『宝島』アニメの歌詞からあらすじ最終回まで|名作の魅力を解説考察レビュー

アニメ

こんにちは!映画好き絵描きのタクです。今回取り上げるのは、アニメの『宝島』。原作はスチーブンソン原作の名作冒険小説です。

ディズニー映画も有名ですが、あえて1978年に放送された日本産テレビアニメの『宝島』を紹介しましょう。




スチーブンソンの原作キャラとは異なる、アニメならではの思い切った換骨奪胎キャラづくりが大成功した作品でした。

放映当時、ぼくは高校生でしたが、アニメだからこそ表現できるアニメ『宝島』の世界観にノックアウトされました。

のちにアニメーターとなったぼくは、再放送を全話ビデオに録画して何度も繰り返し観ていました。果ては60還暦の時に娘がぼくにプレゼントしてくれたのは、『宝島』コンプリートDVDブックでした。

アニメ『宝島』の何がそれほどまで長きにわたってぼくを惹きつけるのか?

今回はそのアニメ『宝島』の魅力をお伝えしたいと思います!



『宝島』ブルーレイ発売情報サイト予告(劇場版)

では、サワリをヴルーレイ発売サイト予告編でご覧ください。




『宝島』アニメ放映データ

日本テレビ系列局で放送された、東京ムービー新社製作アニメです。全26話。

1978年10月8日〜1979年4月1日/毎週日曜 18:30 – 19:00 の枠に放送されました。

のちにも各局で早朝枠で再放送がありました



アニメ『宝島』のオープニング〜歌と歌詞の魅力

まずはじめにおしゃべりしたいのが、オープニングの魅力です。

アニメ宝島は、オープニングタイトルが、それまでのアニメ界の常識を打ち破っていました。ウェブ上で見られるオリジナルのオープニング映像はないのですが、静止画を編集したオープニングyoutubeクリップを見つけました。オリジナル映像とは違いますが、エッセンスをうまく編集しています。では、YouTube映像をどうぞ。

 

 

今のアニメを見慣れた世代には「あれっ?何かが違う」って思いませんか?

そう、「アニメキャラがアニメソングに合わせて縦横無尽に動き回る」のが、定番のアニメタイトルバックです。

ところが『宝島』は違います。

本編の「まんまアニメキャラ」ではなく、まるで「良質な絵本のキャラ」が、アニメで動いているかのようです。

実際のオープニング映像は、この止め絵が動いています

オープニング映像はまさに動く絵本!

『宝島』のような個性的でファンタスティックなオープニング映像は、それまでのアニメにはなかったはず。

今観ても、その世界観は突き抜けています。

当時、企画段階でこのタイトルバック映像を提案したのは、相当のチャレンジだったと思います。

今観ても輝きが失せていない理由は、製作陣に、そんな定番を打ち壊そう!というチャレンジスピリッツがあったからだ…とぼくは思っています。



今も輝き続ける『宝島』アニメソングの魅力

『宝島』のメインテーマ・アニメソングの魅力をいくつか挙げてみましょう。

メロディ編曲の素晴らしさ

ひとつは、冒険への憧れ、そして大海原をイメージさせるような美しいメロディラインにあります。

フォルテシモの金管楽器ファンファーレによる航海への希望を歌い上げたファーストメロディは、一転、海原、そして深海、さらには戦いの前の静けさにも似たメロディに転換。

クライマックスは再び管楽器が、勇壮に五線譜を駆け上がり、ティンパニーの連打で締めくくります。

ラストはまるで壁を乗り越える勇気を讃え謳いあげるかのよう。

そう、『宝島』のアニソンは、物語の主人公ジム少年の、「航海への希望と不安、そして決意」を表した楽曲になっているのです。

何度聞き直しても、『宝島』の歌=音楽は、アニメ音楽、否、数ある映画音楽の傑作の一曲である、とぼくは思います。

アニメ『宝島』のテーマ=「生きるとは、未知の世界への航海と同じだ」を表現した、見事な編曲です。



生きる勇気をくれる歌詞の魅力

二つめは、生きる勇気をくれる歌詞の魅力です。

ここで、『宝島』の歌詞を紹介しておきましょう。

作詞:岩谷時子   作曲:羽田健太郎 歌:町田よしと

さあ行こう 夢にみた島へと

波をこえて 風にのって 海へでよう

行く手には みんなまだ知らない

ふしぎな昼と夜とが

待っているだろう

 

いつも信じよう まごころを

勇気をむねに すすもうよ

ただひとつの あこがれだけは

どこのだれにも けせはしないさ

 

さあ行こう 歌声がながれる

青空のましたに 白い帆をあげよう

海がよぶ ぼうけんのたびじで

苦しいことやあらしに

きっとあうだろう

 

いつもほほえみを わすれずに

勇気をむねに すすもうよ

ただひとつの あこがれだけは

どんなときにも けせはしないさ

 

ただひとつの あこがれだけは

どこのだれにも けせはしないさ

どうでしょう?旅立つ少年、若者に贈る、ストレートな人生応援歌とは思いませんか?

人は歌で助けられることありますよね。

ぼく自身、アニメーターからはじまった描く仕事人生は嵐の連続でした。

そんな人生も還暦という折り返しを迎えましたが、壁や波を乗り越えるとき、もっとも助けられた歌はこの『宝島』だった…と今にして思います。

人は誰でも、いくつになっても、心の中の宝島を探し続けていると思います。

『宝島』の歌は、いつまでも誰かを支え続けるアニメソング…そうぼくは思います。



『宝島』アニメのあらすじは?

以下にアニメ『宝島』あらすじを紹介します。

物語はイギリスのブリストル近郊の岬に立つ一軒の旅籠から始まる。

主人公のジム・ホーキンスは、母と二人暮らし。

母が一人で切り盛りする旅籠「ベンボー亭」を手伝う心根の優しい少年だ。

今は亡き父の志を継いで、いつかは船乗りになろうと心に決めている。

ある日、一人の船乗り ビリー・ボーンズがベンボー亭に投宿する。

 ビリー・ボーンズの長い逗留の中で、ジムは

「一本足がやってきたら、教えてくれ」

とことづかる。

どうやら「一本足」を恐れているようだ。

恐怖を紛らわすかのように毎日浴びるようにラム酒を飲み、 ビリー・ボーンズは病の床についてしまう。

いく日もすぎたある日、盲目の男が ビリー・ボーンズに⚫️黒丸と呼ばれる丸い札を渡しに現れる。

⚫️黒丸とは海賊の間でかわされる約束事だ。

黒丸を渡された ビリー・ボーンズはしかし病と恐れでこの世を去ってしまう。

少年ジムは、亡くなった ビリー・ボーンズの船員箱の中に不思議な地図を見つける。

町の名士トレローニと医師リブシー先生にその地図を見せるジム。

その地図はかつて船乗りたちを震え上がらせた伝説的海賊フリント船長の「宝島」を記した地図だった。

トレロー二とリブシーたちは、宝島探しの航海を計画。

帆船ヒスパニオラ号を借り上げ、船員たちを募集するスポンサーとなったのは、地主で大金持ちのトレローニだ。

そんな折、船員スカウトに一人の男が名乗り出る。

港でレストランを切り盛りする一本足の料理人、肩にオウムを乗せた男、ジョン・シルバーだ。

ジムは「一本足」のシルバーに疑いの目を向けるが、そんなところに起こった海賊の喧嘩、そして彼らを蹴散らすシルバー。

ジムはシルバーに海の男の理想を見いだし、共に行動しようと決意。

ジム、トレローニ、シルバー、他操船のための船員を乗せたイスパニオラ号は大海原に滑り出す。

『宝島』アニメのあらすじ〜中盤見どころ

物語の中盤は冒険小説面目躍如の展開が続きます。

『宝島』自体スチーブンソン原作の古典文学ですので大枠はオリジナルのあらすじ通りです。

少年ジムは、料理人シルバーの人柄にすっかり惚れ込んでしまいます。

アニメでは、その惚れ込みようが核のひとつになります。

タフな海の男シルバーに向けられる、少年らしい憧れの眼差しが、原作オリジナルとは違った感じで強く描かれています。

その信頼=憧れが一転するのが、ジムが寝入ってしまったりんご樽の中で聞いてしまう「シルバーと船乗りの計画」。彼らは海賊だったのです。

たどり着いた宝島で、シルバーを首領とした海賊たちの「反乱」が起こり、宝の地図をめぐって、宝島でジムたち対シルバーたち海賊の激しい戦いがはじまります。

『宝島』アニメの結末ラストまで〜ネタバレ閲覧注意!

以下結末を簡単に書きます。

 

戦いはジムたちの勝利となり、シルバーは捕虜となる。

宝の地図の謎解きをしたジムたちは海賊フリントの宝をついに見つけます。

しかし、姿を消すシルバー。

ジムたちは探し当てたフリントの財宝をヒスパニオラ号に載せて、無事ブリストルに帰港する。




『宝島』アニメの最終回は?ネタバレ閲覧注意!

『宝島』アニメの最終回では、オリジナル原作とは異なるシナリオ結末が用意されています。物語の終わりを紹介しましょう。もちろんネタバレですのでアニメを見たい方はスルーしてください。

 

時はたち、ジム・ホーキンスは一人前の逞しい船乗りになっていた。子供だった子豹のベンボーも立派な大人になっていた。

船乗りの間では、「豹を連れた腕のいい船乗り」として噂されるほどだ。

そんなジムは、とある寄港地で、年老いたシルバーに再会する。

相棒の肩に止まったオウムも年老いていた。

港の埠頭で、飛ぶことができなくなったフリントに声をかけるシルバー

「どうしたんだい、フリント…オレたちはまだ飛べるはずだぜ」

振り返ったシルバーはジムと目を交わしニヤリと笑い、ストップモーション。

 

年老いた船乗りシルバーに「まだ飛べるぜ」…と語らせるラストは、「いつまでも、老いたとしてもなお、人は飛べるんだ」という制作陣からのメッセージだとぼくは感じています。

 

ぼくは何度見てもこのラストにはトリハダ立ちます。そして、泣けます。



アニメ『宝島』キャラの魅力〜海賊シルバー・そして名脇役グレー

敵役シルバーキャラの魅力

どのキャラも絵がオリジナリティに溢れているということ。

シルバーのキャラクターデザインが素晴らしいです。

実写映画の『宝島』のシルバーはいかにも悪役です。しかしアニメ『宝島』では、「少年が惚れる大人の男らしさ」をキャラクターに見事に反映させているとぼくは思います。

数あるアニメキャラの中でも秀逸、太鼓判です。

シルバーは後半悪役になってさえ、「それでもカッコええよなあ…」と、惚れが消えません。

キャラクターデザインを担当したのは作画監督の杉野明夫です。

オープニングの絵本的な表現もそうですが、一介のアニメーターを越えた、表現者=クリエイターとしての杉野の確かな腕を感じるキャラ造形です。



かっこよすぎるグレーの存在感と名言

『宝島』アニメでは小説とは違うキャラクターも登場します。

その中でもいい味を出しているキャラクターがグレーです。

ナイフ使いの名人としてジムたちの側に立つ男です。

名画『七人の侍』でいうなら、宮口精二演じる「久蔵」的な存在感です。

寡黙だけれど、切れ者。いざという時に皆を救う役回りで、

「かっこいいとはこういうことだよなあ…」と高校生のぼくはシビれまくっていました。

彼のラストのエピソードはアイルランド独立戦争に及び、独立派として戦場に命を散らせます。

その命が絶えるシーン、最後のセリフが泣かせます。

「シルバー、お前ならどう切り抜ける…?」

そうつぶやいて、グレーは事切れます。

アニメ名言の殿堂があるとするならば、殿堂入り推薦のセリフです。

 

『宝島』アニメでは他にも魅力キャラがたくさん登場します。

さて、誰に肩入れするか?

アニメ『宝島』では原作とはちょっと異なるオリジナルの味付けがなされているので、そんな楽しみがアニメの『宝島』にはありますね。



アニメ『宝島』演出出崎×作画監督杉野コンビの魅力 

『宝島』アニメは、出崎統監督と杉野昭夫という作画監督画全話を手がけています。

日本アニメ界の黄金時代を築いた名コンビです。

代表作には、『ガンバの冒険』『あしたのジョー2』『エースをねらえ2』『コブラ』『ブラックジャック』などがあります。

この出崎×杉野コンビのアニメはコンビ独特の演出が光っています。

出崎×杉野コンビ作品の魅力を解き明かす

出崎×杉野コンビ演出の魅力、その一つは、アニメ業界で「ハーモニー」と呼ばれる「トメ絵手法」のかっこよさにあります。

セルに描かれたシーンがストップモーション、手描きにオーバーラップするという演出手法です。

『宝島』アニメのハーモニー処理は、美しいです。

毎回「ここでハーモニーかあ、だよなあ、やるなあ」とシビれていました。

もう一つは、同じ動画を3回繰り返し畳み掛ける手法

たぶん出崎演出の専売特許ではないかとおもいます。

『あしたのジョー2』や『エースをねらえ2』、『コブラ』などでも多用されているワザです。

実は日本のテレビアニメって、動画枚数(パラパラの枚数)に制限がありました。(記事を書いている2023年の今はどうかわからないです。)

たぶん限られた枚数でより効果を出すにはどうしたら良いのか?

枚数制限というデメリットから生み出された手法なのでは?と、これはぼくの推察です。

アクションシーンを限られた動画枚数で表現する「出崎演出」は、印象に深く刻まれています。



『宝島』アニメ〜登場人物紹介

⚫︎ジム・ホーキンズ /主人公の少年。13歳。船乗りの父を亡くし、母とふたりで旅籠「ベンボー亭」を切り盛りしている

⚫︎ジョン・シルバー/左足がない一本足の男。港町ブリストルのレストラン「遠眼鏡屋」のシェフ。タフで頭が切れる。肩には常にオウムが乗っている。オウムの名は、フリント。

⚫︎ベンボー/子供の豹。ジムの小さな友達。

⚫︎ビリー・ボーンズ /宿屋「ベンボー提督亭」に泊まり、宝の地図を持っていた男。海賊フリントの元副船長。

⚫︎トレローニ/地主であり大金持ち。宝島探しのスポンサー。ジムの亡き父の親友。ライフルの腕前は一流。口が軽いところが玉にきず。

⚫︎リブシー先生 /医師兼治安判事。名実ともに紳士。ジムの亡き父の親友。船医として同行。

⚫︎スモーレット船長 /ヒスパニオラ号船長。航海術に優れ厳格。

⚫︎アロー/副船長。大酒飲み。航海の途中、シルバーの策で海に落とされる。

⚫︎レッドルース/トレローニの執事。海賊との戦いで戦死。

⚫︎ハンターとジョイス兄弟/トレローニの使用人の兄弟。兄ジョイスは海賊との戦いで命を落とす。

⚫︎グレイ/水夫。アイルランド出身。最初は海賊配下だったが、ジムたちの仲間に入る。ナイフ投げの名人。

⚫︎ハンズ/ヒスパニオラ号操舵手。元海賊。のちにジョン・シルバーと反目対立。

⚫︎かもめのパピー/水夫。日和見主義。故郷にいる9人の弟を養うため海賊側に入る。

⚫︎ベン・ガン /宝島に置き去りにされていた、海賊フリントの元部下。ジムたちと行動を共にする。

⚫︎フリント船長 /伝説的大海賊。彼の宝の地図が物語の発端となる。(回想シーンのみで登場)



『宝島』アニメ 配信・DVD・ブルーレイは?

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