『タワーリング・インフェルノ』ネタバレ感想・あらすじ|実話?生き残るのは誰?50年経っても色褪せない理由

アドベンチャー

映画『タワーリング・インフェルノ』(1974)ネタバレあらすじ・ラスト結末・感想評価レビュー。

こんにちは。映画好き画家のタクです。

今回取り上げるのは、1970年代パニック映画の金字塔『タワーリング・インフェルノ』。

そして、ぼくにとってこの映画は、ただの「昔の名作」ではありません。

映画というものの面白さを教えてくれた、いわば「恩師」のような一本です。



日本で公開された1975年、ぼくは12歳、中学一年生。

当時住んでいた岩手の小さな町では、話題作がやってくるのはロードショー公開から半年ほど後のことでした。

でも、『タワーリング・インフェルノ』だけは待てなかった。

どうしても観たくて、75キロほど離れた県庁所在地まで電車に乗って観に行ったのです。

超高層ビルが燃える。

スティーブ・マックイーンとポール・ニューマンがいる。

炎が迫る。人が逃げる。どうなる?どうなる??

12歳の少年は、スクリーンに完全に飲み込まれました。

それから48年後の2023年。

ぼくは久しぶりにこの映画を観直しました。

すると不思議なもので、昔は見えていなかったものが、いろいろ見えてきたんですね。

フレッド・アステアのちょっとした仕草の美しさ。

スティーブ・マックイーンの疲れ切った顔。

ポール・ニューマンとの絶妙な距離感。

そして、災害の原因を作るのは炎そのものではなく、人間の欲や慢心なのだということ。

半世紀近く経って観ても、やっぱり面白い。

いや、歳を重ねたからこそ面白いところもある。

そんな『タワーリング・インフェルノ』を、ネタバレありで振り返ってみます。

※以下、物語のラストまで触れています。未見の方はご注意ください。

『タワーリング・インフェルノ』作品情報・キャスト

原題:The Towering Inferno
1974年/アメリカ映画
日本公開:1975年
上映時間:約165分
監督:ジョン・ギラーミン
製作:アーウィン・アレン
脚本:スターリング・シリファント
音楽:ジョン・ウィリアムズ

主なキャスト

ダグ・ロバーツ(建築家):ポール・ニューマン
マイケル・オハラハン(消防隊長):スティーブ・マックイーン
ジム・ダンカン:ウィリアム・ホールデン
スーザン・フランクリン:フェイ・ダナウェイ
ハーリー・クレイボーン:フレッド・アステア
リゾレット・ミューラー:ジェニファー・ジョーンズ
ロジャー・シモンズ:リチャード・チェンバレン
ハリー・ジャーニガン:O・J・シンプソン
ゲイリー・パーカー上院議員:ロバート・ヴォーン

いやあ、あらためて並べてみると、すごいメンバーです。

昭和の映画少年だったぼくらからすれば、まさに超絶・絢爛豪華オールスターズ。

しかも単なるスターの顔見せ映画ではないところが、『タワーリング・インフェルノ』の強さでもあります。

『タワーリング・インフェルノ』あらすじ|138階建て超高層ビルを炎が襲う

舞台はサンフランシスコ。

138階建ての超高層ビル「グラス・タワー」が完成し、その最上階では華やかな竣工パーティーが開かれようとしていました。

ビルを設計した建築家ダグ・ロバーツ(ポール・ニューマン)も出席します。

ところが、ビル内部の電気系統に異常が発生。

建設費を抑えるために、本来の設計より品質の低い部品が使われていたのです。

小さな火災は、やがて手のつけられない炎へ。

しかし最上階では、火災の危険を十分に知らされないままパーティーが続けられます。

駆けつけたのが消防隊長マイケル・オハラハン(スティーブ・マックイーン)。

火災発生場所は、はしご車など到底届かない高層階。

炎は階を追うごとに勢いを増し、逃げ道を次々と奪っていきます。

最上階に取り残された人々を、どうやって地上へ逃がすのか。

建築家ダグと消防隊長オハラハンは、それぞれの知識と経験を使いながら炎に立ち向かっていきます。



ラスト結末をネタバレ|最後の消火方法とは?

後半は、最上階に閉じ込められた人々をどう救出するかが大きな見どころになります。

ビルと別の建物の間に救助用のゴンドラを渡す。

外部エレベーターを使う。

ヘリコプターを使う。

次々と救出方法を試みますが、炎と爆発によってことごとく妨げられていきます。

そして、ついに打つ手がなくなったかと思われたとき、ダグが気づきます。

最上階のさらに上にある巨大な給水タンクを爆破し、その大量の水を一気に落とせばいい。

もちろん、そんなことをすればパーティー会場そのものも激流に襲われます。

客たちはロープで身体を固定。

オハラハンとダグが爆薬を仕掛けます。

そして爆破。

天井から猛烈な水が押し寄せ、炎も人も家具も、何もかもを飲み込んでいく。

かなり強引。

でも、この力技がいいんですよ(笑)。

CGではなく、大量の水と炎を実際に使って撮影していた時代ならではの迫力があります。

やがて火災は鎮火。

生き残ったダグとオハラハンが、焼けただれた超高層ビルを見上げます。

そしてオハラハンは、建築家であるダグに、今度こういう建物を造るときには消防側にも相談しろ、と釘を刺します。

大惨事のあとに交わされる、プロフェッショナル同士の短い会話。

派手な映画ですが、ラストは意外なほど静かです。

『タワーリング・インフェルノ』は実話?

超高層ビル火災という題材だけに、「実際にあった火災を映画化したの?」と思う方もいるかもしれません。

結論からいうと、『タワーリング・インフェルノ』は実話ではありません。

原作になったのは、リチャード・マーティン・スターンの小説『The Tower』と、トーマス・N・スコーシア&フランク・M・ロビンソンの『The Glass Inferno』。

当時、それぞれ別々に映画化が進められていた高層ビル火災ものを一本の大作映画としてまとめた、という珍しい成り立ちを持っています。

つまり、あの「グラス・タワー」も架空の建物です。

でも公開当時12歳だったぼくは、そんなこと知りません。

スクリーンにそびえる巨大なビルを見ながら、

「これ、本当にビルを造って燃やしたんじゃないか? アメリカって、やることスゲーなあ……」

と、本気も本気で思っていました(笑)。

もちろん実際の撮影では巨大なミニチュアやセット、合成などが使われています。

現在の高解像度モニターで観れば「あ、ここは合成だな」と分かる場面もあります。

でも、当時の映画館の巨大スクリーンでは、そんなことはどうでもよかった。

ぼくの目の前には、本当に燃える超高層ビルが建っていました。



『タワーリング・インフェルノ』生き残るのは誰?

ここは完全なネタバレです。

主人公の建築家ダグと消防隊長オハラハンは、ともに生還します。

ビルのオーナーであるジム・ダンカン、保安主任ジャーニガン、フレッド・アステア演じるハーリー・クレイボーンも生き残ります。

一方、ハーリーが心を寄せるリゾレットは、子どもたちを救おうとする中で命を落とします。

ここが切ない。

ハーリーは最初、ちょっと胡散臭い男として登場するのですが、物語が進むほど人間味が見えてくる。

だからこそ、リゾレットとの結末が胸に残ります。

また、手抜き工事の原因を作ったロジャー・シモンズは、救助用ゴンドラへ我先にと乗り込もうとした末に転落死。

このあたりはいかにも1970年代映画らしい因果応報です。



豪華キャスト!ぼくにとって「あの映画」の「あの」だった

『タワーリング・インフェルノ』の魅力を語るなら、やっぱりキャストは外せません。

消防隊長にスティーブ・マックイーン。

建築家にポール・ニューマン。

フェイ・ダナウェイ、ウィリアム・ホールデン、ロバート・ヴォーン、ジェニファー・ジョーンズ、リチャード・チェンバレン、フレッド・アステア……。

ぼくはこの映画から、たくさんの俳優を知りました。

たとえば、のちにサム・ペキンパー監督の『ワイルドバンチ』を観てウィリアム・ホールデンと再会したとき、

「ああ、『タワーリング・インフェルノ』の人だ」

となった。

ロバート・ヴォーンしかり、フレッド・アステアしかり。

ぼくにとって『タワーリング・インフェルノ』は「あの映画に出ていた」の「あの」なのです。

映画を観ると、そこから一本の枝が伸びる。

その俳優の別の作品を観ると、またそこから枝が伸びる。

そうやって映画の世界はどんどん広がっていきました。

今にして思えば、この映画はぼくのムービーライフの巨大な「道しるべ」だったのかもしれません。



フレッド・アステアがすごい|渋さを通り越してワビサビの世界

今回、歳を重ねてから再見して、いちばん驚いたのはフレッド・アステアでした。

12歳のぼくには、正直言って、

「なんだか痩せっぽちのおじいさんだな」

くらいにしか見えていませんでした(汗)。

そりゃそうです。中学一年生ですから。

ところが今観ると、すごい。

登場するときの歩き方。

手の動かし方。

スーツを着るちょっとした仕草。

台詞と台詞の「間」。

何をやっても、さりげない。

なのに、目が行ってしまう。

長い間ショービジネスの第一線を歩いてきた人だけが身につけられる身体表現なのでしょう。

マックイーンやニューマンの演技ももちろん渋カッコいい。

でも、アステアは「渋い」を通り越しています。

もはやワビサビの世界。

神わざですよ。

フレッド・アステアは本作でアカデミー助演男優賞にノミネートされています。

受賞こそ逃しましたが、あらためて観れば納得の存在感。

ぼくは再見後、たまらずアステア主演の『バンド・ワゴン』を探して観てしまいました。

一本の映画が、約50年後になって別の映画へ連れていってくれる。

映画って面白いものです。



ポール・ニューマンとスティーブ・マックイーン|二人のスターがぶつからない

そしてもちろん、この二人。

ポール・ニューマンとスティーブ・マックイーン。

1960〜70年代ハリウッドを代表する大スター二人を、一本の映画で主役に据えてしまった。

今なら誰と誰だろう。

トム・クルーズとレオナルド・ディカプリオ?

……違うかな。でもまあ、それくらい(笑)。

面白いのは、二人のスター性がケンカしていないことです。

ニューマン演じるダグは、ビルを造った側の人間。

マックイーン演じるオハラハンは、そこで起きた火災を消す側の人間。

立場は違います。

だからといって、安っぽい対立ドラマにはしない。

互いに「こいつはプロだ」と分かると、余計なことを言わず協力する。

これがカッコいい。

特にスティーブ・マックイーン。

あの「クシャっ」とした顔が、ヨイです。

消火活動がうまくいかず、疲労困憊して座り込む。

煤と汗で汚れた顔。

ヒーローなのに、きれいじゃない。

そこがいい。

久しぶりに観ても、ぞくっとしました。

この消防隊長役は、やっぱりマックイーンでなければ成立しなかったように思います。



音楽はジョン・ウィリアムズ|主題歌もアカデミー賞受賞

『ジョーズ』『スター・ウォーズ』『未知との遭遇』『スーパーマン』『インディ・ジョーンズ』。

これらに共通する人物といえば、映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズ。

『タワーリング・インフェルノ』の音楽もジョン・ウィリアムズです。

ただ、今回あらためて観て思ったのは、音楽が意外なほど前に出てこないこと。

でも、ぼくはこれ、いいことだと思うんですよね。

映画音楽は、物語があってこその音楽。

「あれ? そういえば音楽流れていたっけ?」

くらい自然に映画の中へ溶け込んでいる。

それも映画音楽の一つの理想じゃないかなと思います。

そして、パーティー会場で歌われる「We May Never Love Like This Again」。

歌うのはモウリーン・マクガバン。

この曲はアカデミー歌曲賞を受賞しました。

ぼくの本棚を探したら、当時のドーナツ盤が出てきたんです。

映画の劇中歌がシングル盤になり、映画と一緒に街へ流れていく。

そんな時代だったんですね。



50年経っても色褪せない理由|災害を起こすのは「人間」だった

『タワーリング・インフェルノ』は約3時間の長い映画です。

今の映画のテンポに慣れた目で観れば、少々長い。

中だるみを感じるところもあります。

VFX全盛の現在から見れば、ミニチュアや光学合成だと分かる場面もある。

炎や水のスケール感に「あれ?」と思うところもあります。

それでも、半世紀を超えてこの映画が残っているのはなぜか。

今回あらためて観て、ぼくは一つ気づきました。

この映画で本当に怖いのは「火」ではない。

火災の原因を作ったのは、人間です。

建築費を削る。

安全より利益を優先する。

異常が起きてもパーティーを中止しない。

危機が迫れば我先に逃げようとする。

そして、そのツケを払わされるのは、何も知らない人々と、命をかけて救助する消防士たちです。

だからこれは単なる「ビル火災映画」ではないんですね。

人間が作った巨大な文明と、人間自身の慢心を描いた映画でもある。

ここは50年経っても、まったく古びていません。



映画の面白さを教えてくれた、ぼくの「恩師」

1975年。

12歳だったぼくは、どうしてもこの映画が観たくて電車に乗りました。

75キロ離れた街へ。

今なら75キロなんて、それほど大した距離には感じないかもしれません。

でも中学一年生のぼくには、小さな旅でした。

映画を観るために、自分の住む町を離れる。

電車に乗る。

知らない街へ行く。

映画館の暗闇へ入る。

そしてスクリーンの向こう側に、見たこともない世界が待っている。

考えてみれば、ぼくの「旅好き」と「映画好き」は、案外このあたりでつながっていたのかもしれません。

映画は、自分の知らない場所へ連れていってくれる。

旅もまた、自分の知らない世界へ連れていってくれる。

そして絵も同じなのかもしれません。

半世紀近く経って『タワーリング・インフェルノ』を観直して、そんなことまで考えてしまいました。

昔は炎とアクションに夢中だった。

今はアステアの手の動きに目が行く。

昔は「すげえ!」と思った。

今は、その映画を作った人たちの技術や、人間を描く眼差しに感心する。

映画は変わっていません。

変わったのは、観ているぼくの方です。

だから映画というものは面白い。

同じ一本を何十年か後に観ると、違う映画になって帰ってくる。

いや。

違う映画になったのではなく、そこに映っていたものを、ようやくこちらが見つけられるようになったのかもしれません。



『タワーリング・インフェルノ』感想評価まとめ

現代の目で見れば、古さはあります。

長いです。

特撮にも時代を感じます。

それでも、ポール・ニューマンとスティーブ・マックイーンという二大スターの存在感、フレッド・アステアの粋、炎と水を実際に使った撮影の迫力、そして災害の向こう側にある人間の欲と勇気。

『タワーリング・インフェルノ』は、今観ても十分に面白い。

そして、ぼく個人にとっては、それ以上の映画です。

「映画って、こんなに面白いんだ」

そう教えてくれた一本。

映画を観て、別の俳優を知り、そこからまた別の映画へ行く。

その長い長い映画人生への入口に、この燃え盛る超高層ビルが立っていました。

だから、ぼくにとっては今さら点数なんてつけられない映画です。

……と言いながら、12歳の映画少年だった自分に採点させるなら。

もちろん、星五つ。★★★★★

半世紀経っても変わりません。

あらためて、スペシャルサンクス!な映画でした。


映画『タワーリング・インフェルノ』(1974)
パニック映画/災害映画/人間ドラマ
タク評価:★★★★★









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