『君を想い、バスに乗る』ネタバレレビュー|キャスト・あらすじ・感想評価・配信先まで
こんにちは!映画好き絵描きのタクです。
ムービーダイアリーズ、初回に取り上げる映画は、『君を想い、バスに乗る』(2022年日本公開)
90歳の老人が、英国の北端=ジョン・オ・ゴーツから南西部最端=ランズエンド岬までの1400キロを、路線バスで旅するロードムービーです。
原題は、『The Last Bus』…人生のピリオドが目前に迫った老人の旅ムービーに「最後のバス」とは、なんとも意味深です。
ぼくが実際にランズエンド岬へ旅した体験もおまけに添えました。それではロードムービー『君を想い、バスに乗る』のあらすじから感想・配信先までレビューしてみましょう。
『君を想い、バスに乗る』予告編
【君を想い、バスに乗る】解説〜この映画の魅力は?
『君を想い、バスに乗る』の魅力を一言でいうなら、主人公が行く先々で出会う見知らぬ人々との縁が、ぼくらを非日常の旅に連れて行ってくれる点にあります。
本作は、ロードムービーと呼ばれるジャンルの新境地作品と言っても良いと思います。
ぼくはその昔、イギリスBBC放送が制作した、あるロードムービーを観ました。
ドラマの内容は、定年を迎えた一人の男が、残りの人生を考えながら徒歩でイギリス縦断の旅に出る…そんなストーリーでした。
そのドラマの主人公のスタートラインは、イギリス最南西端の岬、ランズエンド岬です。そう『君を想い、バスに乗る』のゴール地点です。
そしてそのドラマのゴールは、英国の北の端、ジョン·オ·ゴーツという町=『君を想い、バスに乗る』のトムが暮らしていた町です。
本作のたどるコースは、BBC制作のドラマとは真逆。ジョン·オ·ゴーツからランズエンド岬まで。それが主人公の旅ルートです。
「A地点からB地点までいく」旅って、日常でも非日常となりワクワクしますよね。「A→B」は、素敵な映画のシナリオ定番の一つといってもいいでしょう。
AからBへ行く途中に主人公を待ち受けるのは、日常では絶対に会わない人々との出会いと別れです。そこに学びが見えるのもロードムービーの魅力の一つでしょう。
そんな素敵な出会いを描いた『君を想い、バスに乗る』は、「ちょっと生きるの頑張ろう」って思える、そんな良質ロードムービーです。
『君を想い、バスに乗る』スタッフ・キャスト
スタッフ
| 項目 | 名前 |
|---|---|
| 監督 | ギリーズ・マッキノン(Gillies MacKinnon) |
| 脚本 | ジョー・エインズワース(Joe Ainsworth) |
| 製作 | ロイ・ボウルター(Roy Boulter)/ソル・パパドプーロス(Sol Papadopoulos) |
| 撮影 | ジョージ・キャメロン・ゲッデス(George Geddes) |
| 編集 | アン・ソペル(Anne Sopel) |
| 音楽 | ニック・ロイド・ウェバー(Nick Lloyd Webber) |
キャスト
| 役名 | 俳優名 |
|---|---|
| トム・ハーパー(Tom Harper) | ティモシー・スポール(Timothy Spall) |
| メアリー(Mary) | フィリス・ローガン(Phyllis Logan) |
| 若い頃のトム(Young Tom) | ベン・ユーイング(Ben Ewing) |
| 若い頃のメアリー(Young Mary) | ナタリー・ミッソン(Natalie Mitson) |
| フラン(Fran) | グレイス・カルダー(Grace Calder) |
| 医師マーティン(Doctor Martin) | セリン・ジョーンズ(Celyn Jones) |
| ビリー(Billy) | ブライアン・ペティファー(Brian Pettifer) |
| グラハム(Graham) | コリン・マックレディ(Colin McCredie) |
『君を想い、バスに乗る』映画のあらすじは?
それも路線バスで。老人が主役のロードムービーは過去何本か観てきましたが、『君を想い、バスに乗る』はどんな旅なのかを、まずはあらすじで追ってみます。
主人公は足もおぼつかなくなってきた90歳の老人、トム。
愛する妻の死をきっかけに、主人公トムはランズエンド岬までのイギリス1400キロを縦断することを決意し、旅立ちます。
トムの荷物はかばん一つ。足は、路線バスのみ。
トムが手にしているバスチケットは、指定全区間乗り降り自由の「シニア向けフリー乗車券」です。
英国縦断の旅ルートが縦糸ならば、道中の見ず知らずの人々との出会いが横糸です。
バス停で、車内で、一息つく見知らぬ町で、トムと見知らぬ人々との出会いがタペストリーのように織り上げられ、旅が続きます。
ある町では、疲労のあまり倒れてしまったトムが助けられたり、とあるバス停では偶然並んだ若者たちの前で歌を歌うことになったり。
また車内トラブルに手を差し伸べたり、、、。
トムの旅は、自ら知らぬ間にSNSで拡散され、英国各地にトムの旅を陰ながら応援する人々が現れます….。
以下は、ストーリー結びのネタバレになりますので、閲覧注意、映画観たい方、観る予定のある方は、スルーしてください。
『君を想い、バスに乗る』映画のラストは?ネタバレ閲覧注意!
ついにトムはランズエンド岬に辿り着きます。
驚いたことに、ランズエンド岬では大勢の人々がトムの到着を待ち、迎えてくれます。
彼らは、SNSでトムをかげながら応援していた人々でした。
呆気に取られるトム。
そして、なぜトムはランズエンドを目指していたかが、ラストで明かされます。
トムには、実はランズエンド岬近郊で亡くなった妻との新婚生活を始めていたのです。
しかし幼くして亡くしてしまった子供がいました。
幼子を亡くした傷心のトム夫婦は、子供との思い出から逃げるように、北の果てジョンオゴーツに旅立ち、そしてそこで新たな暮らしを始めていたのです。
そう、ランズエンド岬への旅は、死んだ妻への想いを抱いて、亡くなった我が子のお墓への旅だったのです。
ラスト、教会墓地に幼子の思い出を見つけるトム。
満足げな表情で、疲れた足を引きずって、光の中へトムはいざなわれて映画は終わります。
『君を想い、バスに乗る』クライマックスの答えは?
『君を想い、バスに乗る』のラスト、「光のなかへ」溶けゆくシーンは何を物語っていたのでしょうか?
ぼくの結論は、「トムの命が光の中へ、妻の元へ旅立った」です。
「光は、妻からのありがとうというメッセージだった」と捉えることもできると思います。
『君を想い、バスに乗る』の原題は、『The Last Bus』…訳すなら「最後のバス」です。
バスは”目的地まで連れて行ってくれる乗り物”ですよね。
彼の人生最後の目的地はどこ?と考えてみた時、ぼくは”先だった妻と一緒になるところ”だと思いました。
タイトルの意味も含めてラストは、ぜひ色々なシチュエーション=答えを考えて欲しいです。
十人十色の思うラストで良いのだ…とぼくは思います。
『君を想い、バスに乗る』ぼくの感想です
90歳を演じたのは?
『君を想い、バスに乗る』の主役を演じたのはティモシー·スポールです。
90歳の老人を演じていますが、観ているこっちまで歳をとったように感じてしまうほど、見事でした。
ちなみに演じた時、ティモシーは60歳だったということです。
その役への入り方は、イタリアで開催されている「バーリ国際映画祭」での『最優秀主演男優賞受賞』で、お墨付きをもらっています。
話がそれますが、映画『ゴッドファーザー』での主役ドン·ビトー·コルレオーネを演じたマーロン・ブランドの老けぶり演技も迫力でした。役者さんの凄さって、老いた役をさせたときに出るものかもしれないですね。
ぼくはティモシースポールの演技をみて、つい、『ゴッドファーザー』のマーロン・ブランドを思い出してしまいました。
画家目線で見る風景表現
『君を想い、バスに乗る』の見どころの一つは、画家でもある監督がこだわった映像美でしょう。
イギリスのスコットランドの北の果てジョン·オ·ゴーツからイングランドの南の果てランズエンドまで、自然風景をカメラが見事にとらえています。
「全カット、画家目線」と言えば言い過ぎでしょうか?いえいえ、本当にイギリスの空気を届けてくれます。
カメラの向こうに「イギリス風景ガイド」の匂いがちょっとだけ漂うのは、「ブリティッシュ・カウンシル」が後援についているからでしょう。それはそれです。
先にも書きましたが、監督のギリーズ·マッキノンの肩書は「映画制作者であり画家」なのです。
彼のキャリアを考えると、美を最大限にクローズアップして捉えるのは、呼吸するがごとく自然の行為でしょう。だからこその『君を想い、バスに乗る』の美しい表現なのです。
何がこの映画を支えているのか?
「そうなんだよ、人生も旅も”出会う人次第”……目的地を決めて無心に進むと、不思議と素敵な人たちに助けられるものだよな…」
本作への感想評価は、ぼくが思ったこの1行につきます。
『君を想い、バスに乗る』を支えている美しい表現は、風景だけにとどまりませんでした。
描き出されていた美しさは、トムが出会う人々の心の模様でもありました。
長年連れ添った最愛の妻を亡くして、トムは一人、旅立ちます。
寂しく切ないそんなトムの心を支えるように、次々と見知らぬ人々が現れます。
彼らのなんと暖かく美しいことか。
そして、同時にそんな人々も、心のどこかに寂しさを抱えている、、、。そんなところも本作の魅力なんです。
『君を想い、バスに乗る』は、普通に暮らす人々の心の隙間を、90歳の旅人の老人が支えていく物語でもあるのです。
『君を想い、バスに乗る』が刺さった方へおすすめ作品
派手じゃないけど、しんみり、ハートフルが刺さった方へ、次の映画もおすすめです。当サイトでレビューしていますのでリンクを貼っておきますね。
・『コンパートメントNo.6』
鉄道寝台車で出会った男女二人。何かが起こりそうで、起こらない、リアルロードムービー ーー 『コンパートメントNo.6』
・『さらば愛しきアウトロー』
人生にピリオドをどこに置く?人生の締めくくり方とは?ーー『さらば愛しきアウトロー』
・『すばらしき世界』
社会で真面目に生きようと誓った男の人生の旅路。命を輝かせるとはどういうことなのか?ーー『すばらしき世界』
・『コット、はじまりの夏』
始まりは旅立ちと同義語。人生に一人で立つ意味を問われる。ーー『コット、はじまりの夏』
余談:ぼくのランズエンド岬への旅
余談ですが、実はぼく自身、その昔1997年、ロンドンからランズエンド岬まで、路線バスと電車を乗り継いで、リュック担いでひとり旅をしたことがあります。
目的地だけランズエンド岬と決めて、予定は未定という旅スタイルでした。
ひとり旅は心細いからでしょうか、バスの中で、汽車の中で、心の中はとても”おしゃべり”になるんです。常に風景や出会った人々、さらには、”大いなる何か”と、お話ししているのです。
映画の劇中にも登場するダートムーアの荒野の中、ポツンとたつ旅籠での記憶や、バス停で隣に座ったおばあさんとの会話、そして、最果てに、ひとりたどり着いた時の海風と太陽の記憶…。
ぼくのランズエンド岬までの旅は、終わったように見えて、実は終わっていなかった。そう、この映画まで続いていたように感じました。
『君を想い、バスに乗る』ぼくの評価は?
ぼくの評価は星四つ半⭐️⭐️⭐️⭐️✨です。
【君を想い、バスに乗る】は、旅好き=特に英国好き、迷い旅好きには、たまらない一本ではないでしょうか。
旅に出たことない人には、「迷い旅マジック」を体験できる映画です。
ぼくの評価:旅好き、バス好き、最果て好き、ロードムービー好き、ということで星四つ半⭐️⭐️⭐️⭐️✨でした。
そして….
『自分の「最果て」まで、あと何マイルあるんだろう?』….そんなことも考えさせられる映画でした。
いい映画をありがとうございました。
『君を想い、バスに乗る』配信レンタル先は?
配信サービス(2024年現在)
![]() |
レンタル |
![]() |
見放題 |
![]() |
レンタル |
![]() |
レンタル |
![]() |
見放題 |
![]() |
見放題 |
![]() |
見放題 |








