『ハウス・オブ・ダイナマイト』ネタバレあらすじ感想評価
こんにちは、映画好き絵描きのタクです。
今回レビューする映画は『ハウス・オブ・ダイナマイト』(2025年公開のアメリカ映画)、キャスリン・ビグロー監督作品です。(上映時間112分・NETFLIX)
キャスリン・ビグロー監督の作品の中に『ハートロッカー』があります。
アメリカ陸軍爆破物処理班の隊員たちのリアルを描いた映画です。
『ハートロッカー』も、ぼくはラストの締めくくり方に「キャスリン・ビグローはバリバリ右よりのタカ派に違いない…」と、ちょっと引き気味でした。
ところが『ハウス・オブ・ダイナマイト』はちょっと違っていました。
「この映画は国家間戦争へのアンチじゃないか。反核兵器映画の傑作『未知への飛行』のシドニー・ルメットばりに、やってくれた!」
そんな直球感想を抱かせた映画『ハウス・オブ・ダイナマイト』をレビューしてみます。
『ハウスオブダイナマイト』予告編
『ハウスオブダイナマイト』解説〜どんな映画?
『ハウスオブダイナマイト』の監督は先にも書きましたが、キャスリン・ビグロー監督です。『ハート・ロッカー』では戦場における“国家と個人の葛藤”を描いていますが、今回もその“国家と個人の葛藤”を政治サスペンスで描いています。
タイトルの「ハウス(=家)」が象徴するのは、単なる建物ではなく、国家と言っていいでしょう。つまり「爆薬の上に立つアメリカ」という皮肉農用な暗喩が、作品全体を貫抜いています。
ストーリーは、“敵国不明のミサイルがアラスカに向けて発射された”という緊急事態が舞台です。
攻撃元が判明しないまま、ミサイル着弾までのわずか数十分の間の国家中枢の人々の判断を描くという、超絶リアルタイム進行のドラマです。
映画で炙り出されるのは、核抑止と報復のバランス、防衛に携わる人たちのリアルタイムな緊張、指導者がどう動くか、そしてそれぞれの人間としての恐怖です。
キャスリン・ビグローがこれまでの戦争映画で描いてきた「バトルフィールドのリアル」を、『ハウス・オブ・ダイナマイト』では、ホワイトハウス関係者と迎撃基地という「関係各部署のリアル」に置き換えています。
登場人物は複数です。それぞれが情報が錯綜する群像劇のリズムのなかで「一人の人間として」と「職務として」の狭間で苦しむ姿を丁寧に掘り下げている点が、この映画のキモでしょう。
『ハウスオブダイナマイト』スタッフキャスト
制作スタッフ
監督 キャスリン・ビグロー
脚本 ノア・オッペンハイム
撮影 バリー・アクロイド
音楽 フォルカー・ベルテルマン
登場人物/キャスト
- アメリカ合衆国大統領
- 演 – イドリス・エルバ、日本語吹替 – 東地宏樹
- オリヴィア・ウォーカー海軍大佐
- 演 – レベッカ・ファーガソン、日本語吹替 – 佐古真弓
- シチュエーションルームに所属する上級将校。
- ジェイク・バリントン
- 演 – ガブリエル・バッソ、日本語吹替 – 清水優譲
- 国家安全保障問題担当大統領副補佐官。
- リード・ベイカー国防長官
- 演 – ジャレッド・ハリス、日本語吹替 – 金尾哲夫
- アンソニー・ブレイディ空軍大将
- 演 – トレイシー・レッツ、日本語吹替 – 大塚芳忠
- アメリカ戦略軍司令官。
- ダニエル・ゴンザレス少佐
- 演 – アンソニー・ラモス、日本語吹替 – 江頭宏哉
- フォート・グリーリー基地司令官。飛来する脅威を探知・破壊する任務を担う。
- キャシー・ロジャース
- 演 – モーゼス・イングラム、日本語吹替 – 反町有里
- 連邦緊急事態管理庁(FEMA)の政府存続計画担当者。
- ロバート・リーヴス海軍少佐
- 演 – ジョナ・ハウアー=キング、日本語吹替 – 杉村憲司
- 核のフットボールを運搬する報復戦略顧問兼大統領軍事顧問。
- アナ・パク
- 演 – グレタ・リー、日本語吹替 – 永田亮子
- 国家安全保障局(NSA)の北朝鮮問題専門家。
- マーク・ミラー海軍大将
- 演 – ジェイソン・クラーク、日本語吹替 – 山野井仁
- 大統領との連絡役を務めるシチュエーションルームにおける最高責任者。
- ウィリアム・デイヴィス海軍先任上等兵曹
- 演 – マラキ・ビーズリー、日本語吹替 – 山下タイキ
- シチュエーションルームに勤務するウォーカー大佐の部下。
- ケン・チョー
- 演 – ブライアン・ティー、日本語吹替 – 川本克彦
- シークレットサービス特別捜査官の責任者。
- リリー・バリントン
- 演 – ブリタニー・オグラディ
- ジェイクの妻で連邦議会補佐官。
- スティーブン・カイル空軍少将
- 演 – ベンガ・アキナベ
- アメリカ戦略軍参謀。
- アビー・ジャンシング
- 演 – ウィラ・フィッツジェラルド
- ホワイトハウス担当のCNN記者。
(以上Wikipediaより転載)
『ハウスオブダイナマイト』あらすじ〜途中まで
1. 傾斜が水平に
ある早朝、ホワイトハウスのシチュエーションルーム(WHSR)で、オリヴィア・ウォーカー海軍大佐は当直勤務を引き継いでいた。
午前9時30分(東部標準時)頃、レーダーが千島列島東方からを飛行中の正体不明の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を探知する。
ホワイトハウス危機管理対策室=WHSRと軍司令官、統合参謀本部議長、国防長官、大統領との間でビデオ会議が開始される。
アメリカ戦略軍の初期分析により、アメリカ本土中西部に着弾するまでおよそ18分しかないことがわかる。
コンピューターは都市部を直撃した場合には数百万人が死亡すると解析。
アラスカ州のフォート・グリーリー基地(英語版)ではダニエル・ゴンザレス少佐率いる部隊が弾道弾迎撃ミサイルを発射するが、ICBMの撃墜に失敗する。
ICBMの着弾目標地点はシカゴと特定される。
リード・ベイカー国防長官は「政府存続計画(COOP)」を発動し、政府高官らの避難を命じる。
その結果、連邦緊急事態管理庁(FEMA)のCOOP担当者キャシー・ロジャースは、政府の用意した自給自足核シェルターへ避難させられる。
ホワイトハウスでは異変を察知した記者たちが報道官を問い詰めるが、一方的に会見は打ち切りとなる。
不審に思った一人の記者が兵士に何が起こっているかを尋ねる。
答えは一言だけ、「逃げろ」だった。
一方、不在の国家安全保障問題の大統領副補佐官のジェイク・バリントンがビデオ会議に加わり、大統領に報復措置を取らないよう進言する。
2. 弾丸で弾丸を撃つ
ネブラスカ州のオファット空軍基地にあるアメリカ戦略軍指揮統制施設・核戦略本部(C2F)では、ICBMに対応するビデオ会議が開かれている。
参加者は、WHSR、国防長官、軍最高司令官、そして大統領だ。
軍のトップは、さらなる攻撃を抑止するため、発射国への報復ミサイル攻撃を行うよう大統領に促す。
しかし発射国は特定できていない。
会議の中で大統領副補佐官バリントンは軍司令官と激しく衝突し、国家安全保障局(NSA)の北朝鮮問題専門家のアナ・パクに連絡を取るよう要請する。
休暇中だったパクは、北朝鮮がこのミサイルを発射する能力を持っていた可能性があると説明する。
バリントンはシチュエーションルームの最高責任者であるマーク・ミラー海軍大将とともに大統領危機管理センター(PEOC)に避難し、ロシア外相からの電話に対応する。
ロシア外相は、ロシアがこの発射に関与していないと主張し、もしロシアが攻撃の標的となれば報復する、と警告する。
ICBMがシカゴに近づく中、大統領は報復計画の選択を迫られる…。
『ハウスオブダイナマイト』あらすじ結末まで〜ネタバレ閲覧注意!
3. 爆薬が詰まった家
対策室の混乱から、シーンは国防長官室内に。
リード・ベイカー国防長官は、ICBMが自分の娘の住むシカゴに向かっていることを知る。ベイカーは娘の避難を試みるが間に合わず、絶望に陥る。
ペンシルベニア州の核シェルターには、続々と高官たちが入っていく。
大統領はバスケットボールのイベント参加中にICBM発射の報告を受け、会場から避難。
同行するのは報復戦略顧問のロバート・リーヴス海軍少佐だ。
大統領とリーヴスは空路ワシントンD.C.から脱出。
リーヴスは2つの選択肢を大統領に提示する。大統領は自らの判断で最終決断を下さねばならない。重責に苦悩する大統領….。
フォート・グリーリーの屋外、疲れ切ったゴンザレス少佐が映る。エンドロール。
『ハウス・オブ・ダイナマイト』ぼくの感想
『ハウス・オブ・ダイナマイト』、僕は抜群に面白かったです。
『ハウス・オブ・ダイナマイト』の魅力はいくつもあるのですが、ぼくがレビューで伝えたいことを、4つにまとめてみました。
以下、順を追って書いていきます。
・5人の視点
『ハウス・オブ・ダイナマイト』のドラマを語る上で欠かせないのが、ミサイルが飛来してくるという”ワンシチュエーション”に対して、5人=5箇所のアングルで描かれる斬新な視点です。
ドラマは最初はアラスカのミサイル迎撃基地ではじまります。
ですが、もちろん観ている観客は ”5人=5箇所の視点”で進むとは分かりません。
しかし、次のシチュエーション=危機管理対策室でのドラマへと移るにつれ、僕はその斬新な視点にはっとしました。
それはどういうことか?
冒頭はミサイル迎撃基地で描かれるドラマなのですが、ホワイトハウス危機管理室へと移ると、ミサイル迎撃基地で主役を張っていた迎撃部隊の兵士が一転脇役となり、”同じドラマが危機管理対策室の人間にはどう見えているか?”という描かれ方になるのです。
5箇所の視点と書きましたが、その視点は大きく分けて以下の五つです。
1.アラスカ・フォートグリーリー基地のダニエル・ゴンザレス少佐の視点
2.ホワイトハウス危機管理室のオリヴィア・ウォーカー大佐の視点
3.国防長官室のリード・ベイカー国防長官視点
4.移動しながら携帯で危機を知る大統領副補佐官ジェイク・バリントンの視点
5.移動しながら危機を知り判断を仰がれるアメリカ大統領の視点
です。
着弾まで30分かそこらの”敵国不明のミサイル飛来”という一つの時間軸に対して、5つの場所から”その危機がどう見えていて、その場所にいる人間がどう動いていくのか?”が章立てされたように描かれながら進むのです。
『ハウス・オブ・ダイナマイト』のおもしろさの一つはそこです。
まるで粘土の塊から徐々に削り出され目鼻立ちが浮き上がってくる彫像制作を早回しで観ている感じ….なのです。
同じような感覚を抱いた映画としては、クリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』でしょうか。
第二次世界大戦での「ダンケルクの撤退」を陸海空三つの視点と時間軸で描かれた作品で、『ダンケルク』も『ハウスオブダイナマイト』と似た視点で斬新でした。
・描かれるのは肩書の先の人間性
『ハウス・オブ・ダイナマイト』の魅力の一つは、一兵士から大統領に至るまで、登場人物に血肉が通っているという点です。それぞれの人物はそれぞれの部署で責任者なのですが、嘘くささがありません。
それは俳優陣の力量によるところが大きいと思いますが、全員が仕事人であり、愛する家族があり、誰かと繋がって生きているということが、しっかりと感じられました。要は「任務に突き進みつつも迷い、焦り、家族を想う、普通の人」なのです。
危機管理対策室でのオリヴィア・ウォーカー海軍大佐(演/レベッカ・ファーガソン)の演技は見ものですし、こと大統領に関してのシーンでは、危機寸前の大統領の姿をフィクションとはいえある意味リアルに見せつけられます。
その大統領視点は、仕事人として大統領が危機に対しどう動くものなのか?を、これまたフィクションのリアルとして見事に描いています。僕は「そうだよな、そうとしか言えないよな…」と妙に納得していました。
・敵がどこなのか示されない怖さ
『ハウスオブダイナマイト』は、怖いです。
「いまの時代、他国へのICBM攻撃てこんな感じなんだろうな、、、」久々にエンタメ系の怖さではない「もしかすると…明日にでもありえるよな…」といった怖さを感じました。
その怖さの本質は、「ミサイル大陸間弾道弾によって宣戦布告ナシで戦争が勃発してしまう可能性」の怖さにあります。
敵がはっきりしないシチュエーションで、疑心暗鬼のままに手探りで対策しなければならない怖さが、この映画からはハッキリ伝わってきます。
敵がどこの誰だかわからないままにドラマが進みますが、多分、現実としても大いにありうるんだと思います。
戦争映画につきものの最前線で銃を撃ち合うのとは全く異質な怖さが、『ハウスオブダイナマイト』のホラー感です。
そんな怖さを過去、ある映画で感じたことがありました。それが、記事冒頭で挙げたシドニー・ルメット監督の『未知への飛行』です。
その映画は、米ソ対立時代の、人間のちょっとした誤りが次々と連鎖を起こし核攻撃につながってしまうという「十分ありえそう…」という話でした。
(Amazon Prime/UーNEXT/AppleTV/YOU TUBEでレンタルできます)
・結末は寸止めの美学
ネタバレになりますので映画見たい方は以下スルーしてくださいね。
久々に見事なオープンエンディング=ここから先はどうなるんでしょう?見る人の想像にお任せしますスタイル=に完封されました。
いや、ほんとに「だからここから先を知りたいんだよ!」という手前で映画はジ・エンドとなります。
でもね、わかるんですよ、そんな監督の意図。
誰でも想像できる二つの選択肢を前に答えを出せずにいる大統領の姿にこちらも胃がキリキリします。で、キリキリしたまま終るんです。
「これ以外のエンディングはないだろう」と監督は思っていたに違いないです。もし、観客が求める絵を出したならば、映画全体が崩れてしまうんですよね….。まさにこの映画のエンディングは、寸止めの美学です。
絵を描いててもあるのです、そういうケースが。
描いている最後に「この一筆を入れるかどうか?」で迷う時、えいやっ!と筆を入れて失敗してまうってやつです。その一筆で総崩れに繋がってしまう…なんてことが。
寸止めの美学が『ハウス・オブ・ダイナマイト』にはある、と、思っています。
『ハウスオブダイナマイト』ぼくの評価は?
ぼくは『ハウス・オブ・ダイナマイト』を、”前情報ほぼナシ”で配信で見ました。
ネット上の評価も確認していません。
ですので、評価は直球です。ぼくの評価は星四つ半⭐️⭐️⭐️⭐️✨。
星半欠けの理由は、配信で観た点にあります。何度か途中で「あれ?どういうこと?この人誰だっけ??」と、「戻るボタン」で見返したんですよね。
自宅配信で見る集中力と映画館で見る集中力は違うじゃないですか。
映画館という没入感がある暗闇で見たならば、そんなことはなかったのでは…と思います。
スクリーンでもし観たなら星五つだったと思います。
『ハウス・オブ・ダイナマイト』配信レンタルは?
NETFLIXで配信中です。(2025年11月現在)
DVD、ブルーレイは以下で購入可能です。




コメント
ほらスクリーンで観た方がやはり良かったじゃん(笑)
配信は見逃し作品には便利です。でもスクリーンにかなうものはないですね。