『今日子と修一の場合』ネタバレ~あらすじ感想考察評価|安藤サクラ×柄本佑主演映画

シリアス・問題提起

『今日子と修一の場合』は、静けさと生々しさが独特のダブルストーリーものです。

実生活では結婚して夫婦となった安藤サクラと柄本佑が主演です。監督は俳優・映画監督の奥田瑛二。安藤サクラの父です。…ということは柄本佑の義理父になりますね。

東日本大震災が舞台背景ではあるけれど、被災地で話が進む震災映画ではありません。

一見静かな演出のこの映画に、東日本大震災を体験した僕は何を思ったか?そんなことも感想に絡めながらレビューしてみます。





『今日子と修一の場合』を観たきっかけは?

ぼくが『今日子と修一の場合』を観たきっかけは、シンプルでした。今、個人的イチオシ女優、安藤サクラが出ているからです。

初めて安藤サクラ出演作品を観たのは『万引き家族』。その後、『100円の恋』を観て、その演技に脳天割られるほどノックアウト。この映画は3本目のサクラ出演映画でした。

主役の2人のバックボーンが東北・宮城という設定ということも、映画を見ようと思ったきっかけでした。

その出身が、ドラマの深いところでじわじわっと2人の行動に絡んできます。




『今日子と修一の場合』あらすじは?

以下、あらすじです。

父殺しの過去を負う秀一(柄本佑)は服役後、保護観察のもと、とある町工場で仕事に就く。

町工場の社長は、秀一の他にも少年院上りの若者たちを引き受けている。

町工場でともに働く女性との淡い交流、そして少年院上りの若者たちとの罪への確執が静かに進む。

同時に他の町で別の人間関係がすすむ。

訳ありで田舎から上京した、今日子(安藤サクラ)のドラマだ。

暮らしのためにある男のもとに転がり込んだ今日子は、地震発生のはずみで刺し、死に至らせてしまう。

2人の故郷は宮城の海辺。津波で流されてしまった町だ。

育った町が消え、心に傷を抱えた2人。帰るに帰れない日々の日常が描かれる。

接点が全くない2人の、2つの物語。

その二つのストーリーが、それぞれに進んでいきます。




『今日子と修一の場合』感想です。ネタバレあり

震災がぶつけた人間関係

『今日子と修一の場合』を観終わって湧き上がってきた感想は、以下です。

「震災をリアルに経験している人間が観るのと、そうでない人では、感じかたが変わってくる映画じゃないかな

ぼくの観劇後の感想はそれでした。

震災を体験した人は、当時さまざまな人間関係を、良きにつけ悪しきにつけ、ぶつけられました。ぼくもです。震災のみならず被災経験のある人はわかると思います。

(震災をキーワードにつくられ、別記事で試写会レビューしている映画「最後の乗客」でもそのことに触れています)

そんなみたくもない人間関係は、震災が起こらなかったら経験せずにすんだことかもしれません。

経験したくなくとも突きつけられる体験が、人を変えていく…。そんな現実『今日子と修一の場合』は見せつけます。



描き出される普通さと静けさ

『今日子と修一の場合』でぼくがたまらなく「いいな」と思ったシーンがあります。

一つは、食堂にはいって、ラーメンを注文して啜るシーン。

秀一と町工場の社長が、「普通のラーメン屋」に入り、ラーメンを啜ります。

そんな、なんてことなさすぎのシーンです。

なんだけど、ググググーっと引き込まれてしまった自分に、もう一人の自分が驚いてました。

「当たり前すぎる普通さ」って、実は当たり前じゃなく奇跡のようなものなんだとも、感じていました。

『今日子と修一の場合』は全体通して、主役の2人の、激しくも静かな演技とシーンが連なってゆきます。

さらには「殺人」という重いキーワードが主役たちにずしっと乗っているのですが、物語の日常の描写が至って静かです。

その起伏は監督の「当たり前は当たり前じゃない」という思いの現れなのかな、と、感じていました。

映画では、静けさの中に響く「生活音」にも演技をさせています。

その静けさをちょっとした音が際立てて独特のトーンを生み出しています。




『今日子と修一の場合』の二人の主人公の人生を変えたのは、大地震と津波という自然災害がもたらす死と破滅でした。

「人の命を突然消し去る」という意味においては、主人公たちが奪ってしまった命と、自然災害による大勢の人の無慈悲な死は、悲しいかな同列です。

『今日子と修一の場合』は、決してハッピーエンドで大団円はない映画ですし、2人のストーリーは絡み合うことがありません。

けれどもぼくは絡み合わなかったことに、より深い余韻をもらいました。

東日本大震災で、否、デザスターで意味わからんうちに死の影を背負った、大勢の人たちがいます。

『今日子と修一の場合』は、そんな人々の再生への道筋を、2人に重ねて描いているように思いました。




『今日子と修一の場合』安藤サクラのこと

安藤サクラ、やっぱりすごい、と思っていたら、コマーシャルに出たり、テレビ連作に出演してたり(あまりテレビ観ないので、気がつかなかっただけか)引っ張りだこです。

でも、でも、わかるなあ。

はるかはるか昔、桃井かおりがスクリーンに登場して一世風靡した時に「なんなんだ、このひとは!」と思った時に似てます。(古くてすいません)

外国の俳優に例えるなら、ロバート・デ・ニーロやダスティン・ホフマンみたいな印象かもしれません。

次は安藤サクラの何を観ようかと思ってしまう。

これからどんどん出演してくれるんだろうな。とても楽しみです。




『今日子と修一の場合』ぼくの評価は?

独特のクセがある『今日子と修一の場合』、はたしてぼくが20代とか30代という若い頃に観たら、心に響いたんだろうか??…正直、自信ないです。

年齢層、観る人が育った「地域」でも、受け取り方が全く異なる映画じゃないか?と、感じました。ぼくの評価は三つ星半です。

奥田瑛二監督を調べてみたら、『長い散歩』という映画でモントリオール世界映画祭グランプリを撮っているんですね。

奥田瑛二が監督した他の作品も観てみようと思いました。

また、当サイトで被災地宮城出身の監督が撮った、震災テーマの映画『最後の乗客』を別記事でレビューしています。良かったらどうぞ。




『今日子と修一の場合』配信先

『今日子と修一の場合』は以下サービスで配信されています。

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