『REBEL MOON パート1 炎の子』あらすじ〜感想考察・辛口評価レビュー|一部ネタバレあり

スリラー・SF・アクション

話題の『REBEL MOON パート1 炎の子』がNetflixで配信開始となりました。監督は「300スリーハンドレッド」で名をあげたザック・スナイダー監督。2部作からなるSFアクション映画の第1部です。




ザック・スナイダー監督は、黒澤明の歴史的傑作「七人の侍」へのリスペクトムービーだと公言しています。

壮大な銀河を舞台に、強大な帝国に反旗を掲げた7人の戦士たちの戦いを描いた『REBEL MOON パート1 炎の子』。

配信開始からまだ間もないです。『REBEL MOON パート1 炎の子』では戦士達がスカウトされるところまでが描かれますが、早速観た感想を書いてみました。パート1限定、痛目の直球レビューです。

2023年製作/135分/アメリカ
原題:Rebel Moon: Part One – A Child of Fire
配信開始日:2023年12月22日



『REBEL MOON パート1 炎の子』予告編

『REBEL MOON パート2 傷跡を刻む者』予告編が公開になっています

 



『REBEL MOON パート1 炎の子』あらすじは?(一部ネタバレあり)

以下、前半のあらすじを紹介してみます。

辺境の惑星にある植民地で主人公のコラは、荒地を耕し、農業を営んでいる。質素な暮らしだ。

そんな日常にある日弩級の宇宙船が現れ、残虐な指揮官ノーブル提督が兵とロボット騎士を従えて植民地を訪れる。

宇宙を支配する強大な軍を持つ帝国マザーワールドの尖兵たちだが、なぜかロボット騎士だけは紳士的だ。

ノーブル提督は住人に食料調達を命令し、去る。

一方、兵たちは村へ駐留する。

ロボット騎士は村の女性と紳士的な交流をするが、兵達はその女性に暴力を振い始める。

横暴に忍を切らしたコラは駐留軍に単身立ち向かい、全滅させる。

コラの戦闘能力の高さは、彼女がただの農民ではないことを物語っていた。

実はコラは、以前は帝国軍の生え抜きの兵士だったのだ。

兵たちを倒したからには、村は帝国軍に襲撃されることは必至。

村をなんとしても帝国軍から守らなければならない。

コラは農民のガンナーとともに、村を守ってくれる戦士たちをスカウトすべく、銀河へと旅立つ。

いくつもの星々を旅し、一人、また一人と戦闘能力の高い仲間を増やしていくコラとガンナー。

しかし、帝国も黙ってはいない。ノーブル提督がコラたちに迫る。スカウト仲間と思っていた一人の男の裏切りが、コラたちを絶体絶命の窮地へとおとしいれる。

はたしてコラと戦士たちは帝国との戦いをくぐり抜け、故郷へ辿りつくことはできるのか?

といった1話目ストーリーです。



『REBEL MOON パート1 炎の子』直球感想

まだ前半ということで、全体感想は伝えられません。今回は気づいたこと、感じたことを素直に書いてみます。

まず思ったのは、この映画は、観客の層・世代を選んで作られたのではないか?ということ。

たぶんターゲットは10代〜20代。

映画のストーリーの核となっている「架空の銀河で1人の主人公が共に戦う仲間を集めてゆく」という設定は、ゲームや投稿サイトにありがちなオーソドックスなテーマです。

『REBEL MOON パート1 炎の子』の主題は、登場人物それぞれが違った特技を持ち、一つの目的を掲げ、仲間たちと力を合わせて強大な敵を倒す…というものです。(たぶんね)

それは、若い人々が未来に立ち向かってゆく時に、心の強いよりどころとする、いわば世界共通の「神話」です。

残念ながら、社会の荒波に揉まれたり飲み込まれ、嫌な世界を見知ってしまった世代には、距離をおいてしまう「寓話」でもあります。

そういう意味で、ザック・スナイダー監督は、若い層に向けてこのドラマを作ったのでは?と、ぼく捉えました。



監督自身が公言する『七人の侍』へのラブって?

また、監督は黒澤明『七人の侍』へのリスペクトも公表してしています。確かに7人が辺境の村を守るという設定は一緒ですが、あくまで基本設定だけをマネた…という感じ。

黒澤監督の『七人の侍』は、ナンデモアリの架空世界ではなく、「過去ではあるけれど、リアル感溢れる田舎の農村」に設定しています。

また『七人の侍』の登場人物たちは確かに一芸はそこそこ秀でているけれど、決して超人的ではありません。ヒロイックな匂いはほとんどない、いわば食い詰めた普通の侍たちで、英雄群像劇ではないとぼくは考えています。

一方『REBEL MOON』は英雄たちの活躍する映画かな…と感じています。(まだストーリー半分。筋がよく見えてないけど)

そういう意味で、英雄群像を匂わしている『REBEL MOON パート1 炎の子』と食い詰め侍の戦う『七人の侍』は、根本的に違うタイプの映画です。

なので、あまり『七人の侍』を意識しない方がよいです。(まだ前半だけの感想ですので、後半を見て書き直す可能性もあります。悪しからず)でないと、肩透かしくらいます。



『七人の侍』リスペクトの意味

ザック・スナイダー監督の映像センスは独特です。監督の『300』に至っては何度も繰り返し観たくらい好きです。

好きだから擁護するわけではないけれど、彼の『七人の侍』へのリスペクト宣言は、『七人の侍』に個人的には敬意を表し、仕事としては、あらすじエッセンスだけをすくいとった、という意味にとらえています。



ハリウッドSFクリエイターを夢見る若者へ〜以下辛口です

『スターウォーズ』へのラブ炸裂…だけど…

『スターウォーズ』ラブについてもザック・スナイダー監督は取材クリップで公言しています。

「11歳の時に観たスターウォーズ・エピソード4に衝撃を受け、REBEL MOONの酒場シーンの真似はスターウォーズへのリスペクトだ」と言ったような内容だったと思います。

そのインタビューを聞かなくとも、『REBEL MOON パート1 炎の子』では、『スターウォーズ』を彷彿とさせるシーンがそこかしこに見えていました。

それがぼくには逆に興醒めでした。(ちなみにぼくがスターウォーズ・エピソード4に感動したのは15歳の時です。天地がひっくり返りました。)

いえ、スターウォーズに限ったことではなく、『REBEL MOON パート1 炎の子』のどのシーンもほぼ「どっかで見たことがあるな…」なのです。

いくつかのシーンを観た次の瞬間、「あ、スピーダーバイクへのリスペクトか」とピンときたり、「グラディエーターのラストシーン、美しいもんな」と感じてしまったり、「エイリアン2が好きなんだな」と思ったり「マッドマックス怒りのデスロードは確かに傑作だった」といらぬことを思い出してしまったり。。。全体通してそんな感じでした。

簡単にいっちゃうと、新鮮さが、皆無。



架空世界を支える土台に必要なのは、オリジナリティ

そんなわけで、様々な過去映画のアイテム焼き直し感が強すぎて、ぼくは『REBEL MOON パート1 炎の子』にのめり込むことができませんでした。

単刀直入に言っちゃいます。

全編通して、オリジナリティがほぼ感じられない。

「強大な敵に立ち向かう少数の良きもの達」という定番ストーリーで新世界を作ろうとするならば、過去の映画を思い出させることのない強いオリジナリティが必要だったはず。

そのオリジナリティがこれっぽっちも見つけることができなかった。そんな残念モードで『REBEL MOON パート1 炎の子』は終わってしまいました。

SF映画の美術デザインには何が必要なのか?

ここで「美術デザイン」への感想を書いておきます。

SF映画では「美術デザイン」が絶大に大事な仕事になってきます。

観客が見たこともない世界を捻り出すのが「美術デザイン」の仕事です。

銀河の端っこの辺境惑星に暮らす人々の暮らしをどう描くか?

冒頭の辺境惑星のセットデザインを見た瞬間、「え?こんな建物?でいいの?辺境感、感じないよ….」が、ぼくの直球感想でした。

はっきり言って、綺麗なCGですが感動が全然、ない。

主人公達の村の農家セットデザインをはじめ、訪ねる星々の町のデザイン、そして宇宙船が停泊する港デザインにも、目新しさや魅力を感じなかったのです。

今やSF映画の主流はVFXです。なんでも椅子に座ったままモニターの中で作れてしまいます。

架空の世界や、誰も見たことのない、誰も知らない世界を構築するクリエイティブって、とっても難しい産みの苦しみだと思います。

映画を見ていて、オリジナリティのある映像を目の当たりにした時、そんな映画を観終わった後は「デザイナーの産みの苦しみ、大変だったろうな、、、」って思います。

しかし、『REBEL MOON パート1 炎の子』では、残念ながらそのデザイナーの産みの苦しみが伝わってきませんでした。

開拓者たちが暮らす家のデザインを例にとるならば、どこかヨーロッパの田舎にある建築を3つくらい足して、3で割ったような、そんなイメージでしかありません。

『REBEL MOON パート1 炎の子』の美術からは、ほぼ「ネットで情報収集したものをこねて生み出された感じ」が否めませんでした。

決して「新鮮」とは言い難かった。

しかしそう感じたことは、逆に、若いデジタルクリエイターへの大切なメッセージにもなりえます。

ここで問いかけを一つ。

「新鮮さとは何なのでしょう?」

それは、「過去見たことのない物事に出会った時にハートがオープンになる状態」ではないでしょうか。

フレッシュなSF映画=架空世界を作り上げることに関わるデザイナーに大切なファクターは、「現実世界での新たな発見、驚き、疑問という表現のタネを見つけること。そしてその種を発芽させフィードバックすること」と僕は考えます。

新鮮な発見のタネを仕入れることができたなら、クリエイターにとってコンピューターはタネの芽を伸ばす最強ツールになるのです。

先にも言いましたが、この映画のVFXシーンには感動がまったくありませんでした。が、逆にモノづくりに携わるものとして、そんな「学び」をもらえたのです。…反面教師みたいなものかも。



『REBEL MOON パート1 炎の子』評価は?

かなり辛口の感想を書きましたが、『REBEL MOON パート1 炎の子』はまだ物語の前半戦ですので、現時点で評価は避けます。ただ、前半を観た正直感想としては、ぼくは最後まで見るのがしんどかった…。

パート2でガラッと変わることもありえますから。パート2を観た時「なるほど、こうきたか!」とニヤッとできるといいなあ。

後半を楽しみにしています。



『REBEL MOON パート1 炎の子』キャスト・配役

キャスト・配役はWikipediaから一部改稿転載します。

コラ 演 – ソフィア・ブテラ、日本語吹替 – 沢城みゆき[4]

主人公。インペリウムと戦うべく銀河中から戦士を集めるインペリウムの元メンバー。

タイタス将軍 演 – ジャイモン・フンスー、日本語吹替 – 立木文彦[4]

インペリウムの元将軍。コラにスカウトされる

カイ 演 – チャーリー・ハナム、日本語吹替 – 杉田智和[4]

宇宙船のパイロット。コラがスカウト。

ガンナー 演 – ミキール・ハースマン、日本語吹替 – 小林親弘[4]

農民。コラの友人。コラの戦士スカウトに同行。

タラク 演 – スタズ・ネアー、日本語吹替 – 武内駿輔[4]

巨大鳥と意思の疎通ができる。コラがスカウト。

ネメシス 演 – ペ・ドゥナ、日本語吹替 – 竹内絢子[4]

女性剣士。コラがスカウト。

ダリアン・ブラッドアックス 演 – レイ・フィッシャー、日本語吹替 – 諏訪部順一[4]

革命反乱軍の戦士。コラがスカウト。

デヴラ・ブラッドアックス 演 – クレオパトラ・コールマン

ダリアンの妹。

ハルマーダ 演 – ジェナ・マローン

クモの形をした異星人。ネメシスが戦う。

ミリアス 演 – E・ダッフィー

ダリアンの部下。若い戦士。

ジミー 声 – アンソニー・ホプキンス、日本語吹替 – 池水通洋[4]

倒れた王の下に仕えていたロボット騎士。

シンドリ 演 – コリー・ストール

辺境の植民地村長。

アッティカス・ノーブル提督 演 – エド・スクライン、日本語吹替 – 神谷浩史[5]

バリサリウスの右腕。マザーワールドの高位の執行官であり帝国軍の指導者。

リージェント・バリサリウス 演 – フラ・フィー

マザーワールドの暴君支配者。インペリウムの高位メンバー。




『REBEL MOON パート1 炎の子』配信先は?

Netflixです








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