『七人の侍』何がすごい?菊千代たちを何度も見るワケ〜ネタバレあらすじ解説感想レビュー

戦争・歴史・時代

『七人の侍』は何がすごいのか?
ネタバレあらすじ感想レビュー

『七人の侍』を見ました。もう何度目だろう?と思いつつの黒澤明監督の名作「セブンサムライ」です。

世界にアクション映画は星の数ほどありますけど、『七人の侍」ほど評価を得て、そして国境をこえて後進監督に影響を与えている映画は、他にあまりないでしょう。

ですから、今さらレビュー書いたところで、なんの役にも立たないことはわかってます。

それでも書くって、どういうこと?と言われそうですが、あえて今回、書きます。

文にすることで、『ぼくはなぜ『七人の侍』を何度も見て、見るたびに感動するのか?』がわかる気がするんです。

なので、ぶっちゃけ、あんまり参考になるレビューじゃないと思います。

が、ここまで読んだあなたに向けて、あえて書いてみます。

最初に言っておきます。「ここまででも、読んでくれて、本当にありがとうございます!」

(本記事は」ネタバレを多く含みますので、自己責任でお読みください)

『七人の侍』あらすじは?(ネタバレあり)

最初にあらすじを、短く書いておきますね。一部ネタバレありますので、『七人の侍』をこれから見る方はスルーしてください。

舞台は戦国時代のいつか、どこかで。

貧しい村の農民たちが、野盗となった野武士から村を守るため、有り金を集めて侍を雇うことにした。

農民たちは最初に島田勘兵衛(志村喬)事情を話す。引き受けた勘兵衛は七人の選り抜きの浪人をスカウトしていく。

七人の侍たちは、農民たちの暮らす村に防護柵を作り、農民たちにも戦い方を教え、そして野武士の到来を待つ。

野武士たちがやってきた。彼らは要塞と化した村に襲いかかってくる。

侍と農民たちは戦術を練り、襲いくる野武士を1人また1人と倒してゆく。果たして侍たちは村を守り切ることができるのか??

…というストーリーです。

配役とキャラ

ここで、配役を一通りまとめておきましょう。だって、七人もいますから。この記事書いていく中で、役名、さらにはキャラをおさらいしておきたいので。(カッコ内は役者名です)

・島田勘兵衛(志村喬)/七人のカシラ。沈着冷静。戦略家。

・菊千代(三船敏郎)/過去は百姓。破天荒。正直者。無茶。

・片山五郎兵衛(稲葉義男)/官兵衛の参謀。

・七郎次(加東大介)/官兵衛のかつての戦友。

・林田平八(千秋実)/薪割りの達人。人が良い。気さく。

・久蔵(宮口精二)/凄腕。ひたすら無口。ひたすら強い。

・岡本勝四郎(木村功)/官兵衛押しかけ弟子。久蔵を慕う。ピュア。


『七人の侍』はホントにすごいのか?

先にも書きましたが、『七人の侍』をケナすなんて「映画評論家」ならできるハズがありませんけど、ぼくは評論家じゃない。なので素直に書いていきます。

はたして『七人の侍』はそんなに歴史に残るほどの傑作なのでしょうか?

1952年制作と昔の映画ですから、キラキラの今の色彩と音に慣れてしまったワカモノが見たらどう思うんだろう?

いままで口にしたことはなかったけど、ワカモノではないけど、ぶっちゃけ言います。

何言ってるかセリフがわからないよ…

音声が、モニャモニャと何言ってるんだかわからない。

これ、今まで『七人の侍』を何度も見てきましたが、見るたびに

「聞こえね〜!何ってセリフを言ってんだ〜!」

ってイラつくんです。

日本映画なんだけど、字幕が欲しい!

もちろん1950年代の録音技術では限界だったと思うんです。

でもね、志村喬のセリフはしっかり聞き取れるんだけど、他の役者のセリフはホント聞き取りにくい!

なので思うんですよ。「字幕をつけてほしい!」って。

いま、日本人で『七人の侍』の全セリフを聞き取れる人っているのかなあ?

外国の映画監督が『七人の侍、ラブです』ってよく言うけど、それって彼らは「字幕で見てる」からってのもあるんじゃないか、と思ったりするわけですよ。

そのうえ、どうやら黒澤監督のこだわりでもあるらしいんですね。

どういうことかと言うと、その昔の農民の喋っている事は、聞き取りにくかったはずだ。だからあえての聞き取りにくさなんだ、というこだわりだった、といいます。

リアリティーを求める黒澤監督ならではの言葉です。

そんなところに「字幕が欲しい」なんてこと言えば、

「七人の侍に日本語字幕をつけるだと!?なにごとだ!キサマはそれでも日本人か!?映画好きか!」と、どつかれそう…..。

映画ファン、、、怖いし….。

ぼくだって確かに映画ファンですが、あくまでケシツブ、映画好き集まる銀河の端っこにぶら下がってる星くずくらいなもんです。

なんつーか、筋金入った映画ファンって、怖いです。

だから、いままで言わなかったけど、今回見てやっぱり半分くらいは聞き取れなかったので、思い切って書きました。

お願いです。日本語字幕版、作ってください。

だって、『七人の侍』って、すごいことには、セリフが聞き取れなくたってアクビなんて全然出ないんだもの。グイグイ引っ張られて、面白いんだもの!

もしも、セリフがぜんぶ聞き取れたなら、どんなに幸せな気持ちになれるんだろう。。。

死ぬまでに、一度でいいから、字幕版の七人の侍を見たいなあ。

字幕で見てるはずの外国人が、超うらやましい。

字幕版見れたら死んでもいい…と本気で思いますよ。セリフ聞き取れなくてもグイグイ引き込まれてしまう、そんなすんごい映画が『七人の侍』なのです。


モノクロってどうよ?

ご存知の通り、七人の侍は白黒映画です。

白黒映画にあってカラー映画にないものはなんでしょう?

それは、見る人のイマジネーションの刺激です。脳の活性化といってもいいかもしれません。

例えば、七人の侍で侍たちが来ている着物があります。

それらは全て当然、白黒で表現されていますが、見ている人は勝手に色を想像してるんですよね。

色に溢れかえっている世の中で、あえて白黒映画を見るメリットだと僕は思っています。

有名なクライマックスの侍たちの戦いのシーンは、泥にまみれた男たちが、スクリーンを縦横無尽に駆け巡ります。

モノクロだからこそ、シーンに見る人の脳内細胞がさらに脚色して、画をより素晴らしいものに見せているのように思います。

燃え盛る炎も、カラー以上に熱と怖さを感じるのは僕だけじゃないと思います。

白黒の持つパワーを存分に味わえる、七人の侍には見慣れたカラー映画にはないパワーが十二分に込められていますよ。


休憩入る長さって、飽きるんじゃないの?

七人の侍には休憩が入ります。4時間弱に及ぶ上映時間ですから、劇場で見るならば、当然トイレタイムが必要になってくるわけです。

「そんな長い時間の映画、どこかで飽きるんじゃないの?」って思われる方もいるでしょう。

この映画の凄いところは、間延びというものがほんとにありません。

気がつくと、「休憩」のテロップが画面に広がり、トイレに行ってるあいだに思うのは、

「ここから先の後半、どんな戦いとそしてアクションの醍醐味を見せてくれるんだろう?」

というワクワク感です。

飽きるなんてとんでもない。すべて必要なシーンばかりで、ご心配無用の映画が『七人の侍』です。

『七人の侍』はなんでマネされてるの?

西部劇『荒野の七人』が『七人の侍』オマージュ作品だというのは有名です。

オマージュと言うより、「まんま、西部劇におき変えた」と言ってもいいですね。

ストーリーはそのまんま七人の侍が西部劇になった映画です。もはや七人の侍ラブですね。

 

他にも『地獄の7人』『宇宙の7人』『アルマゲドン』は七人の侍の換骨脱胎ムービーと言って良いでしょう。

最近では、SF映画『レベルムーン』の監督ザックスナイダーは「レベルムーンは七人の侍のSF版だ」と公言しています。


『七人の侍』7つの「ココがすごい!」

では、なぜそんなにも『七人の侍』はマネされ、リスペクトされるんでしょうね?

ここからは、ぼくは『七人の侍』の何をすごい!と感じたのか?を書いて行ってみますね。

それが答えのひとつになるように思います。(ならないかな=汗)

+ + +

『七人の侍』のテーマを超シンプルにいうなら、「弱きを助け、強きをくじく」です。

(これ言ったらもう、身もフタもないですね。)

ストーリーは、侍集め→農民たちの戦士化→一致団結の激闘→仲間たちの死→そして敵の撃退=平和を勝ち取る…という筋だてです。

これって、普段の社会生活にも実はうっすらとあるんですよね。

部活だって、受験だって、会社組織だって、相手と戦いながらの世界ですから。

だから、『七人の侍』のストーリーが、日頃うっすらとした戦いの中に生きている僕らに響いてくるんだと思うのは、考えすぎでしょうか。

では次に、『七人の侍』の「何」がグイグイひっぱってくれるのか、を書いてみますね。7人にあやかって、無理矢理7つあげてみましょう。

ココがすごい1/侍集めのハウツーが見もの。
ココがすごい2/集められた侍のキャラの立ち方が七人七色。
ココがすごい3/侍が師となり弱きものたちに戦うワザを教える=弱き者たちの成長
ココがすごい4/押しかけ弟子・岡本勝四郎の成長、そして村の女性との恋。
ココがすごい5/主人公菊千代の、侍にも農民にも属さない(属せない)生き様
ココがすごい6/刀は切れなくなる・斬られ死ぬ時はただパタリ〜戦闘シーン超絶リアリティ
ココがすごい7/走る、走る、ひたすら走る!その戦場スピード感

以上がぼくのスゴイと思うところ7つです。本当はもっとなんぼでも上げたいんですが、無理やり7セレクトしてみました。

映画ってエンタメですよね。ハラハラワクワクドキドキシクシク、、、そんな、エンタメに必要な全てが、『七人の侍』にはぎゅっと入っているんですね。

では以上の7つについて、ひとつひとつ、どういうふうにすごい!と感じたか書いてみます。

ココがすごい1:侍集めのハウツー…においては、七人のカシラとなる島田勘兵衛(志村喬)が「ホンマモン」の侍を集めるために取る方法が、やってくるサムライの真髄を見抜くテストでしてね、これがニヤリとさせます。テンポの良さも手伝って名シーンだと思います。ジョージ・ロイ・ヒル監督の『スティング』でも仲間集めのシーンがありますが、どっか『七人の侍』を彷彿とさせます。多分ジョージ・ロイ・ヒル監督も少なからず影響を受けているんじゃないかな。
ココがすごい2:集められた侍のキャラクターが、皆、キマってます。強いヤツ、ひょうきんなヤツ、渋いヤツ、賢いヤツ、頼りになるヤツ、青いヤツ、そして無鉄砲なヤツ、、、と、ここまで読んで「あれ?なんだかアニメでよくあるバージョンじゃないか、ワンピースみたいな、、、」と感じるあなたは鋭いです。世のエンタメ冒険活劇の定番キャラを、ビシッと一番最初に作っちゃった映画でもあるんだと思います。
ココがすごい3:侍が村にやってきて最初にやるのは、いわゆる軍事教練です。農民たちに、「オマエら隠れてるんじゃないぞ、オレらと一緒に戦うんだぞ」と、サムライたち自らが師となり農民たちに戦うワザを教えるのです。この弱き者たちの成長が見どころの一つになるとともに、映画を見る方もじわじわと臨戦体制モードに入っていきます。
ココがすごい4:島田勘兵衛に惚れ込んだ若造サムライ岡本勝四郎(木村功)が、ことあるごとに感動し、感化されてゆく様は、死線を潜り抜けてきた他の侍たちとの対比、さらには、はちゃめちゃな菊千代(三船敏郎)との対比となってます。彼の存在があってこそ、物語に「戦いの怖さ、無情さ」を彫り込んでいくのです。そして勝四郎が村のオナゴに恋してしまうシークエンスもまた、泥沼の戦場、小さな村のどろどろした人間模様を浮き出させるための対比エピソードにもなっている、、、のです。ちなみに村の女子の色っぽさ表現もなんかナマメカシくて、イイですよ。
ココがすごい5:三船敏郎演じる菊千代のキャラの強烈さ、はちゃめちゃさは、他の映画の登場人物には類を見ない破天荒ぶりです。侍にも農民にも属せないアウトローな彼の生き様、そしてクライマックスの…う〜ん、ここからはネタバレなるので映画見たい方は絶対スルーしてね。   ….クライマックスの全然かっこよくない倒れ方。。。ホント、ただ倒れる。その絶命の仕方にぼくは猛烈にシビレますね。「ヒトの死って、そんなもんだよ、、、」という黒澤監督の意図が見て取れる名シーンだと思います。
ココがすごい6:野武士を1人また1人と倒していく戦闘シーンで僕がすごく好きなところが、「えっ?野武士の殺し方、そんなあっさりなの?」というところ。見得を切らない刀での斬り方、そして槍の刺し方です。ほんっと全然あっさり。倒れ方もあっさり。これ、絶対黒澤監督のあえてのこだわりだと思うんです。スピルバーグ監督が、『太陽の帝国』撮影時に日本人キャストにこう言ったそうです。「タマが当たって倒れる演技は、ただぱたっと倒れてください。大げさなアクションは要りません。」…僕は、スピルバーグは『七人の侍』から、リアリティへのヒントを得ていたんじゃないかな、、、と思っています。それと「切れなくなる刀」の表現もすごい。土盛りに刀を何本も刺して戦にのぞむ設定なんて初めてみた時にはのけぞりました。
あ、そうそう、前半で赤子を人質に取った盗人を官兵衛が切り捨てるスローモーションシーンがあります。スローモーションの美学を確立したと言われるサム・ペキンパー監督は、『七人の侍』のそのシーンをみて「もらった!」となったといいます。『七人の侍』全編通してスローモーションは僅かにそのシーンだけなんですよね。。。もしかするとそのカットは、映画界にスローモーションの美学をゴリッと刻み込んだ記念すべきカット、なのかもしれません。
ココがすごい7:戦闘シーンでは、ホントに走る、走る、ひたすら走るんです。走る農民と侍たちを捉えるカメラのスピード感が、見る方にも伝染してきます。もちろん走るために、伏線が貼られています。誰だったかな、侍のひとりがこういうんですね「攻める時も走る。退く時も走る。いつも走るんだ」…映画を見る方も襟首ぐいっと掴まれて一緒に走らされる凄さがあります。

『七人の侍』制作舞台裏ネタバレ

そんな「すごい!」連発の『七人の侍』の制作現場は、黒澤明鬼将軍が率いる激戦地だったようです。

とにかく俳優への演技の付け方は容赦なかったようです。

俳優が「ああ、今日も撮影だ…行きたくねーなー」と思った、といいますから、ハンパなく妥協許さない演出だったんでしょうね。

雨をくっきり見せるために水に墨汁混ぜたり、炎上シーンでは役者がヤケドをおったりと、調べていくと枚挙にいとまがありません。

黒澤明監督は、とことんやりたいことやり尽くしたのが『七人の侍』のような気がします。


『七人の侍』まとめ

あれこれ書いてきましたが、『七人の侍』をぼくなりにひとことにまとめてみます。

いきます。

「もし見ずにこの世にオサラバしなたら、化けて出てでも見た方がいい映画」

です。

もちろん映画の殿堂入りです

ただし、やっぱり…字幕は欲しい…です…。




 

 



『七人の侍』の生き残りは誰?ネタバレ閲覧注意!

これ、口コミで結構知りたい方多いようですので、おまけネタバレで書いておきます。映画を見たい方は絶対に読まないでくださいね。

 

 

+ + +

 

島田勘兵衛、七郎次、勝四郎

の三人です。

『七人の侍』海外の反応は?

もう、言うに及ばず。世界中の監督、脚本家で『七人の侍』を見てない人、影響受けてない人は居ないと思います。

前にも書いたけど、海外では字幕で見ているはずなので、もしかするとですよ、外国人は日本人以上に『七人の侍』をしっかり捉えているんじゃないでしょうか。


『七人の侍』配信先は?

以下のサービスで配信されています(2025年1月現在)

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『七人の侍』トレイラー







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