派手さが無い、のです。静かといってもいいいくらいです。それでも痛みや緊張感がソリッドに伝わってきます。

「血のデパルマ」が一つの高みを超えた映画が『アンタッチャブル」だと僕は思っています。



評価

『アンタッチャブル』は、80年代アメリカ映画の中でも群を抜く完成度の作品だと思います。
脚本、音楽、演技、美術――どの要素を取っても無駄がなく、全てがひとつの方向へと収斂していく。
デ・パルマにしか撮れない“スタイリッシュな正義と悪の物語”がここにあります。

何度観ても新しい発見があり、悔しいけれど何度観てもいちいち「かっこいいな…」と思ってしまいます。
名作は時代を越える。そして、ここまで美しく、力強くなれるんだな….と教えてくれる一本です。

僕の評価は、星五つ:🌟🌟🌟🌟🌟(5/5)

映画の殿堂入り決定作品です。



配信情報(2025年10月時点)

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