『タイラー・レイク:命の奪還』ネタバレ・あらすじ感想評価レビュー|Netflix極限アクションに宿る痛みの手触り

スリラー・SF・アクション

『タイラー・レイク:命の奪還』ネタバレレビュー
―極限アクションに宿る“痛み”の手触り―

今回のムービーダイアリーズで取り上げる映画は、“Netflix最高峰のアクション”と評判の『タイラーレイク:命の奪還』(2020年公開/上映時間117分/アメリカ映画)です。

クリス・ヘムズワースが全身キレキレで激烈アクションに挑んでいます。そして見どころは”10分間ワンカット風脱出シーン”。ワイルドバンチやダイハードからジョン・ウィックシリーズまで、ガンアクション系はもう見慣れたはずなのに、その10分は思わず息を呑むほど。

バトルシーンの激しさはもちろんスゴイのですが、主人公タイラーの痛みや孤独といったドラマの部分がしっかりと伝わってくるあたり、大人向けのハードアクションと言っても良いでしょう。

そんな『タイラー・レイク』をレビューしてみます。



『タイラーレイク:命の奪還』解説:どんな映画?

Netflix発の本格アクション

『タイラーレイク:命の奪還』(原題:Extraction)は、クリス・ヘムズワース主演、サム・ハーグレイブ監督によるNetflixオリジナルのアクション映画です。

元特殊部隊員の男=傭兵が、犯罪組織に誘拐された少年の奪還に挑むという、一見シンプルな構図の“レスキューアクション”です。

しかしその実、アクションの作り込みがとても丁寧です。

見どころは10分ノンストップ逃亡シーン

特筆すべきは、約10分間に及ぶノンストップの逃亡シーンです。

まるで一見ワンカットのようにつなげたカメラワークは、観客を主人公タイラーと同じ“視点”へと巻き込みます。

銃撃、肉弾戦、車の衝突、落下と、次々に繰り出される危機を、編集の継ぎ目を感じさせない流れでもって、編み、映し出します。

派手さの中にある、確かな痛みとリアリティ…。

この映画が他のアクション映画と一線を画すポイントは、まさにそこだとぼくは思います。

その結果生まれているのが、「痛み」です。観ていて「痛い」と思ってしまうのは映画の作り込みが丁寧だからだとぼくは感じています。

タイラーという男の心身の「傷」と「再生」を描こうとするドラマ性が、ただの脱出アクションに終わらせていません。

「誰かのためにカラダを張るってどういうことか?」への一つの答えを『タイラー・レイク:命の奪還』は示しているように思います。


スタッフ・キャスト

区分 内容
監督 サム・ハーグレイブ
脚本 ジョー・ルッソ
原作 グラフィックノベル『Ciudad』
製作 ジョー・ルッソ、アンソニー・ルッソ ほか
音楽 ヘンリー・ジャックマン
撮影 ニュートン・トーマス・サイジェル
出演(役名) /俳優
タイラー・レイク クリス・ヘムズワース
オヴィワル ルドラクシャ・ジェイス
サジュ ランディープ・フーダー
ニック・カーン ゴルシフテ・ファラハニ



『タイラーレイク:命の奪還』あらすじ途中まで〜ネタバレなし

誘拐された少年オヴィと傭兵タイラー

インドの犯罪組織のボスの息子、少年オヴィ。彼は犯罪組織のボスの子ではあるが、学校の友達と悪ふざけする普通の子だ。

オヴィは、ある日、父の敵対組織によって誘拐されてしまう。

父は息子を救出するため、腕利きの傭兵タイラー・レイク(クリス・ヘムズワース)へ、息子の奪還を依頼する。

タイラーはどこか影を抱えた男だ。死地へ飛び込むことに躊躇がない一方で、心の底には、どこか家族への根深い後悔を抱えている。

バングラデシュで始まる脱出作戦

バングラデシュを舞台に救出作戦が開始され、タイラーはオヴィ奪還に成功する。

しかし、作戦は予想外の方向へ転じ、タイラーは少年を守りながら敵の包囲網を潜り抜けなければならない状況へと追い込まれる。

敵組織のボスは警察を抱き込み、タイラーの行手を阻む。

そして始まる壮絶な逃亡劇——。タイラーはオヴィと包囲から逃げ切ることができるのか?

ちなみにここから、この映画を象徴する“ワンカット風アクション”が始まります。

『タイラーレイク:命の奪還』あらすじ(ネタバレ結末まで)

※ここからは完全ネタバレですので、映画をみたい方はスルーしてください



四面楚歌

タイラーとオヴィをどこまでも執拗に追う銃撃戦がはじまる。

そのさなか、オヴィの父の右腕であるサジュ(ランディープ・フーダー)が現れ、タイラーを襲撃する。

サジュにも独自の動機があり、オヴィ救出を自分の手柄としたい思惑があったのだ。

一方、敵対組織のボスであるアミールは、街じゅうの警察とワルの少年たちにまでオヴィ強奪の命令を下し、非情なまでの包囲網を作り上げる。

タイラー追撃は激烈を極める。

サジュは途中からタイラーと行動を共にするが、激戦で命を落とす。


オヴィ救出は叶うのか?

重傷を負いながらも少年を守るタイラー。

クロスファイアの中、タイラーとオヴィは救出地点の橋のたもとへと一歩一歩進む。

ついにオヴィを安全地帯へ到達させたタイラー。

しかしその直後、敵の銃弾がタイラーを貫く。

タイラーは橋から川へと落下。深く沈みゆく彼の姿が映し出される。

ラスト、しばらくしてオヴィがプールで潜水していると、ふと視線の先にタイラーらしき人物のシルエットが立っていることに気づく。

果たしてそれがタイラーの“生存”を示すものなのか、それともオヴィの“記憶”の中のタイラーなのか???——映画は明確な答えを出さず、観客の解釈に委ねる余韻を残し、エンドロールとなる。


『タイラーレイク:命の奪還』ぼくの感想です

『タイラーレイク:命の奪還』、実は、正直いって、なんとなーく観るのをスルーしてました。

「よくある特殊部隊アクションものかな、、、往々にしてその手の救出アクション映画は寝てしまう作品も多いからなあ…」

そんな思いが頭の隅にあって、配信クリックまで手が伸びなかったのです。

ところがどっこい、ごめんなさい!『タイラーレイク:命の奪還』は、違っていました。

眠い目で見始めたその眼が覚める。そんな面白さに満ちていました。

美は細部に宿る…といいます。

一気に目が覚めた、と書きました。

その理由は、たぶんに高いスタントクオリティをとことんまで高めつつ、手を抜かないVFXとの合わせ技あってのことだったように思います。


痛みの“質感”を感じる演出

『タイラーレイク:命の奪還』は、「誰かの命を守るためにカラダを張る」というシンプルないストーリーです。

なので、アクション映画の”王道ど真ん中”をいっています。

当然ながら、銃撃、殴打、落下、息切れ、転倒、格闘——と、次々と見せ場が続きます。

それらのリアリティがすごいです。

格闘や落下で、彼らの体重を観ている側がずしっと感じる…そんなリアリティです。

今の映画制作現場では、アクションシーンを引き立てるためには、ある意味、視覚効果=背景合成で迫力を出しますよね。

今どきのアクション映画なら、どんな作品も、まずは俳優をグリーンバックでアクション演じさせて、背景や着弾、硝煙などを合成VFXで掛け合わせる…おおよそそんな同じ制作方法がとられているんだと思います。

しかし『タイラー・レイク:命の奪還』はほかのアクション映画よりアタマ一つ抜きん出ている。要は、魅せるんです。

それは、なぜなんだろう?なんでこんなに痛いアクションなんだ??…ぼくはアタマをひねりました。

タイラー・レイクアクションの凄さの理由、それは、演じている俳優の、体重の乗り方、反動の伝わり方といった、”目に見えないところ”にこだわっているから生まれているんではないか…?

そうでなければ、こんなにもずしっと響いてくるアクションにはならないだろう…と思っていたところ、監督のキャリアを知って、スッキリ納得!でした。

監督のサム・ハーグレイブ氏は、元・スタントマンだったのです。

痛みを知っている監督はウソがつけない

監督は、散々スタントの現場でカラダを張っていた。

そんな彼ならば、スタント時の肉体的負荷=あのくらい高さから落っこちると、体はこれくらい跳ね上がって、動けなくなる時間は◯△秒くらい=といったことをカラダで実際に知っているに違いありません。

実際のスタントを通して、カラダで痛みや衝撃を知っている…それは演出でウソがつけないはずです。

『タイラー・レイク:命の奪還』の格闘や転倒落下といった見せ方が他のアクション映画とは違っていたのは、それゆえでしょう。

ずしっと痛みのある重み。それこそが『タイラー・レイク:命の奪還』の魅力の一つだと思います。



タイラーの心の傷と救い

ここからもネタバレになります。(映画見る方はスルーしてください)

実はタイラーレイクは息子を喪った罪悪感と自己破壊衝動を抱えているんですね。

そんな男が少年の奪還を通じて、わずかな“救い”を見出す。

それがひとつの柱となっています。

痛みや喪失を抱えている人は、別に映画の主人公のような傭兵でなくても、弱さを持っているように見えて、実は強いんです。

そんな弱さと強さを併せ持った男を主人公にすることで、この物語は、アクション一辺倒の映画とは一線を画していると感じました。

救い出すのは、子ども

『タイラーレイク:命の奪還』で救出する相手は、救出劇によくある「大統領」とか「彼女=美女」とか、あるいは「戦友」とかではなく「子ども」です。

『タイラーレイク:命の奪還』には「子ども」というキーワードがしっかり隠されています。

邦題サブタイトルに「命の奪還」とつけ加えた意味には、”大人ではない未来ある命”という意味と、”喪失感と罪悪感に苦しむタイラーの命”が掛け算されている…と、ぼくは考えています。

そんな罪悪感を贖罪するためにひたすらに子どもを守るタイラー。そんな男を演じるクリス・ヘムズワースの寡黙な演技も見事と感じました。



『タイラーレイク:命の奪還』ぼくの評価は

『タイラーレイク:命の奪還』を観て、「派手さだけではなくしっかり痛い、そして、切ない」という稀有なアクション映画だとぼくは感じました。

『タイラーレイク:命の奪還』のぼくの評価は星⭐️⭐️⭐️⭐️四つです。

手に汗握りの切なくもありのエンタメ快感をもらえました。素敵な映画をありがとうございました。


『タイラーレイク:命の奪還』配信レンタル情報

※2025年11月時点
Netflix(ネットフリックス)にて独占配信中。



コメント

タイトルとURLをコピーしました